知的好奇心がすくすく育つ学びスポット!
多摩丘陵の上にある広大な多摩動物公園内の「昆虫園」。日本最大級の放チョウ温室があることで知られています。ほかにも、日本で唯一飼育されている巣のなかでキノコを栽培するという変わった習性もつ「ハキリアリ」などを観察することができます。虫たちの生態が分かるような展示がたくさんそろっており、図鑑や写真だけでは分からない、生きている虫たちの動きを実際に見ることで、知っている虫でも新しい発見や気付きに出会えるかもしれません。
子どもの知的好奇心は身近な“学びスポット”で育む!
子どもの脳の発達の原動力となり、将来の可能性を広げてくれるのが知的好奇心。その知的好奇心を育むスポットは東京周辺にたくさんあります。脳医学者の瀧 靖之(たき やすゆき)先生、そして宇宙・動物・昆虫・アートなどの各テーマの“達人”たちと選んだ東京周辺にある “学びスポット”を紹介します。どこも、「知るのが楽しい!面白い!」と思わせてくれる、工夫にあふれた施設ばかり。コロナ禍が続くいまだからこそ輝く身近な“学びスポット”へ出かけてみませんか。
監修:瀧 靖之(たき やすゆき)先生
東北大学加齢医学研究所教授
医師。医学博士。東北大学加齢医学研究所および東北大学東北メディカル・メガバンク機構で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究に従事。読影や解析をした脳MRIはこれまで16万人以上にのぼる。
知的好奇心で培われる、8つの“育つ力“
子どもの知的好奇心を刺激することで培われる力を、瀧 靖之先生が8つ選定。「洞察力」「思考力」「想像力」「発想力」「思いやり」など、施設ごとに“育つ力”を付記しました。
» 脳医学者の瀧 靖之先生に聞く!「知的好奇心」で育つ8つの力
»「国立科学博物館」は知的好奇心をくすぐる展示や学びの仕掛けが満載!
多摩動物公園 昆虫園で育つ子どもの力
知的好奇心が育つと、子どものどんな力が育つのかをチェック!多摩動物公園 昆虫園では、とくにどんなところが子どもの知的好奇心をくすぐるのか、昆虫に詳しい達人に教えてもらいました。
昆虫の達人 堀川ランプさん
ほりかわらんぷ●昆虫芸人・イラストレーター。日本大学大学院生物資源科学研究科修士課程修了。芸人のかたわら昆虫好きが高じ、昆虫に関する記事監修やイラスト執筆でも活躍。
■堀川ランプさんコメント
多摩動物公園昆虫園は、昆虫の生態(どんなものを食べる?どんなふうに成長する?など)に焦点をあてた展示が多いのが特徴です。深く昆虫について知ることができますよ!
» 昆虫が大好き!!|採集・飼育・生態解説から全国の昆虫館・体験スポットまで
» 昆虫の達人「昆虫芸人 堀川ランプさん」に聞きました!昆虫の魅力やお仕事って?
多摩動物公園 昆虫園ってこんなところ!
昆虫園は本館と生態園の2つの建物に分かれています。本館には「ハキリアリ」や大きくてカッコいい「ヘラクレスオオカブト」、「サカダチコノハナナフシ」のほか、木の葉によく似た色や形をして隠れている「オオコノハムシ」など、見ているだけでも面白い虫がいっぱいいます。生態園には大きな大温室があり年間を通してさまざまなチョウを見ることができます。
所要:1~2時間
おすすめの年齢:4歳~
住所 | 日野市程久保7-1-1 多摩動物公園内 |
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電話 | 042-591-1611 |
営業時間 | 9時30分~17時(昆虫園は16時まで) |
定休日 | 水曜(休日及び10月1日は開園し翌平日休)、12月29日~1月1日 |
料金 | 一般600円、中学生200円、小学生以下無料 (多摩動物公園の入園料) |
アクセス | 京王線ほか多摩動物公園駅から徒歩すぐ |
駐車場 | なし |
<施設データ>
- 子ども用トイレ:✕
- おむつ替え:〇
- 授乳室:〇
- ベビーカー利用:✕(昆虫園本館のみ可)
- ベビーカー貸出:✕(動物園内にあり)
- コインロッカー:✕(動物園内にあり)
- 館内飲食店:✕(動物園内にあり)
- 館内売店:✕(動物園内にあり)
おすすめのアクセス方法は?
