年齢別アドバイス付き! 子どもと一緒にハイキング・登山デビュー 徹底安心ガイド

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登山を楽しむ親子

登山と聞くとハードルが高く感じてしまうかもしれませんが、アップダウンが少ない低山ハイキングなら、3歳ごろから一緒に楽しむことができちゃいます! パパ・ママがアウトドアに不慣れでも心配しないで。子どもと一緒にハイキング・登山デビューするための大切なポイントを、登山ガイドの栗田朋恵さんに教えてもらいました! 自分の足で山道を歩き、自然を感じる体験は、子どもの成長にとてもおすすめ。日帰りで親子でいけるハイキング・登山にチャレンジしてみませんか?

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目次(index)

登山ガイドの栗田朋恵さん栗田朋恵さん
登山ガイド(長野県認定信州登山案内人)。2歳からの親子山歩きワークショップを行う『外あそびtete』主宰。白馬山麓と鎌倉を拠点にしながら、登山・自然・アートをテーマにした活動を行っている。『外あそびtete』登山ガイド・栗田朋恵とフリー編集者・東麻吏のアウトドアユニット。「母による母(父)のための自然遊びワークショップ」を開催している。
http://www.teteasobi.com

【山選び】初めてのコース選びのポイント

紅葉で色づく山々

初めての子どもとの登山。まずは〈山選び・コース選びのポイント〉を参考に行き先を決めましょう。人が多く来る場所を選ぶと安心。人気の場所は整備されていることが多いため、最初は観光地としても知られている有名な場所がおすすめ。登山のコースやスケジュールは、出発の一週間前に決めておくのが良いでしょう。

山選び・コース選びのポイント

  • 標高差(※)は300~500mを目安に。(※歩き始めから山頂あるいはコース内で一番高い場所までの標高の差のこと)
  • 駅から登山口までの歩行時間が短く、アクセスの良い山を選ぶ。
  • 大人の足で、トータル1時間~1時間半で歩ける距離を目安に。親子登山は、大人の通常2倍の歩行時間になると考えて。
  • 観光地として知られる人気の山は、登山者が多く、トイレやコースが整備されていて安心。
  • ロープウェイやケーブルカーがあるある場所もおすすめ。登りより下りを歩く方が難しく、年齢が低い子どもほど午後の集中力や体力が途切れやすいため、下山に利用するのが◎。

年齢別アドバイス

●3才前後は…

木の実を拾ったり、落ちている枝で遊んだりと道草がおもしろい時期。ゆっくり歩くつもりでプランを立て、「山頂に登る」ことだけにこだわらず、山歩き自体を楽しみましょう。一日のコースタイムが短く、山道が広いコースがおすすめ。昼食後は体力が途切れたり、眠くなってしまう年頃でもあるので、午後のスケジュールは短めに計画を。

●4~6才は…

目標地点にむかって歩こうという意識が芽生え、体力も上がってきます。ゴツゴツした岩に触って歩く道や、山ならではの自然な地形にトライしたい年頃。まだ不安や甘えたい気持ちもある時期なので、手を握ったり、立ち止まって抱きしめたり、自然の中で子どもの気持ちにも寄り添って。子どもが怖いと言う時は無理せず引き返すことも大切です。

●小学生以上は…

体も成長してきて、精神的、体力的に徐々に安定してくる頃。大人の2倍かかっていた歩行時間も1.5倍程度に。ある程度きまった時間とルールに沿って行動できるようになってくるため「お昼ごはんは山頂で食べよう」など目標をもった登山を始められるようになります。成長に個人差が大きい時期でもあるため、子どもに合わせて無理のない登山計画をしましょう。

【準備】持ち物・必須アイテムはコレ!

