三段壁(さんだんべき)は、和歌山県南部・南紀白浜にある歴史ある景勝地です。平安時代、熊野水軍が船を隠していたという伝説がある「三段壁洞窟」をはじめ、近年突然三段壁上に現れた謎の岩「サドンロック」や、地球が丸いことを感じられる水平線など、自然の力の大きさや不思議を感じられるポイントがあちらこちらにあります。白浜観光では絶対に外せない三段壁の魅力を、周辺の足湯や地元の人々に愛されるランチなども併せてご紹介しましょう。
三段壁洞窟がある三段壁って?所要時間は?
三段壁がある和歌山県・白浜町は、紀伊半島南部の西側海沿いにあるリゾートの町で、日本三古湯のひとつ、白浜温泉でも知られています。自然景勝地の三段壁は、「円月島・千畳敷・三段壁」の名で国の名勝にも指定されています。
三段壁は、はるか昔、この地の漁師が船などを見張った場所「見壇(みだん)」と呼ばれていて、転じて「見壇壁(みだんべき)」、「三段壁(みだんべき)」、いつの間にか三段壁(さんだんべき)と呼ばれるようになったという説があります。
自然の力によって階段状に削られた三段壁は、高さ約50mの断崖が南北に約2km続いています。断崖と太平洋とのコントラストは、迫力もあり美しさもありの絶景です。比較的温暖な気候の白浜町にある三段壁は、冬場も訪れやすい場所ですが、風対策は万全にしておきましょう。自然のままの地形のため、雨天の場合は、小さな子どもを連れて先端まで訪れるのは厳しいですが、三段壁洞窟の観光は問題ありません。いずれも足元はスニーカーが必須です。所要時間は、三段壁(展望台・遊歩道)、三段壁洞窟やその周辺をあわせて90分ほどです。
エレベーターで地底36mの三段壁洞窟へ
三段壁展望台のすぐ後ろにある大きな建物が、2021年1月に開業50周年を迎えた三段壁洞窟です。洞窟の内部では押し寄せるダイナミックな波しぶきや、日本一大きな弁才天など見どころ満載!受付でチケットを購入したら、洞窟内の探検のスタートです!
- 料金:大人(中学生以上)1300円、子ども(小学生)650円、小学生未満無料
エントランスからエレベーターで36m(24秒)下りた先にある洞窟の広さは、1周200m。時間制限は設けられていないので、ゆっくりと洞窟内を見て回ることができます。子ども連れの目安は約30分。では、順路に沿って内部を探検していきましょう。
地下のエレベーターホールのフォトスポット
地底でエレベーターのドアが開くと、正面には「熊野水軍軍船」があります。三段壁洞窟は、平安時代の「源平合戦」で源氏に加勢した熊野水軍が船を隠していたという伝説が残る洞窟なんです。
記念撮影用グッズ
迫力ある熊野水軍を背景に、かわいいスタッフお手製の撮影用グッズを持って記念撮影ができますよ。
撮影が終わったら、順路に沿って左側へ進みましょう。
天井岩盤にできた波の模様(漣痕)
外に見える海面も気になるところですが、洞窟の天井に注目!何やらボコボコとした模様があります。これは「漣痕(れんこん)」という波の模様。一般的には、海岸の岩場で見られるものですが、洞窟に波が入ってくることによって天井にも漣痕ができました。
十像岩
洞内展望台からは、三段壁洞窟海の入口の岩壁「十像岩」が見えます。岩をよく見ると、中央に弁天様、それを囲むように様々な表情の像が9個、合計10個の像が…どれが見えるかな?
