SDGs(えす・でぃー・じー・ず)は、子どもたちの未来に関わる世界共通の目標。子ども自身がSDGsを“自分ごと”として理解していくには、好きなものや身近なものから知るのが一番。今回は、外あそびが大好きな8歳の彩佳ちゃん(以下、さやちゃん)、2歳の綾花ちゃん(以下、あやちゃん)の姉妹が、普段履いているお気に入りの靴の秘密をミズノ株式会社に直撃取材。“子どもが思いっきりあそぶこと” もSDGsとの大きな繋がりがありました!
◇ SDGsとは? ◇
»子どもの未来を守るSDGsとは?簡単な遊びからサステナブルな取り組みを始めよう
1.2歳の妹が、初めて自分で履けた靴!
おそろいのシューズを色ちがいで履いて外あそびをするのが日課だという二人。お姉ちゃんのさやちゃんは「妹の動きがどんどん活発になるので靴を履かせるのが大変だったけど、この靴はすごく履かせやすいの!それに、この間は妹が初めて自分で履けたんだよ!」と嬉しそう。このシューズがSDGsに関係があると聞いて「学校でSDGsのポスター見た!知りたい!どうやって考えたんだろう?」と好奇心が広がります。シューズを作っているミズノ株式会社の方に、お話を伺いました。
2.ミズノ株式会社に聞く!シューズ開発の秘密
姉妹が履いているのは「ミズノプレモア」というシリーズ。ミズノ株式会社のキッズシューズの商品開発を担当している串田さん、キッズ商品のマーケティングを担当している青木さんに、オンラインで直撃取材です。
リアルパパの経験から生まれた形!
まずは、商品開発の串田さんにお話を伺いました。
さやちゃん:ミズノプレモアは、マジックのベルトがガバって大きく開くので、妹にもすごく履かせやすいです!誰が考えたんですか?
串田さん:私がアイディアを出して、みんなで相談して作りました。私も子どもが2人いるのですが、自分の子どもにシューズを履かせるとき、なかなか履かせられずに「なんで履けないの?」と思うことがよくありました。特に朝の急いでいるときは、時間がかかって困ってしまったり…。そこで「シューズが履かせやすければ困らなくていいのになあ」と思い、『履かせやすさ』にこだわったシューズを創ろうと考えたんです。
さやちゃん:ほかの靴と見比べてみたら、ベロがなくてびっくりした!これはどうしてですか?
串田さん:ベロと呼ばれる甲の部分は、足あたりを良くするためについてるのですが、特に小さい子が履くときは邪魔になりやすいですよね。そこで、ミズノプレモアではベロをなくしました。その分、ベルトの裏を柔らかい素材にして、足が痛くないように工夫しています。
履きやすいから、もっとあそびたい!
さやちゃん:あのね!妹はこの間、初めて自分で靴が履けたの!それが嬉しくて、すぐ外に行きたがるんだよ。
串田さん:わあ、嬉しいです!シューズを作るときに一番考えたのは、みんなの笑顔です。「履かせやすくて嬉しい」「自分でシューズが履けた!」という笑顔や、このシューズを履いていろいろなあそびをして「動くって楽しい!」と笑顔になってくれたら嬉しいです。
さやちゃん:私もすぐ履けるから楽だし、色もすごくかわいくて好き!
串田さん:色は、たくさんのママから意見をもらいながら、こんな色はどうかな?あんな色はどうかな?とみんなで悩みながら考えました。最後はデザイナーと呼ばれるシューズの見た目を決める人が、みんなが気に入ってくれるように今の色にしてくれました。私の子どもは、特に黄色とピンクがお気に入りですよ。
さやちゃん:同じだ!私とあやちゃんも黄色とピンクがお気に入り。
素材にもこだわりがいっぱい
さやちゃん:初めて履いたとき、「すごく軽い!」と思いました。どういう材料でつくったんですか?
串田さん: アッパーと呼ばれる足の上側を覆う部分は、メッシュ素材をたくさん使っています。小さい穴がたくさん開いているので軽くなるし、空気が通りやすいので涼しく感じられる効果もあります。また、ソールと呼ばれる足の下側は、スポンジ素材とゴムが組み合わさってできています。スポンジ素材は軽くてフワフワしているので足に優しいですが丈夫ではありません。すぐにすり減ってなくなっちゃう。一方で、ゴムは丈夫ですが、スポンジ素材に比べて重くなってしまうんです。そこで、軽さを保ちながら、みんながたくさん履いても丈夫なように、スポンジ素材とゴムの場所を考えて設計しました。
串田さん:ソールの形にもこだわっているんですよ。実はこの形には、ミズノがシューズを作っているいろんなスポーツのこだわりが詰まっているんです。陸上やサッカー、バレーボールといった競技のために考えた形を参考にしているんですよ。走ったりしゃがんだり跳んだり回ったり、いろんな動きをしても大丈夫なように作っています。
さやちゃん:そういえば、縄跳びもしやすかった!今、二重跳びが9回で、10回を目指してるんだけど、この靴で練習してたら、もうすぐ跳べそう!
串田さん:しっかりと足を使えるソールなので、ジャンプもしやすいはずです。きっとすぐにできるようになりますよ!
さやちゃん:がんばります!たくさんやりたくなる!!
SDGsでいうと…
さやちゃん:このシューズは、SDGsでいうと何番の目標になりますか?
