東日本大震災から15年。京都大学名誉教授で火山学・地球科学の第一人者である鎌田浩毅先生によると、現在は「1000年ぶりの大地変動の時代」にあたるのだとか。家庭でも備えを固め、子どもと一緒に「もしものとき」の話をしておくことが大切です。家庭でできる備えやおすすめ防災グッズについて、防災アナウンサー&一児の母である奥村奈津美さんにお話を伺いました。
奥村奈津美さん
NHK「おはよう日本」「あさイチ」、TBS「マツコの知らない世界」などテレビ・ラジオをはじめ、雑誌・新聞など様々なメディアで「おうち防災」の専門家として出演。全国での講演実績多数。被災地支援活動や防災教育に力を入れるほか、環境省アンバサダーとして「気候危機×防災」の啓発活動にも取り組む。著書『大切な家族を守る「おうち防災」』(辰巳出版)ほか。

マストで備えよう!おうち防災グッズとテクニック

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家庭で防災といっても、「何から始めればいいの?」と悩んでしまう方が多いのではないでしょうか。重く考えずに、まずは手軽に始められる必要最低限の備えから取り組んでみましょう。マストで備えたい5つをご紹介します。
①絶対外せない「災害用トイレ」

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大きな災害時、最初に困ると言っても過言ではないのが「トイレ」です。飲まなくても、食べなくても、トイレに行きたくなりますよね。しかし、大きな災害ではトイレが使えなくなることも。
その理由はさまざまで、断水(水が出ない)だけでなく、目に見えないところで「配管(水の通り道)」がズレたり、壊れたりすることがあるからです。無理に流してしまうと、下の階で水漏れするなど大変なことに……。とにかく、「災害時にトイレは流さない」と、親子で覚えておいてください。

防災アナウンサー奥村奈津美撮影
災害時、トイレが使えないときは「災害用トイレ」を使いましょう。災害用トイレとは、尿や便を固めてくれる「凝固剤」とゴミ袋、臭いが漏れない防臭袋がセットになったもので、ホームセンターやドラッグストア、通販サイトなどで売られています。1週間分×家族の人数分、備蓄しておくといざというときに安心です。
②人数分の「水」を備蓄

防災アナウンサー奥村奈津美撮影
人間が生きていくうえで必要不可欠である水は必ず備えておきましょう。備蓄の目安は一人あたり1日3リットル。生活していくうえで、飲み水はもちろん、調理やトイレ、お風呂など実際にはもっと多くの水を使っています。最低でも3リットル×3日分、できれば1週間分用意しておきましょう。水道水でも、常温で3日、冷蔵庫に入れておけば10日ほど飲み水として持ちます。
ただし、期間が経つにつれ入れ替える手間はあるので、長期保存水の活用をおすすめします。中には12年保管できるものもありますよ。
ポイントは「分散備蓄」!地震でドアが開かず、部屋に閉じ込められることもあるので、各部屋のクローゼットの隙間やベッドの下など、各部屋に分けて収納しておくと安心です。
③温かい食事のために「カセットコンロ&ガスボンベ」

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災害時の不安な時でも、温かいご飯を食べればほっと心が落ち着くもの。ガスが止まっても、カセットコンロとガスボンベがあれば、備蓄していた食材で調理が可能です。
ガスボンベの備蓄目安は、メーカーによると、一人あたり1週間で4本くらい。家族の人数分、備えておきましょう。カセットコンロの使用期限は10年、ガスボンベは7年ほどなので、日常的に使って循環備蓄しておくことをおすすめします。
④停電対策として「ヘッドライト」

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夜に起こる地震で怖いのは「停電」です。暗闇の中で避難すると怪我のリスクも高まります。そこで活躍するのがヘッドライト。両手が空くので、小さな子どもと避難するときや作業をするときに、明かりを確保するのに便利です。
置き場所は、枕や敷布団の下がおすすめです。大地震の際には小物が激しく飛んでくるおそれもあるため、棚などに置いておくのではなく、枕元などに挟みしっかりと固定して寝るとよいでしょう。

防災アナウンサー奥村奈津美撮影
最近は「停電しない電球」という商品も販売されています。電球の中に蓄電機能があり、停電を感知すると自動点灯してくれる便利なアイテム。リビングや寝室などの電球をこれに切り替えると、いざというときに真っ暗になることを防げるので安心です。
スマホなどの予備バッテリーも日常使いして定期的に充電しておきましょう。
⑤「プラ1備蓄」を心掛ける

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マストで備えておきたい防災アイテムと合わせておすすめしたいテクニックが「プラ1備蓄」です。常温で日持ちする食材を1つ使ったら1つ買い足して多めにストックしておくだけ。よくある買い忘れも防げるのでママに嬉しい備蓄術です。
また、非常時の食事で意外と多いのが「食べ慣れない味で子どもが食べてくれない」というお悩み。水・カセットコンロ・ガスボンベ・プラ1備蓄があれば、在宅避難時でも食べ慣れた普段の食事を作ることができるので安心です。
子ども用の防災リュックには何を入れればいいの?

