大分県の特産品おもしろ雑学|良質なシイタケは県土の70%を占める森林からうまれる

大分県の特産品「しいたけ」

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47都道府県それぞれの代表的な「特産品」をクローズアップ。【知る】【つくる】【学ぶ】の3つの視点から、特産品と各都道府県の関係をひも解きます。各地の歴史や風土だけでなく、意外な理由で生まれた特産品は、知れば知るほどおもしろい!

大分県で紹介するのは「シイタケ」。日本で最もポピュラーなキノコには、生シイタケと干しシイタケがあるのを知らない子どもも多いはず。シイタケの基本からヒミツまで迫ります。

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目次(index)

【知る】革新的な栽培法に早々に注目!シイタケの安定生産に成功

シイタケは焼く・炒める・煮るのほか、調理法や味付け次第でさまざま料理に活用できます。 さらに、乾燥させた干しシイタケにはうま味成分の一つ、グアニル酸が豊富に含まれており、戻し汁は味噌汁でも楽しめます。

そんな優秀な食材、干しシイタケの生産量が国内の約50%を占める、日本一のシイタケ生産地が大分県です。

どうして大分県はシイタケ栽培が盛んなの?

シイタケ(イメージ)

画像:PIXTA

大分県は温暖な気候に恵まれ、年間降水量も比較的多いためく、県土の約70%が豊かな森林です。森林にはシイタケ栽培に適した広葉樹が多く生育し、クヌギの木もその一種。クヌギはシイタケの原木栽培(枯れた丸太に直接種菌を植え付ける方法)に欠かせません。大分県は昔から原木用にクヌギ林の造林を進め、クヌギを利用した原木栽培が行われています。

シイタケ栽培の起源には諸説あり、なかでも「源兵衛(げんべえ)説」が有力です。1600年代ごろ、現在の大分県佐伯市宇目(さいきしうめ)の山林で炭焼き業を営む源兵衛が、シイタケ菌が付着しやすいよう原木にナタで切れ込みを入れる方法を考案。この「ナタ目式栽培」は以後250年以上続くのですが、生産が安定しないのが積年の課題でした。

昭和17年(1942)当時、京都大学の学生でのちに博士となる森喜作(きさく)が、シイタケ菌を培養した木片を原木に接種する「純粋培養木片種菌法」を発明。大分県は全国に先駆けこの方法を採用し、生産量が急増へ。県内のシイタケ産業の発展に貢献しました。

干しシイタケと生シイタケの違いは?

干しシイタケ/大分県の特産品「しいたけ」

生シイタケは新鮮で、戻す手間もなくサッと料理に使えて便利です。干しシイタケは乾燥させて保存食としたもの。シイタケを干すことにより生シイタケに比べると香り高く、うま味成分であるグアニル酸が多く含まれています。

同様に栄養素も著しく増加。カルシウムの働きに関わるビタミンD2は、生シイタケが牛乳や生レバーの約7倍含まれているのに対し、干しシイタケはなんと50倍以上! 食物繊維の含有量は生シイタケの約10倍です。

調理法でいえば、生シイタケは天ぷら、焼き物といった柔らかい食感を楽しむ調理に向いています。干しシイタケは味が染み込みやすいのでじっくり火を通す、筑前煮などの煮物や炊き込みご飯、じっくり焼き上げる炒め物などに適しています。また、だしを調理に使えば、料理の味に奥行きが生まれます。

干しシイタケは「どんこ」「こうしん」の2種類が基本

干しシイタケは、「どんこ(冬菇)」と「こうしん(香信)」に大きく分けられます。かさが7分開きにならない早いタイミングに採取したものが、どんこです。肉厚で歯ごたえがあります。かさの巻き込みが強く、丸っこく形がよいため、古くから贈り物として好まれています。漢字で「冬菇」と書くように、冬期にとれるシイタケがどんこになりやすいです。暖かい時期は半日もしないうちにかさが開ききってしまうので、収穫が間に合わず、どんこがとりにくいのです。