登山時の持ち物

持ち物は、お弁当や水筒、おやつなど、ピクニックに持っていくものをベースに準備をしましょう。すべて持ち歩くので、なるべくコンパクトにするのが鉄則です。3才前後の小さな子でも、中身はおやつなどの軽めのものに限定して、なるべく自分のリュックを持たせると、自主性が出ておすすめです。事前に一緒におやつを買いに行ったり、一緒に荷物を積めるなど、準備から楽しみましょう。

持ち物のポイント

  • 【飲み物・食べ物】
    お弁当とおやつは子どもの楽しみ。おやつは休憩ごとに食べ終えるよう、小分けにして持っておくのがおすすめ。ゴミは持ち帰るので、包み紙のゴミはあらかじめ減らして持っていけるとGOOD
  • 【レジャーシート】
    かさばらないものを
  • 【カッパ・レインウエア】
    傘は手がふさがってしまうので、雨具はカッパを。山の天気は変わりやすいので、晴れていても必ず持参しましょう。上下セットのカッパがおすすめですが、カッパの上だけで選ぶなら、おしりくらいの長さのものがいいでしょう。山用のカッパが無い場合は、雨が予想される日の登山は見合わせましょう。
  • 【子どもの着替え】
    1組以上。とくにズボンと靴下は汚れるので複数枚あっても○。
  • 【ウエットティッシュやお手拭き】
    お弁当を食べるときなどにあると安心。
  • 【ビニール袋】
    ごみは全て持ち帰るのが基本です。
  • 【水、ガーゼ、ばんそうこう、ハンカチ】
    道中けがをしたとき用に持参。
  • 【保険証】
    万が一、受診が必要になったときのために携帯しましょう。
  • ☆あると便利
    【双眼鏡やルーペ、ハンディタイプの植物図鑑】
    ハイキングをしながら、自然観察が楽しめます。
  • ☆季節によって持参
    【日焼け止め、虫よけ、ホッカイロ】

年齢別アドバイス

●3才前後は…

重い荷物は動きにくく疲れるため、おやつとお弁当程度、軽いものだけを持たせましょう。両手は自由がきくようあけておきたいので、手に物を握っている場合は、袋に集めてリュックに入れるよう促して。3歳前は下山中に寝てしまう事があるのでおんぶひもも持参しましょう。

●4~6才は…

自分のタイミングでリュックから荷物を出し入れできるようになります。おやつ、お弁当、水筒などの飲食物は自分で持てそうです。水筒は満タンにせず、半分程度にしておき、大人が多めに持参しましょう。子どもの分は無くなったらその都度補充すると◎。子どもから疲れたと言われたら、中身を軽くしてあげます。

●小学生以上は…

自分で荷物をコントロールできるようになってきます。飲食物に加え、上着や双眼鏡など、自分で使いたいときに使えるように、リュックに入れて持たせることが多いです。貴重品は山で失くすと取りに戻れないため、心配な場合は大人が管理します。

【装備】服や靴、普段のものでOK?

登山を楽しむ親子

どんな季節でも、体温調節しやすい重ね着をするのが基本です。観光地の中でも整備が行き届いたコースなら、本格的に装備をそろえなくてもハイキングが可能ですが、小学生以上はトレッキングシューズがあると疲れが軽減されやすく、安心・安全にもつながります。購入を検討するときは、登山ショップなどで直接見たり、試着をするようにしましょう。

装備のポイント

●服装

動きやすい格好で。できるだけ肌を露出しないようにし、肌着+Tシャツ+ナイロンジャケットなど、体温調節ができる重ね着で工夫を。デニムは動きにくく、乾きにくいので避けて。下着やTシャツなど肌に触れるウエアは、綿100%を避け、スポーツ用のウエアなど速乾性があるものに変えることで冷えにくくなります。行動中は汗をかきやすいため、秋冬はフリースを外側に着ることが多く、春夏はシャツなど通気性のあるものが◎。風を通さないナイロンの上着は強風時や休憩中に重宝するため持参します。

●リュック

ウエストベルトがあるものがベター。水筒は斜めがけだと枝などにひっかかりやすいので、リュックの中に。

●靴

最初は親子ともに履きなれた運動靴でいいでしょう。底が薄くて平らなタイプは避け、地面をグリップするタイプの底が厚い運動靴を。事前に、履き古してゴム底がつるつるにすり減っていないかチェックを! その場合は新しい靴を購入し、数日履き慣らしておくといいでしょう。

