埼玉県の特産品おもしろ雑学|熟練の職人が焼くこだわりせんべい

埼玉県の特産品「せんべい」

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47都道府県それぞれの代表的な「特産品」をクローズアップ。【知る】【つくる】【学ぶ】の3つの視点から、特産品と各都道府県の関係をひも解きます。各地の歴史や風土だけでなく、意外な理由で生まれた特産品は、知れば知るほどおもしろい!

今回紹介するのは、埼玉県を代表する特産品「せんべい」。全国的に知られる草加せんべいの歴史や特徴を中心に、手作りせんべいのレシピや手焼き体験スポットの情報もお届けします。

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目次(index)

【知る】平らな表面としょうゆの香ばしさ、堅焼きが特徴!

現在、埼玉県草加(そうか)市内にあるせんべいの製造所や販売所は60軒以上、せんべいは草加の名物となっています。「草加せんべい」は、米としょうゆを使った堅焼きせんべいの代表格。製造工程は機械化されつつありますが、昔ながらの天日干しや手焼きを行っている老舗も健在です。

天皇への献上で知名度が急上昇した草加せんべい

画像:PIXTA

埼玉県の南東部に位置する草加市は昔、水田地帯で稲作が盛んでした。農家の人たちは余った米を保存するために、だんご状にした米を乾かしたものを保存食として活用したそうです。江戸時代に宿場町の草加宿ができると茶屋などが軒を並べ、このころからせんべいも店で売られるように。当初は生地に塩を練り込んだものが一般的で、焼いたせんべいにしょうゆを塗るのが定番になったのは、しょうゆが普及し始めた幕末からです。

明治時代後半になるとせんべいを扱う店が増え、より認知度が高まったのが大正時代。当時、同県の川越市で行われた陸軍の特別大演習に天皇が訪れ、埼玉の名産品として草加のせんべいが献上されたのです。これを機に「草加せんべい」の名が全国に広がり、地場産業として発展。昭和30年代には駅やデパートでの即売会などで、知名度が一気に上がりました。

せんべいの由来「おせんさん」は架空の人物?

せんべいの名前の由来/埼玉県の特産品「せんべい」

「おせんさん」のエピソードを知っていますか? 草加が日光街道の宿場町として栄えたころ、おせんさんという女性が茶屋でだんごを売っていました。だんごはたまに売れ残ってしまうこともあり、彼女は捨ててしまうのがもったいないと悩んでいました。

ある日、茶屋の前を通りかかったお侍が、「だんごを平につぶして乾かし、焼き餅(せんべい)として売ってみては」とアイデアを提案。おせんさんは早速、焼き餅を作って売り出したところ、たちまち評判となり、街道の名物になったという話が語り継がれています。また、名前も「おせんさんが焼いた餅(音読み=へい)」から「せんべい」になったとか。

このお話、実は昭和につくられた物語なんです。「せんべい」という名前も、有名な茶人・千利休(せんのりきゅう)の「千」と弟子の「幸兵衛(こうべい)」を合わせて、「千兵衛」になったなどの説もあります。

草加せんべいの定義は?細かいルールをチェック!

草加せんべいの基準/埼玉県の特産品「せんべい」

草加せんべいの認知度が高まるにつれ、大手せんべい業者などによる類似品が全国に出回りました。その影響から、“本家”草加せんべいの信頼が失われることに…。そこでブランド確立に向けて、草加市と地元せんべい業者が一致団結。平成18年(2006)に「地域団体商標制度(特許庁)」へ登録申請し、登録されました。

同年には、農林水産省・食品産業センターの「本場の本物」にも認定。これは、製造者の原料と製法へのこだわりの証となる、地域食品ブランドの表示基準です。当時の草加せんべいの基準は下記の通り。

  1. 製造地:草加市・八潮(やしお)市・川口市・越谷(こしがや)市・鳩ヶ谷(はとがや)市で製造※鳩ヶ谷市は平成23年(2011)に川口市と合併
  2. 材料:関東近県で収穫された良質のうるち米
  3. 製造:最低10年の経験を持つ職人が製造を管理
  4. 焼き方:押し瓦での堅焼きまたは押し瓦方式を取り入れた堅焼き

表面がまっ平なのも草加せんべいの特徴。焼き上げる工程で生地から水分が出ていくときに生じる“ブク”と呼ばれる膨らみを、押し瓦でしっかりと押さえ込んで仕上げるから、圧倒的に表面がきれいです。

「せんべい」「おかき」「あられ」の違いは何?

