知的好奇心がすくすく育つ学びスポット!
「大阪市立科学館」は、体験しながら宇宙や科学について楽しく学べる「宇宙とエネルギー」をテーマにしたミュージアムです。地下1階にはプラネタリウムがあり、直径26.5mという世界最大級のドームスクリーンに美しい星空が映し出されます。4フロア・約3000㎡もの広い展示場は、星や宇宙に関するさまざまな展示や、親子で遊びながら学べる体験型装置の展示なども多くあります。
2022年2月には、プラネタリウムや一部館内施設もリニューアルして再オープン。宇宙や星、科学に興味がある子どもにもおすすめの、新しくなった「大阪市立科学館」を紹介します。
子どもの知的好奇心は身近な“学びスポット”で育む!
子どもの脳の発達の原動力となり、将来の可能性を広げてくれるのが知的好奇心。その知的好奇心を育むスポットは関西エリアにたくさんあります。脳医学者の瀧 靖之(たき やすゆき)先生、そして宇宙・動物・昆虫・アートなどの各テーマの“達人”たちと選んだ関西エリアにある “学びスポット”を紹介します。どこも、「知るのが楽しい!面白い!」と思わせてくれる、工夫にあふれた施設ばかり。コロナ禍が続くいまだからこそ輝く身近な“学びスポット”へ出かけてみませんか。
監修:瀧 靖之(たき やすゆき)先生
東北大学加齢医学研究所教授
医師。医学博士。東北大学加齢医学研究所および東北大学東北メディカル・メガバンク機構で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究に従事。読影や解析をした脳MRIはこれまで16万人以上にのぼる。
知的好奇心で培われる、8つの“育つ力“
子どもの知的好奇心を刺激することで培われる力を、瀧 靖之先生が8つ選定。「洞察力」「思考力」「想像力」「発想力」「思いやり」など、施設ごとに“育つ力”を付記しました。
» 脳医学者の瀧 靖之先生に聞く!「知的好奇心」で育つ8つの力
»「国立科学博物館」は知的好奇心をくすぐる展示や学びの仕掛けが満載!
大阪市立科学館で育つ子どもの力
知的好奇心が育つと、子どものどんな力が伸びるのかをチェック!大阪市立科学館では、とくにどんなところが子どもの好奇心をくすぐるのか見ていきましょう。
黒田有彩さん
くろだありさ●宇宙の魅力を発信しているタレント。宇宙飛行士の試験に必要となる専門分野での“実務経験”を「タレントとして宇宙の魅力を発信すること」と定め、JAXA宇宙飛行士試験の受験を目指している。
■黒田有彩さんコメント
惑星体重計に乗って、それぞれの星で体重がどうなるか体験してみよう!ミクロの世界の展示もたくさんあって、親子で学べます。
「大阪市立科学館」って、どんなところ?
展示場には約200点の実験装置や資料がそろいます
「大阪市立科学館」は、大阪市の市制100周年記念事業のひとつとして計画され、1989年に大阪・中之島に開館した「宇宙とエネルギー」がテーマのミュージアムです。2021年8月23日からプラネタリウムを含めた施設リニューアルのため休館していましたが、2022年2月2日にリニューアルオープン。館内には“見て”“ふれて”“学べる”体験ができる展示場と、学芸員の生解説投影による世界最高クラスのプラネタリウムがあり、ますます人気の施設となっています。
アクセスは公共交通機関で
専用駐車場がないので「大阪市立科学館」に行くには公共交通機関の利用がおすすめです。車で行く場合は近隣のコインパーキングを利用しましょう。
- 電車で
◎大阪メトロ肥後橋駅3号出口から西へ徒歩7分(約500m)
◎京阪渡辺橋駅2号出口から南西へ徒歩5分(約400m) - バスで
◎大阪シティバス53系統 田蓑橋バス停下車南西へ徒歩3分(約300m)
観覧料金や所要時間は?館内はどう回る?
