七夕と言えば7月7日。笹に願いを書いた短冊を飾り、また織姫と彦星が年に一度再会するという伝説でも知られています。しかし、日本には8月にも七夕行事を行う地域があるのをご存知でしょうか? なぜわざわざ1カ月遅れで? その理由を調べたところ、日本各地の面白い姿が見えてきました!
七夕の解説記事(全国の七夕まつりも紹介)
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8月に七夕を行う地域とは
まずは8月に七夕行事を行っている地域を見てみましょう。例年、8月に行われている大きな行事を見てみると、「ローソクもらい(北海道)」「仙台七夕まつり(宮城県)」「うごく七夕まつり(岩手県)」「七夕絵どうろうまつり(秋田県)」「いわき七夕まつり(福島県)」などなど……結構たくさんありますね!
仙台七夕まつり
また寒い地域だけでなく、「阿佐谷七夕まつり(東京都)」「山口七夕ちょうちん祭り(山口県)」「市来の七夕踊り(鹿児島県)」と、暖かい地域でも8月に行われています。
山口七夕ちょうちんまつり
具体的には7月7日からちょうど1カ月遅れの8月7日や、その近辺の土日に行う地域が多いようです。これは、明治6年(1873)の改暦以前に使われていた旧暦の影響ですが、なぜ今もあえて旧暦を意識した日程なのでしょうか?
なぜ?「高岡七夕まつり」の事務局担当の方に、理由を聞いてみました!
筆者が住んでいる富山県でも8月に日本海側随一の規模を誇る「高岡七夕まつり」が開催されます。そこで事務局の担当の方に8月開催の理由を聞いてみました!
2021年8月1日〜7日開催の「高岡七夕まつり」
担当の方によると、開町400年を超える城下町で商業都市としても栄えた高岡市では、「五穀豊穣」を祈願する宮中行事である七夕が、古くから「商売繁盛」「子孫繁栄」を願う町民文化として取り入れられてきたそうです。行事には江戸時代、明治、大正にかけて家庭や町内で行われていたところ、昭和40年代後半にイベントになり、50年代に現在の歩行者天国などを伴う「高岡七夕まつり」の姿になったという背景がありました。そしてその開催時期はというと……。
「町内で飾っているときは、暦に合わせて設置していましたが、イベントを伴う現在の祭り形態になったとき、旧暦にあわせて8月開催になりました。7月開催では、梅雨時期に相当していることで天候不順が多いこと、また8月は猛暑で外出を控える時期なので、夜間にイベントを開催して集客を図るためです」
とのことでした。なるほど!そんな理由があったとは!確かに雨だとお出かけしづらいもの。そして夏場は涼しい時間に出かけたいものですよね。お祭りをあえて旧暦に近いタイミングで行うのには、合理的な理由がありました。
他の地域は? 七夕で見える地域性
他の8月に七夕を行う地域を見てみると、たとえば仙台七夕まつりでは、
「元来、旧暦の伝統行事だったため、月遅れの8月に毎年開催しております。
(仙台七夕まつり公式サイトより引用)
さらに、七夕を8月にするという各地の人に聞き込みをしてみたところ、高岡七夕まつりでも挙がった「梅雨を避けている」のほか
「旧暦をベースにしつつ、七夕はお盆前に祖先の霊を迎える禊の行事であるという考えを考慮し、新暦のお盆に重ならないように8月上旬に設定している」
「新暦だと特産の農産物の収穫の時期と重なるので、旧暦でやっている」
という理由もあり、伝統行事は気候や地域性と深いつながりがあるのが見えました。また北海道では七夕行事を8月に行うだけでなく、笹が生育しづらい環境であるため柳の木を七夕飾りに使うこともあるそうです。これも地域の特色が出ていますね。
皆さんが住んでいる地域の七夕は7月?それとも8月?なぜその時期なんでしょう?地域の歴史を深掘りしたり、全国の分布とその理由を自由研究でまとめても面白そうですね!
高岡七夕まつり
開催期間 | 2021年8月1日(日)~7日(土) |
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住所 | 富山県高岡市中心市街地 |
問合先 | 0766-20-0555(高岡七夕まつり実行委員会) |
アクセス | あいの風とやま鉄道高岡駅からすぐ |
URL |