かさが7分開きになってから採取したものが、こうしん。かさが大きく薄い分、ほかの食材に合わせてカットできたり、早く水戻しできる特徴も。見栄えがよくないため、価格はどんこと比べるとお手頃です。

どんこ、こうしんの中間の形のものを「こうこ(香菇)」と呼びます。どんこ、こうしん、こうこはともに品種は関係なく、あくまで見た目の違い。どれを選んでも味が特別変わるということはありません。

【つくる】シイタケの家庭栽培とおいしいレシピ

栽培キットを使ったシイタケの育て方と、知っておくと便利な干しシイタケの戻し方を紹介。人気のおかず「シイタケの肉詰め」も作って、子どもに食べさせてあげたいですね。

栽培キットを使ってシイタケの家庭菜園!

シイタケの栽培キット(イメージ)

画像:PIXTA

ホームセンターなどでシイタケ栽培キットを買えば、おうちで簡単に家庭菜園が可能。日に日にシイタケが大きくなっていくので、子どももきっと興味津々になるはず。栽培方法は各キットによって異なり、特に原木栽培と菌床栽培(オガクズと米ぬかなどを用いた人工的な方法)では、まったく育て方が違います。

シイタケ栽培に適した気温は18~25℃。冬は暖かい場所、夏は涼しい場所で栽培を。そして、ヒダ(かさの裏側)の膜が切れたら食べ頃です。サイズが小さくても膜が切れたら収穫しましょう。

菌床栽培の方法を紹介

  1. 栽培ブロック(菌床)を袋から優しく取り出します。
  2. ブロックの表面全体を水でサッと洗い流します。表面はこすらないでください。
  3. ブロックを付属の栽培袋に入れ、袋の口を半分折り込みクリップで留めます。栽培中は栽培袋に入れたまま直射日光の当たらない場所で管理します。
  4. 1日1~2回程度、袋を開け霧吹きで全体に水を与え、表面がしっとり濡れた状態に。水やり後は必ず袋に戻してください。
  5. 栽培5日目前後で芽が発生するはず。芽が密集している所は、少し間引くと残った芽が大きく育ちます。
  6. 環境により多少異なりますが、通常は発芽から2~5日で収穫できます。ハサミを使って、できるだけ柄の根本から取るのがコツ。同じ方法で2回目、3回目の栽培に挑戦を。

干しシイタケの戻し方

戻し方の3ステップ/大分県の特産品「しいたけ」

干しシイタケの「戻し方」は意外と簡単! コツを覚えておくだけで、手軽に日々の料理に活用できます。

忙しい親御さんは、例えば夕飯の支度をするついでに、シイタケを冷水に入れて冷蔵庫に置いておけばOK。翌日の朝にはシイタケが戻された状態となり、朝ご飯の味噌汁にはもちろん、その日の夕食の素材としても使えますよ。

簡単に戻し方を紹介

  1. 軽くゴミを取る程度にシイタケを流水で洗って容器へ。容器は密閉性の高いタッパーや、ファスナー付きの密封袋などがおすすめ。
  2. 容器に入れたシイタケがかぶるくらい、ヒタヒタに水を入れます。水は5℃くらいの冷水を入れてください。
  3. 干しシイタケの種類にもよりますが、冷蔵庫内に約6~12時間入れておけば、ほぼ戻ります。うま味成分を最大引き出すためには、24時間じっくりと戻すのがベストです。

子どももパクパク食べられる「シイタケの肉詰め」

「シイタケの肉詰め」(イメージ)

画像:PIXTA

子どもが大好きなひき肉の餡を詰め込むことで、ごちそう感がアップ。シイタケが苦手な子でも食べやすくなるのでは。肉は豚を使ってもいいのですが、鶏肉はシイタケと相性がよく、味を引き出してくれます。

簡単にレシピを紹介

  1. ニンジン、タマネギ、ショウガをみじん切りにしてボウルに入れます。さらに鶏ひき肉、味噌も入れてよく混ぜ、鶏だんごの種を作ります。
  2. シイタケの内側に小麦粉を付けて、肉だんごをシイタケに詰めます。
  3. ②の周りに片栗粉を軽くまぶします。
  4. 油でこんがりとキツネ色になるまで揚げましょう。
  5. ゴマ油、しょうゆ、みりん、水を合わせて作ったタレを、フライパンで④と絡めながら煮ます。全体にタレが絡まり、とろみがついたらできあがり!

