醤油や味噌、甘酒、ぬか漬けに納豆…。これらはどれも、日本の食卓には欠かせない発酵食品です。
健康志向が高まる今、腸内環境を整え、うま味成分によって減塩効果も期待される発酵食品が、東京で絶賛進化中なのをご存じでしたか?
今回は【るるぶKids体験便】でお馴染みの発酵デザイナー・小倉ヒラクさんの案内で、タレントの安田美沙子さんと一緒に、江戸時代から現代にかけて進化した発酵を学べる東京ガストロノミーツーリズムに行ってきました。親子で楽しく学んで、味わって、体験できる都内の発酵文化スポットをご紹介します。
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江戸時代にも発酵飲料があった?話題のコンブチャを飲んで腸活!
南青山「BROOKS GREENLIT CAFE」(東京都/港区)

まずやってきたのは、青山一丁目駅から徒歩4分、青葉公園の目の前に2024年12月にオープンした「BROOKS GREENLIT CAFE(ブルックス グリーンリット カフェ)」。
メニューにはプラントベースのサンドイッチやアサイーボウル、スムージーなどがあり、8時からの営業なので、爽やかな朝のひと時を過ごせます。

左から「_SHIP KOMBUCHA」の「ORIGINAL(オリジナル)」、「YUZU HEADS(ユズ ヘッズ)」、「HOP BREEZE(ホップ ブリーズ)」、「SHISO FUTURE(シソ フューチャー)」
こちらの発酵メニューは、発酵スパークリングティーのコンブチャ。発音は一緒ですが、昆布茶とはまったくの別物なんです。腸内環境を整えるといわれるコンブチャは、2010年頃からアメリカ西海岸で一大ブームが起こり、ポピュラーな健康飲料としてすでに定着。東京でも健康志向の人を中心に大注目されています。

江戸時代の発酵飲料といえば、甘酒が挙げられます。
甘酒は、俳句においては夏の季語。食欲が落ちる夏に、自然な甘みで栄養豊富な甘酒をエナジードリンクのように飲んでいました。微生物の働きで茶葉を発酵させて作る発酵茶も、各地で作られ、養生茶として親しまれていました。富山のバタバタ茶、徳島の阿波晩茶、愛媛の石鎚黒茶、高知の碁石茶などの発酵茶は、今も伝統的な製法で受け継がれています。
体を気遣うのはもちろん、何よりおいしいから発酵飲料を飲むという習慣は江戸時代から変わりません。コンブチャも現代の健康志向のライフスタイルにぴったりのドリンクとして、愛飲する人がますます増えそうです。

BROOKS GREENLIT CAFEにある「_SHIP KOMBUCHA」は、京都宇治の永田茶園で有機栽培された煎茶と和紅茶に、甜菜糖ときび糖を加え、酢酸菌と酵母から生まれたスコビーを入れて発酵させて作られています。
おいしさへのこだわりは、オーガニックの原材料を使い、非加熱製法を導入し、発酵の温度管理も徹底すること。
プレーンのフレーバー「ORIGINAL(オリジナル)」は、フルーティーな酸味があり、子どももごくごく飲める爽やかな味わいです。紫蘇や柚子を使用した日本由来のフレーバーもありますよ。
有機ストロベリーや豆乳を使った「ベリー ドリーミー」など、お店で提供している3種類のスムージーにも「_SHIP KOMBUCHA」を使っています。麹甘酒などが原料となっているものもあり、どれも、飲みやすく栄養満点。ぜひこちらも試してみてください。
親子におすすめのポイント!
- 安心・安全にこだわったプラントベースフードとドリンク
- 大人はもちろん、子どもも飲みやすいコンブチャやスムージーが揃う
■BROOKS GREENLIT CAFE(ぶるっくす ぐりーんりっと かふぇ)
| 住所 | 東京都港区南青山1-7-12 MIDORI.so AOYAMA 1F |
|---|---|
| 問合先 | 公式サイトより問合せ |
| 営業時間: | 8~18時 |
| 定休日 | 無休 |
» 「BROOKS GREENLIT CAFE」公式Instagram
江戸っ子の食卓を支えた発酵食品を定食スタイルで味わう。醤油麹作り体験も
下北沢「発酵デパートメント」(東京都/世田谷区)

