知的好奇心がすくすく育つ学びスポット!
滋賀県大津市の緑豊かな、びわこ文化公園の中にある「滋賀県立美術館」は、2021年6月にリニューアルオープン。多様な作品はもちろんのこと、飲食が可能なエントランス、キッズスペースやショップ&カフェなどが備わりました。赤ちゃんから大人までのんびりと過ごせる空間は、美術館初心者の子どもたちも大歓迎です。
子どもの知的好奇心は身近な“学びスポット”で育む!
子どもの脳の発達の原動力となり、将来の可能性を広げてくれるのが知的好奇心。その知的好奇心を育むスポットは関西エリアにたくさんあります。脳医学者の瀧 靖之(たき やすゆき)先生、そして宇宙・動物・昆虫・アートなどの各テーマの“達人”たちと選んだ関西エリアにある “学びスポット”を紹介します。どこも、「知るのが楽しい!面白い!」と思わせてくれる、工夫にあふれた施設ばかり。コロナ禍が続くいまだからこそ輝く身近な“学びスポット”へ出かけてみませんか。
監修:瀧 靖之(たき やすゆき)先生
東北大学加齢医学研究所教授
医師。医学博士。東北大学加齢医学研究所および東北大学東北メディカル・メガバンク機構で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究に従事。読影や解析をした脳MRIはこれまで16万人以上にのぼる。
知的好奇心で培われる、8つの“育つ力“
子どもの知的好奇心を刺激することで培われる力を、瀧 靖之先生が8つ選定。「洞察力」「思考力」「想像力」「発想力」「思いやり」など、施設ごとに“育つ力”を付記しました。
» 脳医学者の瀧 靖之先生に聞く!「知的好奇心」で育つ8つの力
»「国立科学博物館」は知的好奇心をくすぐる展示や学びの仕掛けが満載!
滋賀県立美術館で育つ子どもの力
知的好奇心が育つと、子どものどんな力が伸びるのかをチェック!滋賀県立美術館では、とくにどんなところが子どもの好奇心をくすぐるのか見ていきましょう。
アートの達人 浦島茂世
うらしまもよ●美術ライター。美術や街、旅を中心に執筆。著書に『東京のちいさな美術館めぐり』(ジービー)『企画展だけじゃもったいない 日本の美術館めぐり』(ジービー)など。
■浦島茂世さんコメント
琵琶湖岸の漂流物で作品を作るなど土地に根付いたワークショップのほか「とことこマップ」といった子どものためのガイドも充実。
リニューアルで小さな子どもも大歓迎!
エントランス・ロビー
滋賀県立美術館(以下美術館)は、「滋賀県立近代美術館」として1984年に現在の場所に開館しました。4年間の改修工事を経て、「リビングルームのような美術館」へとリニューアル。誰もが気軽に利用できる美術館が生まれました。
「お静かに」と言われそうな展示室は、子どもたちの写生会が行われたり、ぐずった赤ちゃんに配慮して「ご理解ください」と他のお客様に静かに伝えてくれるスタッフがいたりと、更に素敵な空間となりました。
- 観覧料:常設展/一般540円、高校・大学生320円、中学生以下無料
企画展/企画展によって異なる(常設展料金含む)
公式サイトの「こども美術館」では、子どもが親しみを持ちそうな作品についての説明と作品データを表示した「さくひんしょうかい」、美術館を紹介した「しがけんびガイド」と美術館のコレクションを使って自宅でできるプログラム「おうちであそぼう」を体験することができます。
「とことこマップ」を持って美術館を楽しもう!