写真中央にある横長の謎の岩「サドンロック」
洞内展望台の一番端から三段壁を見上げましょう。正面上部に横たわる岩があります。実はこれ、突然現れた「サドンロック」。サドンロックは後程詳しくご紹介しますね。まずは、ここで目に焼き付けて、次へ進みましょう。
牟婁大弁財天
洞窟の奥に、日本一大きい青銅の「牟婁弁財天(むろだいべんざいてん)」が祀られています。幸せをもたらす牟婁弁財天は、高さ3m、横幅2m、重さ3tという迫力です。両側に控える毘沙門天・大黒天をはじめ16の童子もじっくりと拝見してパワーをいただきましょう。
牟婁弁財天が祀られている手前左側には、手水舎(ちょうずや)も。龍の口からは水ならぬ温泉が出ています。
洞窟内とはいえ、絵馬を奉納できるスペースもあります。かわいい絵馬は5種類。どんなお願いをしましょうか。
無料の台紙が用意された記念スタンプ
ウイルス対策に配慮された記念スタンプも用意されています。スタンプを押したら、牟婁弁財天の右側から次へ進みましょう。
はるか昔に掘られた鉱穴(まぶあな)
薄暗い洞窟を進むと右側にあるのが、「瀬戸鉛山鉱山跡(せとかなやまこうざんあと)」。これは正親町天皇(おおぎまちてんのう)の時代に開鉱された300カ所以上あった鉱山のひとつです。当時の採掘は、地上から地下深く縦に掘り進められていました。写真の鉱穴は今も地上へとつながっています。岩壁をよく見ると、含まれている鉱物による色の違いも分かります。
復元された熊野水軍番所小屋
薄暗い洞窟内をどんどん進むと「熊野水軍番所小屋」が見えてきます。熊野水軍の戦いで、待機・休憩していた小屋を史実に復元したもので、屋内に入ることができます。小屋の外側の通路にはPHOTO SPOTと書かれたスマートフォンを置ける台が用意されているので、甲冑(かっちゅう)を前に家族で記念撮影も可能です。
砕ける波
波が砕ける音や風が唸る音に導かれ着いたのは洞窟の奥にある「洞内 砕ける波」。満潮時に、勢いよく入り込んでくる海水の波しぶきは圧巻です。当日の満潮時刻は、三段壁洞窟でも表示されていますが、「絶対に見てみたい!」というファミリーは、事前に白浜町潮位のご確認を。気象庁の白浜の潮位表はこちら。
洞窟奥から海側を望む(干潮時)
満潮に関わらず、柵のすぐ側では「ゴー」と響く音の大きさに、大人でも立ちすくんでしまうほどの迫力です。
潮吹き岩
洞窟内最後の見どころは、「潮吹き岩」です。対岸の岩盤下にある大きな空洞へ波が入り込み、その圧力で岩盤上部にあいた穴から潮を吹き上げます。高さは最大数メートルにも及び、さながらクジラの潮吹きのようです。こちらは満潮になると圧力がかからなくなるため見ることはできません。満潮時刻の前後2時間が潮吹きを見るチャンスです。
■三段壁洞窟
営業時間 | 8~17時(入場は~16時50分) |
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定休日 | 無休(12月に数日点検休館あり) |
料金 | 大人(中学生以上)1300円、子ども(小学生)650円、小学生未満無料 |
展望台から遊歩道を歩き“謎の岩”に迫る!?
洞窟内の見学のあとは展望台へ。展望台からは、三段壁の全貌が良くわかります。海に向かって緩やかに傾斜しているところが、三段壁の先端です。その先は、遮るものが何もない太平洋。地球が丸いことを実感できる場所なんです。
展望台から三段壁中央上部に目をやると、違和感のある箇所が…。岸壁の岩が上を向いているように見える中、1つだけ横向きの岩があるのがお判りでしょうか?
突然(sudden)三段壁に現れた岩
拡大したものがこちらです。2021年に「サドンロック」と命名されたこの岩は、2018年9月の超大型台風21号が過ぎ去った後、突然現れたのです。
こちらは、サドンロックが現れる前の写真です。海から打ち上げられるにしても高さは約50m!崖の上から転がってきた?空から降ってきた?とにかく謎だらけの岩です。では、遊歩道を歩いて、近くへ見に行きましょう。
遊歩道は、三段壁洞窟建物の横を通ります。途中から先端までは段差が続くので、ベビースリングや抱っこ紐のご用意を。三段壁は、吉野熊野国立公園の一部分です。ぶつかったりして周囲の植物などを傷つけないよう、慎重に進みましょう。
草木の間を抜けると、景色が一変します。左の方に見えるのは…。
絶妙なバランスで、三段壁に鎮座したサドンロックです。もっと近づいてみましょう。
大きい!それもそのはず、長さは約4.2m、幅約1m、高さ約1.2mもあります。下の三段壁の岩とも微妙に色合いが違うようにも見えます。巨人が上手に置いていったのでしょうか…大きなウミガメのようにも見えるけど…想像は膨らむばかりです。
先端に到着しました。安全のため策が設けられており、先へ進むことはできませんが、黒潮が流れる大海原が目の前に広がります。
振り返ると、はるか遠くに展望台が、その下には三段壁洞窟海の入口近くの十像岩も見えました。展望台から先端までのんびり歩いて往復するのに30~40分ほどです。
