47都道府県それぞれの代表的な「特産品」をクローズアップ。【知る】【つくる】【学ぶ】の3つの視点から、特産品と各都道府県の関係をひも解きます。各地の歴史や風土だけでなく、意外な理由で生まれた特産品は、知れば知るほどおもしろい!
熊本県で紹介するのは「すいか」。生産量が全国1位という熊本のすいかは、豊富な地下水に、たっぷりの太陽の光、ミネラルを多く含んだ土壌と、恵まれた環境下で栽培されています。甘くジューシーなすいかのヒミツに迫ります!
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【知る】冷蔵庫に入る!小玉すいかが生産のトレンド
熊本県におけるすいか栽培の歴史は古く、今から約500年前、戦国時代あたりから栽培されていたという説もあります。昔は大玉の品種が主流でしたが、最近は小玉すいかも多く栽培されています。大玉はすいか本来の香りがあり、しゃりしゃりとした食感で食べごたえがあります。冷蔵庫に丸ごと入れやすい小玉すいかは糖度が高く、果肉は少し柔らかく皮が薄いのが特徴です。
どうして熊本県のすいかはおいしいの?
画像:PIXTA
昔から「すいかの名産地」として名を馳せてきた熊本県。熊本のすいかは、太陽の強い光をたくさん浴びて育つため、甘みたっぷりで驚くほどジューシー。
では、なぜ熊本県ではおいしいすいかを育てやすいのでしょうか?主な理由を3つご紹介します。
- 盆地地形で昼夜の寒暖差が大きく、日照時間が長い。
- 阿蘇山の火山灰で形成された土壌は、水はけがよく、ミネラルが豊富。
- 阿蘇山をはじめ山々からおいしい地下水が豊富に湧き出している。
このように、熊本県にはすいかをおいしく育てるための条件が揃っているのです。
県内では、熊本市をはじめ合志市(こうしし)・玉名市(たまなし)などがすいかの産地です。なかでも熊本市は、70万人を超える市民の水道水を全て地下水でまかなえるほど、地下水に恵まれています。とりわけ、熊本市北部に位置する植木町(うえきまち)は、日中の気温が高く、夜間気温が低い盆地の地形。すいかの甘みや香りを引き出すのに適した環境が整っているのです。
熊本県のすいかの旬は春!?
夏のイメージが強いすいか。熊本県では、実は3〜6月がすいかの旬で、この時季にとれるすいかを「春すいか」といいます。例年ゴールデンウィークごろが出荷の最盛期となり、県内で多く出回るほか、全国へと出荷されていきます。植木町で作られる「植木すいか」は特に味のよい高級品として知られ、お取り寄せも可能です。
熊本県のすいかの多くはビニールハウスで栽培されます。九州南部の温暖な気候に加えて、ビニールハウスの中はさらに光と熱を吸収します。おいしいすいかをつくるためには、「高い気温」と「強い光」が必要です。暖かいビニールハウスの中で、太陽の光をたっぷりと浴びて、甘く育つのです。
また熊本県では、すいかはほぼ一年中出荷されているのも特徴です。ちなみに、10〜12月ごろに出荷されるすいかは、「秋すいか」と呼ばれています。
すいかはフルーツ?それとも野菜?
農林水産省が設ける区分では、すいかは果実的野菜としています。果実的野菜とは、野菜に分類されるものの中で、一般的には果物と認識されているもの。すいかのほかに、メロンやいちごも果実的野菜です。
では、果物と野菜はどう違うのでしょうか。樹木になる実が果物、一年生植物や多年生植物になる実が野菜といわれています。性質、栽培方法から分類すると、すいかは野菜です。
一方、市場やスーパーでは、すいかは果物として扱われています。食品成分表でも果実類に分類されています。
すいかは、生産者(作る人)からすれば栽培方法や特性から野菜に分類されますが、消費者(食べる人)にとっては果物として扱われます。立場によって、野菜とも果物ともいえるのです。
豊臣秀吉が考案!?すいか割りがはじまったきっかけ
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夏の定番の遊び「すいか割り」は意外と歴史が長く、豊臣秀吉が安土城を築いたとき、部下の士気を高めるために始めたという説があります。城の建設は夏の暑い日も行われており、部下の元気がなくなってしまったのを見かねた秀吉が、みんなを盛り上げるために考案したのだとか。
また、居合抜きのパフォーマンスから生まれたという話も。居合抜きとは、座った姿勢からすばやく刀を抜き敵を切る剣の技で、永禄4年(1561)ごろに始まったと伝わります。当時から野菜や果物を居合術で切るパフォーマンスがあり、それが目隠ししてすいかを切るという内容に進化して、すいか割りが誕生したともいわれます。
【つくる】すいかの栽培方法&おいしい食べ方
暑い日が続く夏は、夏バテや熱中症などで体調を崩しやすい季節でもあります。夏の味覚の代表格、すいかは水分も栄養も豊富です。おいしいすいかの見分け方やプランターでの栽培方法を伝授しますので、すいかを味わいましょう。みんなで楽しめるスイーツレシピもご紹介!
