知的好奇心がすくすく育つ学びスポット!
滋賀県南西部の草津市にある滋賀県立琵琶湖博物館は、2020年10月に展示を一新し、グランドオープンした大規模博物館。全国的にも珍しい淡水専門の水族展示や、世界初となる半身半骨ゾウ標本など、ユニークな展示方法も話題でみどころいっぱいです。ARなどを利用したタブレット展示や体験型の展示など、子どもたちが興味をそそる展示が多いのもポイント。
今回は脳科学者の瀧 靖之先生と子どもたちが館内をご紹介!親子の会話を楽しむ瀧先生の「問いかけポイント」も参考にしてみてくださいね。
子どもの知的好奇心は身近な“学びスポット”で育む!
子どもの脳の発達の原動力となり、将来の可能性を広げてくれるのが知的好奇心。その知的好奇心を育むスポットは関西エリアにたくさんあります。脳医学者の瀧 靖之(たき やすゆき)先生、そして宇宙・動物・昆虫・アートなどの各テーマの“達人”たちと選んだ関西エリアにある “学びスポット”を紹介します。どこも、「知るのが楽しい!面白い!」と思わせてくれる、工夫にあふれた施設ばかり。コロナ禍が続くいまだからこそ輝く身近な“学びスポット”へ出かけてみませんか。
監修:瀧 靖之(たき やすゆき)先生
東北大学加齢医学研究所教授
医師。医学博士。東北大学加齢医学研究所および東北大学東北メディカル・メガバンク機構で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究に従事。読影や解析をした脳MRIはこれまで16万人以上にのぼる。
知的好奇心で培われる、8つの“育つ力“
子どもの知的好奇心を刺激することで培われる力を、瀧 靖之先生が8つ選定。「洞察力」「思考力」「想像力」「発想力」「思いやり」など、施設ごとに“育つ力”を付記しました。
» 脳医学者の瀧 靖之先生に聞く!「知的好奇心」で育つ8つの力
»「国立科学博物館」は知的好奇心をくすぐる展示や学びの仕掛けが満載!
滋賀県立琵琶湖博物館で育つ子どもの力
知的好奇心が育つと、子どものどんな力が伸びるのかをチェック! 滋賀県立琵琶湖博物館では、とくにどんなところが子どもの好奇心をくすぐるのか見てみましょう。
■ライターコメント
半身半骨のゾウの展示から淡水生物、琵琶湖の歴史などバラエティに富んだ展示が魅力の大型博物館では、子どもたちの好奇心をかきたてられるポイントがいっぱいです。例えば半身半骨のゾウの展示を見ながら、このゾウがいたころの暮らしはどんな感じだったのかな。などと想像力を働かせながらさまざまな声掛けをしてみましょう。
滋賀県立琵琶湖博物館ってこんなところ!
おすすめの遊び方&過ごし方
館内は大きくA・B・C展示室と水族展示室の4つの展示室があります。そのほかにも、ディスカバリールームやおとなのディスカバリー、屋外展示もあり見どころ満載です。大型の博物館なので、1日かけてゆっくりと鑑賞するのがおすすめ。ルートは特に決まっていないので、自由に見て回れます。ショップやレストランもあるのでチェックも忘れずに。企画展も随時開催しているので、公式サイトを確認してから出かけるのがベター。
おすすめのアクセス方法は?
