47都道府県それぞれの代表的な「特産品」をクローズアップ。【知る】【つくる】【学ぶ】の3つの視点から、特産品と各都道府県の関係をひも解きます。各地の歴史や風土だけでなく、意外な理由で生まれた特産品は、知れば知るほどおもしろい!
北海道で紹介するのは「サケ」。「北海道でなぜたくさんとれるの?」といった素朴な疑問からサケの郷土料理や水族館まで、親子で知りたい話題が盛りだくさんです。
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【知る】サケのひみつ
サケと北海道の歴史は古く、昔から北海道ではサケが食べられていました。道庁所在地・札幌市に隣接する石狩市では、縄文時代の遺跡からサケの捕獲用と思われる仕掛けが発見されています。道内ほぼ全域でサケはとれますが、特に有名なのは太平洋やオホーツク海が産地のもの。またサケの旬は秋で、定置網漁業が解禁となる9月から11月にかけてです。
北海道でサケがよくとれる理由
国内で水揚げされるサケマス類のうち、なんと約9割が北海道産! どうしてそんなにとれるかというと、サケには産まれた川(母川)に戻ってくる「母川回帰(ぼせんかいき)」の性質があり、そのサイクルを毎年繰り返すから。
昔は道内においてもサケの漁獲量は少なかったのですが、昭和40年代以降に「ふ化場(卵から稚魚になるまで過ごす施設)」の建設などにより放流数が増加し、徐々に漁獲量も増えました。
また、回帰率も本州よりも北海道の方が高いのも特徴。太平洋側を流れる寒流「親潮(おやしお)」の海水は栄養分が多く、魚のエサとなるプランクトンが豊富なのも一因です。しかしながら近年の温暖化により、冷たい海を好むサケの漁獲量の減少が社会問題になっています。
「サケ」と「サーモン」って同じなの!?
サーモンとサケは同じ魚で、呼び方が違うだけだと思っている人も多いのではないでしょうか。確かにいずれもサケ科の魚であり、見た目はほぼ変わりません。
一般的には、サーモンは養殖が多く、飼育時にエサを管理しているため、刺身など生で食べられるものがほとんどです。一方、サケは天然ものが多く、エサとして食べるプランクトンに寄生虫が含まれることがあるため、食べる際には加熱する必要があるとされています。
サケにもいろんな種類があります。日本で水揚げされるサケのほとんどが「白鮭」という種類で、そのなかでも秋にとれるサケを北海道では「秋鮭」といいます。また、「イクラ」は白鮭などのメスの卵のことを指し、お腹にある卵巣膜(らんそうまく)に卵が入ったままの状態が「筋子」といいます。白鮭のほかにも、ロシアやカナダ産が主流となる、身の色が赤っぽい「紅鮭」や、チリ産の養殖ものがメインの身が濃いオレンジ色をした「銀鮭」などがいます。
【つくる】サケのおいしい食べ方
古くから鮭を食べている北海道では、サケを使った郷土料理もあります! 全国的にも有名な味噌味の「ちゃんちゃん焼き」は、親子で協力して作ってみませんか。知る人ぞ知る冷凍料理の「ルイベ」も紹介します。
漁師料理から生まれた「サケのちゃんちゃん焼き」
「サケのちゃんちゃん焼き」は、サケと野菜を蒸し焼きにして味噌で味付けした料理です。昭和初期、石狩地方の漁師たちが釣ったサケをドラム缶から作った鉄板で焼いて食べたのが発祥と伝わっています。
名前の由来は、「ちゃっちゃと(素早く)作れるから」「お父ちゃん(・・・)が作るから」「焼くときに鉄板とヘラがチャンチャンという音をたてるから」など諸説あります。漁師料理ながら、現在では家庭料理とし広く知られ、地元のお祭りやイベントなどで振る舞われることも多いです。
簡単にレシピを紹介
- キャベツ、タマネギ、ニンジン、ピーマン、シメジをアルミホイルに乗せます。
- その上にサケを置き、味噌・砂糖・みりん・酒を混ぜたタレを塗って、最後にバターをON。
- ホイルを閉じて、水を入れたフライパンで蒸し焼きにしたら完成です!