初めて美術館を楽しむなら、館内各所に用意された「とことこマップ」を手に入れて回るのがおすすめです。とことこマップには、美術館やその周辺で見たものや聞いたもの、感じたことなどを書き込むことができ、子どもたちが美術館に興味を持ちやすくなる工夫がされています。鉛筆の持ち合わせがない場合は、受付にお声かけを。
では、とことこマップ(以下、マップ)を開いて、美術館めぐりのスタートです。
展示室の作品を見てみよう
展示室1
展示室1は、受付の右側を進んだ左側奥にあります。作品に集中できるよう、内装や照明が暗めの設定となっており、主に日本画や工芸などを展示しています。
展示室2
展示室1の手前にある展示室2は、主に現代美術の展示を行っており、展示室1とは対照的で内装や照明が明るい設定です。
展示室3
展示室3は、展示室1・2を出て左側の廊下を進んだ先の左側。企画展を行っている一番大きな展示室です。
左から、リーフレット、伝記マンガ、こどものためのワークシート
受付では、子どもたちが作品とじっくりと向き合えるよう「こどものためのワークシート」が用意されています。学芸員さんの手によるもので、ビギナーの大人にもわかりやすい資料です。6月19日まで開催された企画展「生誕150年 山元春挙」では、春挙をマンガでご紹介する小冊子も配布されていました。
ソファのある部屋
展示室3の中間にある「ソファのある部屋」は、展示室内でありながら日本庭園を見渡すことができる空間です。ゆったりとしたソファに腰かけて、自然の美を鑑賞できます。
※企画展など、開催中の展覧会は公式サイトをご確認ください
展示室の中で見つけた作品の感想や絵を、マップ“4.どんな作品があるかな?”に書いてみてね。
屋外彫刻もおもしろい
館内からコールダーの庭を望む
屋外彫刻も見逃せません。エントランス・ロビーの内側から「コールダーの庭」を眺めると、オレンジ色の大きな作品「フラミンゴ」(アレクサンダー・コールダー 1973年)が見えます。大きなガラス窓に沿って色々な角度から眺めてみましょう。
コールダーの庭に沿ってぐるりと廊下を進むと展示室3の手前の廊下へ。廊下の反対側には「彫刻の庭」があります。扉を開けて彫刻の庭に出てみましょう。公園で見かけるような遊具型の作品などがあります。作品なので遊べませんが、どこが違うか近づいて観てね。その奥には、金属製の背の高い作品「ニードル・タワー」(ケネス・スネルソン 1989年)や、大きな箱のような作品「無題」(ドナルド・ジャッド 1984年)があります。
じっくり眺めて楽しんだら、感じたことを、絵や文字でマップ“5.「コールダーの庭」を見てみよう!”にかき込んでみましょう。
エントランス・ロビーで見つけたものは?
信楽焼きのタイルで囲まれたテーブルとハイチェア
エントランス・ロビーを見渡すと、いろんなデザインの椅子があります。お気に入りの椅子を見つけられるかな?
信楽焼の照明は、このほかにも館内で見られます
柱や壁の照明に注目!滋賀県の信楽焼でできたものがあります。いくつ見つけられるかな。
印象に残ったものを、マップ“3.椅子やライトを探そう!”に書いてみましょう。
何が聞こえるかな?
館内から外に出てみましょう。正面には大きな森が見えます。森やその向こうなど、美術館の外では、どんな音が聞こえるかな?鳥の声?風の音?友達の声?耳がキャッチしたものをマップ“1.耳をすませてみよう!”に書いてみて。
美術館で見つけたものは?
受付カウンター
館内に戻って、今日巡った美術館は、どんなところだったでしょう?「はて?」と思ったら、もう一度回ってみましょう。展示室も当日のチケットを持っていれば何度でも入れます。
感じたことや見つけたものを、マップ“2.美術館はどんなところかな?”へ書いたら、表面は完成です。完成したものを受付へ持っていくとかわいいシールをもらえます。マップと一緒に記念に持って帰ってね。
とことこマップの裏面をチェック!
