親子の星空観察Q&A(星の数は?動きは?星座って?)見つけ方や便利な道具もチェック

星空観察

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「あ、お星さま!」親子で夜道を歩いていると、星に興味を抱く子どもは多いですよね。「星はどこにあるの?あの星座なあに?」などと次々と湧いてくる好奇心は、雄大な宇宙への興味関心にもつながっています。今回は、子どもたちから寄せられた星への素朴な疑問や、星座を見つけるコツなどを日本科学未来館・科学コミュニケーターの臼田麻純さんに教えてもらいました! 

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日本科学未来館 科学コミュニケーター 臼田麻純さん日本科学未来館 科学コミュニケーター 臼田麻純さん
美しい天の川を海外で見たことをきっかけに、星や宇宙に興味をもつように。その後「宇宙の面白さをもっと知りたい、みんなと共有したい」という思いから、日本科学未来館の科学コミュニケーターとして勤務。おもにロケットの解説や惑星をテーマにしたナイトツアーのガイドとして活躍。お気に入りの天体は月と、木星の衛星エウロパ。

目次(index)

1.親子で知っておきたい!星のギモンQ&A

星空解説

夜空に星があるのは大人には当たり前のことでも、子どもにとっては「なぜ?どうして?」がいっぱい。星にまつわる素朴な疑問を、日本科学未来館の臼田さんに聞いてみました。天体学習は小学4年生から始まりますが、キラキラとした星が大好きな幼児や低学年の子どもにも、わかりやすくお話しして、好奇心を広げてあげたいですね。大人にもおもしろい豆知識が満載です。

Q1:どうして星は夜だけみえるの?

A. 夜は太陽が沈むから
星は夜しか見えませんが、実は昼間も輝いているんです。なぜ昼間に星が見えないかというと、太陽の光が星の光よりも明るいため、隠れてしまっているのです。太陽が沈み、あたりが暗くなってくると星が見え始めてきます。(臼田さん 以下の回答も同)

Q2:星は季節ごとに変わるの?

A. 見える星は、季節ごとに変わる
星の位置は変わりませんが、地球が太陽のまわりを回っている(公転といいます)ので、季節に応じて太陽の方向にある星は見えなくなります
上のイラストを使って、地球を電車に見立ててみましょう。太陽のまわりを囲む丸いレールがあり、そこを地球電車が一年かけて一周しています。電車の窓から見えるのは、太陽と反対の方向にある星。太陽側の星は、太陽の光で隠れて見えません。春・夏・秋・冬で電車の位置が異なるので、見える星も季節ごとに違うのです。電車のほか、メリーゴーランドに例えて子どもに説明してあげてもわかりやすいでしょう。

Q3:星はどこにあるの?

A. 宇宙です!
星は空のもっとずっと上の「宇宙」にあります。でも、宇宙は上だけにあるわけではないんですよ。足のずっとずっと下にもあります。“足の下は地面だよ?”と思うかもしれません。実は私たちのいる地球は丸くて、地球のまわりをぐるっと取り巻いているのが宇宙です。だから、足のずっとずっと下のほうにも宇宙があり、そしてその宇宙に星があるんですね。

Q4:星までの距離はどのくらい?

星までの距離の解説

A. ものすごーく遠い!
地球と太陽の距離は1億4960万㎞あります。そして、太陽の次に地球に一番近い星(恒星=自分で輝いている星) であるケンタウルス座・アルファ星までは40兆㎞以上もあります。数字が大きすぎて、あまりピンとこないですよね。地球と太陽の距離を1mと仮定してみると、地球とアルファ星までは、東京から名古屋を結んだぐらいの距離になります。とにかく、とてもとてもとても遠いのです。

<これも知ってる?>

  • ちなみに、どの星も同じくらいの距離にあるように思うかもしれませんが、同じ方向にあっても、距離はすべてバラバラです。オリオン座の真ん中にある三ツ星は、私たち地球から見ると横に仲良く並んでいるように見えますが、実は全て違う距離にあるんですよ。
  • よく耳にする「光年」は、光の速さをもとにした天文学の距離の単位で、「1光年=光が1年間に進む距離」。光は1秒間に地球を約7周半(=約30万km)まわります。これを1年に換算すると、1光年=約9兆5000億kmということになります。上記のアルファ星までは約4.4光年です。また光年は、距離と同時に時間も表していて、100光年は100年昔の姿を目にしていることになります。宇宙の雄大さをイメージできるでしょうか?

Q5:どんな天気のときに見えるの?

A.晴れた日
星は、水蒸気が少なく乾燥した空気だとよく見えます。よって、雨や曇りでは見えづらく、晴れた日の夜はよく見えます。季節は夏よりも、乾燥した冬のほうがよく見えます。

Q6:星の動き方は?

