知的好奇心がすくすく育つ学びスポット!
旧区立中学校をリノベーションして生まれたアーツ千代田3331は、ともすれば敷居の高さを感じてしまうようなアートの世界をぐっと身近に引き寄せてくれる頼もしい存在です。人々が自由に集う様子はまさに都会のオアシス。アートという「うるおい」を求めてさっそくお出かけしましょう。
子どもの知的好奇心は身近な“学びスポット”で育む!
子どもの脳の発達の原動力となり、将来の可能性を広げてくれるのが知的好奇心。その知的好奇心を育むスポットは東京周辺にたくさんあります。脳医学者の瀧 靖之(たき やすゆき)先生、そして宇宙・動物・昆虫・アートなどの各テーマの“達人”たちと選んだ東京周辺にある “学びスポット”を紹介します。どこも、「知るのが楽しい!面白い!」と思わせてくれる、工夫にあふれた施設ばかり。コロナ禍が続くいまだからこそ輝く身近な“学びスポット”へ出かけてみませんか。
監修:瀧 靖之(たき やすゆき)先生
東北大学加齢医学研究所教授
医師。医学博士。東北大学加齢医学研究所および東北大学東北メディカル・メガバンク機構で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究に従事。読影や解析をした脳MRIはこれまで16万人以上にのぼる。
知的好奇心で培われる、8つの“育つ力“
子どもの知的好奇心を刺激することで培われる力を、瀧 靖之先生が8つ選定。「洞察力」「思考力」「想像力」「発想力」「思いやり」など、施設ごとに“育つ力”を付記しました。
» 脳医学者の瀧 靖之先生に聞く!「知的好奇心」で育つ8つの力
»「国立科学博物館」は知的好奇心をくすぐる展示や学びの仕掛けが満載!
アーツ千代田3331で育つ子どもの力
知的好奇心が育つと、子どものどんな力が育つのかをチェック!アーツ千代田3331では、とくにどんなところが子どもの知的好奇心をくすぐるのでしょうか?
校舎の面影を色濃く残す建物に子どもたちは興味津々。日常のようでちょっと違う、そんな独特な雰囲気が好奇心を刺激してくれます。
既存のアート施設の枠には収まらない、アーティスト主導によるさまざまな取り組みを行っているのも魅力のひとつ。地域コミュニティと連携したイベントや、子どもから大人まで多様な立場の人たちに開かれたアートプログラムは、子どもの想像力や発想力を育むのにぴったりです。
» アートの達人「美術ライター 浦島茂世さん」お仕事インタビュー
アーツ千代田3331ってこんなところ!
公園に面した広々としたウッドデッキが印象的なアーツ千代田3331。旧区立中学校を改修して2010年に誕生し、地域に開かれた複合アートセンターとして、現代アートをはじめ建築やデザイン、まちづくりなど多彩な表現を発信しています。
館内は旧校舎の趣が色濃く残り、まるで放課後か休日に開放された校舎をふらりと訪ねたよう。気取らない雰囲気のなかでアートに親しむことができます。
地下鉄銀座線末広町駅から徒歩1分。JR秋葉原駅や御徒町駅からも徒歩圏内です。
所要:1時間
おすすめの年齢:4歳~
住所 | 東京都千代田区外神田6-11-14 |
---|---|
電話 | 03-6803-2441 |
営業時間 | 10〜21時、最終入館は閉館30分前 |
定休日 | 無休 |
料金 | 無料(観覧料は展覧会ごとに異なる) |
アクセス | 地下鉄銀座線末広町駅から徒歩1分 |
駐車場 | なし |
<施設データ>
- 子ども用トイレ:✕
- おむつ替え:〇
- 授乳室:〇
- ベビーカー利用:〇
- ベビーカー貸出:✕
- コインロッカー:〇
- 館内飲食店:〇
- 館内売店:〇
※2022年3月現在、新型コロナウイルス感染症対策のため一部の休憩スペースの利用を休止している場合があります。最新の利用状況につきましては施設へお問い合わせください。
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おすすめのアクセス方法は?
