イルカと泳げる・遊べる水族館は?イルカの生態や種類、ジャンプする理由も解説

イルカと泳げる・遊べる水族館は?イルカの生態や種類、ジャンプする理由も解説
横浜・八景島シーパラダイスのバンドウイルカが挨拶してくれました

佐々木隆のアイコン佐々木隆

水族館で1・2を争う人気者イルカ。そんな動物アイドルっていったいどんな生きものなのでしょう? イルカの種類、クジラとの違い、生態や繁殖、なぜジャンプするのか、などなど、さまざまな特徴について簡単に解説します。さらに、水族館の飼育員さんにも、イルカや水族館によくいるバンドウイルカについて聞いてみました。そして、イルカと泳げたり、大接近して遊んだりできる代表的な水族館を3つ紹介します。みんなのアイドル、イルカについてもっと学んで、水族館で大接近してみませんか。

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目次(index)

イルカってどんな生きもの

まず、イルカとはどんな生きものなのか、キホンから生態、食事、繁殖などについて解説しましょう。

イルカのキホン

動物の分類学上、実は「イルカ」という系統群はないんです。“ハクジラ亜目のうちで比較的小型の種類”の総称が「イルカ」。こんなに、人間になじみの深い哺乳類なのに意外ですね。種類も多く、体長・体重・寿命なども種類によって大きく異なります。

  • 【学名】Odontoceti(ハクジラ亜目)
  • 【分類】鯨偶蹄目 クジラ目 ハクジラ亜目
  • 【生息地】世界中の海
  • 【体長】約1~10m
  • 【体重】約30~300kg
  • 【寿命】20~50年

イルカの名前について

和名で「イルカ」、漢字で書くと「海豚」、英名だと「Dolphin(ドルフィン)」といいますが、和名の「イルカ」をなぜ「イルカ」と呼ぶかは諸説あって、どれもあいまいで、はっきりしません。ただ「バンドウイルカ」の「バンドウ」は、歌舞伎の半道敵(笑みを浮かべて観客を笑わせるような役)の「ハンドウ」から来ているとか、「カマイルカ」の「カマ」は、イルカのスタイルが草を刈る「鎌=カマ」に似ているから、とか、わりと納得できる名前の由来があります。

下田海中水族館のバンドウイルカ

下田海中水族館のバンドウイルカ。確かに笑みを浮かべているように見えますね

イルカにはどんな種類がある?

イルカは、シロイルカ(ベルーガ)やシャチ、スナメリ、クジラなども合わせて全部で約90種あるといわれています。日本の水族館で見られるのは約15種で「クジラ目 ハクジラ亜目 マイルカ上科」という分類に属しています。一番多いのがバンドウイルカ、次がカマイルカです。

イルカとクジラの違いは?

単純にいうと「大きいのがクジラ、小さいのがイルカ」で、はっきりとした定義はありません。日本では、体長4mを境界にすることが多いようですが、それに当てはまらない種類もあり、あいまいなのです。ちなみに、英名の「Whale(=クジラ)」と「Dolphin(=イルカ) 」の区別と和名の「クジラ」と「イルカ」の区別は、ほぼ同じと考えていいようです。

下田海中水族館のカマイルカ

下田海中水族館のカマイルカ。体長2m以上くらいで、イルカとしては平均的

イルカの食事について

キホンは肉食。魚類やイカ・カニなどを主に食べます。水は飲まず、水分はその魚類などから摂取しています。イルカの歯は約80~90本ありますが、食べるときには使わず丸飲みします。魚などを捕まえるときに、この歯を使うようです。

下田海中水族館の「いるかの学校」などでイルカの食事について解説してくれる

下田海中水族館では「いるかの学校」などでイルカの食事について解説してくれます

イルカは片目を閉じて眠る!?

イルカはいつも休まず泳ぎ続けています。では、いつ眠っているのでしょう? かつては「眠らない」という説もありましたが、現在は「半球睡眠」という方法で眠っているという説が有力です。イルカは、右目と左脳、左目と右脳がリンクしています。右目を閉じて左脳を眠らせ、左目を閉じて右脳を眠らせているのです。つまり、イルカは泳ぎながら交互に片目を閉じることで眠っているわけです。

イルカは知能が高い!!

イルカの脳はヒトに次いで、体重に占める脳の割合が大きいといわれています。それもあり、イルカの知能が高いことは広く知られています。つまり“イルカは賢い”です。水族館でショーやパフォーマンス、ふれあい体験、各種プログラムができるのは、この賢さと人なつっこさが大きな要因になっています。

下田海中水族館の海上ステージイルカショー「ワンダーオーシャン」

下田海中水族館の海上ステージイルカショー「ワンダーオーシャン」では、イルカの賢さと能力の高さを存分に堪能できます

イルカはなぜジャンプする?

イルカはショーなどでジャンプする以外にも、よくジャンプする姿を見かけます。これ実は“カラダについているアカを落とす”のが大きな理由のようです。そして、アカを落とすことで、泳ぐスピードを保っているのです。特に、野生のイルカは、獲物を追いかけたり敵から逃げたりするために、速く泳ぐことが重要なのです。

下田海中水族館のバンドウイルカのジャンプ

下田海中水族館のバンドウイルカのジャンプ。なんだか楽しそうです

イルカの繁殖と子育て

春~夏に繁殖期を迎え、約10カ月の妊娠期間後に出産。赤ちゃんイルカはお母さんの約1/3~1/2の大きさで、尾ビレから生まれてきます。生まれてからしばらくは親子で一緒に泳ぎ、赤ちゃんは母乳で育ちます。水族館でも親子で泳いでいる姿や、母乳を飲んでいる姿を見られる場合がありますよ。