A. 太陽と同じ、東から西へ
星は、正確には動きません。けれど、地球が1日1回、回っている(自転といいます)ので、私たちの目には星が動いているように見えます。動き方は太陽と同じ、東から昇り、西に沈みます。

<これも知ってる?>

  • 北の空に見える北極星は、たまたま地球の自転の軸の延長線上にあるので、動かないように見えます。よって、北極星は昔から方角を知る目印として使われてきたんですよ。

Q7:星は何個あるの?

A.日本から肉眼で見える星は約4300個
星の明るさは等級にわかれていて、一番明るい星は一等星と呼ばれます。この一等星の数は21個。そして、肉眼で見ることのできる六等星ぐらいまでで8600個あると言われています。これは地球全体から見える星の数で、実際には地平線から上半分しか見えないことを考えると、日本から見える星の数は半分の4300個ぐらいでしょうか。ですが、都心部や街中では、建物の明かりの影響で、肉眼で見える星の数はぐっと減ってしまいます。

Q8:星座はいくつあるの?誰が決めたの?

星座のイラスト

A.現在の星座の数は88個
星座は5000年前、現在のイラクのあたり、メソポタミア地方でうまれたそうです。星は季節の変化や方角を知る目印とされていて、ギリシャ神話と結びついて名前がつけられたと言われています。その後、1900年程前に、ギリシャの天文学者クラウディオス・プトレマイオスが整理し、48個の星座にまとめました。しかし、それはギリシャのある北半球から見える星座だけ。やがて南半球へ人々が船に乗って旅するようになると、いろいろな人々が勝手に星座を作るようになり、“これ以上増えると空が大混雑!”という状況になってしまいました。そこで1928年、国際天文学連合が88個の星座にまとめ、現在にいたっています。

Q9.誕生日に自分の星座は見られる?

A.残念ながら、誕生日に誕生星座は見えません!

誕生星座図

子どもたちが星に興味を持ち始めてから、一番にまず見たがるのが「自分の誕生星座」です。星占いでもなじみがある12の誕生星座は、先述のプトレマイオスが「生まれた日に太陽と同じ方向にある星座」として定めたものと言われています。太陽と同じ方向ということは、つまり、太陽の光の明るさでその星座は見えないのです。残念ですね。

2.星を見つけやすい場所とコツ

空を見上げれば無数の星が見えますが、お目当ての星や星座を探すとなるとなかなか難しいもの。星空観察におすすめの場所や星座の見つけ方を紹介します。

都心部の星空

星を見つけやすい場所は?

都心部や街中でも、星を見つけやすい場所はあるのでしょうか?

「公園やグラウンド、橋の上などがおすすめです。なるべく建物の灯りが少なく、空が開けた場所を探してみましょう。高い建物が多い場所でも、周囲の明かりが消えていているビルの谷間などは、かえってよく見える可能性がありますよ」(臼田さん)

公園やグラウンドは夜間は入れない場合もあるので、事前に確認しておくと安心ですね。

家のベランダから見るときは?

星を見ようと家のベランダに出てみたけれど、すぐに見えなくて子どもが飽きちゃう…ということもあります。

「明るいところから移動してすぐは、目が慣れないので、星を見つけにくいのです。家のベランダで見るときは、まず部屋を暗くして、暗さに目を慣らしてから見るようにするといいですよ。あせらずじっくり眺めてみましょう」(臼田さん)

星座の見つけ方・コツは?

星がきれいに見えるのは、晴れた日の月明かりが少ない夜。

「星がどのくらい見えやすい日か調べられる日本気象協会の星空指数はおすすめです。天気や月の満ち欠けを元に指数が計算されていて、星空観察に役立ちますよ」(臼田さん)

日本気象協会 星空指数:https://tenki.jp/indexes/starry_sky/

新宿区の星空指数

今日の星はどのくらい見える?日本気象協会の星空指数

また、星座を探すときに手がかりになるのは、明るい星と星の配置

「少しでもその予備知識があったほうが、いざ星空を見たときにイメージしやすく、楽しさもアップします。親子で図鑑やプラネタリスムを見るなどして、予習をしておくこともおすすめです。星座早見盤(詳しくは後述)も使うといいでしょう」(臼田さん)

3.星空観察にあると便利な道具

なにげなく星を見るのも楽しいですが、より星空観察を楽しむためにあると便利なアイテムも教えてもらいました。

おすすめの持ち物

●レジャーシート

星を見るためにずっと上を向いていると、案外首が痛くなり、長い時間は見られません。

「近くの公園などにレジャーシートを持って出かけ、親子で寝転がって星空を眺めるととても楽しいですよ」(臼田さん)

家のベランダからちょこっと眺めるのもいいですが、夜のお出かけでの星空観察は、よりワクワクしそうですね。

●ノートと筆記用具

見た日時、方角、見えた星座などを、ぜひメモしておきましょう。時間や日によって見える星が違うことがわかる記録にもなります。

見えた星座の神話を、親子で自由に考えたり、絵に描いて記録しておくのも楽しいですね。神話は内容が子どもには難しいものもあるので、自由に空想して楽しんでもいいと思います」(臼田さん)

●懐中電灯

足元や記録するときの手元が見えやすいよう、明かりを持っていると安心。ヘッドライト型だと両手が空くのでより便利です。子どものテンションもあがります。

●防寒具や虫除け

星空観察は屋外なので、しっかりと防寒を。焦らずにゆっくりと眺めることも星空観察の楽しみのひとつです。家のベランダから眺める場合にも、すぐに部屋に戻りたくなってしまわないよう、防寒対策をしておくといいですね。夏は虫よけを忘れずに。

これもあると便利!