●帽子

暑い時は日除けとしてかぶり、寒い時はニット帽などを防寒としてかぶります。万一の転倒の際にけがの予防につながります。頭にフィットして脱げにくいもの、視界を妨げないものを。

年齢別アドバイス

●3才前後は…

体温は身体が小さい時ほど熱しやすく冷めやすいので、積極的な衣類の着脱で調整しましょう。自分では暑い寒いの意思表示や着脱できないので、大人が時々身体に触れるなどして確認しながら、着脱を促します。汗をかいたら着替えましょう。

●4~6才は…

自分で暑い寒いは言えるようになりますが、何かに夢中になるとつい着替えることなど忘れてしまいがち。時々様子をみて声をかけて。全身で運くようになるので、特にズボンは伸縮性のある動きやすいものが◎。靴も靴底に厚みがあるものなど、運動に向いている靴を選ぶとよいです。

●小学生以上は…

小学生のサイズになると、登山や運動に適した衣服や靴の市販商品が増えてきて購入しやすくなります。短パンを履くときは下にスパッツを着用しましょう。体重も増え足への負担もかかるため、一日かけて歩くような場合はトレッキング用の靴をおすすめします。

こんなときどうする? 不安解消Q&A

登山中に疲れてしまった子ども

初めての登山に不安はつきもの。特に子どもの行動は予測がつきません。想定しうるシチュエーションの対処法を、栗田さんに教えてもらいました。事前に心得て、登山を楽しんでくださいね。

Q.子どもが「疲れた」「もう歩けない」と言い出したら?

休憩を入れて、気分転換を。おやつを食べたり水分補給をしましょう。休憩が長すぎると集中力が途切れてしまったり、身体が冷えてしまうため、タイミングをみて歩き出しましょう。しかし、大人が先を焦っても、子どもがついて行けないこともあります。どうしても疲れて歩けないというのなら、余力があるうちに戻って下山しましょう。予定していたゴールまで歩けなくても大丈夫。大人も気負いすぎず、子どもと過ごす山時間を楽しむことが何よりです。

Q.子どもが寄り道ばかりして進まないときは?

自然に興味をもって関わる時間も山道ならでは。3歳くらいは気がすむまで興味のあることから離れられない時期でもあります。無理やり引きはがさず、その興味の先を一緒に観たり、子どもに寄り添ってみても。どうしても進まなければ目的地を変更し、「今日は行けるところまでにしよう」というのでもよいのではないでしょうか。4歳以降になると、大人から離れて歩きたがったり、走りだすことも。あらかじめ山道は安全な場所だけではないことを丁寧に伝え、走ったり、先に行かないことを子どもと約束しておきましょう。小学生になると大人よりも身軽な分だけ歩くスピードが早くなることもあります。大人がついていけない場合も子どもを先に行かせず、一緒に歩きたい気持ちや山の危険を伝えて、行動を共にしましょう。

Q.子どもに教えたい山のマナーは?

第一には、大人と離れて先に行ってしまわないことを伝えます。そして、3歳前後は、親が手本となって、すれ違う登山者とあいさつを交わしましょう。気持ちよいあいさつは山のマナーだけでなく、自分の目撃情報を増やす安全管理にもつながります。4~6歳ごろになったら、上記に加え、ごみの持ち帰りなどを伝えましょう。自然を大事にしたいと思う気持ちを実感できる機会でもあります。さらに小学生以上になったら、自分のことだけを考えず、一緒に歩く人のことも思いやったり、励まし合う気持ちの大切さを伝えていきましょう。

年齢別に紹介! 関東のおすすめ親子ハイキング・登山スポット

親子ハイキングの体験は、自然とのふれ合いはもちろん、一緒に目標を決めて頑張ったり、励まし合ったりなど、多くの成長を育みます。子どもそれぞれの年齢や体力に合わせて、ぜひ親子ハイキングを楽しみましょう。栗田さんに教えてもらった関東のおすすめ登山スポットを、年齢別にご紹介します。
※歩行時間には休憩時間は含まれていません。各スポットのコースタイムは、大人の歩行時間です。

