知的好奇心がすくすく育つ学びスポット!
民族学・文化人類学の研究所であり、世界最大級の民族学博物館である国立民族学博物館(通称、みんぱく)。日本の文化を世界各地の文化との関連の中で理解できるようにと、オセアニアを出発して東回りに世界を一周し、最後に日本にたどり着く展示構成になっています。アフリカ展示では屋台、カフェ展示で旅行気分を味わってみたり、音楽展示では世界の楽器の演奏動画を視聴してみたり。言語展示では子どもに大人気の絵本「はらぺこあおむし」を世界の言語で聞くこともできます。未就学児でも楽しめるスポットを厳選してご紹介します!
- 子どもの知的好奇心は身近な“学びスポット”で育む!
- 国立民族学博物館で育つ子どもの力
- 国立民族学博物館ってこんなところ!
- 展示場に入る前から世界の文化を知ることができる
- まずは巨大な船に圧倒される「オセアニア展示」からスタート
- 「ヨーロッパ展示」でいろんなパンの模型から食文化を知る
- 「アフリカ展示」は体感できるコーナーがいっぱい
- 自分たちが暮らす日本を知る「東アジア展示<日本の文化>」
- 「音楽展示」で世界の楽器を聞いてみよう
- 言語展示で「ことば」にフォーカス
- 国立民族学博物館ならではの体験にトライ!
- 子連れにおすすめ!館内の立ち寄りスポット
- 小さい子ども連れファミリーに嬉しい、施設や設備
- 『るるぶKids こどもの知的好奇心がすくすく育つ学びスポット 関西』
子どもの知的好奇心は身近な“学びスポット”で育む!
子どもの脳の発達の原動力となり、将来の可能性を広げてくれるのが知的好奇心。その知的好奇心を育むスポットは関西エリアにたくさんあります。脳医学者の瀧 靖之(たき やすゆき)先生、そして宇宙・動物・昆虫・アートなどの各テーマの“達人”たちと選んだ関西エリアにある “学びスポット”を紹介します。どこも、「知るのが楽しい!面白い!」と思わせてくれる、工夫にあふれた施設ばかり。コロナ禍が続くいまだからこそ輝く身近な“学びスポット”へ出かけてみませんか。
監修:瀧 靖之(たき やすゆき)先生
東北大学加齢医学研究所教授
医師。医学博士。東北大学加齢医学研究所および東北大学東北メディカル・メガバンク機構で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究に従事。読影や解析をした脳MRIはこれまで16万人以上にのぼる。
知的好奇心で培われる、8つの“育つ力“
子どもの知的好奇心を刺激することで培われる力を、瀧 靖之先生が8つ選定。「洞察力」「思考力」「想像力」「発想力」「思いやり」など、施設ごとに“育つ力”を付記しました。
» 脳医学者の瀧 靖之先生に聞く!「知的好奇心」で育つ8つの力
»「国立科学博物館」は知的好奇心をくすぐる展示や学びの仕掛けが満載!
国立民族学博物館で育つ子どもの力
知的好奇心が育つと、子どものどんな力が伸びるのかをチェック! 国立民族学博物館では、とくにどんなところが子どもの好奇心をくすぐるのか見てみましょう。
■ライターコメント
普段の生活では出合えない貴重な資料が数多く展示されています。世界にはいろんな国があることや、日本の文化について親子で話し合うきっかけに。
国立民族学博物館ってこんなところ!
おすすめの遊び方&過ごし方
研究者が世界各国から収集してきた34万5000点を超える資料を所蔵する民族学博物館なので、とても広く、見応えたっぷり。すべてを巡ろうとするとかなりの時間が必要です。未就学児の場合は体感できるコーナーを中心にコンパクトに回ってみましょう。小学生以上の場合は子ども向けのパンフレットを参考にして見学するのもおすすめ。
万博記念公園の中にあるので、博物館の見学後に園内の遊具で遊んだり、ピクニックを楽しんだりしてもいいですね。
おすすめのアクセス方法は?
