「MORIUMIUS」でできる自然体験って？知的好奇心を伸ばす探求学習を実践

豊かな森と海に囲まれた宮城県石巻市で、地域の漁業・農業への参加や、自然循環のなかでの生活体験を提供している「MORIUMIUS（モリウミアス）」。大きな特徴は、子どもと親が完全に離れて過ごすプランがあることです。当施設で体験できることや体験後の子どもたちの変化など、プログラムの魅力について取材しました。

「MORIUMIUS」の特長

かつて子どもたちが通っていた桑浜小学校の面影と木のぬくもりを残しつつ、宿泊型体験施設として再生

東日本大震災によって町の8割が壊滅してしまったという宮城県石巻市の雄勝町。地域復興と、自然と共存する暮らしによって培われる生きる力を次世代に伝えたいという想いから、この地に、廃校となった小学校をリノベーションした子どもの複合体験施設「MORIUMIUS」が誕生しました。
ここでは親と離れ、スタッフと子どもたちだけの1泊2日の短期プログラムと夏休みに行われる6泊7日のサマーキャンプを実施しています。

地域のつながりと持続可能な生活を学ぶ体験が可能

自分たちで集めた枝を燃料に、火起こしから始めて羽釜でご飯を炊き上げる

雄勝町は海、山、森、川に囲まれた、自然の循環とともにある地域。プログラムでは、季節によって移りゆく自然を感じながら、釣り、農作業など食材の調達から、火起こしをはじめとする調理を実践。食べ残しや廃水の再利用といった自然環境の大切さを実体験として学びながら過ごすことができます。また、地域の漁業、農業にも参加。漁師さんや農家さんをはじめとする地域の方たちとの交流や、生活文化に触れることもできます。

どんなプログラムがあるの？

プロの料理人とつくる特別な料理 〜 スペシャルプログラム 〜

1泊2日・2泊3日のMEET MORIUMIUS

モリウミアスでの基本となる活動が体験できる短期滞在プラン。寝食は別々の親子で参加するプランと、子どもだけで参加するプランがあります。子どもたちだけの世界で生まれる主体性を大切に、スタッフがチャレンジする機会をサポート。親子参加のプランでは、親は別棟で自由に過ごせ、ワーケーションも可能です。

＜プログラム例＞

• 春の海の暮らし～漁師と水揚げした魚でにぎり寿司～
  漁師さんの船に乗せてもらい漁業体験、魚さばき、にぎり寿司、釣り、魚のあらでニワトリのえさづくり、かまどと薪でごはん炊き、森の手入れと磯遊び
• 森のある暮らし～針葉樹の間伐と、薪で直火料理～
  針葉樹林の間伐、薪割り、薪で直火料理、森の材料でおみやげづくり、生きもののお世話、かまどと薪でごはん炊き、手作りの堆肥で土づくり
• 農のある暮らし～稲作：田植え～
  無農薬ササニシキ農家にて田植え作業、旬の食材を使った調理、かまどと薪でごはん炊き、手作りの堆肥で土づくり
  ※上記内容はプログラムの一例であり、天候やその他状況により予告なく変更する場合があります。

6泊7日のLIVE IN MORIUMIUS

雄勝町の人々の暮らし、森、海、田畑、MORIUMIUSでの循環の暮らしを体感できる、子ども限定の1週間のプラン。国内外から集まったアーティストや料理人と一緒に生活し、その視点や技術に触れることができるスペシャルプログラムもあります。

漁村留学のSTAY IN MORIUMIUS

地域の方達をお呼びして、ランチ会！

小学校4年生から中学3年生までを対象に、1年間親元を離れ、雄勝町の小中学校に留学生として通いながら寮での共同生活を送る長期滞在プログラムも実施。共同生活する現地スタッフのサポートのもと、日々の料理や掃除、洗濯などもみんなで分担し、決まりや活動も子どもたちが話し合って生活します。

親と完全分離で子どもは大丈夫？

森の生態系を学ぶための皮剥き間伐や鶏のエサやりを体験〜 命とふれあう時間

同年代の子どもたちが一緒とはいえ、親と離れて宿泊滞在できるのか心配…という人もいるでしょう。実際に緊張した面持ちで参加する子どもも少なくないとか。けれど、滞在を終えると、確実にたくましくなっていると油井さん。親子の不安を払拭するアドバイスを紹介します。

まずはMEET MORIUMIUSでお試し

親子で滞在可能な1泊2日のプランMEET MORIUMIUSがあるので、子どもはすぐ近くに家族がいるという安心感をもって参加できます。親も子どもの一生懸命な姿をそっと見守ることができるのはうれしいですね。まずは1泊2日の体験で環境やスタッフに慣れることで、6泊7日の滞在につながっていくことが多いようです。