【学ぶ】シイタケについて学べるスポット

大分県にはシイタケ狩りができる施設や、干しシイタケで有名な直売所があります。それぞれ由布院、別府という人気の温泉地にあるので、事前に湯処も調べてセットで訪れてみてください。

由布のしいたけ(大分県/由布市)

由布のしいたけ(大分県/由布市)

「由布のしいたけ」では、安心・安全なシイタケを提供するために、100%国産の菌床のみを使用。栽培過程で使用する水も、湯布院のきれいな地下水のみにこだわっています。そこで栽培されるおいしいシイタケの収穫体験を、1日10組限定で実施。当日受付もOKですが、予約するのがベターです。

シイタケ狩りの時間は約20分。別途1000円で、摘み取ったシイタケを施設内で焼いて食べることも可能。ファミリーで新鮮なシイタケを味わってみては?

住所 大分県由布市湯布院町川上字木床2245-2
問合先 0977-75-8457
営業時間 10~16時
定休日 無休
料金 入場料500円、シイタケ狩り100g200円
アクセス 公共機関:JR由布院駅からユーバスで約5分、バス停:湯布院病院正門前から徒歩13分
車:大分自動車道湯布院ICから7.3km10分
駐車場 あり/5台/無料
URL

https://www.instagram.com/yufunoshiitake/

大分しいたけ やまよし(大分県/別府市)

大分しいたけ やまよし(大分県/別府市)

「やまよし」では、大分県産干しシイタケの量り売りで「こうしん」100g972円~、「どんこ」100g1080円~を販売。肉厚な「しいたけのカットステーキ」486円や丼の具材「椎豚丼(しいとんどん)」540円など、さまざまな加工品も扱っています。

加えて、テイクアウト&イートインスペースでは、シイタケを用いた食事やシイタケパウダー入りのアイスクリーム「コノンソフト」300円~などがあり、子ども連れにも好評です。

住所 大分県別府市西野口町2-2
問合先 0977-21-8111
営業時間 9~18時
定休日 不定休
アクセス 公共機関:JR別府駅から徒歩7分
車:東九州自動車道別府ICから4.1km11分
駐車場 あり/2台/無料
URL

https://www.shiitake-ya.co.jp/

【SDGs】大分県のシイタケを自由に食べたり守ったりするために

SDGsアイコン17種

大分県で生産されるシイタケは、環境にも配慮しながら栽培が行われています。この先も、シイタケを変わらず自由に食べたり守ったりするためにはどのようなSDGsを意識すればいいのか、親子で話し合ったり、考えてみるといいですね。

大分県の子ども向けSDGsの取り組み

1:貧困をなくそう/SDGsの目標2:飢餓をゼロに/SDGsの目標3:すべての人に健康と福祉を/SDGsの目標

» 大分朝日放送

3:すべての人に健康と福祉を/SDGsの目標4:質の高い教育をみんなに/SDGsの目標11:住み続けられるまちづくりを/SDGsの目標17:パートナーシップで目標を達成しよう/SDGsの目標

» ヴェルスパ大分

2:飢餓をゼロに/SDGsの目標3:すべての人に健康と福祉を/SDGsの目標14:海の豊かさを守ろう/SDGsの目標

» 株式会社兵殖

1:貧困をなくそう/SDGsの目標2:飢餓をゼロに/SDGsの目標4:質の高い教育をみんなに/SDGsの目標15:陸の豊かさも守ろう/SDGsの目標

» JA全農おおいた