入館時には体温測定と手の消毒をします
1階右側には総合案内カウンターがあります
入館してすぐ右側には総合案内カウンターとカフェ&レストランがあり、カウンター上の案内モニターには、本日のプラネタリウム投影などのスケジュール表示があります。チケット売り場は、案内カウンターの左側にある階段を下りた地下1階です。
展示場とプラネタリウムは別々のチケットになっていてセット券はありません。目的に応じて購入しましょう。
- 料金
展示場観覧(1日有効):400円、高校・大学生300円、中学生以下無料
プラネタリウム観覧(入替制・先着順):1回につき600円、高校・大学生450円、3歳以上中学生以下300円※各観覧チケットは来館当日9時までWeb販売サイトでも購入できます。展示場のチケットを事前に購入した場合も、入館は当日先着順です(入場制限がある場合もあります)。プラネタリウムは日時指定で席数限定ですが、Web販売分とは別に当日窓口販売分もあるので、Web販売分が売り切れの場合でも、当日窓口で問い合わせてみましょう。
プラネタリウムの入口はチケット売り場の反対側です。プラネタリウムにべビーカーは持ち込めないので、預ける場合はインフォメーションスタッフに声をかけ、置き場を案内してもらいます。
展示場へはチケット売り場左側にあるエレベーターでまず4階に上がります。各フロアでは反時計回りに順路を進み、エスカレーターで1フロアずつ降りて1階まで戻ってきます。展示場では心ゆくまで滞在できますが、ざっと回ると所要時間は約1時間、いろいろな展示を体験しながらゆっくり回ると2~3時間くらいが目安です。
プラネタリウムで宇宙空間を体感
星空の写真に、プラネタリウムへの期待が膨らみます
地下1階アトリウムの壁面には、現在のプログラムと今後の予定が掲示されています。その下の2台の展示ケース「サイエンスギャラリー」では、同館所蔵の実物資料や模型ほか、内容を不定期に変えて展示。このエリアは無料開放です。
では、プラネタリウムホールをご紹介しましょう。
プラネタリウムへの入口扉には月面が描かれていてワクワクします。
カールツァイスⅡ型投影機を目当てに訪れる天文ファンも多いようです
扉を入るとすぐ右側に、1937年当時、大阪・四つ橋にあった「大阪市立電気科学館」に日本で初めて導入されたプラネタリウム投影機「カールツァイスⅡ型投影機」が展示されています。
宇宙旅行へ行く搭乗ゲートのような通路を通って先へ進みましょう。
高解像度の映像で臨場感あふれるプラネタリウム
2019年春に光学式投影機が更新され、さらに2022年2月リニューアルオープン時に、宇宙の彼方の光景も再現できる全天周映像システムが導入されて、座席も新しくなりました。従来の4倍の超高解像度となる6K映像で、宇宙の神秘的な輝きが迫力ある音響とともに楽しめます。抗菌・抗ウイルス処理で衛生面にも配慮された座席は前後左右にゆとりがあり、ゆったりと星空を見上げられます。
投影各回の所要時間は約35~45分。最大定員は車いすスペース5席を含み250名です(状況により変更あり)。
プログラム
幼児から小学校低学年の子どもと一緒に親子で楽しめるファミリータイムや、小学校高学年から楽しめる一般投影、専門分野別の学芸員が解説する学芸員スペシャルなど、さまざまなプログラムが楽しめます。それぞれの入場に子どもの年齢制限などはありませんが、静かに観覧できない場合は退出をうながされることもありますので注意しましょう(観覧券の返金・交換はありません)。
◎ファミリータイム(開館日は毎日投影、約35分)
その日の夜に見える星のお話と、季節のお話です。
投影時間:火~金曜11時~(春・夏・冬休み期間は変更あり)、土・日曜、祝日、①10時10分~②13時~
◎一般投影(開館日は毎日投影、約45分)
今夜の星空解説に加え、後半の解説テーマが2種類あります。好みのプログラムを選びましょう。
投影時間:火~金曜①13時~②14時~③15時~④16時~(春・夏・冬休み期間は変更あり)、土・日曜、祝日①11時~②12時~③14時~④15時~⑤16時~
◎学芸員スペシャル(投影は、土・日曜、祝日)
流星、太陽、恒星、銀河、気象など専門分野の違う7人の学芸員による特別投影です。
投影時間:土・日曜、祝日17時~
テーマや日程は公式サイトで確認を。
楽しみながら学べる展示場へ
4階は「宇宙とその発見」
エレベーターの扉が開くと迫力ある太陽が目の前に
エレベーター4階の扉が開くと、目の前には太陽が。プロジェクションマッピングで太陽のさまざまな姿が次々と映し出されます。順路は左方面に向かいます。
リンゴを持ち上げて惑星の重力を比べてみよう
「惑星の重力くらべ」は、天体による重力の違いを比較するコーナーです。地球での重さを基本に、月、火星、木星、太陽でのリンゴの重さを体感できます。ほかの星では重い? それとも軽い?
