恐竜好きのお子さんを持つパパママ必読!全国各地の恐竜トークショーやイベントで大人気の“恐竜くん”による、るるぶkidsの恐竜教室・第2弾です。今回は「恐竜の名前のつけかた」を教えてもらいました。子どもが次々に恐竜の名前を覚えていくスピードについていけないというパパママも、これを読んだら少しは知ったかぶりができるかも!?
※当記事は2020年5月28日の取材に基づき編集しています。
恐竜くんの記事
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(監修プロフィール)恐竜くん
恐竜専門サイエンスコミュニケーター・イラストレーター。6歳の時に恐竜に魅せられ、16歳でカナダに単身留学。恐竜の研究が盛んなアルバータ大学で、古生物学を中心に広くサイエンスを学ぶ。卒業後も国内外の研究機関や博物館と活発に交流しながら最新の研究成果を取り入れ、科学教育・普及活動に注力。恐竜展の企画・監修、トークショーや体験教室の開催など幅広く活躍中。当記事内の恐竜のリアルイラストは、恐竜くんが描いたもの。 » 恐竜くん公式サイト
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恐竜の名前は、なぜカタカナだらけ?
あらゆる生物には「学名」がついています。たとえば、「ライオン」の学名は、「パンテラ・レオ(Panthera leo)」。ライオンというのは、各言語園でのみ通用するローカルネーム、学名のパンテラ・レオは、世界共通の正式名称です。
恐竜も同じで、ティラノサウルスの学名は「ティラノサウルス・レックス (Tyrannosaurus rex)」、ティラノサウルスというのは、実は略称なのです。
学名は「国際命名規約」に従ってつけられ、ラテン語であることが決まりです。ですから、恐竜の名前は、名づけに込めた意味や由来をラテン語に訳してつけられています。また、すでに使われている名前を使いまわしてはダメ、同じ生き物に複数の名前をつけてはダメ、などの基本的な原則はありますが、意味や由来に関しては案外自由です。
人間の赤ちゃんの名づけと同じにように、恐竜の名前も、昔と今とでは変化があります。それではご紹介しましょう!
ド定番!〜サウルス
- メガロサウルス=巨大なトカゲ
- ティラノサウルス=暴君トカゲ
- ステゴサウルス=屋根トカゲ
- パキケファロサウルス=分厚い頭のトカゲ
- ブラキオサウルス=腕トカゲ etc.
恐竜界で、記録上一番最初に命名されたのはメガロサウルス。「サウルス」は「トカゲ(広い意味で爬虫類)」の意味です。
恐竜の名づけには、昔は“同じ種類の恐竜は、最初の名前にならう”という習性が強かったので、「それぞれの固有の特徴やイメージ+サウルス」という名づけが多くされてきました。しかし、最近は「~サウルス」の名づけは減ってきて、個性的な名前をつけるケースが増えてきています。
角竜!ケラトプス
- トリケラトプス=3本角の顔
- プロトケラトプス=最初の角を持つ顔
- レガリケラトプス=王者の角の顔
- モンタノケラトプス=モンタナ州の角の顔 etc.
ケラトプスは「角の顔」という意味。角竜には「~ケラトプス」が踏襲された名前が多いです。大人気のトリケラトプスは、体の特徴そのままに、角の本数=トリ(3)がつけられました。5本角のペンタケラトプスもいるんですよ。
発見された地名が由来
- フクイサウルス
- フクイラプトル
- アルゼンチノサウルス
- アルバートサウルス
- エドモントサウルス
- エドモントニア etc.
化石が発見された地名がついている名前も多くあります。
特に日本の恐竜は、フクイサウルスをはじめ、地名がついたものがとても多いですね。
アルバートはカナダのアルバータ州、エドモントはアルバータ州のエドモントンという町の名前です。このように、州名だけでなく、町名がついている場合もあるんですよ。
エドモントンには恐竜研究が盛んなアルバータ大学があり、僕もそこで古生物学を学びました。
恐竜界のキラキラネーム?!
- ビスタヒエヴェルソル=ビスタヒ(地名)の破壊者:2010年(発表年)
- リスロナクス=流血王:2013年
- テラトフォネウス=怪物のような殺戮者:2011年
- ディナモテロル=強大なる恐怖:2018年
- タナトテリステス=死を刈り取るもの(または「死神」):2020年 etc.
全てティラノサウルスの仲間なのですが、昨今は「~サウルス」の名づけを受け継がない、個性的な名前が出てくるようになりました。スペルも癖のあるものが多いです。
ビスタヒエヴェルソルは、一度では聞き取れない名前No.1といってもいいでしょう。
まるでファンタジーゲームの悪役キャラにいそうな名前ですよね。
なくなった、変化した名前
- トロオドン→ステノニコサウルス、ラテニヴェナトリクスなど
昔からあった恐竜の名前が、研究の結果なくなってしまった例もあります。トロオドンという恐竜は、実は複数の恐竜を混ぜてしまっていたことが判明し、ステノニコサウルスとラテニヴェナトリクスに分かれました。
ステノニコサウルスは元々あった恐竜の名前が復活、ラテニヴェナトリクスは新たに生まれた学名です。
ラテニヴェナトリクスは、近年らしい凝ったネーミングなんですよ。ラテニ=「隠れた」、ヴェナトリクス=「狩人」の意味ですが、狩人を意味する言葉には、これまでは「ヴェナトル」がよく使われてきました。そこをあえて女性名詞の「ヴェナトリクス」を使い、ひねりを加えているのです。
自分の赤ちゃんに名前をつける感覚と同じで、他にはない凝った名前をつけたい!という発見者の心理が、最近の名づけではうかがえますね。
日本映画へのリスペクトから生まれた
- ゴジラサウルス
日本の映画『ゴジラ』の熱狂的なファンであった恐竜学者が命名。ゴジラへの敬意から、英語表記の「Godzilla」ではなく、日本語発音に忠実な「Gojira」という表記を採用しています。しかし、名前に反して、巨大な恐竜ではありません。
みじか~い名前
- メイ(学名Mei long)
- イ(学名Yi qi)
ともに中国の恐竜です。最近、中国の恐竜は、ラテン語ではなく自国の言葉の響きを重視した名前が見られます。
メイは丸まって眠っている姿で発見され、「眠る」という意味の名前がつけられました。鼻が冷えないよう脇の下に挟んで眠るのは、鳥と全く同じなんですよ。
そして、以前はこのメイが一番短い名前とされていましたが、その最少記録を更新したのがイ。イは、羽ではなく膜でできたコウモリのような翼をもち、とても変わった姿をしています。名前は「奇妙な翼」という意味です。
以上、ほんの一部ですが、恐竜の名前のつけ方や、最近の名前事情をご紹介しました。
子どもが恐竜の名前を覚えるスピードの速さには、本当に驚かされますよね。世界広しといえど、こんなに片端から恐竜の名前を憶えてしまうのは、日本の子どもならではと感じます。
また、恐竜の名前を子ども時代にガンガン覚えた子は、将来的にもカタカナの外来語や専門用語に強くなる傾向がある気がします!
恐竜の名前はれっきとした学名であること、また由来や意味があることを知ると、もっともっと恐竜の名前が身近になるかもしれませんね。
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