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水遊びの子どもの事故防止 原因や気をつけるポイントは? プール・海・川・お風呂も注意を!

水遊びの子どもの事故防止 原因や気をつけるポイントは? プール・海・川・お風呂も注意を!

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プールや海・川など、水遊びでの事故のニュースが後を絶ちません。どんなに注意をしていても、なぜ水の事故が起こってしまうのか。その理由や原因、そして気をつけるべきポイントを、子どもの事故に詳しい小児科医の山中龍宏先生に聞きました。水の事故を防ぐためには、危険性や場所の特徴をまず大人が把握をして、子どもに伝えておくことがとても大切です。

※当記事は2023年10月6日の取材に基づいています。

山中龍宏先生(緑園こどもクリニック院長)山中龍宏先生(緑園こどもクリニック院長)
東京大学医学部医学科卒業。東京大学医学部小児科講師、焼津市立総合病院小児科科長、こどもの城小児保健部長などを経て、1999年4月より現職。1985年、プールの排水口に吸い込まれた中学2年女児を看取ったことから事故予防に取り組み始め、現在、こども家庭庁教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議委員。NPO法人Safe Kids Japan理事長。

目次(index)

プール・川や海・お風呂など、場所別の特徴

ビニールプール:手が届く距離にいて見守る!

小さなビニールプールは水深も浅く、自宅の庭などで遊んでいるケースがほとんどです。そんな状況で事故が起こるはずがないと思われがちですが、そうではありません。水深が浅い場所でも足がすべって溺れてしまうことはあります。たとえ大人が付き添っていても、「宅配便が届いた」「電話が鳴った」など数分その場を離れたすきに溺れてしまう例も実際にあります。小さい子どもの水遊びの場合は、子どものそばを離れないのが原則です。溺れてもビニールプールなら確実に助けられます。“目の届く距離”ではなく、“手の届く距離”にいることが原則です。

プール:監視員がいても油断しない

プールには監視員がいますが、それでも事故は起こります。大勢が泳いでいるプールでは、いくら監視員が気をつけていても、人間ができることには限界があります。一部のプールでは、天井などにモニターがついていて溺れかかった人がいるとアラームが鳴る仕組みがあるところもあります。ただ、残念ながらすべての施設に備わっているわけではありません。泳ぐ技術が十分でない子どもには、腕につける浮き輪やライフジャケットを着用させましょう。

川や海:ライフジャケットは必須!川は膝下まで

川や海で遊ぶ場合は、ライフジャケットの着用が必須です。通販サイトなどで購入できますが、海水浴場などでレンタルできる場合もあります。

川や海で溺れたニュースを見ると、「こんな浅瀬で溺れるの?」と驚くことがあると思いますが、川や海は、浅いと思って入っても急に深くなることもあります。川底がぬるぬるして足をすべらしたり、水流が強かったりもします。とくに川で溺れないためは「膝下までの深さ」で遊ぶのが鉄則。それよりも深くなると、ライフジャケットを着けていても水流によっては簡単に流されてしまいます。

川や海で遊ぶときは必ず大人が付き添い、子どもだけで遊ばせないようにしましょう。もちろん、大人もライフジャケットを着用し、浮き輪も持参してください。

溜池、用水路、排水溝、浄化槽:フタや柵を確認

溜池、用水路、排水溝、浄化槽などは、そもそも転落の危険性が高いところ。そのような場所に気づいたら、まずは自治体や管理者に連絡をしてフタや柵を設置してもらうようにお願いしましょう。

日ごろから子どもに、近寄ってはいけない場所について繰り返し伝えましょう。危険な場所が近所にあれば、実際に連れて行って場所を教え、根気よく伝えることが大切です。

お風呂の浴槽:10cmの水深でも溺れる意識を

子どもは10cmの深さでも鼻と口が水に覆われてしまえば溺死してしまいます。大人が洗髪をしている間や、ちょっとパジャマを取りに行っている間に子どもが足をすべらせて溺れてしまうこともあります。お風呂で子どもを一人にさせないことが鉄則です。また、お風呂から上がるときは、子どもを先に浴槽・浴室から出しましょう。

水の事故にあわないための予防策

ライフジャケットは正しいサイズを選ぶ

水遊びをするときはライフジャケットを着用することが基本ですが、ライフジャケットさえあれば大丈夫というわけではありません。ライフジャケット選びも大切です。ライフジャケットを購入する際は、「体のサイズに合ったもの」「ライフジャケットの安全基準である桜マークがついているもの」を選びましょう。子ども用の場合、少し大きめのものを選びがちですが、大きいサイズだと水中で首が引っ張られる形で浮いてしまいます。股ベルトがついているものを選び、必ず股ベルトも装着しましょう。

水遊びをするときに初めてライフジャケットを着けても、子どもは浮かび方がわかりません。うつ伏せになって浮いてしまったら大変危険です。前もって装着して浮く練習をしておき、正しい浮き方を体に覚えさせましょう。ライフジャケットの代わりに浮き輪をつければいいのでは、と思うかもしれませんが、浮き輪は体から外れてしまうことがあり、穴が空いて空気が抜けてしまう可能性もあります。その点、ライフジャケットは体に密着している分、安全性が高いでしょう。

水の事故を防ぐ「サンダルバイバイ」

水の事故を防ぐには、子どもに水の危険性を伝え続けることが大切です。「サンダルバイバイ」という言葉を知っていますか。サンダルや帽子、おもちゃ、ボールなどが海や川に流されても、追いかけずにバイバイしようという呼びかけです。流されたものを追いかけて溺れてしまう事故がたくさん起きているためです。サンダルが川や海に流されると、親に怒られると思って子どもは取りにいってしまいます。サンダルを失くしても親は怒らない、だから追いかけるのはやめよう、という約束をするのです。

子どもには、「命よりも大切なものはない」ということをよく伝え、親子で話し合っておきましょう。またサンダルは脱げにくいものや、マリンシューズを履くようにすることも必要です。

溺れてしまった…もしものとき、どうする!?

応急処置を学んでおこう

救急車が到着するまでに、平均で9分半程度かかるといわれています。その間に応急処置をすることが命を救います。まずは周りの人を呼び、119番で救急車を呼びましょう。応急処置には心臓マッサージ、人工呼吸のほか、AED(自動体外式除細動器)が必要なら持ってきてもらいましょう。自分の子どもを救うだけでなく、いざというときのためにも、日ごろから応急処置の仕方を学んでおく必要があります。講習に参加したり、動画を見たりしておくといいでしょう。

ただ、実際は落ち着いて処置をできず、慌ててしまいがち。救急車を呼んだら、電話をつないだまま(スマホのスピーカー機能などを使ってハンズフリー通話にして)、救急隊の指示にしたがって処置を行いましょう。

水遊びの事故をなくす!7つの徹底意識

水遊びの事故防止は、事前の確認が大事!

水遊びをする前に、親が知っておくべきこと、子どもに伝えておいてほしいことを7つにまとめました。夏の楽しいレジャーであるはずの水遊びが、悲しい思い出にならないよう、ぜひ親子で同じ意識をもって遊んでくださいね。

  1. 水深10cmでも鼻と口が覆われれば命にかかわる
  2. 大人や監視員がついていても、100%安全にはならない
  3. 目の届く距離ではなく、手の届く距離で遊ぶ
  4. 流れのある場所で溺れたとき、「浮いて待て」は通用しない
  5. 溺れたとき、「助けて」と声は出せないもの
  6. 浮き輪は外れることがあるので、ライフジャケットを着用する
  7. サンダルや帽子、おもちゃが流されても追いかけない