■三段壁展望台
- 見学自由
■三段壁遊歩道
- 見学自由
- 時間:4/1~6/30、9/1~9/30(8~18時)、7/1~8/31(8~19時)、10/1~3/31(8~17時)
無料の足湯など周辺のお楽しみも
花手水
洞窟や展望台を満喫したらひと休み。洞窟の外には無料で楽しめるスポットも点在しています。庭園内にある観賞用の手水鉢に色とりどりの花が浮かぶ「花手水」は、直径約70cmの手水鉢を季節の花で覆いつくしており、SNSでも話題になっています。
同じく庭園内、花手水のすぐ隣の池では、1日30個限定で鯉にエサ(100円、恋みくじ付き)をあげることができます。建物内のスタッフにお声がけを。
※冬場は寒さで鯉が表に出てこないため、エサの販売は中止しています
太平洋を望みながら足湯でリラックスはいかが。建物外の海側に設置されている足湯は、源泉かけ流しの温泉。白浜温泉と雄大な景色が一度に楽しめる贅沢な足湯です。足拭用のタオルをお忘れなく。
■三段壁足湯
料金 | 無料 |
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時間 | 9時~16時30分 |
定休日 | 無休(12月に数日点検休館あり)※雨天時の利用不可 |
建物内には、無料撮影スポットも。スタッフお手製のグッズと一緒に記念写真を撮りましょう。その他、おみくじ付きのお箸(200円~)や1枚から購入できるレトロなポストカード(50円)など、記念になるお土産の購入や、三段壁洞窟入場受付カウンターでは牟婁弁財天の御朱印(300円)もいただけます。
建物内では、無料でベビーカーや荷物(貴重品以外)を預かってもらえるので、遊歩道へ行く前に立ち寄ると便利です。
ランチにおすすめの食堂「漁火」
日替わり定食(900円)
市営駐車場から三段壁に向かう「さんだん通り」沿いにある「三段壁 漁火」は、観光地でありながら地元の人も通うお墨付きのお店です。店先で焼かれた海産物をはじめ、麺類(600円)や丼類(800円~)、定食(900円~)と、ファミリーで満足できるメニューがズラリ。
定食の副菜に生マグロのお刺身が!
新鮮な魚介類をふんだんに使った料理は地元の人をも唸らせる味。なかでも、マグロは全て生マグロを使用するというこだわり。生マグロ水揚げ日本一を誇る和歌山県ならではですね。もっちりとした食感のマグロのお刺身は、子どもも大好き。スタッフは気さくな方ばかりなので、子どもの食べ物の好みなどはご相談を。
かわいいスイーツもあるので、おやつタイムも楽しめますよ。
■三段壁 漁火
住所 | 和歌山県西牟婁郡白浜町2927-1842 |
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問合先 | 0739-43-3662 |
時間 | 8時30分~17時30分 |
定休日 | 不定休 |
アクセスは?電車・バス利用も便利
【電車・バスを利用】
JR白浜駅(特急停車)から明光バス三段壁行きで21分、終点下車徒歩2分。
バス停と駐車場の間にある道(さんだん通り)を下ってゆきます
【車利用】
紀勢道 南紀白浜ICから県道34号経由約8.8km13分
駐車場:三段壁町営駐車場あり(無料、30台) ※近隣に民間有料駐車場有
マップコード:953 580 473*67
三段壁町営駐車場から車で3分(徒歩13分)ほどの場所に、岩だたみのような景観で有名な「千畳敷」があります。こちらにあるお土産や食事ができる施設では、オムツ替えシートを備えたトイレがあります。
和歌山県で2カ所目に「恋人の聖地」として選定された三段壁。展望台の手前には、ハートのモニュメントも設置されています。三段壁洞窟で販売されているお土産などに“おみくじ”が添えられているのもこのせいかな?
三段壁・三段壁洞窟には残念ながら、授乳室やおむつ替えシートといった赤ちゃん向きの設備はありませんが、90分ほどで十分堪能できる場所です。古の熊野水軍から現代のサドンロックまで、夢いっぱいのスポット。ぜひ足を運んでみてください。
■三段壁展望台
- 見学自由
■三段壁遊歩道
- 見学自由
- 時間:4/1~6/30、9/1~9/30(8~18時)、7/1~8/31(8~19時)、10/1~3/31(8~17時)
■三段壁洞窟
営業時間 | 8~17時(入場は~16時50分) |
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定休日 | 無休(12月に数日点検休館あり) |
料金 | 大人(中学生以上)1300円、子ども(小学生)650円、小学生未満無料 |
●新型コロナウイルス感染症対策により、記事内容・営業時間・定休日・サービス内容(酒類の提供)等が変更になる場合があります。事前に店舗・施設等へご確認されることをおすすめします。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
●旅行中は「新しい旅のエチケット」実施のご協力をお願いします。