画像:PIXTA

せんべいとおかきの違いは、原料のお米の種類です。せんべいには粘り気の少ないうるち米、おかきには粘り気のあるもち米を用います。そのため、せんべいは平べったい形が多く、硬めで膨らみにくくなります。一方、おかきは火を通したときに膨らみやすく、せんべいより柔らかい歯ごたえです。

あられにももち米が使われますが、おかきとの一番の違いは大きさ。5㎝以上をおかきと呼び、それ未満はあられに分類されるのが主流です。名前の由来は、形が空から降ってくる氷の粒、“あられ”に似ているから。ただし、あられは主に関東地方の呼び方で、関西にはあられのことも「おかき」と呼ぶ人もいます。

【つくる】自宅でせんべい作りとアレンジ料理に挑戦

生地から作ってトースターで焼くせんべい作りは、子どもと一緒に楽しめますよ。夕食は思いきって、おこげせんべいを使った「ネギせんべい鍋」作りにチャレンジしてみては?

トースターで焼く手作りせんべい

画像:PIXTA

うるち米を乾燥させて粉状にした上新粉と好みの調味料で、定番せんべいを作れます。生地を作ったら、2~3日干すのがポイント。乾くと半透明になります。しっかり乾燥させないと、焼いたときに膨らまなかったり、硬くなり過ぎたりするのでご注意を。

多めに作り余った生地は、冷凍庫で保存しておけばOK。食べるときに解凍し、トースターで焼いて気軽に楽しめますよ(1週間を目安に食べきってください)。

簡単にレシピを紹介

  1. ボウルに上新粉を入れて、水を注ぎながら箸でかき混ぜます。水っぽさがなくなったら、手でこねてひとまとめに。
  2. 鍋に湯を沸かし、①を厚さ1cmほどに平たくちぎりながら入れます。生地が浮いてくるまで、5~6分ほどゆでてください。
  3. ②をざるにあけ、湯を切ります。粗熱がとれたらひとまとめにし、表面が滑らかになるまでこねます。
  4. 1枚分ずつ(上新粉200gなら18等分)丸めて、麺棒などで直径7~8cmに丸く広げます。
  5. ざるにのせ、日当たりと風通しのよいところで2~3日干して乾燥。
  6. トースターで焼いて約2~3分、生地が膨らみ、こんがりと色が付くまで焼きましょう。
  7. 好みで味付け。塩は熱いうちに振って冷まします。しょうゆはハケで塗り、トースターで軽くあぶってから冷ませば完成!

食感が楽しい「ネギせんべい鍋」

ネギせんべい鍋の作り方!/埼玉県の特産品「せんべい」

せんべい鍋といえば、岩手県の南部せんべいを使った「せんべい汁」が有名です。それとは違う、おこげせんべいを使った鍋料理を紹介します。

「ネギせんべい鍋」は、ネギの甘さとおこげせんべいの香ばしさがよく合い、食感と風味を楽しめるので子どもも喜びます。シメに入れるのは、うどんがおすすめ。せんべいを少し残し、お好みで長ネギを散らして食べるとおいしいですよ。

簡単にレシピを紹介

  1. ハクサイをザク切り、ニンジンを短冊切りにします。コマツナは根を落とし、4~5㎝の長さにカット。シメジは石づきを取って小房に分け、長ネギは4㎝の長さにブツ切り。鶏モモ肉は食べやすい大きさに切っておきましょう。
  2. 鍋の中央に長ネギを立てて並べ、周りにそのほかの材料を散らします。
  3. おこげせんべいを食べやすい大きさに砕いておきます。
  4. ②に市販の塩ちゃんこ鍋のつゆを投入し、火にかけます。具材に火が通ったら、砕いたおこげせんべいを散らしてできがあがり!

