パラスポーツというと、障がい者のためのスポーツというイメージがあるかもしれませんが、東京2020パラリンピックをきっかけに、年代や障がいの有無を問わず「だれもが楽しめるスポーツ」として広がってきています。最近では、小学校や中学校の体育の授業などでも学ぶ機会が増えてきています。パラスポーツの意味や、人気競技の種類、ルールについてご紹介します。
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パラスポーツとは
パラスポーツのパラ(Para)は「沿う、並行する」を意味していて、「もう一つのスポーツ」を表しています。パラリンピックのパラも同じで、すなわち、パラリンピックは「オリンピックと並ぶ大会」という意味です。
パラスポーツは、もともと障がいがある人のために考えられたスポーツ。ですが、最近では、障がいのある人だけが行う特別なスポーツということではなく、だれもが一緒に楽しめる「もう一つのスポーツ」として広がってきているのです。
また、小・中学校の体育の授業では「運動領域におけるスポーツとの多様な関わり方」として、パラスポーツについて学ぶ機会が設けられています。一度、知っているパラスポーツについて親子で話してみるのもおすすめです。
パラスポーツの特徴って?
スポーツには、一対一で戦うものもあればチームで戦うもの、道具が必要なもの、速さや高さを競うものなど、いろいろな種類がありますね。パラスポーツでは、たとえば、普段の生活で車いすが必要な人や目が見えない人でも危険なく楽しめるように、ルールを変えたり、サポートする人がいたり、といった工夫がされています。また、障がいのある人のために考えだされた、オリジナルのスポーツもあります。
国内・国際大会では、身体障がい、視覚障がい、聴覚障がい、知的障がい、精神障がいといった、それぞれの障がいに応じた競技があり、程度によってクラス分けもされています。
人気のパラスポーツ競技を紹介!
パラスポーツの競技の種類は、身近なスポーツが発展したものから、オリジナルスポーツまでさまざま。東京2020パラリンピックでは22の競技が行われ、観戦したという人も多いのでは。数ある競技のなかでも、人気のパラスポーツを3つ紹介します!
車いすテニス
世界ランキング1位のまま現役引退した国枝慎吾選手や、史上最年少で世界ランキング1位を達成した小田凱人選手など、車いすテニスで活躍している選手を知っている人は多いのではないでしょうか。
車いすテニスは、下半身に障がいがある人が、車いすを使って行います。ツーバウンドが認められている以外は、一般のテニスとほぼ同じ用具、ルールを採用。上半身にも障がいがあるクアードクラスでは、握力を補うため、テーピングでラケットを腕に固定することが認められています。
●知ってる?競技用車いすの工夫
一般的な車いすと違って、タイヤに角度がついています。これによって、回転性能が上がり、スピーディーなターンが可能になります。転倒防止のキャスターもついています。
ブラインドフットボール
視覚障がいの人が行うスポーツで、ルールは基本的にフットサルと同じ。プレーヤー4人はアイマスクを装着し、転がるとシャカシャカと音の鳴るボールを使います。ゴールキーパーは、晴眼者または弱視者が務めます。味方にゴールの位置や距離、角度などを伝える「ガイド」やゴールキーパー、監督、そして仲間の声を頼りにしながらプレーをするのが特徴です。
●知ってる?危険を避けるための工夫
ボールからシャカシャカと音が鳴るので、それを頼りにゴールを守ることができます。ただし、攻める人は、相手の位置を知ることができません。そのため、ボールを持った相手に向かっていくときは必ず「ボイ!」と声を出すのがルール。「ボイ」はスペイン語で「行く」という意味。声を出さないで向かっていくと反則になります。これによって危険な衝突を避けることができます。
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ボッチャ
ボッチャは、重度脳性まひ、もしくは同程度の身体重度機能障がい者のために考えられたスポーツ。ヨーロッパが発祥で、ボッチャはイタリア語で「ボール」を意味します。
ジャックボールと呼ばれる白いボール(目標球)に、赤と青のボール、それぞれ6球を投げ合い、どれだけジャックボールに近づけられるかを競います。どこにボールを投げるか、正確さだけでなく、戦略も重要なスポーツ。投球できる時間は決められているので、制限時間内に残りが投げられるようにもしないといけません。
●知ってる?ボールを投げるための工夫
ボールは手で投げたり、転がしたりするのが基本。障がいの程度によっては、補助用具を使ったり、アシスタントにサポートしてもらったりすることができます。補助用具には、ボールを滑らせる滑り台のような「ランプ」や、口にくわえてボールを押し出す「リリーサー」などがあります。
パラスポーツはどこで体験できるの?