続いて、今回の案内人・小倉ヒラクさんがオーナーを務める「発酵デパートメント」へ。小田急線下北沢駅と世田谷代田駅の中間にある商業施設「BONUS TRACK」の一角にお店があります。

こちらはヒラクさんが日本中を旅して、ローカルな発酵食を探したことから始まった発酵食品専門店。
江戸時代にさまざまな文化がキュレーションされてきたように、東京で全国の発酵文化を紹介し、商品として流通させることで作り手にお金を還元。担い手不足が進む発酵文化を守り、継承していきたいという想いでお店を始めました。
調味料や加工食品、お酒など、他店では買えない珍しい発酵商品がたくさん並んでいて、思わず手にとり、試してみたくなる楽しい品揃えです。

現在も日々の食卓に欠かせない、醤油や味噌、みりん、お酢、酒はすべて発酵調味料。江戸時代に広く普及しましたが、基本的なつくり方は当時からほとんど変わっていません。冷蔵技術がない江戸時代、人口が多い江戸では安定的に食料を供給するために、保存性のある食品が求められ、発酵食品が生活に浸透し、普及しました。
江戸では野菜の味噌漬け、魚の酢漬けなど、発酵の力で食材を長持ちさせ、余すことなくおいしく食べ切る工夫がされていました。さらに現代のように電気やガス、水道が整備されておらず、便利な家電もないため、使うだけで簡単に味が決まる発酵調味料は料理の手間を減らす食卓の強い味方だったのです。

訪問時に提供されていた定食は、越前漆器や常滑焼など、民藝の食器でいただく「民藝を食べる定食」
お店に併設されたレストランでは、麹菌や乳酸菌、納豆菌など7つの発酵菌がとれる全国各地の発酵食品を定食スタイルで提供。

季節によってメニューは変わりますが、取材時のメインは塩麹で漬けた豚肉や季節野菜のせいろ蒸しで、酒粕塩や黒麹醤(ひしお)といった発酵調味料、沖縄の豆腐ようのソースを付けていただきます。青森・十和田の乳酸発酵麹納豆「ごど」は、納豆と漬物の間のような味わいで箸休めになり、デザートには黒麹甘酒をかけた豆乳ヨーグルトも。
子どもには初めての料理も多いので、1品ずつ発酵のうま味や味、香り、食感の感想を話しながら、楽しく食事してみて。

発酵デパートメントでは発酵にまつわるワークショップを不定期開催していますが、今回は特別に、発酵調味料のひとつである醤油麹作りを体験。
一般的な麹と醤油でも作れますが、取材時は主に沖縄の泡盛に使われる黒麹と、東京で110年以上続く醸造所が手掛けるキッコーゴ丸大豆醤油を使いました。計量は要らず、子どもも簡単にできます。
作り方は保存容器に黒麹を入れ、ひたひたに浸るくらい醤油を注ぎ、スプーンで混ぜ合わせるだけ。常温保存し、毎日(もしくは2~3日に1回)かき混ぜ、2週間(暑い時期は1週間)で食べ頃に。クエン酸由来の甘酸っぱさがある醤油麹は、酢豚の調味料や唐揚げの下味、豚のソテーのトッピングなど、さまざまに活用できます。ぜひ親子で一緒に作ってみてくださいね。
親子におすすめのポイント!
- 日本全国のローカルな発酵食品の特徴が学べる
- 味噌作りキット、納豆作りキットは、夏休みの自由研究におすすめ
■発酵デパートメント(はっこうでぱーとめんと)
| 住所 | 東京都世田谷区代田2-36-15 BONUS TRACK内 |
|---|---|
| 問合先 | 公式サイトより問合せ |
| 営業時間 | ショップは11時~18時30分、レストラン&カフェは11時30分~LO16時30分(ランチの注文は11時30分~LO14時) |
| 定休日 | 無休(臨時休業の場合あり、公式Instagramを要確認) |
江戸時代から受け継ぐ出汁文化を科学的に分析。黄金比率で我が家の出汁を作ろう
麻布台「だし尾粂」(東京都/港区)

