AI技術の台頭や地球環境の変化などにより、私たちの生活は日々変わり続けています。それは仕事の内容も一緒のこと。子どもたちは、将来どんな仕事につくのがいいのでしょうか?ずっと定番の仕事だけでなく近い未来できっと活躍できる。そんな職業について、「お仕事」に日々専門的に向き合っているプロのふたりに話を聞いてみました。
この記事は、『るるぶKids 何になりたい?未来をみつけるおしごと大図鑑』 からの抜粋です。人気&イマドキの職業や憧れの職業を約160種類掲載している、わかりやすく読んで楽しいオススメの一冊です。
『キャリアガーデン』
株式会社ノードプレース代表取締役
吉田友和さん
約650種類の職業を紹介する情報サイト「キャリアガーデン」を運営。職業調べなどにぜひ活用してみましょう。
URL:https://careergarden.jp/
『キッザニア甲子園』
運営部 KCJ GROUP 株式会社
山口加那子さん
キッザニアは楽しみながら社会の仕組みを学べる「こどもが主役の街」。体験できる仕事やサービスは約100種類!
URL:https://www.kidzania.jp/
SDGsでも注目、地球環境に関わるお仕事
年々上昇する地球の平均気温と、それにともなう自然災害など、数々の現象によって地球と地球上にすむさまざまな生き物の生存が危うくなっています。
2030年までには地球環境のシステムを守るための「持続可能な社会」を実現する必要があり、それらに関係した仕事が注目されています。
注目!環境に大切なものを研究する仕事
■たとえば…<環境コンサルタント>
吉田先生:持続可能な社会をつくるためには、環境にとって何が大切かを研究することが必要です。世界的にも環境的に配慮のない企業や商品は排除される傾向にあり、必要不可欠となるでしょう。環境コンサルティング会社に勤務する働き方が一般的です。
公的機関や民間企業、団体からの依頼を受けて環境保全にかかわる調査や予測、分析を実施し、指導やアドバイスを行います。
■たとえば…<アップサイクルファッション>
山口先生:最近は、「サステナビリティ」といって自然環境や社会システムの維持にむけた考えや活動が注目されています。会社などで行われているペーパーレス化などもその一つです。ひとりひとりが身近なものに対して、「もったいない」という意識を持つことはとても大事だなと思います。
不用品を利用する方法でファッション業界が注目!デニム生地をバッグにしたり、タイヤチューブを服にしたりと、今後ますます広がりそう。
■たとえば…<環境系インフルエンサー>
吉田先生:SDGs活動が広がりを見せ、社会的な取り組みがさかんになる一方、情報があふれ、正しいものが選びづらくなっています。そこで注目されているのは情報発信をになう仕事です。サステナブルなくらしの発信が社会によい影響をもたらすことができます。
脱プラスチック、リサイクルなど環境負荷の低い商品をPRする環境系インフルエンサーはマーケティングの中心になりそうです。
■たとえば…<特殊冷凍の仕事>
るるぶKids編集部:食品ロスとは「まだ安全に食べられるのに、捨てられてしまう食べ物」のことです。日本の食品ロスは年間約612万t。コンビニなどの企業系廃棄物と家庭ゴミなどで世界一の排気量ともいわれています。消費期限間近の食品をシェアする仕組みや、食品業界では特に特殊冷凍などの技術革新が進んでいます。
長期保存ができるフリーズドライ製法や、フルーツや野菜を瞬間冷凍する特殊冷凍食品が食品ロス削減の救世主として注目。
メタバースが台頭!新技術で登場したお仕事
インターネット上の仮想空間「メタバース」にバーチャル出社したり、アバター用のおしゃれなドレスとデジタルスニーカーを買いにいったり…。宅配ドローンで商品が届いた、なんて未来はもう手の届くところまで来ています。2030年までにデジタル技術が驚異のスピードで進化するといわれていますが、私たちの未来の仕事と生活はどうなっているのでしょうか?
注目!バーチャル×リアルな世界
吉田先生:これからの世界は、リアルとバーチャルの境目がどんどんなくなっていきます。バーチャルの仮想空間(メタバース)で友達を作って、そこで遊んだり勉強をしたり、仕事もするようになります。現実世界にあるものが仮想空間でも必要となるので、バーチャルの家やインテリア雑貨、服などをデザインできる人の価値が高まるといわれています。
■たとえば…<バーチャル建築家>
仮想空間でかっこいいデジタル建築物をつくる建築家が、ひっぱりだこに!?