マップ裏面の左上のイラスト“この「しるし」はなんだろう?”をよく見てください。館内で見たような?必ず目にしたアレです。これも信楽焼でできています。
裏面右上“どんな生き物が隠れているかな?”の中央に描かれたマークは、美術館のシンボルマークです。三角形を組み合わせてデザインされたマークは、水に飛び込む魚や空へ飛び立つ鳥の形をイメージしています。
日本庭園の池には大きな鯉がいっぱい(専用のエサは200円)
美術館がある「びわこ文化公園」は、43.2ヘクタール(東京ドーム約9個分)もあり、図書館、日本庭園や茶室など県の文化施設や、わんぱく原っぱ、里山の自然林を有するとても広い公園です。
わんぱく原っぱには様々な遊具があり、休日は大賑わい
公園で遊んだら、リビングルームのような美術館に戻ってひと休みして、マップの裏面下半分“公園を歩いてみよう!”の地図に、通った道や出会ったものをかきこめば、自分だけのマップが完成。来館の記念にもなりますよ。
ワークショップなど体験メニューも豊富
たいけんびじゅつかん
美術館に興味がわいたら、ワークショップ「アートにどぼん!」に参加して、アートなものづくり体験をしてみるのも楽しいですよ。
スケジュールは公式サイトをチェックしてみてね。
- 申込み:公式サイト又は往復はがきで(抽選)
※小学生以下は保護者同伴
自宅で作品作りを楽しみたい場合は、「わくわくワークス(こども美術館/おうちであそぼう)」のサイトをチェックしましょう。
わくわくワークスは、美術館のコレクションを使った紙工作が楽しめます。学芸員さんが作った型紙をダウンロードしてプリントアウト。切ったり、貼ったり、折りたたんだり、ファミリーでワイワイ遊べます。
家族で使えるキッズスペースや授乳室
ミルク用の給湯設備がある授乳室
美術館2階にある子ども連れ専用の「キッズスペース」は、広々と明るい空間で、授乳室も備わっています。
キッズスペース
飲食もOKなので、ちょっとした休憩にピッタリ。大人だけの利用はNGで、ファミリーでゆったりと過ごせます。
絵具やクレヨンで洋服が汚れたら、着替えもできる
キッズスペースの並びには、親子で使えるファミリートイレもあります。
館内で利用可能なベビーカーや車いすは1階受付でお声がけを。また、受付左側には返金式のコインロッカーがあります。
お弁当持ち込みOK!自由に使えるテーブルやイスも
森を眺めながらランチタイム
ロビー周辺の椅子やテーブルは、ランチやおやつに自由に使うことができます。公園で遊んでいて急な雨が降ってきた時も大活躍。
併設のカフェやミュージアムショップもチェック
1階入口入ってすぐ右側にある「カフェ&ショップ」は、自由に出入りができるので、気軽に利用できます。ショップには、美術館や滋賀県にゆかりのあるアイテムが約370点。一部をご紹介しましょう。
作品のポストカード(50円~)は来館記念にぴったり。
人気の「赤こんにゃく」(486円)は、味付けされているのでお家に帰ったらすぐに食べられます。
滋賀県の作家さんによる焼き物も素敵です。ここだけでしか手に入らないものもあるので、ピン!と来たら即買いです。
企画展をイメージした上生菓子は、企画展ごとに入れ替わります
ショップの中央カウンターでは、サンドウィッチやオリジナルドリンク、滋賀県で焙煎されたコーヒーなどの軽食を購入できます。滋賀県の老舗和菓子店のオリジナル上菓子も見逃せません。
アクセスは公共交通で
びわこ文化公園内にあるバス停「県立図書館・美術館前」
【電車を利用】
JR瀬田駅→帝産湖南交通バス(1番乗り場)から10分、バス停県立図書館・美術館前またはバス停文化ゾーン前(県道2号線沿い)下車、びわこ文化公園内を徒歩5分。※ベビーカー利用者は南方面に伸びる「すずかけの道」を進むとスムーズです
【車利用】
新名神高速草津田上ICから県道2号経由2km5分。
駐車場 あり/340台/びわこ文化公園の駐車場が3か所(西・東・北/無料)利用可。美術館までいずれも徒歩5分
みんなにやさしい「滋賀県立美術館」。遊びのついでに立ち寄ったり、アート鑑賞のついでに遊んでみたり、思い思いの楽しみ方を見つけましょう。
滋賀県立美術館
住所 | 滋賀県大津市瀬田南大萱町1740-1 |
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TEL | 077-543-2111 |
開館時間 | 9時30分~17時(入館は16時30分まで) |
休館日 | 月曜(祝日の場合は開館し、翌日休館)、年末年始 ※公式サイトを要確認 |
観覧料 | 常設展/一般540円、高校・大学生320円、中学生以下無料 企画展/企画展によって異なる(常設展料金含む) |
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『るるぶKids こどもの知的好奇心がすくすく育つ学びスポット関西』
子どもたちの知的好奇心を刺激してくれる“学びスポット”全83施設をピックアップ。図鑑などでもお馴染みの「恐竜」「動物」「昆虫」「宇宙」「乗り物」、そして日常の延長として親子のコミュニケーションを楽しめる「アート」「絵本・アニメ」「にほんの歴史」「学べる工場」を加えた9テーマに分けて紹介しています。監修者である脳医学者の瀧 靖之先生、そして各テーマの“達人”たちと選んだ“学びスポット”は、どこも子ども心をくすぐる工夫にあふれた施設ばかり。また巻頭には、瀧 靖之先生による「知的好奇心の伸ばし方」も収録しています。
子どもの成長にとって大事な知的好奇心を育てるスポットの数々。本書を参考に家族でおでかけしてみませんか。