
47都道府県それぞれの代表的な「特産品」をクローズアップ。【知る】【つくる】【学ぶ】の3つの視点から、特産品と各都道府県の関係をひも解きます。各地の歴史や風土だけでなく、意外な理由で生まれた特産品は、知れば知るほどおもしろい!
徳島県で取り上げる特産品は「すだち」。子どもはあまり食べたことがないかもしれませんが、搾った果汁がいろいろな料理の味を引き立てる名脇役です。すだちのことを詳しく知って、おうちで育てたり、食べたりしてみましょう。
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【知る】全国の9割以上を生産!徳島県生まれのすだち
徳島県を代表するかんきつ系果実「すだち」は、県東部の徳島市と神山町(かみやまちょう)、中東部の佐那河内村(さなごうちそん)、南東部の阿南市(あなんし)などが主な生産地です。
すだちは西日本では料理に添える薬味として、わりとポピュラーですが、東日本での知名度はイマイチ。ただ、近年はすだちの輪切りを散りばめた、そばやうどんが話題になるなど、徳島県産すだちは全国区になりつつあります。
そもそもすだちって?

すだちは酸味が強く、香り豊かな「香酸(こうさん)かんきつ類」に分類されます。かぼす、ゆず、レモン、ライムなどの仲間で、熟す前の緑色の果実を料理に使います。昔から酢として料理に使われていたことから、名前の由来は「酢橘(すたちばな)」からきているそうです。
すだち果汁は刺身、焼き魚、豆腐料理といった、いろいろな料理と相性抜群。皮の苦みが少ないので、すりおろしたり、スライスにしたり、薬味として料理に添えることもあります。
栄養素は食物繊維、カルシウム、カロチン、ビタミンが豊富で、それらの成分量はレモンを上回るほど。クエン酸の含有量はみかんの約4倍もあり、血液をサラサラにする効果も期待できます。皮にはすだちにしかない成分、スダチチンが含まれ、体内の脂肪を燃やす働きをもっているといわれています。
昔からすだち栽培が盛んな徳島県

徳島県のすだちの生産量は全国1位、国内生産の9割以上を占めています。四季を通じて緑葉を保つ常緑樹(じょうりょくじゅ)のすだちを、ハウス(3~8月)と露地(8~10月)で栽培。10~3月は収穫後に陰干しして冷蔵した「冷蔵すだち」を用意し、年間を通じての出荷が可能です。
すだちは徳島県原産の果実です。8世紀(飛鳥時代~平安時代初頭)から徳島に原生していたことが、現在の生産量につながっています。古くから自宅用に栽培され、江戸時代には家庭で食酢として使っていたとか。
昭和の戦後、1960年代には商業向けの生産が本格化。1980年代には県内を襲った冷害により、それまでのみかん栽培中心から、寒さに強いすだち栽培へ大きく方向転換しました。「緑の宝石」とも呼ばれるすだちは徳島県を代表する特産物となり、県内はもちろん、西日本をメインに需要が高まりました。なお、昭和49年(1974)には、すだちの白い花が県花に指定されています。
そっくりな「かぼす」とどう違うの?

すだちとかぼすの見た目はそっくり。ただし、すだちはゴルフボール、かぼすはテニスボールくらいのサイズで、大きさが違います。香りを比べると、すだちの皮はさわやかな強い香りが特徴的。かぼすの皮の香りはすだちよりも弱く、上品さを感じます。味は、さっぱりとした酸味があるすだちに対し、強い酸味の中にもまったりとした後味が残るのが、かぼすです。
お互いにいろんな料理の引き立て役ですが、特に組み合わせのよい食材や料理があります。すだちは、香りの強い食材と好相性。例えばマツタケに添えると、すだちのさわやかな香りとマツタケの上品な香りがともに際立ちます。また、イワシやサバといった青魚は味付けが濃くなりがちなので、すだちが薬味としてぴったり。
かぼすはたっぷりある果汁を生かし、ポン酢にしたり、レモンの代わりに唐揚げに搾るのがおすすめ。まろやかな酸味は、鍋料理やお吸い物などにも合います。
【つくる】家ですだちを育てて料理に使おう!
すだちの家庭菜園の方法を紹介。収穫したすだちを、よりおいしく味わうための切り方、搾り方も必見です。
見た目が映える「冷やしすだちうどん」の調理はカンタン。お子さんと一緒に作って、写真に収めてから食べましょう。
すだちの家庭菜園に挑戦!

