「この花なあに?」なんとも愛らしいわが子の質問に答えたい!だけど花の名前がわからず答えられない…そんなお悩みの声が多々聞かれます。好奇心の芽を摘んでしまわない受け答え方は?親子の自然遊びに詳しい遊心®の峯岸さんにお聞きしました。親子のお花探しレポでは、具体的な受け答えのアドバイスとあわせて、夏のお花を紹介。パパママの予習にもお役立てください!
(監修プロフィール)遊心®峯岸由美子
一般社団法人 遊心®(ゆうしん)代表。「子どもと自然と家族が一緒!」をキーワードに、年間3000名を超える0歳~12歳の子育て家庭を対象にした自然体験プログラムを行なっている。日本シェアリングネイチャー協会トレーナー・指導者養成委員。「遊心®のfacebook」で、小さな子ども向けの遊びかたなどを随時発信中。
1.「この花なあに?」名前がわからないときは?
―― 「あ!お花だ!この花なあに?」名前がわからず答えられないときは、ずばり、どうしたらいいのでしょうか?峯岸さんにお聞きしました。
峯岸さん: おしゃべりが上手になる3~4歳ごろから、道端のいろいろなものを見つけては「これなあに?」という質問が盛んになってきますね。好奇心や観察力がすくすくと育っている証拠です。
つい「名前を正しく答えなければ」と思ってしまいがちですが、実は、幼児期の「これなあに?」は、名前が知りたいという欲求よりも、パパママに「自分の発見を教えたい!」「一緒にみて!」という気持ちの表れ。ですから「正解を答えなければ」と思わなくて大丈夫ですよ。
好奇心の芽をさまたげない、伸ばしてあげる受け答え方は、子どもの質問や発見を「そうね」「なんだろうね」と受けとめること。特に自然遊びにおいては、親の受けとめが発見を分かち合う体験や喜びとなり、自然への親しみへと広がっていきます。
ですから、名前を答える・教えるということにとらわれずに、まずは「受けとめる」ことを大切にして、おさんぽ時間をうんと楽しんでください。
2. 夏の花さんぽレポ! 受け答えのアドバイスつき
3歳のりおちゃんとパパのおさんぽに同行してみました。どんなお花が咲いているかな?峯岸さんからの受け答えのアドバイスも参考にしてみましょう。りおちゃん、さっそくお花を見つけたようです。
この花なあに? ―オシロイバナ
●ラッパみたい!きのこみたい!
りお: 「パパ! この花なあに?ラッパみたい、フーフー!あ、こっちのはきのこみたい!」
パパ: 「え?きのこ?」
りお: 「うん、ほら!ね、きのこみたい」
<受け答えアドバイス>
- 子どもは見立て遊びが得意です。口をとがらせてフーフーとする姿がとてもかわいいですね。パパは「ほんとだ!ラッパみたいだね!」と受けとめるだけでOK。子どもの見立ての表現を、言い換えずにそのまま返しましょう。りおちゃんの真似をして、一緒にフーフーするとますます楽しくそうです。
- もしも子どもの見立てが、パパママにはそうは見えなかった場合は、「どのへんがそうみえる?」と聞いてみましょう。
●この花は「オシロイバナ」
<お花の情報>
- 花の名前:オシロイバナ
- 名前の由来:花が咲いたあとに、黒い実がなります。この実を割ると、白いおしろいのような粉があることに由来しています。
- 花言葉:臆病・内気
<豆知識>
オシロイバナの英語名は「four o’clock(4時)」。名の通り、夕方4時ごろから翌日の午前中まで咲くのが特徴です。その様子が人目を避け、恥ずかしがっているように見えることから「臆病・内気」という花言葉がついたと言われています。開花期である夏は、次々を花が咲くので、一日中咲いている印象もあります。
※根や種には毒性があるので、子どもが触ったり誤食しないように注意しましょう。
この花なあに? ―ペチュニア
●パパにはこれ、ママにはこれね!
りお: 「あ、このお花なあに?りおちゃん、これ、パパとママにプレゼントしたい!パパはこれでー、ママはこれね!ピンクね」
<受け答えアドバイス>
- 大好きなパパママにプレゼントしたい。このお花が気に入ったのでしょうね。やさしい気持ちを「ありがとう」と受けとめましょう。パパとママもお気に入りの花を見つけて、プレゼントしあう「ごっこ遊び」をしてもよいですね。
- ただし、実際に花を採るのはNG!道端のお花は、誰かが大切に育てているものだったり、採ってはいけない希少種だったりといったケースが多々あります。「自然を楽しむマナー」として、勝手に採ってはいけないことをぜひ教えてあげてください。観察しながら、親子で会話のやり取りを楽しみましょう。
●この花は「ペチュニア」
<お花の情報>
- 花の名前:ペチュ二ア
- 名前の由来:見た目がタバコの花に似ていることから、ブラジル先住民の言葉でタバコを意味する「Petum(ペチュン)」に由来。
- 花言葉:心のやすらぎ
<豆知識>
春から夏にかけて、花壇などでよく見られます。赤・ピンク・紫・白など多くの品種があり、花の形はアサガオに似ています。触ると手がベトベトになることがあるので注意! これは、茎や葉に粘液を出しているせいで、アリやアブラムシが這い上がれないようにするためです。
この花なあに? ―デュランタ
●どうして、ちっちゃいの?
