兵庫県姫路市にある「日本玩具博物館」。白壁土蔵の6棟の建物に、日本の郷土玩具や近代玩具、伝統工芸のちりめん細工やびん細工、世界160カ国の玩具や人形などを展示。所蔵するおもちゃの数はなんと9万点にも及びます。季節ごとの企画展も充実しており、小学生の夏休みの自由研究にもおすすめです。玩具で遊べるコーナーもあり、時間を忘れて親子で夢中になれます。なつかしい玩具をお土産にできるショップもありますよ。
日本玩具博物館までのアクセスと料金
日本玩具博物館は、姫路城から北東へ10㎞ほど、のどかな時間が流れ、昔ながらの田園風景が広がる、姫路市北東部の香寺町(こうでらちょう)にあります。公共交通機関を利用する場合は、JR姫路駅から播但線(ばんたんせん)に乗り換え香呂駅(こうろえき)で下車。駅から東へ歩いて15分です。車の場合は、国道312号を北上し、姫路城から約25分、播但連絡道路を利用すると船津ランプから西へ約5分というアクセスです。周辺は少し狭い道もありますが、ポイントごとに看板があるので、その指示に沿って進むとスムーズに到着できます。駐車場は約30台分で料金は無料です。
入館料は一般600円、高校生・大学生400円、4歳以上の子ども200円と利用しやすい料金です。
1号館から6号館までの見どころを紹介
1号館
1号館(企画展会場)
日本玩具博物館は、1963(昭和38)年、館長である井上重義さんが収集をはじめ、1974(昭和49)年、井上郷土玩具館として開館しました。1984(昭和59)年に日本玩具博物館と名前を変え、現在、施設は6棟約700㎡、延べ180㎡の展示ケースに5000点を展示し、世界160カ国約9万点の資料を所蔵する世界屈指の玩具博物館となっています。2016(平成28)年には、ミュシュラン・グリーンガイド二つ星に認定されました。
6棟の建物からなる日本玩具博物館では、2・3・4号館で常設展、1・6号館で、所蔵品による企画展を開催しています。5号館(ランプの家)は休憩スペースとして開放されていますが、企画展示がされることもあります。
壁面上部と天井に飾られた日本各地の凧が印象的な1号館。開催する企画展は年2回。11月から節分頃までは、新しい年の干支にちなんだ展示が定番で、その後は毎回いろいろなテーマで興味深い企画展を開催しています。
パパやママも懐かしいおもちゃが登場
歴代のグリコのおまけも展示
2021年3月2日から11月12日までは「平成おもちゃ文化史」と題し、昭和後期から平成時代を彩った商品玩具を年代ごとに展示し、30年間の流行玩具の移り変わりを追っています。また、子どもたちを夢中にさせた玩具も取り上げ、世代を超えて親しまれてきた玩具についても紹介しています。
2号館
昭和20年代から30年代の駄菓子屋玩具
2号館は、駄菓子屋の玩具などや近代玩具を展示しています。
明治時代のおもちゃ
2号館にある日本のコマやベーゴマなどで遊べるコーナー(中央テーブル)は大人気
明治から昭和時代の駄菓子屋で売られていたおもちゃ、ブリキやセルロイドのおもちゃと人形、キャラクターのおもちゃなどを展示しています。子どもたちには新鮮なこれらのおもちゃも、パパママ世代よりおじいちゃんおばあちゃん世代が懐かしく感じるものばかり。遊びのコーナーは、親子3世代で楽しめます。
3号館
ちりめんで作ったおもちゃや人形
手まりは約50点を展示
3号館は、日本女性が古くから伝承してきたちりめん細工や手まり、びん細工など貴重な資料が一堂に並び、国内ではここでしか見ることができない展示です。東室には、ヨーロッパなど外国製の木製玩具で自由に遊べるコーナー、西室にはミュージアムショップが併設されています。
4号館
4号館の1階は日本の郷土玩具を展示
4号館は2階建て。1階では日本の郷土玩具を展示しています。北海道から沖縄まで、江戸から明治にかけて作られた日本全国の玩具を地域ごとに紹介しています。それぞれの風土やくらしのなかから、紙、木、竹、土など、身近な材料で、子どもの健やかな成長を願って手作りされた郷土色豊かな貴重な玩具です。