初心者なら、すだちの苗木をホームセンターや園芸店、インターネットなどで購入を。すだちは風通しと日当たりのよい、年間平均気温が14℃以上の穏やかな気候の環境で育てましょう。
土は、水はけのよい弱酸性の果樹用培養土の使用が、手軽でおすすめ。肥料は、年4回与えるのが理想。3月の芽吹く時期には油かすなどの有機肥料、6月の開花後や7月の果実の成長期、10月の収穫後には、市販の果樹用肥料やかんきつ用肥料を与えてください。
鉢植えの場合は、木の成長を見越して、ひと回り大きな鉢への植え替えが必要。時期は3月ごろ、2年に1回の頻度で行うのがベターです。
●すだち(鉢植え)の育て方
- 植え付け:3~4月または6月中旬ごろに植え付けを開始。植え付けをした後に、水を十分に与えます。支柱を立てて、土の乾燥を防ぐための敷きワラで、根の周りをカバーするのが重要。
- 水やり:土の表面が乾いていたら、鉢底から水が出てくるまで与えます。特に夏場は乾きやすいので、朝と夕方の2回行うように心がけて。
- 剪定(せんてい=枝切り):苗木は3月ごろ、花をつける前に剪定します。伸びすぎた枝や古い枝、下向きに伸びた枝を選んで根元から切ります。
- 収穫:8~9月ごろが目安。ハサミで実を切り取る際、幹のトゲで手を傷つけないように、軍手を用意すべきです。
初心者必見!すだちの切り方・搾り方

意外と知らない、すだちの切り方と搾り方。基本的には「房に対して横にカットする」、「断面を上に向けて搾る」の2つを覚えましょう。
すだちの果汁は弱い酸性なので、大量に切ったり、搾ると手に染みて痛みが出てくることも。その場合は、ゴム手袋をはめて行うと安心です。
●切り方・搾り方を紹介
すだちは上部(房)を横にして切るのが、正しいカット方法。横にカットすると、すだちのきれいな断面が見られ、簡単に果汁を搾ることができます。
カットした断面を下に向かって搾ってはダメ。上に向けて搾ると、皮の風味も搾ることができるのでよりおいしく味わえます。上に向けることで、種が搾った果汁に落ちづらくなるメリットも。
すだちの実を3分の2ぐらい切った状態で、断面を上に向けて両手で搾る方法もあります。このやり方だと、より種を果汁に落とすことなく搾れます。
涼やかな「冷やしすだちうどん」を作ろう

すだちは薄くスライスすることで、風味をより楽しめます。円を描くように盛り付けると、見た目もさわやかに。食べ方は、すだちを箸で潰し、香りや風味を汁に移します。すだち自体は食べずに残してOK。また、うどんは冷水で締めずに、温かいうどんにしても、おいしく食べられますよ。
●簡単にレシピを紹介
- すだちを薄く輪切りにします。
- うどんをゆでて冷水で締めます。
- 器に冷水と麺ツユを入れて、ひと混ぜ。うどんを入れ、すだちを上に並べれば完成!
【学ぶ】すだちについて学べるスポット
現地ですだちを味わえる、購入できる施設を厳選。すだちを使ったソフトクリームやドリンクを味わえる道の駅、すだちの果実をゲットできる駅ナカのおみやげ店を訪れてみてください。
道の駅くるくる なると(徳島県/鳴門市)

「道の駅くるくる なると」の名前の由来は、鳴門海峡の渦潮とコンセプトの「皆んなが“くるくる”、笑顔に“なると”」から。1階の「ナルトエエモン」で提供する、1日限定10食の「生絞りすだちソフト」(450円)は、すだちをたっぷりトッピング。お好みですだち果汁をソフトクリームに搾ると、酸味と甘さが絶妙です。
同店では、爽快な飲みごたえの「すだちスカッシュ」(350円)も販売。特産品コーナーでは、入荷次第ですだちの直売も行っています。
住所 | 徳島県鳴門市大津町備前島字蟹田の越338-1 |
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問合先 | 088-685-9696 |
営業時間 | 9~17時(店舗により異なる) |
定休日 | 無休 |
アクセス | 公共機関:JR教会前駅から徒歩18分 車:神戸淡路鳴門自動車道および高松自動車道鳴門ICから2㎞3分 |
駐車場 | あり/155台/無料 |
URL |
おみやげ一番館(徳島県/徳島市)

徳島駅地下1階にあり、旅行がてら立ち寄るのに便利な「おみやげ一番館」。特産品のすだち、ワカメ、鳴門金時をはじめ、人気上位の和洋菓子や徳島ラーメン、阿波踊りをモチーフにした民芸品などが揃います。
すだちの果実は2月以外取り扱い、8玉パック入り(864円)から用意。果汁の香りと量のバランスが最適な2Lサイズ(手さげ500g2160円~)は、最高級品と評判です。
※すだちの価格は時季により変動
住所 | 徳島県徳島市寺島本町西1-62 クレメントプラザビル地下1階 |
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問合先 | 088-656-3133 |
営業時間 | 9~20時 |
定休日 | 不定休(年4回) |
アクセス | 公共機関:JR徳島駅直結 車:徳島自動車道徳島ICから5.5㎞17分 |
駐車場 | あり/共用560台/有料 |
URL |
【SDGs】徳島県のすだちを自由に食べたり守ったりするために

徳島県で収穫されるすだちは、環境に負荷をかけず生態系と調和しながら栽培が行われています。この先も、すだちを変わらず自由に食べたり、守ったりするためにはどのようなSDGsを意識すればいいのか、親子で話し合ったり、考えてみるといいですね。
徳島県の子ども向けSDGsの取り組み