■たとえば…<バーチャルファッションデザイナー>
2022年以降はメタバースがかなり浸透するといわれています。
アバターが身につけるアイテムに、ファッション業界が着目。すでにスニーカーやドレスへの参入は過熱気味です!東京をテーマにした日本初ブランド「XXXX™」(上画像)も登場しました。
■たとえば…<ドローン空撮カメラマン>
るるぶKids編集部:趣味として楽しまれていたドローンが、さまざまな目的で使われるようになりました。すでにテレビ番組ではドローン空撮が大活躍しており、認知が高まっています。2022年度からは佐川急便が遠隔地へドローン配達を開始し、2023年度には人間を乗せて運ぶ「空跳ぶタクシー」の実用化が始まるといわれています。
画像提供:株式会社テレビ東京
以前の空撮はヘリコプターが主流だったが、ドローンの登場により、撮影できる映像の幅が広がり、番組づくりが変わったといわれています。
■たとえば…<VRアーティスト>
るるぶKids編集部:NFT(※)により、1点物としての価値を持つようになったデジタルアート。VR空間に3Dアートを描くせき ぐちあいみの作品『Alternate dimension 幻想絢爛』が1300万円という高値で売られたことが話題になりました。作品を転売する際にも、アーティストに報酬が還元されるため、稼げる職業としても注目が集まっています。
画像提供:クリークアンドリバー社
最先端のVRやARデバイス、3Dディスプレイなどを使用し、仮想空間に3Dアート作品を展示。日本の先駆者として知られるのはせきぐちあいみさん。
※NFT…非代替性トークンの略。デジタル作品を複製や偽造が不可能な証明書をつけた資産としてオンラインで販売する手法。
AIに負けないお仕国内のお仕事
AI(人工知能)って未来の話?いいえ、すでにスマートフォンの音声認識や自動車の自動運転など、さまざまな分野で用いられています。国内のAI市場は2030年には2兆1200億円にまで急速に拡大するといわれ、人間の仕事がAIに奪われるというコワイお話も……!
注目!AIに関する知識を生かしたAI人材が強い!
吉田先生:当初、日本では普及しないといわれていたスマートフォンもいまやすべての必需品です。AIも予想以上に早く浸透し、世の中を変えていくことでしょう。AIに関する知識を持ち、使いこなせる人材をを“AI人材”といい、活躍を広げているのが、AIの開発を行う「AIエンジニア」や、膨大なデータ(ビッグデータ)からの分析や研究を行う「データサイエンティスト」といった仕事があります。日本での知名度は低いものの、日本政府も人材育成を後押ししている注目の仕事です。
■たとえば…<データサイエンティスト>
ビッグデータから情報を収集・抽出をするスペシャリスト。データを分析し、企業の問題の改善に向けた提案を行います。
■たとえば…<AIエンジニア>
AIの「開発」、データを入れて精度を高める「学習」、蓄積されたデータの解析・活用を行う「分析」の分野があります。電子決済や暗号資産(仮想通貨)など、お金の流通に欠かせない技術にたずさわる「ブロックチェーンエンジニア」や、企業の持つ膨大な情報を整理して、検索や共有、再利用しやすくする「データベースエンジニア」なども。
注目!人間同士のふれあいが求められる仕事
人の感情の理解はAIが苦手とする分野の一つです。人とのふれあいを通して、本音を引き出し、解決を導き出すカウンセラーやコンサルタント業務などは将来的にも強い仕事といえます。ほかにも看護師や理学療法士、美容師などもAIに代替が難しい仕事です。
■たとえば…<公認心理士>
日本初の心理職の国家資格。人間の感情を理解するスペシャリストとして、医療だけでなく、企業や学校での採用が検討されています。
注目!人の創造力を生かしたエンタメ系の仕事
余暇を充実させるエンタメ系の仕事の価値が高まると考えられます。AI将棋など「ゲーム×AI」はすでに浸透していますが、さらにVR技術と結びつくことで大革新が予想されます。AI技術をどう活用するかを考えるのは人間の想像力です。多彩な企画を生み出すプロデューサー業なども発展するでしょう。
■たとえば…<動画制作者(YouTuber/Vtuber)>
YouTuberをはじめ、キャラを作って動画配信するバーチャルYouTuber(Vtuber)がブーム。参入者が増え、市場も広がりを続けています。
©︎Kizuna AI
初のVTuberであるキズナアイ
ほかにもこれからの時代に活躍する、新しい仕事がどんどん増えてくるかもしれませんね。
『るるぶKids 何になりたい?未来をみつけるおしごと大図鑑』発売中!
2022年2月発売の『るるぶKids 何になりたい? 未来をみつける おしごと大図鑑』は、定番や“イマドキ”の人気職業をイラストでわかりやすく紹介する、子どもたちの夢を応援する一冊です。
「将来の夢はなに?」
そう聞かれる機会が、幼稚園や小学校でも増えています。ですが、将来どんな仕事をしたいかというのは、未就学児~小学生には見つけるのが難しかったり、「これになりたい!」と思っても、実際にどんな職業なのかわからなかったり…。そもそも「こんな職業があったんだ! 知らなかった! 」ということもよくありますよね。
本書では、「好きを仕事に」「ものづくりの仕事」「人に関わる仕事」「未来の仕事」という4つのテーマで、約160種類のお仕事を紹介しています。取り上げているのは、スポーツ選手、アナウンサー、獣医師、モデル、パティシエといった定番や、ユーチューバー、ゲームクリエイター、eスポーツ選手といった最新の職業など。現在活躍中のプロたちに取材しています。
わかりやすくて読んで楽しい一冊を、ぜひ親子で一緒にご覧ください。