防災アナウンサー奥村奈津美撮影
避難中に万が一離ればなれになっても対応できるように、小学生になったら「マイ防災リュック」を作りましょう。防災リュックは一人ひとつ用意するのが基本です。リュックは防水加工がされているものを選びましょう。全てジップロックなどの密閉袋に小分けにしてリュックに入れておくと、防水もできて安心です。
子どもの防災リュックに入れるものとしては、予備のメガネやお薬など「その子の体の一部になるもの」を最優先に入れましょう。
着替えや飲みもの、食べもの、お気に入りのお菓子や静かに遊べるおもちゃ、そして災害時離れ離れになっても子どもが困らないように、家族の名前や連絡先を書いたSOSカードも作って入れておいてください。
防災リュックを作る際に一番大切な、走って逃げられる重さにすることもお忘れなく!
まずは親子で話し合いながら、自分を守るための大事な相棒として防災リュックを作ることから始めてみてはいかがでしょうか。
執筆:防災アナウンサー奥村奈津美
親子で知っておきたい、地震や防災のこと

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親子で防災について話し合うことはとっても大切。しかし、「地震が来るかもしれないから」と、子どもにむやみに恐怖心を植え付けてしまうのも考えものですよね。地震や災害について、親が正しい知識を持ち、子どもの素朴な疑問に答えられるようにしておくのも大切な備えのひとつです。
今が「地球変動の時代」と言われるわけ

たとえば、2011年3月11日に起こった東日本大震災は、1000年に一度起こるかどうかという大地震でした。「これで当分、地震は来ないのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、京都大学の地球科学者・鎌田浩毅教授は実はそうではないと指摘しています。
日本列島の下には、4つのプレートがあり、押し合い、歪みをためながら常に動いています。その歪みは、先の東日本大震災によってバランスを大きく変え、新たなストレスを生みました。
つまり、東日本大震災があったから「しばらくは大丈夫」ではなく、地盤が揺れ動きやすい「地球変動の時代」が始まったと言えるのです。この時代だからこそ、子どもたちも正しい防災の知識を知る必要性が高まっています。
地震や防災について親子で学べる絵本が登場!

子どもも大人も、防災を考えるうちに次々に生まれてくる疑問や実は知らなかったことはたくさんあるはずです。「日本に地震が多いのはなぜ?」「地震が起こる日をピンポイントで予測できないの?」など、子どもに聞かれたら答えられない、というママパパも多いのではないでしょうか。

2026年2月24日(火)に発売された絵本『みんなでサバイブだ じしん・かざんのにほんでいきるきみへ』は、子ども向けのかわいいイラストとやさしい文章で書かれていながら、地球の成り立ちから地震や津波が起こる理由、防災の心得までしっかりと学べる内容となっています。
子どもに読み聞かせながら親子で知識と知恵を高め、いざという時に備えることができるので、親子防災の取り組みの第一歩にピッタリの絵本です。
『みんなでサバイブだ』の書誌概要

京都大学名誉教授である火山学・地球科学の第一人者・鎌田浩毅先生が手掛けた、地球の成り立ちから地震や津波がなぜ起こるのかまで、地球の「ちきゅりん」と一緒に学べる絵本。理科や地学に苦手意識がある大人も、子どもと一緒に改めて理解し、地震に備えて、身を守るための知識を身につけられます。
| 書名 | 『みんなでサバイブだ じしん・かざんの にほんで いきる きみへ』 |
|---|---|
| 定価 | 1650円(10%税込) |
| 仕様 | 20.6 x 18.2 x 0.8 cm、48ページ |
| 発売日 | 2026年2月24日(火) |
| 発行 | JTBパブリッシング |
親子で出かけよう!全国の無料(0円)防災スポット
親子で楽しく体験しながら学べる全国の無料(0円)の防災体験スポット・防災センターを紹介します。屋内施設が多く、雨の日のおでかけにもおすすめです。地震の揺れ体験や強風体験、煙避難体験、消火器での消火訓練の体験のほか、中には展示されている消防ヘリコプターに乗れるスポットも。予約の有無などを確認して、おでかけください。