車の場合は吹田ICから約10分。専用駐車場はありませんが、万博記念公園の駐車場を利用できます。施設に一番近いのは日本庭園前駐車場で、ここから徒歩5分ほどです。公共交通機関の場合は大阪モノレール万博記念公園駅、または大阪モノレール公園東口駅から約15分。結構歩くので小さな子どもと一緒の場合はベビーカーがあると便利です。
所要:1時間30分
おすすめの年齢:6歳~
住所 | 大阪府吹田市千里万博公園10-1 |
---|---|
電話 | 06-6876-2151 |
営業時間 | 10~17時、最終入館は閉館30分前 |
定休日 | 水曜(祝日の場合は翌日) |
料金 | 580円、大学生250円、高校生以下無料、シニア(満65歳以上)490円 |
アクセス | 大阪モノレール万博記念公園駅から徒歩15分 |
駐車場 | 万博記念公園駐車場を利用(有料) |
<施設データ>
- 子ども用トイレ:✕
- おむつ替え:〇
- 授乳室:〇
- ベビーカー利用:〇
- ベビーカー貸出:〇
- コインロッカー:〇
- 館内飲食店:〇
- 館内売店:〇
- 持ち込み:〇
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国立民族学博物館 フロアマップ
画像提供:国立民族学博物館
画像提供:国立民族学博物館
展示場に入る前から世界の文化を知ることができる
入館したらまずは2階の受付へ。受付へと通じるアプローチから向かって左側には「イントロダクション」とよばれる4つの展示が、右側には世界のさまざまな地域の生活や文化を紹介した映像番組が視聴できる「ビデオテーク」のコーナーがあります。どちらも入場料不要、無料で見学・視聴できます。
「イントロダクション」の展示は、みんぱくの展示の見方や、文化人類学・民族学の考え方を直感的に身につけてもらうのがねらい。パネルに記されている「これは何?」といった問いかけに、親子で一緒に考えてみましょう。答えは展示物の近くに書いてあります。
受付にはパンフレットが置かれていて自由に手に取ることができます。こちらは子ども向けのパンフレットで、冒険マップのようなワクワクするデザインになっています。館内には12の地域展示と2つの通文化展示がありますが、ここからは特に子どもたちが興味をもってくれそうな展示をピックアップしてご紹介します。
まずは巨大な船に圧倒される「オセアニア展示」からスタート
海がほとんどの面積を占めているオセアニアの島々で暮らす人々の生活の様子を垣間見ることができる「オセアニア展示」。1975年、グアムよりさらに南に位置するサタワル島から星や星座をコンパス代わりにした伝統航海術で3000kmを走破し、日本の沖縄までたどり着いた「チェチェメニ号」が出迎えてくれます。
展示室の壁には精霊をあらわしたものなど興味深い造形の仮面たちが壁にズラリと並んでいます。なかには、子どもが誕生したときの祝いの儀礼で使われるという仮面も! 日本との文化の違いを小さい子どもでもわかりやすく感じ取ることができそうです。
「ヨーロッパ展示」でいろんなパンの模型から食文化を知る
ヨーロッパの伝統的な生活様式と宗教、産業などを紹介している「ヨーロッパ展示」。なかでも食文化のひとつ、パンを紹介するコーナーはユニーク。たくさんのパンの模型が並び、形状や材料、食べ方など、地域によって異なるパンについて詳しく知ることができます。
ほかに、アンティークのミシンやアイロンなども展示されています。今とは違う形や使用法に注目してみましょう。
「アフリカ展示」は体感できるコーナーがいっぱい
「アフリカ展示」には現在のアフリカに暮らす人たちの生活を紹介している展示があり、現地のお店がそのまま展示されています。上の写真はガーナのキオスク。日本では見たことがないパッケージ、商品がたくさんあって、いろいろな発見ができそうです。また、現地の道具と、その道具を使っている様子を収めた映像展示も興味深いです。
ザンビアという国で使われる水汲み用ポリタンクと現地の映像です。蛇口をひねれば水が出て、しかもその水が飲める日本。きっと子どもたちもこの映像から何かを感じ取ってくれるのではないでしょうか。
自分たちが暮らす日本を知る「東アジア展示<日本の文化>」
東アジアは細かく4つのエリアに分かれ、「東アジア展示<日本の文化>」では日本の文化に出合えます。日本の展示コーナーは「祭りと芸能」「日々のくらし」など4つのセクションで構成されています。
「祭りと芸能」で目を引くのは青森県弘前市のねぷた祭りです。大きなねぷたは迫力満点!青森周辺では「ねぶた」、弘前周辺では「ねぷた」と呼び名が変わるそうです。
写真は島根県津和野町の弥栄神社に伝わる「津和野の鷺舞」の展示です。ほかにも各地に伝わる祭りと芸能の紹介があり、地域によって多様な民俗風習があることに気づかされます。
「日々のくらし」に展示されている「秋山郷のすまい」は、長野と新潟にまたがる豪雪地帯の昔の民家を移築したものだそうです。雪国らしく、わらぐつやかんじきらしきものが見え、自分たちが住んでいる場所とは異なる地域の暮らしぶりを知ることができます。
「音楽展示」で世界の楽器を聞いてみよう
古くからのコミュニケーションツールである音楽をテーマにした展示コーナー。世界各地の「太鼓」、「ゴング」、「チャルメラ」、「ギター」などが展示されており、画面のボタンを押すとその楽器の演奏動画を視聴できます。同じ太鼓でも、国によって形も音も異なります。楽器に使われている素材にフォーカスしてみるのもおもしろいですよ。
音楽展示の中央にはプロジェクションマッピングの機械が設置されています。機械から流れてくる音によってライトの模様が変化し、さらには床に映し出されたライトを踏むと、模様が足の形に合わせて動きます! ぜひ試してみてください。
言語展示で「ことば」にフォーカス
「言語展示」で子どもたちに体験してほしいのが、世界中で愛されている絵本『はらぺこあおむし』の朗読をさまざまな国の言語で聞いてみること。英語、中国語、スペイン語、アラビア語など、いろんな言語で楽しむことができます。聞きたい言語の絵本を選び、機械の上に置くと音声が流れる仕組みになっています。
1文字のひらがなの中にある小さい音たち。その小さな音を組み合わせて遊ぶ「ことばスタンプ」。イラストは絵本作家・五味太郎氏によるものなので、子どもたちにも親しみやすいでしょう。
「ももたろう装置」は日本各地の方言で語られる昔話「ももたろう」を視聴できる機械です。方言のほか、若ものことば(東京・大阪・沖縄)というスイッチもあります。
国立民族学博物館ならではの体験にトライ!