東北地方のこけし人形
沖縄の郷土玩具
兵庫県の郷土玩具のコーナー
北海道・東北地方から、九州・沖縄地方まで、北から南へ順に展示されています。昭和初期から末期までが中心で、住んでいるところや出身地の郷土玩具を探すのも楽しいもの。日本玩具博物館の地元である兵庫県の郷土玩具も、おなじみのものから今ではなくなってしまった幻の玩具まで、いろいろ並んでいます。
4号館2階には世界の玩具がズラリ
4号館の2階に上がってみましょう。このスペースだけで、約2000点の世界の伝承的なおもちゃが並んでいるというから、まさに圧巻です。2000年頃に姿を消しているものが大半ですが、アジア・オセアニア・アフリカ・南北アメリカと、地域ごとに代表的な玩具を紹介しています。これほどの資料を一堂に見ることができるのは、世界屈指ということで、海外の専門家からも評価されています。
中国のおもちゃ
中国のおもちゃには、日本のおもちゃ同様、だるまややじろべえもあります。
ケニアのおもちゃ
モロッコのおもちゃ
木や動物の骨など自然のものをおもちゃとして遊ぶことが多かったアフリカには、その名残が見られますね。
デンマークなど北欧のおもちゃ
ドイツやフランスなどヨーロッパのおもちゃ
豊かな森林を背景に古くから玩具産業が発達したヨーロッパには、デザイン性も高く色鮮やかな木製のおもちゃが沢山ありました。しかし、ヨーロッパでも2000年頃を境に急速に姿を消し、現存する木の玩具はメイドインチャイナになり、展示品は貴重な存在です。
アメリカのおもちゃ
国境を越えて共通するおもちゃ、地域独特の色と形を持つおもちゃなど多種多様で、見ているだけで、あっという間に時間が過ぎていきます。
6号館
6号館
江戸時代のお雛様
6号館は、特別展の会場で、年に3~4回、特別展を開催しています。雛人形が50組以上並ぶ豪華絢爛な春の「雛まつり展」や、秋冬の「世界のクリスマス展」は圧巻です。
現在は夏の特別展「世界の船の造形」を開催中(2021年10月24日まで)。世界各地の民族色豊かな船のひな形や玩具が約300点展示され、旅の気分も味わえます。
兵庫の郷土玩具もずらり。幻の人形も!
神戸人形
4号館1階、日本の郷土玩具を紹介するコーナーに展示されている兵庫県の郷土玩具を紹介しましょう。
兵庫を代表する郷土玩具の筆頭といえば、「神戸人形」です。神戸人形は明治時代中期に神戸で誕生したからくり人形で、台座の上の人形がユーモラスな動きをするのが特徴です。太平洋戦争後に廃絶しましたが、昭和30年頃から復興。現在は、神戸在住の人形劇の関係者が、神戸人形作者として活躍しています。
姫路張子の面(姫路市)と早瀬土人形(佐用郡上月町)
姫路市の郷土玩具「張子」は、和紙を張り重ねて作るものです。
江戸時代末期より全国各地でで、張子の人形や玩具が作られるようになり、姫路では、大阪で技術を学んだ職人が明治初期に作り始め、現在もその伝統が守られ作られています。
「早瀬土人形」は明治中期から約30年にわたって佐用郡上月町(こうづきちょう)早瀬で作られていました。そのころの佐用郡では雛祭りに飾られましたが、貴重です。
城崎麦わら細工(豊岡市城崎町)
大麦のわらを原料に桐箱や色紙に細工を施す「城崎麦わら細工」は、江戸中期から始まり現在まで300年の歴史を持つ、伝統的工芸品です。木箱や駒に麦わらを貼ったものなどが現在も作られています。
葛畑土人形(養父市関宮町)
「葛畑(かずらはた)土人形」は、但馬の関宮町で、明治初期に伏見人形をもとにして、瓦焼き職人が作り始め、昭和63(1988)年、作者が他界し、廃絶しました。
稲畑土人形(丹波市氷上町)
「稲畑土人形」は、丹波市氷上町稲畑で、江戸末期から作られている人形です。兵庫県の主な土人形の産地として知られるのは、但馬では葛畑土人形、そして丹波ではこの稲畑土人形です。江戸末期から製作され、明治末期から大正にかけて最盛期を迎えますが、稲畑土人形は、伝統が継承されています。