車を止められる一般向けの駐車場がないので公共交通機関の利用がおすすめです。
京王多摩動物公園駅もしくは多摩都市モノレール多摩動物公園駅から徒歩すぐのところにあるのでどちらかを使うのが便利です。
おすすめの遊び方
多摩動物公園昆虫園はさまざまな動物たちを飼育、展示している多摩動物公園の園内にあります。入園料を払えば昆虫園だけでなく、オラウータンが高さ約15mのロープを移動する「スカイウォーク」がある「アジア園」や、子どもに人気のキリン、アフリカゾウなどが飼育されている「アフリカ園」なども見学できます。こちらも合わせて見に行けるようにスケジュールを調整するのがオススメです。園内はとても広く山の傾斜がきつい場所も多いので、歩くのが大変な場合は園内を巡回している「シャトルバス」が利用できます。様々な動物や昆虫たちをじっくり観察するもよし、興味のある生き物のスポットを選んで足を運ぶのもアリです。
色とりどりのチョウが舞う昆虫生態園の大温室
まずは昆虫園の目玉スポット、昆虫生態園の「大温室」へ行ってみましょう。日本最大級の規模を誇る大温室では、一年中、たくさんの種類のチョウが広い空間を舞っています。熱帯の植物を植えた温室ではチョウが飛翔するだけでなく、産卵する姿も観察することができ、虫たちが普段どのように過ごしているのか学ぶこともできます。フォトスポットとしてもオススメですよ!
昆虫が生息するさまざまな自然をイメージした大温室の中にはひらひらと舞うチョウだけでなく、足元の草むらにもトノサマバッタなど虫たちが隠れていることもあります。自然に近い環境にいる虫たちの姿を、目を凝らしてさがしてみましょう。
本州では見られない白地に黒い筋模様がある「オオゴマダラ」や「リュウキュウアサギマダラ」など花の蜜を吸う様子まで観察できます。花に止まっている時は写真が撮りやすくじっくり観察もできます。
チョウ育成室ものぞいてみよう!
大温室がある昆虫生態園のチョウ育成室では、成虫に羽化する前のオオゴマダラのサナギの幼虫やさなぎの姿を観察することができます。きらびやかなオオゴマダラのサナギから羽化し、国内最大級の大きさを誇る成虫の姿は大温室でも見ることが出来ます。
生態園の出口付近もお見逃しなく!
大温室がある昆虫生態園の出口付近には両生類展示場があります。展示されている大型の特注水槽には「ヤマアカガエル」や「アズマヒキガエル」など里山で暮らすカエルの姿を間近で観察することができます。イラストを使った分かりやすい解説も必見です。
日本にはいない珍しい虫たちをチェック!
昆虫園の本館では、日本に生息していない不思議な生態や特徴をもった海外の虫たちも見ることが出来ます。
昆虫園本館2階には、「まなび」をテーマにナナフシや甲虫類の実物展示、昆虫のからだや動きを説明する模型、標本、グラフィックパネルなどを展示している「標本展示室」があります。カブトムシやトンボ、チョウなど様々な昆虫の標本が解説と共に展示されています。
同じく本館2階には、世界各国か集められた虫を展示する「外国産昆虫コーナー」もあります。図鑑にも載っている有名な昆虫も見ることが出来るスポットです。
世界最大のカブトムシとして子どもや大人にも人気の「ヘラクレスオオカブト」や世界一重たい昆虫と言われる「サカダチコノハナナフシ」など、日本にはいない大きな虫は迫力満点!
世界最重量級とも言われる「サカダチコノハナナフシ」はマレーシアなど東南アジアに生息する大型のナナフシ。外敵に襲われたときに背中を反らせ、後脚を大きく開いて振り上げる様子からその名がついたそうです。
外国産昆虫コーナーでは緑の葉っぱや落ち葉、木の枝によく似た虫たちが展示されています。擬態する昆虫として有名な「オオコノハムシ」など、じっと隠れている虫を見つけるにはよく観察しないと見つけられません。家族で誰が一番たくさん見つけられるか競っても楽しいかもしれませんよ!
キノコを栽培する不思議なアリに注目!