公共交通機関を利用する場合、地下鉄とJRのどちらからでもアクセス至便です。東京メトロ銀座線末広町駅4番出口より徒歩1分、千代田線湯島駅6番出口より徒歩3分、都営大江戸線上野御徒町駅A1番出口より徒歩6分。またJR御徒町駅南口より徒歩7分、 JR秋葉原駅電気街口より徒歩8分となります。
専用駐車場はないため、車で来館する場合は施設周辺のコインパーキングを利用することになります。
おすすめの遊び方&過ごし方
観覧料は展覧会ごとに異なりますが、施設への入館自体は無料。地下1階から地上3階のフロアで構成され、メインフロアの1階にはメインギャラリーやショップ、カフェ、コミュニティスペースなどがあります。地下1階と2、3階にはかつての教室空間を利用したギャラリーやスタジオ、シェアオフィスなどが入居し、展示開催中のギャラリーは一般客にも開放されているので、興味のある展示をはしごするのも楽しいでしょう。スロープやエレベーターも備えられ、ベビーカーの利用も安心です。
大小さまざまなアートギャラリーがお出迎え
©3331 Arts Chiyoda
ギャラリー数は地下1階〜3階で計10以上。1階のメインギャラリーではアーツ千代田3331主催の大型展覧会やアートイベントなどを多数開催しています。
観覧料は展覧会ごとに異なり、チケットは入口前の受付で購入します。
©3331 Arts Chiyoda
地下1階や2階ではもともと教室として利用されていたスペースをギャラリーとして活用しています。アートギャラリーが運営するものや大学運営のギャラリーなど、それぞれが独自のコンセプトで作家紹介や展覧会を行っています。
各ギャラリーの入口には学校時代を彷彿とさせるプレートが。廊下から室内の様子をうかがうこともできるので、気になったギャラリーがあれば気軽に足を運んでみましょう。
アーツ千代田3331は年中無休(お盆・年末年始を除く)の施設ですが、地下1階、2階のギャラリーに関してはそれぞれが個別に開廊日を設定しています。展覧会の最新情報とともにアーツ千代田3331HPの「スケジュール」よりご確認ください。
いろんなところでアートを発見!
藤浩志《トイザウルス》2009
アートはギャラリーのなかだけに収まっているわけではありません。館内をくまなく探索すれば、見る人に楽しく語りかけてくるような面白い作品と出合えますよ。
1階のキッズスペース「かえるステーション」の脇には不思議な存在感を放つ恐竜の作品が。《トイザウルス》と名付けられたこちらの作品をよく見ると、無数のプラスチックのおもちゃのパーツを合体させて作られていることに気づきます。
おもちゃのフィギュアが恐竜の歯に!こちらはアーティストの藤浩志氏の作品。彼が考案した「kaekko(かえっこ)」と呼ばれる仕組みを通じて収集した遊ばなくなったおもちゃを素材とした作品は、まるで子どもたちの楽しい夢や思い出から生まれてきたような不思議な魅力に満ちています。
©3331 Arts Chiyoda
階段の壁には鮮やかな抽象画が描かれています。こちらは画家の佐々木耕成氏の作品をモチーフとしたもの。不規則に広がる波紋のような、あるいは巨大な地球外生命体のような。まじまじと観察するといろんなイメージが湧いてきます。
ほかにも1階エレベーターホールの壁をアナログスナップ写真で彩った「ロモウォール」や、ウッドデッキに設置された巨大な赤いベンチなど、遊び心を感じさせるアートがそこかしこに潜んでいます。
学校らしさを探してみよう!
©3331 Arts Chiyoda
アーツ千代田3331の前身は中学校。当時の設備や構造が多くの部分で生かされ、当時の面影をいたるところに残しています。「こんなところが学校っぽいね」と子どもと探してみるのも楽しいでしょう。たとえば1階のコミュニティスペースは元職員室。黒板も当時使用されていたものがそのまま設置されています。また隣接するメインギャラリーは食堂だったそうです。
リノベーションするにあたりバリアフリー化され、エレベーターの設置や床の段差の解消がなされました。また実はウッドデッキのある現在のエントランスはもともとは壁側で、学校時代の正門は別のところにありました。リノベーションにあたり区立公園に面した方角にエントランスを設けることにより、外部空間と一体化した開放的なアート施設へと生まれ変わったのです。
廊下には昔懐かしい手洗い場がありました。
階段前に設置された卒業記念の鏡はもちろん実物。これも学校ならではの設備です。
ほかにも「学校らしさ」はいっぱいあります。子どもの視点ならではの思いがけない発見があるかもしれませんね。
アーツ千代田3331ならではの体験にトライ!
