弁護士は法律の専門家。社会の中で発生した問題の解決や、人々の権利・利益を守る、不正を見張るなど、安心して暮らせる社会をつくるための仕事をしています。
この記事は、『るるぶKids 何になりたい?未来をみつけるおしごと大図鑑』 からの抜粋です。人気&イマドキの職業や憧れの職業を約160種類掲載している、わかりやすく読んで楽しいオススメの一冊です。
取材したのは…
札幌シティ法律事務所 弁護士 小林晃さん
弁護士のお仕事内容とは?
借金、離婚、相続など日常生活でおこる「民事」の争いの代理人として解決に導き、罪を犯した被告人のために「刑事裁判」で弁護もします。
弁護士が働く場所とは?
弁護士1人の事務所から数百人の弁護士がいる法律事務所までさまざまです。企業に法務担当の会社員として就職して働く企業内弁護士もいます。
弁護士がお仕事で欠かせないアイテムや服装とは?
六法全書
基本となる憲法、民法など6つの法律の条文と関連する判例が載っています。
弁護士バッジ
身分証の代わり。ひまわりは「自由と正義」を、中央にある天秤は「公正と平等」を表しています。
パソコン
メールのやり取りや、裁判所のための書類(訴状)の作成や調べものに使います。
電話
電話で依頼人からの相談や、相手方との交渉をしたりすることも多いです。
大きなバッグ
裁判所に提出する書類は原則A4サイズ。ノートパソコンを持ち歩くこともあるので荷物は多めです。
<おしごとデータ>
- 働く時間:8:30~17:30
- 資格:国家資格が必要
- 給料:年収約879万円
(企業規模10人以上、勤続約7.9年) - アクティブ度:★★☆
弁護士の1日に密着!
8:30 出勤
当日のスケジュールを確認します。パソコンで依頼人や交渉相手からのメールもチェックします。
9:30 法律相談
事務所で相談者の話を聞き、裁判か話し合い(示談)かを決め、解決するための、よりよい方法をアドバイスします。
初めての相談者には事務所に来てもらって、くわしい話をしてもらうそうです。
11:00 書類作成
過去の裁判の判例や法律書などを参考にして、裁判所に出す書類をつくります。
12:30 昼食
13:30 相手方に電話で交渉
人から相談されたりアドバイスをしたりするので、聞く力と伝える力が重要だそうです。
14:30 裁判所に移動・出廷
裁判所に出廷。依頼人の権利と利益を守るために主張したり、証拠などを提出したりします。
裁判所では依頼人のために全力をつくします。そのためには最新の法律や判例の確認も欠かせないそうです。
16:30 事務所へもどり、書類作成
17:30 勤務終了
弁護士のお仕事に関するよくある質問!
どうして弁護士になったの?がんばったことは?うれしいのはどんなとき?など聞いてみました。
弁護士を目指したきっかけは?
大学生のとき法律の知識で人の役に立つ仕事をしたいと思ったからです。
弁護士になるためにやったことは?
とにかく勉強!5年間毎日8時間以上、法律の勉強をがんばりました。
弁護士になってうれしかったことは?
依頼人から「ありがとう」ってお礼をいってもらえたときです。
★取材協力 » 札幌シティ法律事務所
弁護士になるには?
弁護士になるために合格を目指すのが司法試験。司法試験は受ける条件があるので、一般的には大学に進学します。大学でも法学部など法律を学んでいるかそうでないかが重要になります。
ちなみに司法試験の受験資格に年齢制限はありません。
法科大学院に入学する
大学を卒業したら法科大学院に入学します。大学で法学を勉強した人は2年、勉強していない人は3年、法律や実務などについて学びます。
法科大学院を修了すると司法試験の受験資格を得ることができます。なお、大学や法科大学院に行かない場合は、予備試験に合格すれば司法試験を受けることができます。
司法試験に合格する
司法試験は、法律で争いごとを解決するために必要な知識が身についているかを確認するための試験です。短答式(マークシート式など)筆記試験と、論文式筆記試験があり、法科大学院修了後、または予備試験合格後5年以内に5回まで受験することができます。合格したら司法修習を受けます。
司法修習を受ける
司法研修所、法律事務所、裁判所、検察庁などで1年間の研修(司法修習)を受けます。実際の現場で活躍する弁護士や検察官、裁判官などから指導を受け、さらに勉強を重ねます。
研修が終わると、「二回試験」とよばれる最終試験があり、これに合格すると弁護士になることができます。
弁護士に必要なスキルは?どんな人が向いている?