手に取って体験できる「遊びのコーナー」
2号館の日本の伝統玩具で遊べるコーナー
3号館のヨーロッパの木の玩具で遊べるコーナー
博物館内には、実際に手に取っておもちゃで遊べるスペースがあり、子どもたちに大人気です。
2号館では、日本の子どもたちが遊んできた伝統的なコマやだるま落とし、けん玉、お手玉など、3号館の遊びのコーナーでは、ヨーロッパなどの木製玩具で自由に遊べます。機械仕掛けなどはなく、手で動かすものばかりですが、仕組みや動きが理解でき、子どもには新鮮に映るようで目を輝かせて遊ぶ様子が見られます。
井上重義館長
「日本はコマの世界的な宝庫。日本にしかないコマも多くあります。実際に手で動かすと、その仕組みがわかります。物事の原理や仕組みを遊びの中で学んでほしいですね」と、井上重義館長。この博物館には、自分で考えて動かすことで楽しく遊べるおもちゃがたくさんあります。
ミュージアムショップでレアなお土産探し
3号館にあるミュージアムショップ
3号館のミュージアムショップでは、日本各地の郷土玩具や、かつて子どもたちが遊んでいた駄菓子屋玩具などを販売しています。また、アジア、ヨーロッパ、中南米など、世界各地で作られた玩具や人形なども扱っています。
逆立ちこま(山形県/165円)など各種コマ
だるま落とし(1320円)
二人器械体操人形(山形県/2420円)
※箱根で作られたものを復元しましたが2020年廃絶しました
左から、花こま(宮城県/1320円)、メリーゴーランド(宮城県/1650円)、当てこま(宮城県/825円)
ここでしか手に入らないようなメイドインジャパンのおもちゃが多数ラインナップ。なかには、おもちゃを作っていた会社が廃業して在庫限りのものも。
けん玉(左・イタリア/905円)、カズー・バンビーノ(右・イタリア/220円)
外国のおもちゃで人気があるのは、イタリアのけん玉や呼び笛などです。「カズー・バンビーノ」は、口に含んでおしゃべりをすると楽しい音が出る呼び笛です。
遊びのコーナーに置いてあるものも
ミュージアムショップでは、2号館や3号館の遊びのコーナーに置いてあるおもちゃも実際に販売しています。目印はこのブルーのポップ。楽しさを体験して購入できるのもうれしいですね。
お弁当の持ち込みOK。周辺の公園でランチもおすすめ
5号館(ランプの家)
せっかくなら、じっくりおもちゃを見て、しっかりおもちゃで遊んで、ゆっくりしたいもの。
5号館はらんぷの家と呼ばれ、ランプがつるされた、囲炉裏がある昔ながらの風情漂うスペース。来館者に開放され、自由に休憩することができます。授乳スペースやオムツ交換の場所は特別に設けられていませんが、5号館の扉を閉めて代用することは可能です。
6号館横テーブルスペース
6号館入り口脇には、木製のテーブル&チェアが置かれたスペースがあり、こちらも休憩場所として利用できます。
駐車場に隣接する中仁野公園
また、駐車場に隣接する中仁野公園には、ベンチやテーブルセットもあり、レジャーシートを広げてのんびりすることもできます。簡単な遊具もあるので、ぜひ立ち寄ってみてください。
いかがでしたでしょうか。
こちらは、すべて屋内なので雨の日でも気にせず過ごすことができます。おもちゃを通して、親子で楽しみながら学べる貴重な博物館です。
日本玩具博物館
住所 | 兵庫県姫路市香寺町中仁野671-3 |
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問合先 | 079-232-4388 |
料金 | 一般600円、高・大学生400円、子ども(4歳以上)200円 |
開館時間 | 10~17時 |
休館日 | 水曜(祝日は開館) |
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