惑星の地表をさわってみよう
「太陽系の惑星」では、私たちに身近な太陽系の惑星が紹介されています。地面がある惑星のうち、地球、金星、火星の3惑星の表面にさわれる立体模型になっています。見るだけでなくさわることでも惑星の違いを体感できます。
月の満ち欠けでは身近な現象を体感
「月の満ち欠け」では、スポットライトを太陽に見立て、ゆっくり回転させながら月をみると、三日月や満月などの月の満ち欠けを再現できます。身近な現象の原理を体感して学ぶことができます。
宇宙空間をコンパクトに表現した銀河の缶詰
私たちがいる天の川銀河を中心とする10億光年の空間を、長さ2m・太さ1mの円筒に閉じ込めた「銀河の缶詰」です。銀河が密集しているところやほとんど銀河のないところなどの宇宙空間を、目で感じることができます。
ほかにも、オーロラのしくみや科学衛星、宇宙線などに関する展示、江戸時代の天文学などを紹介した「大阪の科学史」、気象観測や磁石の動きを紹介した企画展コーナー、古代から20世紀初頭までの科学技術を紹介した「サイエンスタイムトンネル」など、子どもと一緒に楽しくさわれる実験装置や、貴重な資料が展示されています。
3階は「身近に化学」
身近なモノが何でできているか実物展示も
3階は鉱物やプラスチック、繊維、薬など私たちの周りに使われている身近なモノや自然界にあるモノなどが展示されています。自分のハンカチや服の繊維を拡大して見ることもできます。
「スーパーセンイ」のコーナーには、本物と同じ素材でできた宇宙服も展示されています。
2階は「おやこで科学」
竜巻を手でさわって感じられます
2階は音や風、鏡、ボールの運動など、さわって遊べる装置がいっぱいある人気のフロアです。ゲーム感覚で、いろいろな現象やしくみを体感できます。
とうめいピアノは、音が出る仕組みが見られます
「とうめいピアノ」は、通常では目にすることがないアップライトピアノのカバーされている場所が透明に作られています。鍵盤を弾くとどこが動いて音が出るのかしくみを確かめてみてね。
1階は「電気とエネルギー」
発電のしくみを体験
1階には生活に欠かせない電気のしくみを紹介。ペダルやハンドルを回して発電を体験して電気をおこすさまざまな方法が分かります。今回のリニューアルで、理化学研究所計算科学研究センターで使われていたスーパーコンピュータ「京」の864台の中の1台や、さまざまなパソコンも新しく展示されています。
実物の送電鉄塔や昭和時代の家電製品も展示
<展示場における主な新型コロナ感染防止対策>
※展示場のさわるモノには抗ウイルス処理をしています
※新型コロナ感染防止のため、一部さわれない装置もあります
※館内には、アルコール消毒液を設置していますので、さわる前やさわったあとはこまめに消毒をしてください
驚きがいっぱい、サイエンスショー
学芸員による実験や解説が楽しめます
展示場の3階にはサイエンスショーコーナーがあり、光や磁石、ロケットなど約3カ月ごとにテーマを変えてサイエンスショーが行われています。予約システムはなく、当日先着順で定員64名です(状況により定員の変更あり)。サイエンスショーのテーマと開演時刻は、大阪市立科学館公式ホームページをご覧ください。
新型コロナ感染防止対策のため定員を減らしています(2022年10月現在)
■サイエンスショー(所要時間30分)
- 時間:火~金曜①14時(春・夏・冬休み期間は変更あり)、土・日曜、祝日①11時②13時③14時④15時
- 場所:展示場3階サイエンスショーコーナー
- 料金:無料 ※別途展示場観覧料が必要
- 定員:各回先着64名 ※状況に応じて変更あり
宇宙や科学などたくさんの本が並びます
サイエンスショーコーナー手前には図書コーナーがあり、科学に関する本を椅子に座って閲覧することができます。
ランチはどこで? お弁当の持ち込みは?
