47都道府県それぞれの代表的な「特産品」をクローズアップ。【知る】【つくる】【学ぶ】の3つの視点から、特産品と各都道府県の関係をひも解きます。各地の歴史や風土だけでなく、意外な理由で生まれた特産品は、知れば知るほどおもしろい!
愛媛県からは、全国トップクラスの生産量を誇る「みかん」を紹介。みかんをさまざまなことに活用する、愛媛県民のみかん愛にも注目です。
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【知る】おいしさのひみつは気候と地形にあり!?
愛媛県の中でも、海岸線に沿った傾斜地と瀬戸内の島々は、おいしいみかんの産地として有名です。瀬戸内海に面した段々畑で太陽の光と潮風をいっぱいに浴びて育つ。これが甘さと酸味のバランスが良いみかんができる理由です。
愛媛県がみかんの産地になったワケ
画像:PIXTA
愛媛県は一年を通して温暖で晴れの日が多く、畑の土も水はけが良く栄養分をたっぷり含んでいるので、もともとおいしいみかんを作る環境に恵まれた地域です。みかんの栽培が始まったのは江戸時代の終わりごろ。伊勢参りや四国巡礼で手に入れたみかんの苗木を、宇和島市吉田町で植えたことからといわれています。
1900年ごろから熱心に栽培する農家が増えはじめ、昭和43年(1968)には静岡県を抜いて生産量日本一となりました。近年、「みかん」単体では全国2位となっていますが、かんきつ類全体の生産量としては現在でも全国1位! これが愛媛県の「かんきつ王国」と呼ばれるゆえんです。
どうして愛媛県のみかんは甘くておいしいの?
瀬戸内海に面した愛媛県には、みかんがよく育つ気象条件が揃っています。「年間平均気温が15度以上」、「夏の日照時間が長い」、「潮風をたっぷり浴びたミネラルを含んだ土壌がある」などの条件が挙げられます。
愛媛県は平地が少ない地域なので、傾斜地を切り開いた段々畑で主にみかんが栽培されています。木が重なりにくい段々畑は太陽の恩恵をたっぷり受けられるうえ、適度に乾燥した状態を保てるので、おいしいみかん作りにぴったり。
なかでも、西宇和地域に代表される石垣に覆われた段々畑は有名です。石垣の石は熱が冷めにくいため、温かさを保つことができます。空から降り注ぐ光、海からの反射光、石垣からのふく射熱(照り返し)、この「3つの太陽」を浴びることで、愛媛県のみかんは甘くてジューシーな味わいになるのです。
愛媛県民のみかん愛がすごい!
画像:PIXTA
愛媛県民は地元のみかんを誇りに思い、みんなで応援しようという気持ちにあふれています。その象徴として、県内にはみかんにまつわるスポットが点在。松山市内にある観光物産館や松山空港では「みかんジュースが出る蛇口」が設置され、訪れる人々を喜ばせています。
さらに、県の花はみかん、県の旗にもみかんがあしらわれています。
郷土料理にもみかんが取り入れられています。愛媛県南部の地域に伝わる「みかんずし」には、その昔稀少だった米酢の代わりに、かんきつの果汁を使用。売り物にならないみかんを使った「みかんご飯」がルーツともいわれており、地元の学校給食にも登場します。
最近では、かんきつの搾りかすを餌にして育てる、「みかんぶり」や「みかん鯛」といった養殖魚の開発も盛んです。みかんの産地としての取り組みは今も広がりをみせ、愛媛県とみかんとのつながりの深さを感じられます。
みかんだけじゃない! さまざまなかんきつの品種
愛媛みかんの旬は10〜12月ですが、早めに実るものや遅れて実るもの、あるいはハウス栽培などによって、ほぼ一年中楽しめます。
ひと口に「みかん」といっても実は、一般的な「温州みかん」と、それ以外のかんきつ「中晩柑(ちゅうばんかん)」に分けることができます。その数なんと40種類以上! 技術や研究の成果によって、かんきつのおいしさが増し、新しい品種も生まれています。ここでは、愛媛県で栽培されている代表的なかんきつをご紹介しましょう。
定番の「温州みかん」はあっさりと食べやすく、だれからも愛される味わいです。甘みの詰まった大玉「甘平(かんぺい)」、みかんとオレンジのいいとこ取りをした「清見」、ヘタが大きく飛び出した個性的な形と甘さが魅力の「不知火(しらぬい、デコポン(R))」も人気。
ほかにも、甘みと酸味、さわやかな風味を感じられる「いよかん」、独特な芳香が特徴の「ポンカン」、大ぶりでみずみずしくほのかな苦みも感じられる「八朔(はっさく)」もファンが多い品種です。
【つくる】みかんのおいしい食べ方とレシピ
冬においしさが増すみかんは、ビタミンCの宝庫。1日に2~3個食べるだけで、1日に必要な量をとることができるので、風邪の予防にもぴったり。手軽にそのまま食べるのはもちろん、料理に使ってみるのもおすすめです。