りお: 「ほらみて、りおちゃんの好きなパープルのお花!ちっちゃいね!このお花なあに?ねえ、どうしてちっちゃいの?」
<受け答えアドバイス>
- 小さな花の1つ1つがよく見えているのですね。「ほんとだ、よく見つけたね! 小さいね」と受けとめてあげましょう。
- 「どうして?」と聞かれても、親御さんが正解を持ち合わせていない場合は「どうしてかな?○○ちゃんはどうしてだと思う?」と本人に聞いてみましょう。もしかしたら、別のお花と比べているのかもしれませんね。子どもなりの理由や観察力に、驚かされることも多々ありますよ。
●この花は「デュランタ」
<お花の情報>
- 花の名前:デュランタ
- 名前の由来:16世紀の植物学者のドゥランテス博士の名前に由来。
- 花言葉:あなたを見守ります
<豆知識>
藤色や白の小花が房のように集まって開花します。6~9月によく見られ、特に暖かい地域では長く咲いています。なかでも、今回りおちゃんが見つけた紫に白い縁取りがあるのは「デュランタ・タカラヅカ」という品種。袴姿のタカラジェンヌを思わせることから名付けられたそうです。
この花なあに? ―ニチニチソウ
●どうして、とじてるの?
りお: 「このお花なあに? あれ? これとじちゃってるよ! どうしてとじてるの?」
パパ: 「これから咲くお花だね。明日見たら咲いてるかもよ」
りお: 「えーそうなのー? どうして咲いてないのー?」
<受け答えアドバイス>
- 「どうして」にやさしく答えても、何度も「どうして」と繰り返されることはよくありますね。これは相づちのようなもの。やっきになって説明する必要はありません。一緒にお花をじっくり見てみましょう。とじてるのはどんな形かな? 咲いてる花はどんな形かな? 花びらの数はいくつ? 葉っぱの形はどんなかな?見たままを言葉にするだけでOK。お花の名前そのものよりも、この親子の観察の時間が好奇心をぐんぐん育てますよ。
●この花は「ニチニチソウ」
<お花の情報>
- 花の名前:ニチニチソウ
- 名前の由来:初夏から秋にかけて、次々と花を咲かせ、花がたえないことから「日々草」と名付けられました。
- 花言葉:生涯の友情、楽しい思い出
<豆知識>
白・ピンク・赤・紫など、多くの品種があります。熱帯の花なので、暑さに強く丈夫。また見た目もとても可愛らしく、花壇やガーデニングで人気が高い花です。ツルツルと光沢のある葉が特徴です。
3.こんな花も探してみよう! 7~8月に咲くお花たち
地域や場所によって違いはありますが、7〜8月を中心とした夏の時期に、主に道端で見かけることがあるお花をご紹介しましょう。もし近所で同じ花を見つけたら、「この花なあに? 」に答えてあげてくださいね。
アサガオ
<お花の情報>
- 花の名前:アサガオ
- 名前の由来:早朝に咲き、昼にはしぼんでしまう特徴を、朝の美人の顔にたとえた「朝の容花(かおばな)」の意味。
- 花言葉:愛情 結束
<豆知識>
夏の花の代表格。小学校の植物観察で育てたことがある方も多いでしょう。庭先のフェンスなど絡みつくツルの特徴から「結束」という花言葉が生まれました。品種改良がさかんで、ピンク・白・青など、多様な色があります。
ヒルガオ
<お花の情報>
- 花の名前:ヒルガオ
- 名前の由来:アサガオ同様、開花時刻にちなみ、昼も咲き続けていることから命名。
- 花言葉:愛情 結束
<豆知識>
アサガオの仲間で、花の形もよく似ています。色はピンクのみです。
ドクダミ
<お花の情報>
- 花の名前:ドクダミ
- 名前の由来:毒や痛みに効くことから「毒痛み」が転じたもの
- 花言葉:野生
<豆知識>
十字の形をした白い花で、歩道の脇や空き地、野原など、全国のいたるところに咲いています。花言葉は、その生命力の強さを表したもの。触ると独特の強い香りが手につくので注意。古くから、薬草やお茶としても利用され親しまれています。
ヒメジョオン
<お花の情報>
- 花の名前:ヒメジョオン
- 名前の由来:漢字では「姫女菀」。「姫」は小さい、「女菀」は中国産の野草の意味です。
- 花言葉:素朴で清楚
<豆知識>
白く細い花びらがかわいらしい野花。道端や原っぱ、公園の片隅などにたくさん咲いています。ハルジオンとよく似ていますが、ヒメジョオンの方が花が小さく、葉が茎を包んでいるのが特徴です。
4. よく見る街路樹 子どもに教えたいクスノキの秘密
もし近所にお花があまりなくても、クスノキはあるかもしれません。
<クスノキの情報>
映画『となりのトトロ』のトトロが住む木としても知られているクスノキ。とても大きな木で、昔から神社などによく植えられています。葉に厚みがあり、また葉をつける密度が高い特徴から、近年は交通騒音低減の効果があるとして、街路樹としても見られるようになりました。
<豆知識>
クスノキの葉は、アオスジアゲハの幼虫の大好物。クスノキを見つけたら、ぜひ葉を見上げてみましょう。夏は、スカイブルーのラインが綺麗なアオスジアゲハが飛んでいることがあります。
また、クスノキは、「なんじゃもんじゃ」という愛称で呼ばれることも! なんじゃもんじゃとは、見慣れない大きな木や珍しい木に昔の人がつけた愛称で、クスノキもそのひとつ(地域によっては、ヒトツバタゴやニレ、ボダイジュなどもそう呼ばれます)。「なんじゃもんじゃ」、子どもが喜びそうな響きですね。
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