【学ぶ】せんべいについて学べるスポット

草加市には気軽にせんべいの手焼き体験ができたり、せんべいメニューが味わえたりできる施設があります。また、味付けコースなど3つの体験コースが揃う工場兼店舗もあるのでチェックしましょう!

草加せんべいの庭(埼玉県/草加市)

草加せんべいの庭(埼玉県/草加市)

「山香煎餅(やまこうせんべい)本舗」が運営する、おせんべいのテーマパーク「草加せんべいの庭」。予約なし(10名以上の団体は予約も可)で参加できるせんべいの手焼き体験コーナーがあり、伝統の製法で1人2枚焼くことができます。自分で焼いたせんべいはおいしいですよ。

ガーデンカフェも併設しており、せんべいの粉としょうゆダレを使用した「草加せんべいソフトクリーム」440円、レンコンとせんべいの粉で作っただんご入りの「草加せんべい汁」550円(各イートイン料金)などの軽食が魅力的。

住所 埼玉県草加市金明町790-2
問合先 048-942-1000
営業時間 10~18時(17時30分LO)
定休日 無休
料金 せんべいの手焼体験715円
アクセス 公共機関:東武鉄道新田駅から徒歩9分
車:東京外環自動車道草加ICから1km5分
駐車場 あり/16台/無料
URL

https://www.yamakosenbei.co.jp/

草加煎餅まるそう一福(埼玉県/草加市)

草加煎餅まるそう一福(埼玉県/草加市)

草加せんべいの店「まるそう一福(いちふく)」では、事前予約制の3つの体験コースを用意。「手焼きコース」は職人と同じく箸と押し瓦を使ってせんべいを焼き、しょうゆ付けをします。「味付け体験コース」は焼き上がったせんべいにハケでしょうゆを塗り、ざらめ、海苔の好きな味付けも。両コースは焼きたてせんべいの試食が1枚付いています。

工場で作られたアツアツのせんべいを味見できるのが「焼き立て試食コース」。また、3コースともせんべいができるまでの工程をビデオ視聴で学べます。

住所 埼玉県草加市青柳2-16-18
問合先 048-936-6301
営業時間 9~18時(電話受付~17時)※3コースはいずれも要予約
定休日 1月1日、2日
料金 手焼き体験コース、味付け体験コース各800円、焼き立て試食コース300円
アクセス 公共機関:東武鉄道獨協大学前<草加松原>駅東口から東武バスで約10分、バス停:越戸橋から徒歩1分
車:東京外環自動車道草加ICまたは三郷ICから2km10分
駐車場 あり/15台/無料
URL

http://www.sokasenbei.co.jp

【SDGs】埼玉県のせんべいを自由に食べたり守ったりするために

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埼玉県のせんべいは、環境にも配慮しながら製造が行われています。この先も、せんべいを変わらず自由に食べたり守ったりするためにはどのようなSDGsを意識すればいいのか、親子で話し合ったり、考えてみるといいですね。

埼玉県の子ども向けSDGsの取り組み

3:すべての人に健康と福祉を/SDGsの目標6:安全な水とトイレを世界中に/SDGsの目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに/SDGsの目標11:住み続けられるまちづくりを/SDGsの目標13:気候変動に具体的な対策を/SDGsの目標14:海の豊かさを守ろう/SDGsの目標15:陸の豊かさも守ろう/SDGsの目標17:パートナーシップで目標を達成しよう/SDGsの目標

» 公益財団法人 埼玉県公園緑地協会

1:貧困をなくそう/SDGsの目標2:飢餓をゼロに/SDGsの目標3:すべての人に健康と福祉を/SDGsの目標4:質の高い教育をみんなに/SDGsの目標5:ジェンダー平等を実現しよう/SDGsの目標8:働きがいも 経済成長も/SDGsの目標10:人や国の不平等をなくそう/SDGsの目標11:住み続けられるまちづくりを/SDGsの目標12:つくる責任 つかう責任/SDGsの目標16:平和と公正をすべての人に/SDGsの目標

» NPO法人新座子育てネットワーク