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移住インタビュー |海も山も、田舎も街も。地域おこし協力隊を活用して手に入れた「ほどよい暮らし」(兵庫県洲本市) 

移住インタビュー│藤崎さんご一家

今井夕華のアイコン今井夕華

これからの子育てを考えたとき「もう少し自然の多い場所で生活したいな」と思うことってありますよね。海と山、田舎と街。実際に移住を考え始めている人にとって、どんな場所を選ぶかは、大きな迷いどころだと思います。

今回紹介する藤崎さんは「生活をガラッと変えるほどの田舎」ではなく「ほどほどの田舎」を選んだ人。都会での生活水準をほとんど変えず、周りの風景が豊かになったといいます。海も山も近い、淡路島洲本市での暮らしについて伺いました。

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目次(index)

移住のきっかけは、慌ただしい毎日への違和感

ある平日の午後。兵庫県洲本市に住む藤崎さんと、ビデオ通話を繋ぎます。4年前に地元である大阪からやってきた藤崎さん。まずは移住した経緯から伺っていきます。

藤崎:ここに来る前は、大阪の大学で事務職員をしていました。情報の専門部署にいて、IT系の仕事だったのですが、長女が生まれたときに近くの保育園に入れなくて。車で30分くらいかけて送り迎えしていたんです。もともと職場が少し遠かったのもあり、毎日移動に往復4時間くらいかかっていました。

朝は6時頃に起きて、子どもと一緒に車で出発。タッパーに詰めたパンを食べさせながら保育園まで送り、その後出勤。帰ってからは、ご飯を食べて寝るだけ。そんな慌ただしい毎日が3年ほど続いたそう。

藤崎:毎日がルーティンみたいになってしまって。子育てというよりも、単純作業の繰り返しでした。そんなとき、妻と「思っていた子育てと違うよね」という話になり、もう少しゆっくりしたところで生活したいな、と考えるようになりました。

ほどほどの田舎暮らしを目指して

1年ほど移住先を探し、さまざまな場所を見た藤崎さんたちは、最終的に淡路島へと落ち着きます。決め手はなんだったのでしょうか。

藤崎:何ヵ所も移住先を見ていく中で、最初から最後まで候補に残っていたのが淡路島でした。夫婦二人の実家がある大阪からも比較的近く、以前からよく観光で訪れていて馴染みもあったんです。

移住インタビュー(兵庫県/洲本市)

藤崎:移住というと「すごく田舎に行って、生活をガラッと変えるパターン」と「ほどほどに田舎暮らしがしたいパターン」があると思うんです。僕たちは後者でした。淡路島は大阪よりは田舎ですが、イオンもユニクロもガストもある。大阪の生活水準とそこまで変わらずに、周りの風景が豊かになりました。

何かを我慢せずに、自然も街もどちらも「ほどほど」に楽しめる。そんな暮らしがちょうど良かったんですね。移住してから印象的だった、お子さまとの出来事についても教えてくれました。

藤崎:4歳になった長女と、買い物帰りに夜道を散歩したことがありました。そのとき娘がはじめて「星がきれい」といったんです。今まではビルが多い中で育って、夜空を見ても「星かなあ?飛行機かなあ?」という感じで。でもきっと、その日はじめて「星空」というものを認識したんですよね。

きっと娘さんも「星ってこんなにあるんだ」とびっくりしたでしょうね。

藤崎:僕たちが住んでいるところは街灯も少なくて、遠くに民家の光がポツポツ見える程度。車のヘッドライトを消すと真っ暗なんです。だからやっぱり星の数が違っていて。「田舎に来たんだな」と実感しましたし、なんだかずっと覚えている出来事です。

移住するにあたって、保育園を転校することになった娘さん。子育てのためとはいえ、大人の都合で子どもの環境を変えてしまうことに、葛藤されるママパパもいると思います。藤崎さんの場合はどうだったのでしょうか?

藤崎:大阪では都市型保育園に通っていたので、もともと次の年には転校しないといけないタイミングでした。でもあと数ヶ月というところで仲の良かった子たちと離れ離れになってしまったので、親としては少し申し訳ない気持ちがあって……。最後のお別れ会だけは、娘と一緒に淡路島からお邪魔させてもらいました。

お別れ会では、みんなで歌を歌ったりして、楽しい時間を過ごしたそう。娘さんは、環境の変化にも上手く対応していったといいます。

藤崎:一度、スーパーで前の保育園のお友達に会ったのですが、当時3歳くらいだったこともあり、覚えていないようでした。新しい園には、年度の変わり目に入ったので特に浮くこともなく、最初こそグズっていましたが、すぐに慣れてくれました。

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「やりたいこと」のビジョンを持って、地域おこし協力隊へ

移住インタビュー(兵庫県/洲本市)

淡路島に行くことを決めてから、転職活動をはじめた藤崎さん。たまたま地域おこし協力隊の募集があった洲本市に移住を決めます。

藤崎:将来独立することを目標にしながら、広報のお手伝いをするという仕事内容で。IT分野のスキルがそのまま活用でき、3年間の任期の中で、地域の知り合いもたくさん増えました。昨年独立して、今は定期的に子ども向けのプログラミング教室などを開催しています。

移住インタビュー(兵庫県/洲本市)