昆虫園の本館には、葉を切り取って巣に運び、菌類を育てて食べるという独自の生態を持つ「ハキリアリ」を展示しています。日本ではここでしか見ることのできない貴重な展示です。アリの群れが分業により巣を管理している様子を見ることができます。葉を切るアリや運ばれてきた葉を細かくしてキノコを栽培するアリなど、それぞれの仕事をしている様子をじっくり観察してみましょう。
オリジナルグッズも揃うギフトショップ
動物園の正門を入ってすぐのところにあるギフトショップ。展示動物を中心に、「オリジナルカード図鑑」や「ハキリアリグッズ」などここでしか買えない商品を販売しています。昆虫園にいる「ハキリアリ」をデザインしたソックスやマスキングテープは、多摩動物公園ならではの一品です。
●ハキリアリグッズ
昆虫園にいる「ハキリアリ」をデザインしたソックス(1320円)やマスキングテープ(528円)。切り取った葉っぱを巣まで運んでいく姿がかわいくデフォルメされているスタッフオススメのグッズです。
●昆虫グッズ
カブトムシやテントウムシなど人気の虫をあしらった優しい風合いの昆虫トートバッグ(各880円)。普段使いにもピッタリなデザイン。ほかにもメモパッドも販売しています。
●オリジナル昆虫カード図鑑
虫や昆虫に興味を持った子どもにオススメな「オリジナル昆虫カード図鑑」(495円)や書籍「昆虫館はスゴイ!」(1760円)なども扱っています。カード図鑑は、多摩動物公園の昆虫園飼育担当者が監修した子ども向けの内容になっているロングセラーグッズです。
- 営業時間:施設に準ずる
- 定休日:施設に準ずる
お腹が空いたらサバンナキッチンへGO!
アフリカ園の高台にある2階建て無料休憩所併設の飲食店「サバンナキッチン」ではご飯ものやうどんセット、子ども向けメニューも販売しています。フードセットやケーキなども販売しているのでランチや、小腹が空いたときの軽食にもオススメです。
2階建てのサバンナキッチンには、天気の良い日にオススメな屋外テラス席もあります。陽気がいい日は外の空気を楽しみながら食事やお茶を楽しみましょう。
キリン柄のベビーチェアなども貸し出しているので小さな子どもがいても安心です。
- 時間:11~16時 ※営業時間やラストオーダーの時間は、季節や天候、イベントの都合で変更する場合あり。
- 休日:施設に準ずる
小さい子ども連れファミリーに嬉しい、施設や設備
園内各所のトイレには、男子トイレ、女子トイレともにオムツ交換台や子ども用補助便座があります。他にも授乳室は4か所あります。施設の場所は園内マップで事前に確認しておくと安心です。
昆虫園本館にはユニバーサルデザイントイレを完備。正門を入ってすぐの所にあるウォッチングセンターにはオストメイト対応トイレのほかに、コインロッカーや授乳室、救護室なども完備されているので、子どもが急に体調を崩した時にも安心です。
昆虫園本館にある授乳室は中が広く、個別にカーテンで仕切られた授乳スペースになっており設備がしっかりそろっています。トイレには幼児用の補助便座も用意されています。
多摩動物公園は、本館と生態園合わせて100種類以上の昆虫たちを観察できる昆虫園をはじめ、さまざまな動物たちがのびのびと暮らす様子が観察できるのが魅力です。子どもが興味や関心のある生き物をじっくり見るのにも、新しいジャンルへの興味の幅を広げるのにもピッタリです。子どもの成長と共に何度も足を運びたくなるスポットとしてオススメです。
写真提供:(公財)東京動物園協会
※コロナ感染予防のため展示の休止や一部入場を制限している場合があります。
●掲載の情報は予告なく変更になる場合があります。おでかけ前に各スポットへご確認ください。
●旅行中は「新しい旅のエチケット」実施のご協力をお願いします。
『るるぶKids こどもの知的好奇心がすくすく育つ学びスポット 東京周辺』
子どもたちの知的好奇心を刺激してくれる“学びスポット”全89施設をピックアップ。図鑑などでもお馴染みの「恐竜」「動物」「昆虫」「宇宙」「乗り物」、そして日常の延長として親子のコミュニケーションを楽しめる「アート」「絵本・アニメ」「にほんの歴史」を加えた8テーマに分けて紹介しています。監修者である脳医学者の瀧 靖之先生、そして各テーマの“達人”たちと選んだ“学びスポット”は、どこも子ども心をくすぐる工夫にあふれた施設ばかり。また巻頭には、瀧 靖之先生による「知的好奇心の伸ばし方」も収録しています。
子どもの成長にとって大事な知的好奇心を育てるスポットの数々。本書を参考に家族でおでかけしてみませんか。