星座早見盤とコンパス

星座早見盤

星座早見盤とは、円盤の日付と時刻の目盛りを合わせると、そのときに見える星が一目でわかるというもの。各地の科学館やプラネタリウム、またはネットショップなどで数百円程で購入できます。小さな子どもにもわかりやすいイラスト入りのものや、暗闇で光る仕様のものなど、いろいろなタイプがあり、持っていると星空観察がぐっと楽しくなります。なお、星空早見盤を使うには方角も調べるため、コンパスも必要です。

「最近はスマホの星空ガイドアプリも充実しています。GPS機能もあるので方角確認が不要でとても便利です。ただし、子どもは星座早見盤やコンパスなどの道具を自分で動かして使うことも楽しみのひとつなので、年齢や状況に応じて使い分けるといいと思います」(臼田さん)

●双眼鏡

双眼鏡

双眼鏡は、肉眼よりも星が大きく見えるので、子どもの興味の広がりにつながりやすいアイテム。

「最初から双眼鏡を使うと視野が狭くなってしまうので、まずは肉眼で夜空をじっくり眺めてみてください。肉眼で星座を見つけたら、双眼鏡で大きくして見てみるといいですね。ただし、小さな子どもはピントが合わせにくかったり、重さが負担になる場合もあります。最初はあまり高価なものではなく、手頃なものがいいと思います」(臼田さん)

●天体望遠鏡

天体望遠鏡

天体望遠鏡があると、星だけでなく、大迫力の月や惑星も見ることができて、より宇宙への好奇心が広がっていきそうです。

「私は天体望遠鏡で土星の輪っかを見たときはとても感動しました!数千円で買えるものから本格的なものまで値段の幅が広く、また、小さな子どもは片目で覗くのが難しい場合もあります。ですので、天体望遠鏡を使って星空観察を体験できる各地の科学館や博物館などに出かけて、一度体験してから検討するのがおすすめです。」(臼田さん)

4.星空観察の前の予習におすすめ!

「お目当ての星座を、予習なしに見つけるのはなかなか難しいです」と臼田さん。たしかに、よく見たら飛行機だった、全然違う星だったといった経験は少なからずあるもの。星空観察に出かける前の予習におすすめのツールを紹介します。

プラネタリウム

日本科学未来館のドームシアター

日本科学未来館のドームシアター 大迫力の全天周で科学や宇宙を体験できる。

星や天体のことを楽しく知るなら、やはりプラネタリウムがおすすめ!プラネタリウム館によって、さまざまに工夫をこらしたプログラムが上映されています。新型コロナの感染対策や営業時間などと共に、事前に内容を確認してから出かけるのがおすすめです。

YouTubeのプラネタリウム動画

今は、星にまつわるさまざまな動画配信をおうちで楽しむことができます。YouTubeで探して、親子で見てみるのもおすすめです。

●明石市立天文科学館 おうちで天文科学館♯1

幼児や小学生低学年を対象とした子ども向けのキッズプラネタリウムを定期的に上映している明石市立天文科学館のYouTubeチャンネル。プラネタリウムのオリジナルヒーロー、軌道星隊シゴセンジャーが登場して、自宅でも星座や宇宙の話を楽しめる動画を配信しています。かっこいいヒーローが好きな子はとくに楽しめそう!

YouTube:おうちで天文科学館♯1

●府中市郷土の森博物館 おうちで星座クイズ

プラネタリウム施設を有する府中市郷土の森博物館が、新型コロナの影響により休館していた期間(2020年3月〜5月)に、おうちでも楽しんでほしいと配信していた動画。現在も閲覧することができます。クイズは初級、中級、上級編があり、親子で楽しく学べそう! 公式サイト内では、最新の星図をダウンロードすることもできます。

動画の紹介ページ:おうちで星座クイズ

国立天文台の4次元デジタル宇宙ビュアーMitaka

天文学の研究機関である国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクトが公開しているフリーソフト。どなたでもダウンロードすることができ、宇宙の様子を立体的な映像で楽しめます。惑星にワープした映像が見られるなど、ゲーム感覚で楽しく宇宙が学べるのでおすすめです。

» 国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト

» 4次元デジタル宇宙ビュアーMitaka

星座や星の名前は小学生以来というママパパも多いでしょう。そうだった!と思い出しながら、あらためて子どもと一緒に星のことを知るのも楽しい親子時間ですね。イメージがわいたら、実際に星空を見に出かけてみませんか? 昼間とはちがう雰囲気に、わくわくするお出かけになりますよ!