弁護士の仕事のひとつに、依頼人の相談内容を聞いて法律に沿って手続きするというものがあります。依頼人が伝えたいことを聞き取る「コミュニケーション能力が高い」人が向いていると言えるでしょう。
また、依頼人がどんな人か見極めるために「洞察力に優れている」ことも必要なスキル。裁判には勝ち負けもありますから少しのことではへこまない「ポジティブな人」がいいですね。
こんなにあるよ!裁判所のお仕事
弁護士は裁判所で行われる刑事裁判や民事裁判に出廷し、依頼人に代わって主張を述べたり証拠を提出したりします。
判決が出るまでには、何度も裁判が行われます。裁判には弁護士以外にも法律に関わるさまざまな職業の人が携わっています。
裁判長
●裁判の進行役
3人以上の裁判官が出廷しているときに長となる裁判官で、訴訟が効率よく進むように裁判の進行や、判決の宣告を行います。法廷内の規則を守れない人には退廷命令も下せます。
裁判官(ホーム業務)
●法律と良心に則り判決を下す
裁判長をはさみ左右に座る裁判官は、裁判長とともに、検察官や弁護人の言い分を聴いたり、証拠を調べたりして被告人が罪を起こしたか判断します。罪を犯していたときにはどんな刑罰を与えるかも判断します。
★ちょこっとメモ
裁判官の法服は黒。黒はどんな色にも染まらず、公平公正に裁判を行うという意味です。
検察官
●裁判の始まりは起訴から
警察と協力して犯罪の捜査を行い、犯人として起訴(裁判にかけること)ができるかを証拠に基づいて判断します。裁判では被告人の罪と証拠を提示します。
★ちょこっとメモ
日本で罪を犯した人を裁判所に起訴できるのは検察官だけです。
弁護人(弁護士)
●被告人を弁護する
依頼人である被告人の言い分を聞いて弁護をします。法廷内では、証拠を提出したり、証人尋問などによって依頼人が無罪や、刑罰が軽くなるよう最善の努力をします。
裁判書記官
●裁判所と裁判関係者をつなぐ
法廷での証言を記録する調書の作成や法令、判例の調査を補助します。裁判がスムーズに進行できるように弁護士や検察官との打ち合わせを行います。
刑務官
●出廷の際の護送を担当
刑務所や拘置所で収容者の生活を監視し、更生して社会復帰ができるように導きます。収容者(被告人)の出廷時には付き添って入廷し両脇に座ります。
記者
●裁判の様子や結果を報道
大きな事件や注目を集めた事件の裁判は、新聞記者などマスコミの人たちも、裁判の様子を報道するために最前列の席で傍聴します。
ほかにも!人と関わるお仕事
『るるぶKids 何になりたい?未来をみつけるおしごと大図鑑』発売中!
2022年2月発売の『るるぶKids 何になりたい? 未来をみつける おしごと大図鑑』は、定番や“イマドキ”の人気職業をイラストでわかりやすく紹介する、子どもたちの夢を応援する一冊です。
「将来の夢はなに?」
そう聞かれる機会が、幼稚園や小学校でも増えています。ですが、将来どんな仕事をしたいかというのは、未就学児~小学生には見つけるのが難しかったり、「これになりたい!」と思っても、実際にどんな職業なのかわからなかったり…。そもそも「こんな職業があったんだ! 知らなかった! 」ということもよくありますよね。
本書では、「好きを仕事に」「ものづくりの仕事」「人に関わる仕事」「未来の仕事」という4つのテーマで、約160種類のお仕事を紹介しています。取り上げているのは、スポーツ選手、アナウンサー、獣医師、モデル、パティシエといった定番や、ユーチューバー、ゲームクリエイター、eスポーツ選手といった最新の職業など。現在活躍中のプロたちに取材しています。
わかりやすくて読んで楽しい一冊を、ぜひ親子で一緒にご覧ください。