©3331 Arts Chiyoda
《トイザウルス》の素材となるおもちゃは、藤氏の発案した「kaekko(かえっこ)」を通じて集められたもの。「かえっこ」とは、遊ばなくなったおもちゃをカエルポイントに交換するやり取りのなかで、子どもたちが自発的にさまざまな活動や体験をする場をつくり出す仕組みのこと。アーツ千代田3331では2010年の開館以来「kaekko」を重要なプログラムのひとつと位置づけ、「かえっこバザール in 3331」として継続的に取り組んでいます。
©3331 Arts Chiyoda
「かえっこバンク」で、家から持ってきた遊ばなくなったおもちゃを「カエルポイント」に換えたら「かえっこレジ」で「カエルポイント」分のおもちゃに交換!おもちゃの交換を楽しんだり、会場のおもちゃでオリジナルの遊びを発明したり。「kaekko」を通じて子どもの自主性や創造性を育みましょう。
内容の詳細やスケジュールについては、公式HPにてご確認ください。
子連れにおすすめ!館内の立ち寄りスポット
アーツ千代田3331には子連れならぜひ立ち寄りたいスポットがあります。ぜひ行ってみてくださいね。
●3331 CUBE shop & gallery
1階正面入口、コミュニティスペースに隣接する直営のショップ&ギャラリー「3331 CUBE shop & gallery」では、アーツ千代田3331が厳選する国内の企業やアーティスト、クリエイターの作品やグッズを中心に、ユニークなデザインアイテムを多数販売。アートやリノベーション、まちづくりといった施設の活動に関連する書籍も多く取り扱っています。
ギャラリースペースでは約2ヵ月ごとにスタッフが推薦する新進気鋭のアーティストの作品が展示され、こちらでも気軽にアートを楽しむことができます。
- 【営業時間】11~19時
- 【定休日】施設に準ずる
●3331 Cafe Ubuntu
正面入口のすぐ脇には、マイクロベーカリー&カフェ「3331 Cafe Ubuntu」があります。カフェで焼き上げたイタリアのエミリア=ロマーニャ州の伝統パン「ティジェーラ」を使用したサンドウィッチや、肉または野菜を主菜に選べるミニコースの「ビストロランチ」など、世界各地の庶民ごはんをテーマにした手の込んだメニューを揃えています。
※写真のメニューは変更となる場合があります。
手作りの定番スイーツも好評です。一部メニューはテイクアウトにも対応しているので、天気のいい日はウッドデッキや公園でくつろぐのもいいですね。アーツ千代田3331は入館無料の施設なので、もちろん普段使いのカフェとしても利用できますよ。
- 【営業時間】12~18時
- 【定休日】月・火曜
※2022年3月現在、新型コロナウイルス感染症対策のため営業情報が変更されています。
小さい子ども連れファミリーに嬉しい、施設や設備
©3331 Arts Chiyoda
1階の「3331×コドモノタタミ おやこ休憩室」は、0歳から小学生までの子どもとその親が利用できる無料の休憩スペースです。おもちゃで遊んだり絵本を読んだり、自由に過ごしましょう。畳のい草の香りにも癒やされます。
※2022年3月現在、新型コロナウイルス感染症対策のため「おやこ休憩室」の開放は休止となっています。
カーテンで仕切られた、女性専用の授乳コーナーも付設されています。調乳用のお湯は用意されていないため必要な方は持参してください。
おむつの交換は1階の「だれでもトイレ」を利用しましょう。
1階「おやこ休憩室」前にはコインリターン式のコインロッカーが設置されています。
日常に寄り添うように存在するアーツ千代田3331は、アートに向き合う考え方そのものを柔らかくストレッチしてくれるような不思議な魅力にあふれています。感性が豊かな子どもたちなら、きっと大人以上にその面白さをキャッチするはず。ぜひ普段のお出かけスポットのひとつに加えてみてはいかがでしょうか。
●掲載の情報は予告なく変更になる場合があります。おでかけ前に各スポットへご確認ください。
●旅行中は「新しい旅のエチケット」実施のご協力をお願いします。
『るるぶKids こどもの知的好奇心がすくすく育つ学びスポット 東京周辺』
子どもたちの知的好奇心を刺激してくれる“学びスポット”全89施設をピックアップ。図鑑などでもお馴染みの「恐竜」「動物」「昆虫」「宇宙」「乗り物」、そして日常の延長として親子のコミュニケーションを楽しめる「アート」「絵本・アニメ」「にほんの歴史」を加えた8テーマに分けて紹介しています。
監修者である脳医学者の瀧 靖之先生、そして各テーマの“達人”たちと選んだ“学びスポット”は、どこも子ども心をくすぐる工夫にあふれた施設ばかり。また巻頭には、瀧 靖之先生による「知的好奇心の伸ばし方」も収録していますよ。
子どもの成長にとって大事な知的好奇心を育てるスポットの数々。本書を参考に家族でおでかけしてみませんか。