受け入れは少人数。子どもと関わることが好きなスタッフが丁寧にフォロー

子どもたちと共同生活をするのは、子どもに関わる仕事を経験していたり、子ども好き、自然好きだったりする経験豊富なスタッフ。スタッフに会えるのを楽しみにしているリピーターの子もいるほど。
子どもたちの不安や成長にそっと寄り添いながら、適度な距離感を保ちつつ、温かく見守り、必要な時には手を差し伸べてサポートしてくれます。
また、スタッフの目が行き届くように、各プログラムの受け入れは少人数にしぼり、のびのびと過ごせる環境を叶えています。

子ども同士の助け合いや協力が育まれる

親と離れ、子どもの自主性を大切にした生活をするメリットとして、子ども同士の助け合いや協力が生まれるそう。
滞在に慣れない子や初めて参加する子がいると、上級生やリピーターたちが「自分も最初はそうだったよ」と優しく声をかけ、自然と支え合いの輪が広がります。仲間同士で助け合い、協力し合う中で、子どもたちのチームワークが育まれ、不安だった子も自信を持つようになったり、助けてもらったことを自分もしたいという気持ちになったりするようです。子どもの適応力や社会性を信じる親の心持ちも大切なのかもしれません。

滞在期間や費用はどう？

子どもたちの寝室スペース。男女にわかれ異年齢で生活

• 対象年齢
  小学1年生～中学3年生
• プログラムの期間設定と料金の目安
  MEET MORIUMIUS(1泊2日)：宿泊12000円、プログラム費14000円
  LIVE IN MORIUMIUS(6泊7日)：宿泊72050円、プログラム費84150円
  ※子ども1名料金
  （※プログラムの内容により変更となる場合あり）
• 目安料金以外に準備しておくといい費用
  往復の移動交通費・おみやげ代
  ※予約制で送迎もあり。料金の詳細は公式サイトを要確認
• 滞在する宿泊施設
  地元の廃校をリノベーションした宿泊施設
  ※親子参加の場合、親は同じ敷地内の別棟に宿泊

滞在中のスケジュールは？

最高の一日にするために、みんなで話し合う時間「暮らし会議」

●1週間のスケジュール
夏休み6泊7日スタンダードコース　モデルプランー

• DAY1【モリウミアスへようこそ！】
  オリエンテーション
• DAY2【森とつながる】
  音、色、香り…五感を使って森を体感。森の整備、薪づくり。
• DAY3【雄勝に学ぶ】
  雄勝の人と暮らしに出会う。震災の体験を聞く。
• DAY4【土とつながる】
  土づくり、土を支える生きもの探し、野菜の収穫。
• DAY5【海と沢とつながる】
  沢を下り豊かな海へ。漁船に乗ってホタテやホヤを収穫。
• DAY6【自分らしい1日】
  隠れ家やものづくり、釣りをして仲間にご馳走など自分のプロジェクトに取り組む。
• DAY7【明日に向かう】
  モリウミアスでの出会いを振り返り。

●1日の流れ

• 6:30 　＜起床＞
  夜明けとともに、雄鶏の鳴き声で起きる。
• 6:40　 ＜朝しごと＞
  動物たちのお世話。自分たちの朝ごはんをみんなで準備。
• 7:30 　＜朝食・片づけ＞
• 8:15　 ＜掃除＞
  ほうきとぞうきんでモリウミアスの隅々まで丁寧に掃除。
• 9:00　 ＜プログラム＞
• 12:00　＜昼食・片づけ＞
• 13:00　＜プログラム＞
• 16:00　＜夕しごと＞
  集めた薪を大事に使って、火おこし・ごはん炊き・汁物づくり。
• 18:00　＜夕食・片づけ＞
• 19:15　＜振り返り＞
  どんな1日だったか、明日は何にチャレンジしようか振り返り。
• 19:30　＜入浴＞
• 21:00　＜就寝＞
  ※上記内容はプログラムの一例であり、天候やその他状況により予告なく変更する場合あり

よくある質問

親は参加できないの？　滞在中に仕事はできる？

基本的に親子で参加できるのは1泊2日のプランのみで、寝食は別です。親の宿泊施設では無料 Wi-Fi、プロジェクター、個室が利用でき、リモートワークが可能です。

滞在直前や滞在中に子どもの具合が悪くなってしまったら？

プログラム開始直前や滞在中に子どもの体調が悪くなった場合は、救急講習を受けたスタッフが対応。症状を確認し、必要に応じて病院の受診などの対応がとられます。

自分でここまでしていいんだ！できるんだ！の体験を

雄勝町の圧倒的な自然のなかでの生活は、新しい発見の連続。そして、自分のことは自分ででやらなければ生活できないことを経験し「ここまでしていいんだ、考えていいんだ」「自分でできるんだ」という自信と達成感につながるはず。親子の少しの勇気が、大きな成長の一歩になりますよ！