「東南アジア展示」で民族音楽を体験
東南アジア展示の一角に置いてある金属製打楽器は実際に触れることができます。演奏動画が流れているので、映像のマネをして東南アジア特有のリズムを体験してみましょう。
- 【時間】随時
- 【料金】無料
- 【予約受付】不要
「みんぱくシアター」で世界の暮らしをのぞいてみよう
写真:国立民族学博物館提供
2022年3月にオープンした、世界の人びとの生活や儀礼、芸能、技術などを記録した番組を上映するコーナーです。大型スクリーンの「シアタールーム1」と、少人数用の「シアタールーム2~5」があり、入館料不要で利用できます。上映スケジュールはHPで確認を。
- 【時間】随時
- 【料金】無料
- 【定員】シアタールーム1は40名、シアタールーム2~5は最大2名までが3ブース、最大5名までが1ブースあり
- 【予約受付】不要
「探究ひろば」で“気になる”をもっと追求!
写真:国立民族学博物館提供
展示資料に関するさまざまな情報をパソコンで検索できる「探究ひろば」。また、体感することの大切さを知ってほしいと、実際にさわれる展示物も何点か設置されています。こちらも入館料不要で利用できます。
- 【時間】随時
- 【料金】無料
- 【予約受付】不要
子連れにおすすめ!館内の立ち寄りスポット
森の洋食 グリルみんぱく
博物館1階にあり、入館料不要で利用ができるレストラン。明るく開放的な空間で、ハンバーグやカレーなど定番の洋食メニューが食べられます。料理は配膳ロボットが運んでくれるので子どもも興味津々です。
写真:国立民族学博物館提供
ハンバーグステーキ定食1,500円のほか、自家製生パスタを使ったメニューも人気。子どもにはハンバーグやエビフライなどが盛られたキッズランチ800円がおすすめです。ケーキ600円もあり、見学後のひと休みにもぴったり。
- 【場所】1階
- 【営業時間】11時~16時30分(16時LO)
- 【定休日】施設に準ずる
くつろぎスペース・特別展示館休憩所
地下一階にあり、飲食OKの休憩スペースとして開放しています。2階の有料展示コーナーは当日中なら再入場が可能なので、お弁当休憩をはさみつつ、じっくり時間をかけて楽しむ、というプランも立てられます。また、どちらにもおむつ交換台が設置されたトイレがあるのも子連れにはうれしいポイントです。
小さい子ども連れファミリーに嬉しい、施設や設備
トイレは地下1階、1階、2階にあり、各トイレにおむつ交換台が設置されています。1階インフォメーション横のベビールームには授乳スペースのほか、おむつ交換台、給湯器もあります。利用の際はインフォメーションのスタッフに声をかけて。
1階には貸し出し用ベビーカーの用意もあります(無料)。希望する場合はインフォメーションのスタッフまで。
1階にあるコインロッカー。子どもと一緒に広い館内を見て回るなら、なるべく身軽にしておくのがおすすめです。
洋服や生活用品、祭事で使われる被り物など、さまざまな展示物を通して世界には多種多様な文化があることに気づかされます。ほとんどの展示物を間近で見ることができ、異国の空気感をダイレクトに感じられるのも魅力です。世界を知ることは、自分たちが住んでいる日本を知ることにもつながります。展示物から小さい子どもなりに何か気が付くことがあったら嬉しいですね。
●店舗・施設の休みは原則として年末年始・お盆休み・ゴールデンウィーク・臨時休業を省略しています。
●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。内容の変更が発生する場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。
『るるぶKids こどもの知的好奇心がすくすく育つ学びスポット 関西』
子どもたちの知的好奇心を刺激してくれる“学びスポット”全83施設をピックアップ。図鑑などでもお馴染みの「恐竜」「動物」「昆虫」「宇宙」「乗り物」、日常の延長として親子のコミュニケーションを楽しめる「アート」「絵本・アニメ」「にほんの歴史」「学べる工場」を加えた9テーマに分けて紹介しています。
監修者である脳医学者の瀧 靖之先生、そして各テーマの“達人”たちと選んだ“学びスポット”は、どこも子ども心をくすぐる工夫にあふれた施設ばかり。また巻頭には、瀧 靖之先生による「知的好奇心の伸ばし方」も収録していますよ。
子どもの成長にとって大事な知的好奇心を育てるスポットの数々。本書を参考に家族でおでかけしてみませんか。