車の場合は、名神高速道路栗東ICから県道559号経由で約25kmです。琵琶湖の湖畔に位置しているので、天気のいい日は、琵琶湖ドライブを楽しんでみるのも◎。420台収容できる駐車場(550円)から入口までは徒歩5分ほどあるのでベビーカーをうまく利用しましょう。
公共交通機関の場合は、JR琵琶湖線または草津線草津駅の西口2番バス乗り場から近江鉄道バス琵琶湖博物館行きで25分、琵琶湖博物館下車徒歩すぐです。平日は1時間に約1本、土・日曜、祝日は1時間に1~2本運行しています。
所要:4時間
おすすめの年齢:1歳~
住所 | 滋賀県草津市下物町1091 |
---|---|
電話 | 077-568-4811 |
営業時間 | 9時30分~17時、最終入館は閉館1時間前 |
定休日 | 月曜(祝日の場合は開館)、ほか臨時休館あり(詳細は公式サイト参照) |
料金 | 800円。大・高校生450円、中学生以下無料(詳細は公式サイト参照) |
アクセス | 名神高速道路栗東ICから県道559号経由で約25km |
駐車場 | 有料420台(1回550円※博物館利用で無料サービスあり) |
<施設データ>
- 子ども用トイレ:〇
- おむつ替え:〇
- 授乳室:〇
- ベビーカー利用:〇
- ベビーカー貸出:△(要問合せ)
- コインロッカー:△(要問合せ)
- 館内飲食店:〇
- 館内売店:〇
- 持ち込み:△(屋外展示は可)
<主なイベント・体験プログラム>
- ディスカバリールーム:火~土曜/時間入替制
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滋賀県立琵琶湖博物館フロアマップ
大型博物館なので、事前に公式サイトなどで行きたい場所をチェックしておきましょう。
「A展示室」の半身半骨のゾウの展示は存在感抜群!
実は琵琶湖は大きさだけでなく、日本一古い湖でもあります。2階の「A展示室」では、その琵琶湖の歴史や自然環境の変化、生きものの化石、地層などを再現しています。なかでも注目は、ツダンスキーゾウ半身半骨展示とアケボノゾウの骨格標本。骨格と肉付きの両方を見比べられる、高さ4mのツダンスキーゾウの標本は世界初の展示方法です。
<問いかけポイント>
博物館の展示の良さは、じっくり観察ができること。子どもにわかりやすい言葉を使いながら、特徴や見どころに目線を誘導してあげるといいでしょう。
また、質問を投げかけると子どもなりの答えがかえってきます。「わからない」と言われてもOK。正解よりも一緒に観察することを楽しんで。
琵琶湖の周りの古琵琶湖層群と呼ばれる地層から発見された化石を、子どもたちにも分かりやすくタッチパネルで紹介。クイズ形式になっているので、楽しみながら学べます。
「B展示室」の最新型のAR展示に子どもたちは夢中♪
2階「B展示室」は、縄文時代から近年までの森・水辺・湖・里などの自然の移り変わりをジオラマや絵図、ARなどを使って展示しています。写真の出発!丸子船(まるこぶね)ARコーナーでは、専用のタブレットをかざすと、琵琶湖の重要な交通・輸送手段として利用されていた丸子船と、江戸時代の琵琶湖の風景が映し出されます。
<問いかけポイント>
もしもその場で答えられない高度な質問をされた場合は「あとで一緒に調べてみよう」がベスト。大切なのは「一緒に向き合う」こと。帰宅後に図鑑で調べたり振り返ったりすることで、知的好奇心はよりアップします!
縄文人の暮らしを学びながら当時の体験ができる展示は、フォトスポットとしても人気があります。斧を持って木を切り倒したり、弓矢でシカを狙ったポーズをしたりと、縄文人になりきってダイナミックに写真撮影をしてみましょう。
「C展示室」で滋賀県の生きものをチェックしよう
2階「C展示室」は、琵琶湖の水中から陸上に育つ高さ4mのヨシをはじめ、琵琶湖の自然と生きもののつながりを紹介。琵琶湖にのみ生息するビワマスや琵琶湖の固有種のゲンゴウロウブナなど、滋賀県に生息する多様な生きものの標本は見ごたえ抜群です。魚のほかにも鳥や昆虫、植物などその種類の多さに圧倒されます。
昭和中期の農家を移築し再現した建物もあり、当時の暮らしを体感できます。テレビや洗濯機、冷蔵庫などの昭和家電やおもちゃなどの展示もあり、パパやママも懐かしくて思わずテンションが上がります。日常生活もどのように変化していったか、子どもたちと一緒に話してみましょう。
床一面が琵琶湖を中心としたマップになったエリアにも注目です。「この博物館はどこにあるかな」「自分たちのお家はどこかな」などと子どもに声掛けをしてみましょう。その周りの壁には琵琶湖の豆知識も記載されており、今まで知らなかった新たな発見があるかもしれません。
<問いかけポイント>
目にしたものをそのまま言葉にするだけでも、子どもは見入ります。大きさや数字、色などは、小さな子でもわかりやすいですね!