市町村ごとに募集内容がさまざまな地域おこし協力隊。興味本位で応募せず「自分がやりたいこと」をきちんと決めて、そのビジョンに合う地域に行くのがおすすめだそう。

藤崎:僕は「パソコンで食っていきたい」という思いがまずあって、協力隊をやりながら自分の名前を広めていければいいなと思っていました。そんなふうに「やりたいこと」が明確な人には、これ以上ない制度だと思います。反対に「地域おこし協力隊になりたいから」という理由で行ってしまうと、町の便利なボランティアのようになってしまう場合も。頼りきりにせず、制度をうまく活用してもらいたいですね。

これ、誰が作った野菜? 豊かな自然の中で食育をする

移住インタビュー(兵庫県/洲本市)

玉ねぎをはじめ、淡路島は食が豊かなことでも有名です。四季折々のものを食べられるのは、移住して良かったと思うことの一つだと話します。

藤崎:夏には家庭菜園でトマトやオクラ、スイカなどを作りました。自分が洗濯を干している間に、子どもに収穫してもらうことも。玉ねぎは、地域でたくさん作っている人がいるので、近所の人に「もらえるから作るな」と言われるくらい、本当にたくさんいただきます(笑)。レンジでチンするだけで、甘みが増してとっても美味しいんですよ。ポン酢をかけて食べるのが、シンプルながら一番です。

さらには生の栗をもらって茹でて食べたり。たけのこを、なんと1年分掘って冷凍したこともあるとか!ご近所さんとの交流を深めながら、旬の味を楽しんでいるんですね。

藤崎:子どもたちも「これは誰がつくったの?」と聞くようになりました。これはうちで採れたトマト。この玉ねぎは○○おじいちゃんの。この野菜は○○さん、お米は○○さん。そんなふうに食育ができるのって、すごく良いことだと思います。

実は食料自給率が100%を超えていて、採れないものがない淡路島。野菜やお米だけでなく、魚やお肉についても身近だといいます。

藤崎:スーパーの水産コーナーに行くと、淡路島の漁港でその日の15時に水揚げされたものが、普通に並べられているんです。子どもたちと釣りに行って、アジやイワシなど釣った魚を食べることもあります。お肉については、お米を買っている農家さんが牛を飼育していて。子どもと一緒に藁をあげたり、生まれた子牛を見に行ったこともありますよ。月に1度出荷されるのですが、それを見たときは「何をしてるの?」「お肉になるんだよ」という会話をしました。

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自分たちの手で生活を形づくる

移住インタビュー(兵庫県/洲本市)

続いて、住まいについてのお話も伺ってみます。

藤崎:今住んでいる家は、協力隊だったときに紹介していただいて購入しました。DIYで天井を抜いたり壁を塗ったり。床はフローリングに変えました。電気は屋根のソーラーに繋がっていて、仕事場として使っている離れの電気は、ほぼ太陽光で賄っています。移住してから電気工事士の免許を取って自分でやりました。部屋数が多くて、いつ終わるんだろうという感じもありますが(笑)ゆっくりやっていこうと思っています。

使う脳みそがまるで異なりそうな、IT系のお仕事と、DIYや家庭菜園。でも「手を動かして何かをつくる」という部分が共通しているから、どれも楽しんで取り組んでいるそうです。子どもたちにとっても「自分の家の壁を塗る」といった体験は、きっと良い思い出になるでしょうね。

移住先を決めるときにはマイナス面もチェックして

移住インタビュー│藤崎さんご一家

最後に、地方への移住を考えている方に向けて、何かアドバイスがあればお願いします。

藤崎:できる限り滞在してみて「生活」としての視点を持ってその地域を見て回ってください。近くのスーパーに行ってみたり、学校まで歩いてみたり。保育園、小学校、中学校が通いやすい場所にあるということは、子育て世代にとって重要なポイントの一つだと思います。あとは、先輩移住者と交流して、マイナス面を聞くというのもおすすめです。

マイナス面というと、具体的にはどういったことがあるのでしょうか?

藤崎:たとえば銀行周りのことですね。淡路島には大きい銀行が1種類しかないんです。大阪にいたときは別の銀行を使っていたので、通帳など全部作り直さないといけなかったりして。移住パンフレットには載っていないような細かいことですが、意外と大変でした。

移住先を考えるときには、なるべくリアルな情報を集めて、自分が生活している姿を想像してみる。地域おこし協力隊になるなら、やりたいことのビジョンを持つ。

藤崎さんのお話を伺っていると、かなり計画的でありながら、理想の暮らしを自分たちの手で丁寧に形づくっている姿が、とても印象的でした。この記事が、自分たちにとっての「ほどよい場所」を探す手がかりになれば嬉しいです。

銀座三越では洲本市フェアを実施中

銀座三越8階「Japan Duty Free GINZA」では、2021年10月27日から11月30日まで「淡路島・洲本市フェア」を開催中。洲本市のふるさと納税返礼品やアンテナショップ「日本橋宝町すもと館」で人気の特産品が購入できるほか、玉ねぎ小屋の展示や原木しいたけ狩り(土日午後/3,000円以上購入の方限定)など気になるイベントも。

洲本市の魅力に精通した移住相談員が、様々な相談や質問に対応してくれます。予約は不要ですので、気軽に立ち寄ってみてください。

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