古くから伝わる保存料理!「サケのルイベ」
「サケのルイベ」はサケを冷凍させてから、解凍せずに刺身にして食べる郷土料理です。凍った食感と、次第に溶けていく味わいが楽しめます。
「ルイベ」は、北海道の先住民族・アイヌ発祥の料理といわれています。アイヌの人たちが寒さの厳しい冬に備えて、捕獲したサケを雪の中で凍らせた保存食だったのです。
また、サケの身に潜む寄生虫を死滅させるうえでも、凍らせることが有効でした。名前の由来も、アイヌ語の「ルイペ(溶ける食料)」が語源だとされています。なお、現在は飲食店で食べられるほか、みやげ店でもタレに漬け込んだご飯に合う珍味、ルイベ漬けが購入できますよ。
ルイベの作り方は、新鮮なサケを洗って業務用冷凍庫で凍らせてから、サケの皮をむき、身を削るように切ります。醤油や薬味をつけて、溶けないうちに食べましょう!
※家庭での調理は衛生管理上、推奨しません。
【学ぶ】鮭の生態が学べるスポット
サケについて親子で楽しく学べる水族館があるのは、北海道ならでは。2つの水族館では、サケの成長の過程や生態について観察できる水槽が目玉です。サケの加工品などを集めた専門店でおみやげを買って、家で楽しむのもいいですね。
サケのふるさと 千歳水族館
北海道最大級の淡水魚水族館「サケのふるさと 千歳水族館」では、サケの仲間を中心に100種類におよぶ世界各地の淡水生物を観察できます。
3つの巨大な水槽が並ぶ迫力の「サーモンゾーン」や、秋に千歳川を遡上(そじょう=流れをさかのぼっていくこと)するサケの大群などが観察できる日本初の「水中観察ゾーン」は必見。また、ドクターフィッシュとの触れ合いも楽しめる体験ゾーンは、子どもにも大人気です。
住所 | 北海道千歳市花園2-312 |
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問合先 | 0123-42-3001 |
営業時間 | 9~17時(12~2月は10~16時) |
定休日 | 年末年始、メンテナンス休館あり |
料金 | 大人800円、高校生500円、小・中学生300円、乳幼児無料 |
アクセス | 公共機関:JR千歳駅から徒歩10分 車:道央自動車道千歳ICから5km10分 |
駐車場 | あり/213台/無料 |
URL |
標津サーモン科学館(サケの水族館)
サケの町・標津(しべつ)にある水族館「標津サーモン科学館」のサケ科魚類展示数は、18種・30種類で日本一。サケ(白鮭)をメインに紹介しています。
「魚道水槽」では、9~10月に標津川から水路でつながり、川をさかのぼるサケたちをガラス越しに間近で見られるなど、季節ごとの展示が見もの。歯がないので安心なチョウザメに指をかまれる「チョウザメ『指パク』体験コーナー」も話題です。
住所 | 北海道標津郡標津町北1条西6-1-1 標津サーモンパーク内 |
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問合先 | 0153-82-1141 |
営業時間 | 9時30分~17時(最終入館~16時30分) |
定休日 | 5~10月は無休、11月、2~4月は水曜(祝日の場合は翌日)、12~1月は冬期休館 |
料金 | 大人(高校生以上)650円、小・中学生200円、幼児無料 |
アクセス | 公共機関:JR釧路駅から阿寒バスで130分、バス停:標津バスターミナルから徒歩20分。※便数が少ないので注意 車:根室中標津空港から道道863号経由22㎞30分 |
駐車場 | あり/272台/無料 |
URL |
佐藤水産 サーモンファクトリー店
「佐藤水産 サーモンファクトリー店」は、自社工場直結の天然サケにこだわったサケの専門店です。
1階ではサケの切身を中心に加工品や作りたてのお総菜など、数多くの商品を取りそろえています。秋にはとれたての生筋子を販売! 2階には旬の魚介を使った季節限定メニューをはじめ、丼や定食、ラーメンなどの海鮮料理を味わうことができるレストラン「オールドリバー」があります。
<施設データ>
住所 | 北海道石狩市新港東1-54 |
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問合先 | 0120-625-090 |
営業時間 | 9時30分~17時30分(1〜3月は~17時) |
定休日 | 1月1日 |
アクセス | 車:JR札幌駅から国道231号経由18㎞30分 |
駐車場 | あり/250台/無料 |
URL |
【SDGs】北海道の鮭を自由に食べたり守ったりするために
北海道で漁獲されるサケは、天然だけでなく養殖による放流で生態系が守られています。この先も、サケを変わらず自由に食べたり守ったりするためにはどのようなSDGsを意識すればいいのか、親子で話し合ったり考えてみるといいですね。