串田さん: このシューズでは、SDGsの③の『すべての人に健康と福祉を』が目標になっています。先ほど、いろんなあそびをして「動くって楽しい!」と思ってほしいと言いましたが、動くことが楽しく思えて、スポーツが好きになって、ずっとずっとスポーツを続けてくれると健康で元気いっぱいの大人になれると思います。そうなるとSDGsの③の目標にも近付けると思っています。
串田さん:また、ミズノはモノを作っている会社なので⑫の『つくる責任つかう責任』も大事にしています。みんなに喜んでくれる商品を作っていますが、同時に地球にも喜んでもらえるように頑張っています。地球を汚さない配慮をした材料を、無駄なく使う工夫をしています。だから、みんなも、できるだけモノを大事に使い続けてくれると嬉しいです。
さやちゃん:はい!靴、大事にいっぱい履きます!
3.あそびが子どもの未来をつくる!
次は、運動あそびに詳しい青木さんにお話を伺いました。
かけっこが速くなるには?
さやちゃん:私はかけっこ苦手なので、もっと速くなって陸上部に入りたいんです。速くなるコツはありますか?
青木さん:さやちゃんは、走るのには何が必要だと思いますか?
さやちゃん:速く足を動かすこと?
青木さん:実は走るのには、足の運動だけではなく、腕の動きや、姿勢、リズム感などたくさんの要素が大切になんです。そのためには何をすればいいかというと、さやちゃんの年齢だと、思いっきり身体を動かしてたくさん遊ぶことが大切なんです!“運動あそび”には、走ることやさまざまなスポーツに繋がる大切な動きがたくさん詰まっているんですよ。たとえば、鬼ごっこをすると、走る・瞬発力・判断力など、あそびながらいろんな動きを自然に体験しますよね。もう少し大きくなれば専門的な動きの練習も必要になってきますが、8歳ぐらいの年齢までは、いろいろな動きを、あそびを通して楽しむことが一番大切になります。
さやちゃん:そうなんだ!たくさん遊べばいいんだ!!
青木さん:はい!なにより大切なのは「体を動かすのが楽しい!好き!」と思えること。思いっきり運動あそびを楽しんでください。
これも参考! »運動能力は遺伝でなく経験!8歳までのあそびで運動が得意な子に
オススメのあそび
さやちゃん:近所の公園で、歳の離れた妹ともできるオススメのあそびはありますか?
<鉄棒+しりとり>
青木さん:公園に鉄棒があれば、前回りやぶら下がりにちょっとあそびを加えてみるのはどうでしょうか?ぶら下がりながら、しりとりあそびや、足でボールを挟んだりなど。こんなふうに、普段のあそびに少し何かを加えることで、楽しいがもっと増えますよね!
「りんご」「ゴリラ」しりとりしてみました!
<マネっこあそび>
青木さん:「マネっこあそび」もおすすめです。例えば、クマやうさぎさんなどの動物のマネをして動きます。これだけでも楽しいですが、さやちゃんがトンネルに変身し、あやちゃんが動物のままトンネルをくぐるなど…。反対になっても楽しめると思いますよ。
いろいろなマネっこをすることで考えたり・表現したりする力も育まれます。また、クマやワニなどは低い姿勢になるので体幹を使いながら遊ぶことができます。体幹を鍛えることは、日常生活の姿勢や、学校体育でもやるような器具運動などにも繋がりますよ。
ウサギさん、ぴょんぴょん!
ゾウさん、パオ〜ン!
<テイッシュキャッチ>
青木さん:おうちでもできる「ティッシュキャッチ」というあそびもオススメです。ティッシュを1枚用意します。さやちゃんがティシュを上に投げて、ひらひら落ちてくるティッシュをあやちゃんがキャッチ。投げる人と捕まえる人を交代したり、ティッシュを丸めたり、一枚にしたり…いろいろな楽しみ方もできると思います。
ティッシュキャッチは、変則的に動くものを目で追うことで追視力・瞬発力なども育まれます。目で追う力は、ボール運動やスポーツ全般にも非常に大きく関係してきますよね。
さやちゃん:そっか、あそびがいっぱいスポーツと関係するのか。
青木さん:小学3年生ぐらいになると、運動の得意・不得意が出てくることもあります。でも、大切なのは、できるかできないか、上手かどうかではなく、「好き」でいること。楽しくあそんで、スポーツを好きでいてほしいと思います。
さやちゃん:はい!たくさんあそびます!
これも参考 »自由な「公園遊び」が子どもの運動神経を鍛えるのに最適!おすすめ公園もチェック
4.ほかにも見つけた!ミズノのSDGs
ミズノが行なっているSDGsの目標に沿った活動を、ほかにも教えてもらいました。
ミズノあそびのレシピ
青木さん:今、コロナ禍で運動をしたくてもなかなかできない環境がたくさんありましたよね。どうしたら、運動の場を提供できるかたくさん考えて、ミズノではおうちの中でもできる「ミズノあそびのレシピ」をつくりました。これもSDGsの③『すべての人に健康と福祉を』を目標にしています。
ミズノの運動あそびのプログラム・ヘキサスロン
青木さん:楽しみながら、運動発達に必要な動作を身につけることができる「ヘキサスロン」というオリジナルプログラムを開発し、日本各地の小学校やスポーツイベントで取り入れられています。また、子どもたちの運動不足が問題になっているベトナムの小学校にもこのプログラムは採用され、身体を動かすことの楽しさを伝える取り込みを続けています。これはSDGsの④『質の高い教育をみんなに』に関連する活動です。
5.ぼくの・わたしの行動宣言!!
たくさんのお話を聞いて「今すぐ、あやちゃんとあそびに行きたくなっちゃた!」とソワソワするさやちゃん。書いてくれた行動宣言は、『シューズを大事にする!』『たくさんあそぶ!』の2つ。さあ、靴を履こう!と玄関へ急ぐ姉妹の笑顔は、元気で健やかな成長へとつながっています。たくさん遊んで、大きくなってね!