子どもに人気のキッズプレート800円(ドリンク別)は年齢制限なし ※メニューは変更の場合あり
ランチは1階カフェレストラン「スター・アイル」がおすすめです。お弁当の館内持ち込みはできませんので、お弁当持参の場合は、科学館南側と西側のテント・椅子もある無料スペースを利用しましょう。
カフェ&レストラン入り口横でペットボトル飲料販売も
カフェ&レストラン入り口横でペットボトル飲料の販売もありますが、カフェ内やプラネタリウムホール内、ミュージアムショップ店内での飲用はできませんので注意しましょう。
店内にあるテーブルは、惑星や宇宙をあしらっていて、子どもたちに人気です。
ドリンク(400円~)や食事メニュー(カレーライス750円~)以外に、タイミングが合えば期間限定メニューも楽しめます。
■スター・アイル
- 時間:火~金曜10時45分~16時30分(16時LO)、土・日曜、祝日9時30分~16時30分(16時LO) ※軽食類は11時~
- 休日:科学館休館日
- TEL:06-6441-4740
お土産は宇宙食やオリジナルグッズに注目
お買い物だけなら観覧チケットなしでの利用もできます
1階にはミュージアムショップがあり、宇宙食をはじめとした宇宙に関するグッズや同館オリジナルグッズ、文具などが販売されています。
- 営業時間:10時30分~17時
※密集・密接を避けるため、2022年3月現在入店制限を行っています
左から、チョコケーキ、バニラアイス、たこやき
宇宙食も購入できますよ。特別なパッケージに入った「チョコケーキ」「バニラアイス」(各594円)、「たこやき」(540円)はお土産にしても楽しいですね。ほかにも「ライスケーキ(おもち)」(540円)、「チーズケーキ」(594円)など、さまざまな味の宇宙食で宇宙旅行気分を味わえます。
宇宙ステーション長期滞在用に開発されたスペースカレー(594円)
宇宙を感じさせるマスクが好評
大阪市立科学館オリジナルマスク(左から)小さめサイズ1150円、星座柄各種カラー1200円。
※柄により在庫切れの場合もあります
同館オリジナルの各テーマのミニブック(100円~)も人気です。
勉強が楽しくなりそうなオリジナル文具もたくさん
ほかにも各種ブックや星座早見表440円、鉛筆110円、ポストカード55円~など、大阪市立科学館オリジナルグッズが豊富にあります。
同館でしかできないメダル刻印機は貴重
ショップ前には来館記念メダル(プラネタリウム・スペースシャトル・はやぶさ(各500円)、大阪市立科学館のカラーメダル(600円))の販売もあり、よく売れているそう。右側の刻印機では30円で日付はもちろん、名前やメッセージを入れることができます。左側のガシャポン®(300円)には宇宙ステーションや人工衛星などのカプセルトイが入っています。
赤ちゃん連れも安心の館内設備
<授乳室>
授乳室は地下1階にあり、チケット売り場横のインフォメーションスタッフに声をかけると案内してもらえます。
<トイレ>
トイレ入口には便器の数やレイアウトも表示
トイレは地下1階から4階の各フロアにあります。
地下1階の女子トイレには男児用小便器もあります
女子トイレおよび地下1階男子トイレにはオムツ交換シートも備え付けられています
<コインロッカー>
どのサイズも100円返却式です
地下1階のプラネタリウム入口の右側には、小さなサイズからスーツケースが入るサイズまで収容可能なロッカーが備えつけられていて、荷物を預けて館内を身軽に回ることができます。
「大阪市立科学館」は、新しくなったプラネタリウムはもちろん、子どもたちの宇宙や科学への好奇心をくすぐる展示やしかけ、企画イベントなどがたくさんあるミュージアムです。子どもたちだけでなくファミリーでワクワクでき、天候に左右されず、遊びながら学べる同館に一度でかけてみてはいかが。
■大阪市立科学館
TEL | 06-6444-5656 |
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開館時間 | 9時30分~17時(プラネタリウム最終投影は16時から、展示場入場は16時30分まで) |
休館日 | 月曜日(祝日の場合は翌平日が休み)、年末年始、メンテナンス休館あり |
入館料 | 展示場観覧(1日有効)400円、高校・大学生300円、中学生以下無料/プラネタリウム観覧(入替制・先着順)1回につき600円、高校・大学生450円、3歳以上中学生以下300円 |
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『るるぶKids こどもの知的好奇心がすくすく育つ学びスポット関西』
子どもたちの知的好奇心を刺激してくれる“学びスポット”全83施設をピックアップ。図鑑などでもお馴染みの「恐竜」「動物」「昆虫」「宇宙」「乗り物」、そして日常の延長として親子のコミュニケーションを楽しめる「アート」「絵本・アニメ」「にほんの歴史」「学べる工場」を加えた9テーマに分けて紹介しています。監修者である脳医学者の瀧 靖之先生、そして各テーマの“達人”たちと選んだ“学びスポット”は、どこも子ども心をくすぐる工夫にあふれた施設ばかり。また巻頭には、瀧 靖之先生による「知的好奇心の伸ばし方」も収録しています。
子どもの成長にとって大事な知的好奇心を育てるスポットの数々。本書を参考に家族でおでかけしてみませんか。