麻布台ヒルズにある「だし尾粂(おくめ)」は、明治4年(1871)に日本橋魚市場で水産乾物の卸問屋として創業した「尾粂商店」が手掛ける出汁専門店です。

江戸庶民は味噌を家庭で作り、ウルメイワシやトビウオの煮干しで出汁をとり、味噌汁を作っていました。
出汁をとる乾物で発酵といえば、鰹本枯れ節が代表的。発酵の効果でうま味成分がアップし、香りが豊かになり、微生物が水分を吸い取るため保存も効くようになります。燻して、カビ付けして熟成させるという手間がかかる分、江戸庶民にとって鰹本枯れ節は高級品でした。
江戸では鰹本枯れ節、大阪や京都では利尻昆布が出汁の最上級品として憧れの対象となり、江戸は鰹出汁、大阪や京都は昆布出汁という食文化が広がったのです。
だし尾粂では幅広い料理に使える「基本だし」の他、「東京だし」、「京都だし」といった出汁の地域性にフォーカスした出汁パックも展開しています。どの商品にも共通するのは、尾粂が長年培ってきた目利きで厳選した国産無添加の原料を使うことです。

だし尾粂自慢の原料を誰がどんな環境で作っているのか伝えることで、日本独自の多様なだし乾物やだしの地域性、またそういった乾物がどういった土地で作られているかなどを知らせ、出汁文化に愛着を持ってもらおうと始めたのが「オーダーメイドだし」というサービス。
36種類の素材から好きなものを組み合わせ、世界に1つだけのレシピで、30袋(210g)の出汁パックを作ります。
合わせ出汁の醍醐味は、単一よりも組み合わせることでうま味が何倍にもアップすること。鰹本枯れ節や煮干しに代表されるイノシン酸、昆布のグルタミン酸、椎茸のグアニル酸をバランスよく組み合わせるのがポイントで、考え抜かれた黄金比率があるので、4つのグループから1種類ずつ選ぶと、よりおいしい合わせ出汁に仕上がります。

ショーケースに並ぶ素材を見て、香りをかいで、どれを組み合わせようか親子で会話しながら選んでみましょう。おばあちゃんの味噌汁を再現したいなど、作りたい料理に応じて素材や配分をスタッフに相談することもできますよ。

江戸時代に定着した出汁文化が、うま味の相乗効果という科学的な分析をもとに、現代では便利に使える出汁パックに進化!だし尾粂でお気に入りの味を見つける体験を楽しんでみて。
親子におすすめのポイント!
- 試飲し、香りをかいで、素材や出汁の味の違いを学び、家族で考えた出汁を作れる
- 粉砕機や充てん機がガラス窓越しに見られて、プチ工場見学もできる
■だし尾粂 麻布台ヒルズ店(だしおくめ あざぶだいひるずてん)
| 住所 | 東京都港区麻布台1-2-4 麻布台ヒルズ B1F ガーデンプラザC |
|---|---|
| 問合先 | 03-6426-5501 |
| 営業時間 | 10~20時 |
| 定休日 | 無休 |
馴染み深い発酵食品をベースに未知の味を表現。昔と今が融合した現代的な日本料理に感動!
池尻大橋「namida」(東京都/世田谷区)

