自分の知らない世界をたくさん教えてくれる絵本。乳幼児期の親からの読み聞かせは、子どもの知的好奇心を刺激し想像力を豊かにします。さらに自分で文字が読めるようになると、語彙力も身につき、国語の勉強に活かせるだけでなく、コミュニケーション力が育つきっかけにもなるでしょう。
そんな絵本というテーマを通して、絵本作家など幅広い活動をしている広松由希子さんに、絵本の魅力やお仕事のことなどを教えてもらいました!
絵本について聞いたのは、広松由希子さん!
絵本作家や評論家として、絵本について幅広い活動をする広松由希子さんに教えてもらいました。るるぶKidsだけに語ってくれたご自身のエピソードは、子育ての参考にもなるはずです!
広松由希子さん
編集者、文庫主宰、ちひろ美術館学芸部長などを経て現在は絵本作家・評論家。絵本に関するエッセイや翻訳、展示企画なども手掛けている。ほかに国際絵本コンペの審査員や、新聞の絵本評の選者、雑誌の絵本記事の連載など幅広く活躍する。JBBY(日本国際児童図書評議会)副会長。『きょうの絵本あしたの絵本』(文化出版局)、『日本の絵本 100年100人100冊』(玉川大学出版部)など多くの著書がある。
ズバリ!絵本の魅力を教えて!
画像:国立国会図書館国際子ども図書館
好きなときに好きな場所で好きな人と(もちろんひとりでも)気軽に繰り返し楽しめるところ。読む年齢によって、気分によって、感じ方もいろいろ変わります。5歳で読んだ絵本が20年後、30年後には全然違うように読めるなんてことも。
絵本を好きになったきっかけは?
『うさこちゃんとうみ』(ディック・ブルーナ作、石井桃子訳、福音館書店)
最初は『うさこちゃんとうみ』(福音館書店)かな。1歳だったので記憶はほとんどないのですが、大人になって読んだら、ほっぺたがニマニマして身体中がウキウキするのがわかりました。頭で覚えていなくても細胞が覚えていたのかも。
子どものころはどんな子でしたか?
絵を描いたりお話を作ったりするのが好きな子でした。読む本は絵本や児童文学だけでなく大人の本も雑誌もなんでも。もちろん漫画も大好きで、3歳違いの兄と弟と漫画雑誌を作っていました。ギャグ漫画からミステリーまでペンネームを3つずつ使い分けたりして。
絵本の仕事でおもしろいと感じるのは?
読めば読むほど、好きになればなるほど、絵本も自分のことを好きになってくれる気がします。すみずみまで愛されて作られた絵本は、愛するほどに愛し返してくれるようです。これ、相手が人間だと、そうはいかないでしょう?
絵本の仕事で大変なことは?
一番は〆切(笑)。あと私の場合は、海外との仕事が急に増えたこと。国際絵本コンクールの審査員や展示企画の仕事など、好きな絵本の話をするのに下手な英語ではもどかしくて大変です。でも絵本は言葉を超えて伝わるところがあり、世界中に友達が増えたのはうれしいことでした。
絵本の達人になるために頑張ったことは?
フリーランスになって新聞や雑誌で新刊絵本紹介の連載を一気に始めることになり、あらゆる新刊に目を通そうと頑張りました。食わず嫌いしないで毎年1000冊以上を読み続けたのは、結果的によかった。「好き」のツボって刺激していると増えるんですよ。
お気に入りの絵本スポットは?
「星と森と絵本の家」は周りの自然環境もよく、子どもと一緒にリラックスできます。天文と絵本のコラボ展示は、手作りのなかに知恵と愛が詰まっています。他にも絵本の新古書店や絵本カフェなど好きなスポットはいっぱい。
子どもに紹介したい絵本は?
紹介する相手がどんな性格の子か、好きなものはなにか、年はいくつで今どんな気分か……などを聞かないと難しいですね。ぱっと飛びつくような絵本もいいけれど、すぐに反応が見えなくても何年もかけて芽を出すような、心に種を蒔く絵本が選べたら最高です。
絵本の達人を目指す子どもたちへメッセージ
本当に好きと思える絵本に出合えるといいですね。出合ったら何度でも繰り返し好きなだけ読んで。絵も文も物語もリズムも手触りもにおいも重さもページをめくる音も、すみずみまで一冊を味わって。まずは自分の「好き」を大切にしてください。それから世界を広げましょう。
そのほかのテーマの達人によるQ&Aにも注目!
絵本のほかにも、いろいろなテーマごとにその道の“達人”に話を聞きました。紹介スポットへのコメントに加え、そのテーマ自体の魅力や仕事について、達人たちが子どもの頃のエピソードなどのQ&Aを今後公開していきます。将来何になりたいかについて考え始める時期の子どもたちに伝えたい内容が満載なので、こちらもお楽しみに!
■各テーマの達人
【恐竜】恐竜くん|恐竜専門サイエンスコミュニケーター、イラストレーター
» 【恐竜が大好き!!】
» 【昆虫が大好き!!】
» 【動物が大好き!!】
» 【鉄道が大好き!!】
» 【宇宙が大好き!!】
『るるぶKids こどもの知的好奇心がすくすく育つ学びスポット 東京周辺』
子どもたちの知的好奇心を刺激してくれる“学びスポット”全89施設をピックアップ。図鑑などでもお馴染みの「恐竜」「動物」「昆虫」「宇宙」「乗り物」、そして日常の延長として親子のコミュニケーションを楽しめる「アート」「絵本・アニメ」「にほんの歴史」を加えた8テーマに分けて紹介しています。監修者である脳医学者の瀧 靖之先生、そして各テーマの“達人”たちと選んだ“学びスポット”は、どこも子ども心をくすぐる工夫にあふれた施設ばかり。また巻頭には、瀧 靖之先生による「知的好奇心の伸ばし方」も収録しています。
子どもの成長にとって大事な知的好奇心を育てるスポットの数々。本書を参考に家族でおでかけしてみませんか。