白い筋も栄養アリ! みかんのおいしい食べ方
おいしいみかんの基準は、平べったくてヘタの部分が小さく、皮の色が濃くて肌がきめ細かいもの。さらに表面にツヤがあるみかんはみずみずしく、より一層ジューシーな味わいが楽しめるとか。
皮のむき方は、ヘタ側とお尻側、どちらからむいてもOK。ヘタ側からむくメリットは、「果心(かしん)」という実の中心にある白く硬い部分が取りやすくなります。さらに、「アルベド」と呼ばれる白い繊維状の組織も皮と一緒に付いてくるので、食べやすく、散らばることもありません。
反対にお尻側からむくメリットは、皮のむきやすさです。お尻側の少しくぼんだ部分に穴を開けるとき、指先の力加減に注意をすれば、手が汚れることもありません。実にアルベドが付いてきますが、アルベドには消化をサポートする食物繊維や免疫力を高めるとされるビタミンPが含まれているので、栄養たっぷり。気にならない人は、アルベドをはがさず一緒に食べてみて。
みかんの果汁でおすし! 愛媛県の郷土料理「みかんずし」
出典:農林水産省Webサイト
米をみかんジュースで炊いたみかんご飯をベースに、レンコンやシメサバなどを盛った「みかんずし」。ご飯にみかんの甘みが加わるので、合わせ酢の砂糖は、通常より少し控えるのがおすすめです。さまざまな具材をトッピングして、彩りよく盛り付けましょう。
簡単にレシピを紹介
- まずはトッピングの下ごしらえ。魚(サバやタイなど)は塩をふり、酢で締めます。レンコンを砂糖・塩・酢で味付けし、きぬさやは塩ゆでに。かまぼこも切っておきます。
- 次にすし飯作り。米をみかんの生ジュースと水を半々の割合で入れて炊きます。その間に、干しシイタケ、ゴボウ、油揚げ、ニンジン、みかんの皮をさっと煮ます。炊きあがったご飯に、合わせ酢と煮た具材を混ぜます。
- ②のすし飯の上に、①で作ったトッピングを彩りよく盛り付けたら完成です。
【学ぶ】みかんについて学べるスポット
「かんきつ王国・愛媛」には、みかんの魅力にふれられるスポットがたくさん! かわいいとおいしいが詰まった愛媛みかんの情報発信地で知識を深め、観光農園ではみかん狩りでみかんを味わい尽くしましょう。枝の先に垂れ下がって付いているみかんが、甘くておすすめです。
友浦園芸(愛媛県/今治市)
「友浦園芸」は、瀬戸内海に浮かぶ島々を眺めながらみかん狩りが楽しめる観光農園です。みかんだけでなく、11月には「紅まどんな」、12月には「はれひめ」、1月には「媛小春」、2月には「せとか」など、時期ごとにさまざまな収穫体験が楽しめます。併設された直売所で購入できる、とれたてのみかんはおみやげにもぴったり!
住所 | 愛媛県今治市宮窪町友浦282 |
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問合先 | 0897-86-2206(3日前までに要予約) |
営業時間 | 8時~16時30分(10~3月) |
定休日 | 期間中無休 |
料金 | みかん狩り・温州みかん:大人(中学生以上)1200円(おみやげ付き)、小人(小学生以下)600円 |
アクセス | 公共機関:瀬戸内海交通大島営業所から瀬戸内海交通バスで10分、バス停:友浦から徒歩12分 車:瀬戸内しまなみ街道大島北ICから国道317号線・市道経由5km約10分 |
駐車場 | あり/5台/無料 |
URL |
みきゃんパーク梅津寺(愛媛県/松山市)
愛媛県産のかんきつについて、品種の特徴や栽培の歴史などを楽しく学べる施設。大きなガラス越しにジュースなどの加工場を見学できるほか、愛媛県の公式イメージアップキャラクター「みきゃん」の公式グッズや、オリジナルスイーツも盛りだくさん。蛇口から入れて飲むみかんジュース(1杯400円)も人気です。2階にあるカフェのベランダからは瀬戸内の景色を見渡すことができます。
住所 | 愛媛県松山市梅津寺町1374-1 |
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TEL | 089-992-9898 |
営業時間 | 9時30分~16時30分(夏季は変更あり) |
定休日 | 月曜 |
料金 | 入場無料 |
アクセス | 公共機関:伊予鉄道梅津寺駅から徒歩すぐ 車:松山外環状道路古川ICから県道190号線・国道437号線を経由14km 30分 |
駐車場 | あり/16台/無料 |
URL |
【SDGs】愛媛県のみかんを自由に食べたり守ったりするために
愛媛県で収穫されるみかんは、環境に負荷をかけず生態系と調和しながら栽培が行われています。この先も、みかんを変わらず自由に食べたり、守ったりするためにはどのようなSDGsを意識すればいいのか、親子で話し合ったり、考えてみるといいですね。