ツアーのラストを飾るのは、旧池尻中学校を活用した複合施設「HOME/WORK VILLAGE」内にある「namida(なみだ)」。

カウンター席の目の前で料理人が腕を振るう割烹スタイルで、伝統的な発酵食品や発酵技法を使いつつ、現代の味覚に合うアレンジを施した日本料理が味わえます。

「namida小会席ペアリングコース」。
取材時のメニューは写真手前から時計回りに「雲子 柚庵焼き/裏漉し豆腐の醤油粕スモーク」、「すっぽん 玉地蒸し」、「椎茸 かくや詰め焼き」、「山装ふ」燗酒、「鹿 発酵トマト漬け カツレツ」、「鯛 味噌漬け 青朴葉焼き」
日本料理の根底には醤油や味噌、漬物といった江戸時代から伝わる発酵文化があります。発酵を活用することで実現される、「知っている」味の安心感と、未知の味の感動を兼ね備えた現代ならではの日本料理を、同じく発酵食品であるお酒とのペアリングで重層的に味わえるのがこちらの真髄。
たとえば、「鹿 発酵トマト漬け カツレツ」は、2%の塩で乳酸発酵させたトマトでジビエの鹿肉を漬け込み、柔らかくしています。乳酸発酵のぬか漬けや塩漬けといった発酵食品の伝統技法を使い、トマトのグルタミン酸と鹿肉のイノシン酸を掛け合わせ、カツレツにして油をプラスするという現代の調理科学的な視点で考案されました。鹿肉のカツレツはサクッと歯切れよく、コク深い醤油のかえしが赤身のうま味を引き立てます。
他にも江戸時代から受け継がれた伝統製法で作られ、発酵がゆっくり進んだ微生物の働きによる偶然性が味の個性となる木桶仕込み醤油を使ったり、醤油粕をスモークチップとして無駄なく活用したりと、一皿の中に昔から今へと受け継がれる知恵や工夫、アイデアが込められています。

「namida小会席コース」では、5品の料理と日本酒やワイン計5杯をペアリングで楽しめます。料理との共通点は発酵。美食のペアリングとして親しまれてきた日本酒やワインも発酵によって造られており、料理とともに味わうことで、その魅力はさらに引き立ちます。
取材時は「雲子 柚庵漬け/裏漉し豆腐の醤油粕スモーク」のペアリングとして、鳥取・日置桜の2024年醸造の純米ひやおろし「山装ふ」の燗酒が提供されました。クリーミーな雲子と豆腐、ヨーグルトのような乳酸を感じる燗酒が引き立て合い、新たなおいしさが口に広がります。

ちなみに、江戸時代は冷酒を飲む習慣はなく、お燗か常温で飲まれていました。中国の陰陽思想の影響からとも、当時のお酒はアミノ酸が強く、香りが控えめで、温めることで香りを開かせたともいわれています。
年齢制限はなく、子連れも相談可。ソフトドリンクは白ぶどうジュースやハーブコーディアル(エルダーフラワー)のソーダ割り、水出し緑茶などがあります。提供される時には一皿ずつ、食材や調理法についての説明が添えられるのも、この店の特徴です。
親子におすすめのポイント!
- 敏感な味覚を持つ子どもだからこそ、素材の味を生かした日本料理の繊細さを感じ取れる
- カウンターのレストランでの会食を体験して、大人の世界に仲間入り
■namida(なみだ)
| 住所 | 東京都世田谷区池尻2-4-5 HOME/WORK VILLAGE 108 |
|---|---|
| 問合先 | 050-1721-8982(自動音声対応) |
| 営業時間 | 18~23時 |
| 定休日 | 不定休(公式Instagramを要確認) |

江戸時代から私たちの食文化を支えてきた発酵。健康志向が高まる今、再評価され、現代的にアップデートされ、進化しています。小倉ヒラクさん&安田美沙子さんが巡ったツアーを参考に、親子一緒に東京で発酵の歴史や進化を学び、食べて、体験してみてくださいね。
» 東京都の多彩な食の魅力に関する情報はこちら!
「GO TOKYO Gourmet」
» 東京都の「江戸の歴史・文化の魅力発信」に関する情報はこちら!
●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●記事の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
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