国内最大級の淡水生物が揃う「水族展示室」
※2023年5月現在、水族展示室は一部閉鎖しています。事前に公式サイトをご確認のうえご来館ください。
展示面積約2000㎡の1階「水族展示室」は、国内最大級を誇る淡水生物が展示されているエリアです。世界で唯一淡水に住む、バイカルアザラシを関西初展示。クリっとした目とぷっくりボディのキュートな姿に思わずキュン♪としてしまいます。琵琶湖の水底にいるかのようなトンネル水槽には、琵琶湖でしか見られないビワマスやイワトコナマズもいるので探してみましょう。
実は、琵琶湖の生きものの83%は、顕微鏡を使わないと見ることができない小さな生きもの。滋賀県にある成安造形大学とコラボしたミジンコの「ノロ」の巨大フィギュアは大迫力です。普段はなかなかじっくり見ることができない微生物をじっくりと観察してみましょう。
<問いかけポイント>
子どもの自由な気づきに「どうしてそうなのかな?」と考える質問をすると、前頭葉などが刺激され、更に発想力や思考力が広がります!
滋賀県立琵琶湖博物館ならではの体験にトライ!
滋賀県立琵琶湖博物館の1階ディスカバリールームは、子どもたちの五感を刺激する展示や仕掛けが盛りだくさん。写真のディスカバリーボックスは、土器や花粉などのパズルや絵合わせ、木の重さ比べなど小さな子どもでも気軽に挑戦できるアイテムが揃っています。化石を虫眼鏡でのぞいて細部まで観察できる体験は、博士気分が味わえます。
<問いかけポイント>
問いかけは、例えば化石だからといって科学や生物にまつわる必要はありません。関連するものを大人が幅広く捉えると、会話がより広がります!
大きなザリガニの中に入って、ザリガニになりきってみましょう。ミミズやバッタなどのエサをハサミでうまくつかめるかな。
<体験データ>
- 【場所】1階ディスカバリールーム
- 【開催日】火~土曜
- 【時間】10時~16時30分(12~13時は閉室)※時間入れ替え制、ディスカバリールーム前にあるディスカバリー券が必要
- 【料金】各50名
- 【予約受付】予約不要。随時受付、先着順
ほかにも知的好奇心をくすぐる貴重な体験の数々!
●ミジンコ「ノロ」を探してみよう
日本最大のミジンコ「ノロ」は、最大20mmにまでに成長し、肉眼で見ることができます。こちらでは、夏季限定でノロの展示をしているので、目を凝らしてじっくりと探してみましょう。さあ、誰が一番早く見つけられるかな!?
