滋賀県犬上郡にある「河内の風穴(かわちのかざあな)」は、鈴鹿山脈の麓にある巨大な鍾乳洞です。洞窟内に広がる大空間は、荒々しくも神秘的な美しさに息をのむほど。自然状況により日々変化し、現在も全体像は解明されておらず、観光鍾乳洞とは一味違う自然のままの鍾乳洞で、地底探検気分を味わえます。山肌にぽっかりと空いた小さな入口を目指して探検に出かけましょう。
河内の風穴ってどんなところ?所要時間は?
左上の青く光が差し込んでいる部分が入口
河内の風穴は、約55万年前にできたと言われている鈴鹿山脈に広がる総延長1万メートル以上もある鍾乳洞で、滋賀県天然記念物に指定されています。現在も全体像は解明されていませんが、鈴鹿山脈の反対側、三重県いなべ市の「篠立の風穴(しのだちのかざあな)」(三重県の天然記念物に指定)につながっているとも言われています。洞窟内で犬を放したら三重県伊勢市に出てきたという伝説が残っているのも納得できるような気がしますね。
観光エリアは入口から約200メートルの区間で、所要時間はゆっくり見て回っても20分ほどですが、受付から山道をゆっくりと10分ほど登るので、約30分を見ておけばよいでしょう。
洞窟内の歩道は整備されているものの、よちよち歩きの小さな子どもが一人で歩くには厳しいかもしれません。赤ちゃんを抱っこやおんぶで連れて行くことは可能ですが、狭小カ所狭いところでは十分注意して移動する必要があります。
洞窟内は1年を通して、12~13℃。夏場は薄手の上着を用意しておくとよいでしょう。足元はスニーカー、軍手があれば転んだ時に安心です。
洞窟へ出発!
河内の風穴入口までも探検気分
駐車場から橋を渡ると料金所があります。
八幡神社
山の大神
料金所の右隣には「八幡神社」、すぐ左先には「山の大神」が祀られていて、入山する前に探検の無事を祈りたくなる雰囲気です。
山の大神を過ぎるとトイレ(洋式・水洗)があります。ここから先にトイレ設備はありません。多目的トイレにはおむつ交換シートの設備があります。
なだらかな坂道を上ると前方に橋が見えてきます。橋が架かっている川の水は、鈴鹿山系から染み出したもの。大雨や雪解け水も河内の風穴などを通ってこの川に流れています。
橋を渡り整備された鉄製の階段を登ります。階段の足元は網目状になっているので、高いところが苦手な人は、少しドキドキするかもしれません。
いよいよ洞窟へ
網目状の階段を登り詰めた先に「ここを入るの?」と思うほど、“小さな穴”が…高さは1メートルほど。頭をぶつけないように腰をかがめて進みます。
少し進むと、立って歩ける高さの下り階段ですが、手すりを持つと冷たく濡れていて、いよいよ地底探検に行く雰囲気に気分が高揚します。
取材時は雪解け水が洞窟内を勢いよく流れ、従来の歩道が水没状態に
下りた先には、驚くほど大きな空間が広がっています。大広間と言われている1階部分は、最も高いところで約20mあり、広さは1190㎡もありますが、台風のような大雨や雪解けが一気に進む時期は、大量の水でいっぱいになり、水が引くまでは立ち入ることができません。
内部を見回しましょう。あちこちに大きな岩がゴロゴロと転がっています。これらの岩がいつ落ちたのか、どこから転がってきたのか、落ちて大きな空間ができたのかは想像のままに。
見上げて岩の間にテングコウモリがいないか探しましたが、この日は見つけることができませんでした。4~5月にかけて多く見かけるようですが、どうしても見たい(見つけたい)場合は、懐中電灯で洞壁を照らして探すのが良いようです。ただし、他のお客様の邪魔にならないように配慮することをお忘れなく。
大広間の端の階段を入口とは逆の方向に登ったところが2階で、広さは215㎡あります。
その先を更に上がったところが3階。ここは狭く33㎡で、行き止まりになっています。
少し手前の梯子を上った4階へ行きましょう。頭上に注意しながら上ります。
登りきったところは頭を打ちそうな場所に岩が迫っていますが、そこをクリアすると大人でも余裕で立って歩ける高さが広がっています。ここは116㎡あります。
奥の照明の近くまで行くと、わずかな灯りで苔が育っていました。条件が整えば根付くことができる苔の力強さに感動。
残念ながら、この先は立ち入り禁止区域となっているので、来た道を戻りましょう。
さっき上った梯子は、非常に急なので上ってきた態勢(後ろ向き)で降りていきます。
通路は、人一人通れる幅を対面通行となるので、広い場所で譲り合って進みます。
観光可能な場所では、残念ながら鍾乳石や石筍(せきじゅん)を見ることができませんが、地底探検気分は十分満喫できます。
- 営業時間:9~17時(受付~16時)/夏季9~18時(受付~17時)
- 定休日:大雨・積雪時
- 定休日:大人500円、子ども(5歳~小学生)300円
ランチは「風緑」で蕎麦がおすすめ
ランチは、河内の風穴のすぐそばにある「奥山の癒し処 風緑(かざみどり)」で、手打ち多賀そばはいかがでしょう。窓側の席からは、鈴鹿山系霊仙山から流れる芹川の景色を眺めながら食事を楽しめます(要予約)。
もりそばと天ぷらと黒豆ごはん
おすすめの「もりそばと天ぷらと黒豆ごはん」(1340円)は、ボリュームたっぷりなので、小さな子どもとならシェアしても満足できます。
単品でも注文ができるそばは、季節によって使い分けたそば粉を、店主が手打ちしたものです。
10種類を盛り合わせた天ぷらはサクサク。地元多賀の農産物が中心で、野菜の旨みを生かしています(内容は季節により変わります)。こちらも単品での注文が可能。
滋賀県産丹波の黒豆を使った色鮮やかな黒豆ご飯は、ボリュームたっぷりです。添えられた味噌も味わい深い。
かき氷 摘みたてイチゴ(650円)
スイーツは、一年中楽しめるかき氷を。芹谷の湧水を48時間自家製氷した氷を使っています。
地元の素材にこだわった蜜は、イチゴ、抹茶、カボチャなど種類も豊富。数量限定のものもあるので「どうしても食べたい」場合は、予約をしておくのがベストです。
■奥山の癒し処 風緑
住所 | 滋賀県犬上郡多賀町河内610 |
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TEL | 090-8932-1390 |
営業時間 | 11~15時 |
定休日 | 火・水曜、悪天候時は臨時休業 ※7/20~8/31は無休 |
URL |
アクセスは?車利用がベスト
【車利用】
- 名神高速彦根ICから国道306号経由12km20分
- 駐車場:あり/40台/90分400円
【電車を利用】
- 近江鉄道多賀大社前駅→車15分
※愛のりタクシー(予約型乗合タクシー)が1時間に1便あり。ただし、乗車希望の1時間以上前に予約が必要
■愛のりタクシー予約
- TEL:0749-22-1111(近江タクシー彦根営業所)
55万年前にでき、未だに全体像が解明されていない「河内の風穴」。自然が作り出した鍾乳洞は、子どもたちの想像力を育むかもしれません。家族で地底探検気分を満喫できる1日を過ごしてみませんか。
■河内の風穴
住所 | 滋賀県犬上郡多賀町河内宮前 |
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TEL | 0749-48-0552(河内風穴観光協会) |
営業時間 | 9~17時(受付~16時)/夏季9~18時(受付~17時) |
定休日 | 大雨・積雪時 |
料金 | 大人500円、子ども(5歳~小学生)300円 |
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