人々のあらゆる多様性(ダイバーシティ)を受け入れ、その多様性をエネルギーに変えて(インクルージョン)、集まるすべての人の力をまちづくりの原動力にすることを掲げる東京都渋谷区。令和2年度の予算にはみんなが自由に遊べるインクルーシブ公園整備費を獲得し、着々と工事が進められてきました。それが、恵比寿駅から徒歩8分の住宅街にある恵比寿南二公園です。老朽化した遊具は改修・改良され、さらに遊具だけでなく、園内の舗装や植栽が整備されるなど大幅にリニューアル。そして2021年7月、渋谷区初のインクルーシブ公園として、新生・恵比寿南二公園が晴れてお披露目となりました。
恵比寿南二公園ってこんなところ!
閑静な住宅街に位置する恵比寿南二公園は、1953年に向山公園として開園しました(1960年に現在の名前に改称)。ブタのオブジェが点在することから、「ブタ公園」の愛称で地元の人々から親しまれています。この公園は坂に囲まれており、東西に4mほどの高低差があります。その高低差をいかした、見通しのいい景観デザインも特徴といえます。
目にやさしい、緑あふれる公園
恵比寿南二公園に入ってまず目に飛び込んでくるのは、青々とした芝生。公園の半分以上は芝とクローバーに覆われていて、気持ちがホッと落ち着きます。視覚効果だけでなく、芝生はゴムチップ塗装に比べて高温になりにくいため、日差しが強い日の外遊びにもうれしいかぎり。さらに園路はトイレや足洗い場、水飲み場へのルートが整備され、ベビーカーや車いすでの移動がラクになりました。
公園出入口の車止めにも注目
公園の出入口は5カ所あり、すべてに自転車の侵入や道路への飛び出しを防ぐ車止めが付いています。そのうち2カ所には車いす専用の出入口があるので、そのまままっすぐ公園に入ることが可能。加えて、視覚障がい者を誘導する点字ブロックを敷いた出入口も整備されています。
園内のすべての階段に手すりを設置
恵比寿南二公園は傾斜地に造られた公園のため、園内や出入口の階段にも工夫が見られます。小さな子どもからお年寄りまであらゆる人が利用することを想定し、手すりの高さは2段になっていて、さらに視覚障がい者のための点字標示板も付いています。もちろん、階段の始まりと終わりには注意を促す点字ブロックもあります。
所要:1時間
クタクタ度:★★★
おすすめの年齢:3~8歳
住所 | 渋谷区恵比寿南2-11-1 |
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料金 | 無料 |
時間 | 24時間 |
電話 | 03-3463-1211(渋谷区役所) |
定休日 | 無休 |
駐車場 | なし |
面積 | 1,889㎡ |
<パークデータ>
- ボール遊び:×
- スケボー:×
- 花火:×
- ペット:〇
- おむつ替え:〇
- 授乳室:×
- 園内売店:×
- 園内飲食店:×
- 周辺コンビニ:徒歩2分
- 周辺ファミレス:徒歩9分
おすすめのアクセス方法は?
恵比寿南二公園は恵比寿地区の住宅街にある街区公園です。公共交通機関でのアクセスが比較的よいので、近隣住民だけでなく、遠方から訪れることも可能です。
電車
最寄り駅のJR/東京メトロ恵比寿駅から恵比寿南二公園までは、大人の足で徒歩8分程度。ただし上り坂になっているので、行きは片道10分みておくといいでしょう。日比谷線はJR線側の1番出口(写真)にエレベーターが設置されています。
バス
一番近いバス停は、渋谷駅東口~五反田駅(渋72系統)の「防衛省技術研究所」。公園へは徒歩2~3分ほどです。公園からの帰りは「ハチ公バス」の名で知られる渋谷区のコミュニティバス(写真)を選択肢に入れるのもアリ。恵比寿駅入口を経由した後、代官山駅、渋谷駅西口を回ってくれます。もちろん、車いすやベビーカーの利用OKです。
車
公園専用の駐車場はありません。道を挟んだ向かいのコインパーキングを利用しましょう。
おすすめの滞在プラン
恵比寿南二公園には立派なサクラとイチョウの木々があるので、四季の移り変わりを感じることができます。特に桜花期は絶好のお花見スポット。地元の方々がこぞって訪れます。
遠方から訪れる場合、恵比寿ガーデンプレイスなど駅周辺のおでかけスポットと組み合わせるのが定番。テイクアウトグルメを調達してから行くと、ピクニック気分が楽しめます(ゴミは各自で必ず持ち帰りましょう)。
恵比寿南二公園パークマップ
小さな街区公園には珍しく、恵比寿南二公園には視覚障がい者が触ってわかる触地図が設置されています。芝生や植栽の部分は凹凸が付いていて、遊具や施設の名前が点字で表現されています。
都内でも数少ない、注目のインクルーシブ遊具を大公開!