<体験データ>
- 【場所】1階水族展示室 マイクロアクアリウム
- 【開催日】毎日
- 【時間】施設に準ずる
- 【料金】無料
- 【予約受付】予約不要
子連れにおすすめ!館内の立ち寄りスポット
滋賀県立琵琶湖博物館には子連れならぜひ立ち寄りたいスポットがあります。ぜひ行ってみてくださいね。
●レストランにほのうみ
ライスが琵琶湖の形をしたびわ湖カレー1120円や、琵琶湖の固有種ビワマスを使用した天丼など、琵琶湖にちなんだものや、地元野菜や近江米、近江牛など地産のこだわり食材を使用したメニューが揃っています。大きなガラス壁面からは琵琶湖を望むことができ、絶景を楽しみながら滋賀県こだわりの味が楽しめます。
- 【場所】1階アトリウム周辺
- 【電話番号】077-568-4819
- 【時間】11時~15時30分(土・日曜、祝日は~16時30分)
- 【定休日】施設に準ずる
●ミュージアム ショップ おいでや
展示室と関連するアイテムを中心に、雑貨やお菓子、知育グッズなどが豊富にラインナップ。ビワコオオナマズのぬいぐるみ(小)1210円をはじめ、かわいいぬいぐるみは子どもたちから大人気です。学芸員と一緒に考えて作り上げたこだわりのオリジナル商品や、琵琶湖に関する資料など、ここでしか手に入らないアイテムも要チェック!滋賀県みやげも揃っているのでおみやげにもどうぞ。
- 【場所】1階アトリウム周辺
- 【電話番号】077-568-4846
- 【時間】9時30分~17時
- 【定休日】施設に準ずる
●おとなのディスカバリー
昆虫や鳥類、動物、植物、鉱物など莫大な資料が壁や棚に並ぶ、大人も楽しめる展示室です。チェストの引き出しにも標本などが隠れているので、遠慮せず引き出しを開けたり、顕微鏡で調べてみたりしましょう。マニアックな標本なども揃っており、大人のロマンあふれる空間に童心に帰って楽しめます。実際に、研究している学芸員さんに疑問を聞ける質問コーナーもあるので、子どもの“ハテナ”に答えるヒントを見つけてみてください。
- 【場所】1階
- 【時間】施設に準ずる
- 【定休日】施設に準ずる
●樹冠トレイル
おとなのディスカバリー近くの扉を抜けると樹冠トレイルへとつながります。屋外展示の森を巡る全長150mの遊歩道で、手すりには成安造形大学の学生が手掛けたオブジェも飾られています。展望デッキからは琵琶湖が一望でき、武奈ヶ岳(ぶながたけ)などの比良山地が見られます。天気がいい日は、ぜひ屋外も散策してみましょう。
- 【場所】屋外
- 【時間】施設に準ずる
- 【定休日】施設に準ずる
小さい子ども連れファミリーに嬉しい、施設や設備
館内にはベビーベッドが備わったトイレが6カ所あるので、いざという時も安心です。どのトイレもきれいで広々としているので、ベビーカーでも便利。1階エスカレーターの向かいには、ベッドやイス、給湯設備が完備された授乳室もあります。館内はエレベーターやスロープでの移動ができるので、無料貸し出しのベビーカーもうまく活用しましょう。
琵琶湖は日本一の大きさを誇るということを知っていても、世界有数の古代湖であるということや、その中で生息する生きもの、歴史など、まだまだ知らないこともいっぱいです。子どもでも分かりやすいさまざまな方法で展示しているので、楽しく学ぶことができます。大変大きな博物館で、企画展やイベントなども開催しているので、事前に公式サイトなどを確認しておきましょう。
●新型コロナウイルス感染症対策により、記事内容・営業時間・定休日・サービス内容(酒類の提供)等が変更になる場合があります。事前に店舗・施設等へご確認されることをおすすめします。
●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
●旅行中は「新しい旅のエチケット」実施のご協力をお願いします。
『るるぶKids こどもの知的好奇心がすくすく育つ学びスポット 関西』
子どもたちの知的好奇心を刺激してくれる“学びスポット”全83施設をピックアップ。図鑑などでもお馴染みの「恐竜」「動物」「昆虫」「宇宙」「乗り物」、日常の延長として親子のコミュニケーションを楽しめる「アート」「絵本・アニメ」「にほんの歴史」「学べる工場」を加えた9テーマに分けて紹介しています。
監修者である脳医学者の瀧 靖之先生、そして各テーマの“達人”たちと選んだ“学びスポット”は、どこも子ども心をくすぐる工夫にあふれた施設ばかり。また巻頭には、瀧 靖之先生による「知的好奇心の伸ばし方」も収録していますよ。
子どもの成長にとって大事な知的好奇心を育てるスポットの数々。本書を参考に家族でおでかけしてみませんか。