おいしいすいかの見分け方
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すいかは同じ品種なら大きい実がおいしいとされています。とれたてが一番おいしいので、なるべく新鮮なうちに食べましょう。皮にツヤがあるものが新鮮です。
すいかの一番甘い部分は、内側の中心部。皮に近くなるほど糖度が低くなります。カットするときは、中心部分から放射状に切ると甘さが均等になりますよ。
ほかにも、すいか選びのポイントがあるので紹介します。
すいか選びのポイントを紹介
- 皮の黒と緑の縞模様がくっきりしているもの、縞模様の境目にふれるとデコボコに感じるものが良品です。
- ずっしりと重く、つる付きの場合はつるが緑色のものが新鮮です。つるがしなびて枯れていると収穫から時間が経っています。
- つるの付け根周辺が少しへこんでいるものは完熟していて甘みが強く、食べ頃です。
- 叩いたときに「ボンボン」と音が響けばシャキッとしていて、「ボタボタ」と鈍い音がすれば熟れすぎ。高い音がすれば熟しきっていません。ただし、売り物を叩くのはマナー違反なのでやめましょう。
- カットすいかの場合は、果肉がきれいな赤色で種が黒く、果肉が締まっているものがよいでしょう。果肉の赤色と皮の白色の境目がはっきりしているものもおすすめです。
すいかをプランターで栽培してみよう
すいかをプランター栽培する場合は、3kg以下の小玉品種を選ぶとよいでしょう。果肉が赤い「紅しずく」や「紅こだま」、黄色い果肉の「ニューこだま」、そしてラグビー型の「カメハメハ」などが育てやすいです。
種まきは3月下旬に、苗植えの場合は4月上旬に行うと7〜8月ごろに収穫できます。初心者は苗からの栽培がおすすめです。
小玉の品種なら幅45cmほどのプランターを用いて、1株ずつ植えます。日当たりと水はけのいい場所に置きましょう。
すいかは基本的に乾燥した土を好むため、水のやりすぎに注意が必要です。種まきや苗植えの直後は根付かせるために水をしっかり与えますが、その後は土が乾燥したら水やりする程度で大丈夫。花が咲き始めたら、収穫するまで水をたくさんやりましょう。
大切なのが、確実に実ができるように行う人工受粉。子づるが伸びて、雌花(めばな)の2番花が咲く6月下旬ごろが目安です。雌花の先と雄花(おばな)のおしべを少し接触させ、近くになるようつるを少し整えます。朝の方が花粉量が多いため、作業は早朝から遅くても朝10時前までに終わらせましょう。
ホームパーティーにぴったり!すいか丸ごとフルーツポンチ
※イメージ 画像:PIXTA
小玉すいかを1個丸ごと使った、ゴージャスなメニュー。大人数で楽しめるので、パーティーにもぴったりです。キウイやバナナ、巨峰、パイナップルなど、好きな果物と炭酸水1本を用意しましょう。フルーツ缶やナタデココ、桃を入れると、さらに華やかに! 缶詰を使う場合は、シロップごと入れるとおいしくできあがります。甘さが足りないときは、ガムシロップなどで調整してください。
簡単にレシピを紹介
- すいかを安定して立たせるため、底の皮を薄く切ります。分厚く切り取ると炭酸水を注いだときに漏れてしまうので、赤い果肉部分が出ない程度にします。
- すいかの上部1/3あたりを一周、ギザギザに飾り切りします。刃先が細く、小さくて扱いやすいペティナイフを使うと便利です。
- すいかをふたと器に分けます。すいかを横にして、ゆっくり体重をかけるように押すと、中の果肉まできれいに2つに分けられます。
- すいかの果肉を、くり抜きスプーンで丸くくり抜きます。スプーンをグッと深く差しこみ、回すようにします。丸くくり抜いた後に残った果肉や、ふた部分の果肉は通常のスプーンできれいに取り除き、すいかの器を作ります。
※取り出した果肉が残った場合は、ジュースやシャーベットを作ってみましょう。種を取り、好みで砂糖やレモン汁を加えてミキサーにかけて冷やせばOKです。 - すいか以外の果物を、それぞれ食べやすい大きさに切ります。
- ④で作ったすいかの器に、くり抜いたすいかの果肉やほかの果物、フルーツ缶、ナタデココなどを入れ、食べる直前に炭酸水を注ぎ入れればできあがり。すいかのふたを乗せておいて、テーブルでふたを開けると盛り上がります。
【学ぶ】すいかについて学べるスポット
熊本県内で、すいかにまつわる情報をゲットしたいなら道の駅がおすすめ! さまざまな種類のすいかに出合える直売所があるほか、すいかを使った炭酸ドリンクも手に入ります。お休みの日に、ドライブがてら行ってみるのも楽しそう♪
道の駅 すいかの里 植木(熊本県/熊本市)
「道の駅 すいかの里 植木」は、熊本市の北部、植木町にある道の駅です。
直売所には、春、夏、秋とほぼ一年中植木産のすいかが並びます。大玉すいかなら「祭りばやし」、「羅皇(らおう)」、小玉すいかでは「ひとりじめ」、「ピノ・ガール」などの品種が有名です。また、すいかの果汁を使い、さわやかでスッキリとした後味の「スイカさいだぁ」(250円)は、おみやげにぴったりです。
<施設データ>
住所 | 熊本県熊本市北区植木町岩野160-1 |
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問合先 | 096-272-2333 |
営業時間 | 9時~18時30分 |
定休日 | 第3木曜、1月1日~3日 |
アクセス | 公共機関:熊本市電辛島町駅から徒歩7分、熊本桜町バスターミナルから産交バスで45分、バス停:平田機工から徒歩1分 車:九州自動車道植木ICから国道3号線経由3km5分 |
駐車場 | あり/123台/無料 |
URL |
【SDGs】熊本県のすいかを自由に食べたり守ったりするために
熊本県で出荷されるすいかは、環境にも配慮しながら生産が行われています。この先も、すいかを変わらず自由に食べたり守ったりするためにはどのようなSDGsを意識すればいいのか、親子で話し合ったり、考えてみるといいですね。