インクルーシブ遊具とは、障がいの有無にかかわらず、一人ひとりが安心・安全に遊べる遊具のことです。恵比寿南二公園には多様な子どもたちが一緒に楽しめる遊具が導入され、注目を集めています。
ロックスオールシーソー
ロックスオールシーソー最大の特徴は、高い背もたれの付いたシート。従来のシーソーでは体のバランスを保てない子どもでも、これなら安定して座ることができます。また、多様な子どもたちが協力しながら、揺らして楽しめるのもポイントです。
このシーソーの真ん中は皿状の台になっています。立って揺らすことはもちろん、座位をとることができない子どもはここに寝転んで揺れを楽しむこともできます。
サポート付きブランコ
恵比寿南二公園にはブランコが3つ設置されています。そのうちひとつは背もたれの付いたバケットシートで、腕の力や体幹が未発達の子どもが後ろにひっくりかえるのを防ぐことができます。向かって左側のブランコの持ち手はロープになっていて、従来の鎖タイプのように指を挟む心配がありません。
バケットシートには、ジェットコースターのような安全バーが付いています。対象年齢は6~12歳となっていますが、保護者のサポートがあれば未就学児も利用できます。万が一落下してしまったときを考え、足元には衝撃を和らげるためのゴムチップ舗装が。さらに、転んでバケットシートにぶつかってしまったときのケガを防ぐために、シートの下の部分にはゴム素材が使われています。
砂場とサンドテーブル
恵比寿南二公園は砂場エリアの一部がフェンスに囲まれており、中に入ると、車いすに座ったまま遊べる砂場テーブルが中央に設置されています。隣には従来の深さの砂場があるので、同じエリアで多様な子どもが一緒に遊ぶことができます。
砂場のフェンスの内側には、腕や手を使って遊べるカラフルな仕掛けが付いています。パーツをつかんでスライドさせたり、くるくる回すだけでも楽しいですし、少し大きな子どもならママパパと一緒にお話を考えながらパネルを動かしてみたり、絵合わせパズルとして遊ぶのもいいでしょう。
シャドーフラワー
一見、プロペラのオブジェのように見えますが、これもインクルーシブ遊具のひとつ。下のハンドルを持ってぐるぐる周回すると、プロペラが回転する仕組みです。一人だと重たいので、複数人で力を合わせて回してみましょう。
以前からあった遊具も、リニューアルしました!
地元民に長く親しまれている恵比寿南二公園は、昔の面影をとどめた個所もあります。昭和レトロなオブジェもそのままに、真新しい公園にはない良さが感じられます。
斜面遊具
恵比寿南二公園には傾斜を利用した滑り台とクライミング遊具があります。斜面やはしご部分はきれいに塗り直され、壁にはボルダリングのような持ち手が付きました。子どもの手でも握りやすく、頭を使いながら上ることができます。
クライミングロープ横の階段にも、二段手すりが付けられています。自力で斜面を上れない小さな子どもはこちらを使うといいでしょう。昔ながらの石の滑り台はスピードが出やすいので、慣れるまでは大人が一緒に滑ってあげるのがおすすめです。
プレイウォール
プレイウォールは高低差のある恵比寿南二公園で、一番見晴らしのいい所にある遊具。平均台のようにバランスをとって歩いたり、壁を飛び越えたり、斜面を滑ったり……。遊び方は自由自在です。地面には草が敷かれ、上から飛び降りたときの衝撃を和らげてくれるのもうれしい配慮です。
スペースキューブ
改修前、恵比寿南二公園には金属製のジャングルジムがありました。改修後は「スペースキューブ」と呼ばれるFRP(繊維強化プラスチック)製のものに変更。ポップで明るい印象に生まれ変わりました。自力で上れない子どもも、親がサポートしながら遊ぶことができます。
番外編:ブタのスツール
恵比寿南二公園の看板ともいえる4匹のブタは、プレイウォールの横にお引越し。ピンクに塗り直され、スツール(腰掛けいす)になっています。
車いす利用者にも嬉しい設備をチェック!
遊具以外にも、恵比寿南二公園にはみんなにやさしい設備が用意されています。
クローバーベンチ
子どもから大人まで誰もが利用できるテーブル付きベンチです。赤いテーブル部分は握りやすいグリップが付いており、高齢者や車いすの方も利用しやすくなっています。
水飲み場
水飲み場は小さな子どもや車いすの方が利用しやすいユニバーサルデザインを採用。車いすに座ったまま利用できるよう、形状や手すりの位置に工夫がなされています。
だれでもトイレ
恵比寿南二公園にはバリアフリーのだれでもトイレ(中央)が備わっています。中には赤ちゃんのおむつ替え台も設置されています。
渋谷区初のインクルーシブ公園として生まれ変わった恵比寿南二公園。年齢や国籍、障がいの有無などを超え、あらゆる子どもたちが一緒に遊べる場所として、今後も注目を集めること間違いなしです。