山頂での記念写真

【3歳前後】

≪鎌倉大仏ハイキングコース≫※現在通行止め

エリア 神奈川県鎌倉市
標高 約100m
入山料・登山料 無料
歩行時間 JR北鎌倉駅からスタートし、源氏山公園をたどり、大仏坂バス停まで歩くコースで約1時間15分
ポイント 北鎌倉駅から近く、坂道も穏やかで初心者の親子向け。

※台風の影響で通行止めとなっています。復旧状況は「鎌倉観光公式ガイド」などで確認ください。

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≪横浜自然観察の森≫

エリア 神奈川県横浜市
標高 約156.8m(大丸山)
入山料・登山料 無料
歩行時間 自然観察センターから大丸山の展望スポットまで約40分。往復約1時間10分。自然観察センターまではJR大船駅から神奈中バスで15分「横浜霊園前」バス停下車、徒歩7分。
ポイント 横浜市内になる広大な森。2歳ごろの子どもでも安心して歩ける散策コース。

※台風の影響で一部通行できないコースがあります。

【4~6歳】

≪日和田山≫

エリア 埼玉県日高市
標高 約305m
入山料・登山料 無料
歩行時間 西武池袋線 高麗駅から登山口まで約30分。登山口より日和田山まで約55分。
ポイント 登山道はよく整備されていて標識もあるので歩きやすい。コース途中で男坂と女坂に分かれる。男坂では岩登りが楽しめる。帰りは女坂のほうが大人が気を配りやすい。帰りは巾着田に寄っても。

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≪高尾山(上り6号路・下り1号路)≫

エリア 東京都八王子市
標高 約599m
入山料・登山料 無料
歩行時間 京王線高尾線 高尾山口駅下車。歩行時間は約3時間。帰りは高尾山駅からケーブルカーを利用するのがおすすめ。
ポイント 6号路は沢沿いに歩くコース。途中にある飛び石などを楽しみながら山頂まで登ることができる。5歳以上におすすめ。

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≪御岳山≫

エリア 東京都青梅市
標高 約929m
入山料・登山料 無料
歩行時間 JR青梅線 御獄駅からバスで約10分「ケーブル下」バス停下車。ケーブルカー御岳登山鉄道 滝本駅からケーブルカーで御岳山駅へ。「ロックガーデン周遊コース」の場合、親子タイムコースは約3時間50分。
ポイント 山頂には武蔵御嶽神社が建立されている。ハイキングコースが整備されていて、やさしい山歩きが楽しめる。5歳ごろからおすすめ。

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【小学生以上】

≪大楠山≫

エリア 神奈川県横浜市
標高 約241.3m
入山料・登山料 無料
歩行時間 JR逗子駅からバスで約25分「前田橋」バス停下車。「前田橋コース」はバス停から大楠山山頂まで約70分。
ポイント 坂道や階段、緩やかで野花が咲く道など、短い距離でも歩きごたえあるコース。山頂の展望台に上れば、伊豆半島、富士山、箱根連山、房総半島と360度の一大パノラマ!

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≪陣馬山≫

エリア 東京都八王子市・神奈川県相模原市
標高 約854.8m
入山料・登山料 無料
歩行時間 JR藤野駅からバスで20分「和田」バス停下車。「一ノ尾尾根コースは」約1時間40分。
ポイント 歩きごたえある登りと、気持ちよい尾根歩きなど変化に富んだコース。山頂が開けていて、ファミリーにも人気。

※台風の影響で一部通行できないコースがあります。

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≪宝登山≫

エリア 埼玉県秩父郡
標高 約497m
入山料・登山料 無料
歩行時間 「宝登山ハイキングコース」は秩父鉄道長瀞駅から山頂まで約1時間15分。
ポイント 道幅が広く、整備された登山道なので安心して登れる。初めての登山におすすめ。帰りはロープウェイウェイを使っても。

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●掲載の内容は取材時点の情報に基づきます。変更される場合がありますので、ご利用の際は事前にご確認ください。