パラスポーツは、最近は障がいの有無にかかわらず、幅広く広まってきています。実際にやってみると、パラスポーツ選手の体力や運動能力に驚かされるだけでなく、スポーツとしての魅力に気づくきっかけになるかもしれません。
最近では、多様性を認め合う社会の実現を目指して、パラスポーツイベントを実施する自治体も増えています。また、パラスポーツそれぞれの協会でも体験イベントを実施していることがあります。各スポーツ協会や自治体のHPをチェックしてみましょう。
●パラスポーツが体験できる場所を探すには?
- 住んでいる近隣の自治体のHPやイベント情報や広報誌をチェック
- パラスポーツを振興する団体のHPをチェック
パリ2024パラリンピックを親子で楽しもう!
今年2024年は、フランスでパリ・オリンピック、パラリンピックが開催されます!
前述の車いすテニス、ブラインドフットボール、ボッチャをはじめ、東京2020パラリンピックで行われた22の競技が、パリ2024パラリンピックでも実施されます。子どもがさまざまなパラスポーツに触れる良い機会です。親子で一緒に観戦して、楽しみましょう!
パラリンピックの歴史をみてみよう
パラリンピックは、世界最高峰の障がい者スポーツ大会で、オリンピックと同じく4年に一度、オリンピック後に同じ場所で開催されます。
パラリンピックの始まりは、リハビリテーションを目的としたスポーツ大会といわれています。第二次世界大戦中、イギリスでは多くの負傷者が出ることを予測して、病院が設置されました。その一つ、ストーク・マンデビル病院では、院長のルードビィヒ・グットマン博士が、脊髄を損傷した兵士たちのリハビリテーションとして、スポーツを取り入れました。
1948年、ロンドン・オリンピックの開会式と同じ日に、入院患者によるアーチェリーの競技会が開かれ、これがパラリンピックの起源と考えられています。この大会は毎年行われ、1960年第9回の大会が、のちに第1回のパラリンピックとされています。
現在のように、オリンピックの直後に同じ開催国で行われるようになったのは、1988年のソウル・オリンピック、パラリンピックから。パラリンピックが正式名称になったのもこの大会からです。
パラリンピックの目的や意義って?
パラリンピックでは、さまざまな障がいを持ちながら、すばらしいパフォーマンスを発揮するアスリートの姿を見ることができます。それは、人々に感動を与えると同時に、だれもが個性や能力を発揮して、活躍できる機会があること、多様性を認めることの大切さを教えてくれるものです。
国際パラリンピック委員会(IPC)は、パラアスリートたちに秘められた「勇気」「強い意志」「感動」「公平」の4つの価値をパラリンピックの象徴として、重視しています。パラリンピックは、スポーツを通してこれらの価値とともに、社会のなかにあるいろいろなバリアを減らし、すべての人が尊重される社会の必要性を気づかせてくれる大会なのです。
パリ2024パラリンピックでは、さまざまな国、人種、障がいを持った選手が集まります。
親子で観戦することで、世界中にいろいろな人がいることを知り、チャレンジする姿を見て、個々を大事にする気持ちを育む、良い機会としたいですね。
パラスポーツを体験したり、パラリンピックを観戦して、「どんな工夫があるんだろう?」「普段の生活のなかにも工夫があるのかな?」と親子で話してみるのもいいでしょう。障害のある人もない人も、だれもが生きやすく、思いやりあふれる社会をつくるために、どんなことができるのか、考えるきっかけにしてみてください。
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