横浜・八景島シーパラダイスのバンドイルカが親子で泳ぐ姿

横浜・八景島シーパラダイスのバンドイルカが親子で泳ぐ姿

イルカについて飼育員さんに聞きました

では、下田海中水族館のイルカの飼育を担当している方に、イルカのことをいろいろうかがってみましょう。

バンドウイルカとカマイルカの違い

『一番大きな違いは大きさです。バンドウイルカのほうが体長約2~4mくらい、カマイルカは2mちょっと。バンドウイルカのほうがひと回り大きいイメージです。あとは、カラダの色がバンドウイルカはグレー、カマイルカは黒と白です』と飼育員さん。

横浜・八景島シーパラダイスのバンドウイルカ

横浜・八景島シーパラダイスのバンドウイルカ

下田海中水族館のカマイルカ

下田海中水族館のカマイルカ

イルカは人なつっこいの?

『イルカのなかでもバンドウイルカは人に慣れやすいと思います。好奇心が強く、遊ぶことが好きなんです。カマイルカは比較的神経質ですね』と飼育員さん。これも、バンドウイルカとカマイルカでは違うようですね。

下田海中水族館のプログラム「ドルフィンフィーディング」でのバンドウイルカ

下田海中水族館のプログラム「ドルフィンフィーディング」でのバンドウイルカ

イルカに耳はあるの?

『イルカには耳があるんです。音を聞く役目はしていないのですが孔があいています。ちなみに、目は視力0.1くらいで瞬きはしません。この目や音波などで、海の中のさまざまな現象を把握しています』と飼育員さん。下田海中水族館では、イルカに大接近できるプログラムが多いので、ぜひ耳の孔を探してみてください。

『ココに耳があります』と、耳の場所を手で示して教えてくれる様子

『ココに耳があります』と、耳の場所を手で示して教えてくれました

イルカの鳴き声について

イルカが鳴く声を聞いたことがあるでしょうか? ショーやパフォーマンスなどで聞けることも多いのですが『イルカの声は口から出しているんじゃないんです』と飼育員さん。えっ、じゃ、どこから出しているのでしょう?『頭の上についている鼻孔から音を出しているんですよ』と教えてくれました。

『頭の上についている鼻孔から音を出しているんですよ』と教えてくれる様子

イルカの頭の上に注目。鼻孔があります。これ、鼻なんですね

イルカのカラダの色について

カラダの色合いについて、飼育員さんは『保護体色なんです。カラダの上部、つまり海上に見えている部分は黒っぽく見えるように、海中にある部分は白っぽく見えるようにカラダの色が上下で異なっています』。なるほど、これはシャチなども同じですね。

下田海中水族館のイルカで上下のカラダの色がわかるように見せてくれている様子

下田海中水族館のイルカで上下のカラダの色がわかるように見せてくれました

イルカのヒレについて

『イルカには背ビレ、尾ビレ、胸ビレがあります。背ビレと尾ビレには骨はないんですが、胸ビレには5本の指の骨があるんです。これは、イルカが昔、陸上で暮らしていた名残で、のちに水中で生活するようになったため、前足が胸ビレになり、後足は退化してなくなった、といわれています。』と飼育員さん。

下田海中水族館のショーでのジャンプシーン

下田海中水族館のショーでのジャンプシーン。イルカの上側にあるのが背ビレ、尻尾部分が尾ビレ、下側前方にあるのが胸ビレです

イルカと泳げる・遊べる3つの水族館

イルカについて学んだあとは、イルカと泳いだり遊んだりできるプログラムがある水族館を3つほど紹介しましょう。イルカのショーやエサやり、ふれあい体験などを実施している水族館は多くありますが、実は、水族館でイルカと一緒に泳いだり遊んだりできる施設は希少。年齢制限などもあるのでご注意を。

下田海中水族館(静岡県/下田市)

しもだかいちゅうすいぞくかん

日本の水族館でイルカにもっとも接近できる水族館といっても過言ではないかもしれません。泳げる、遊べるプログラムがあります。ほかに、イルカのショーや「ドルフィンフィーディング」「ファミリードルフィン」など、イルカに関するプログラムが大充実です。

【関連記事】» イルカと遊べる下田海中水族館の親子向けモデルプラン!カワウソやペンギンも人気

水族館のエリア内のドルフィンビーチの開放的な風景/下田海中水族館(静岡県/下田市)

水族館のエリア内のドルフィンビーチの開放的な風景。入江をイルカが泳いでいます

●うきうきドルフィン

  • 期間:通年
  • 場所:ドルフィンビーチカウンター集合
  • 実施:1日2回~(所要約1時間30分)
  • 制限:小学生以上(低学年は保護者付添を推奨)
  • 料金:1名5000円(水族館入館、レンタル料別)
  • 予約:必要(→公式サイトから)

水深5~6mの場所で、ウェットスーツ・マリンブーツ・ライフジャケットを着用して、イルカの観察やふれあいを体験できます。

ドルフィンビーチカウンターの入口/下田海中水族館(静岡県/下田市)

ドルフィンビーチカウンターの入口

ドルフィンビーチの参加申込書を記入したりレンタル器材の説明がある/下田海中水族館(静岡県/下田市)

参加申込書を記入したりレンタル器材の説明があります。なお、水着とタオルのレンタルはないので持参しましょう

最初に「うきうきドルフィン」についての説明と注意事項をレクチャーしてもらいます。この日はスタッフの、種子田さなえ(たねだ さなえ)さんにお願いしました。

「うきうきドルフィン」についての説明と注意事項をレクチャー/下田海中水族館(静岡県/下田市)

これから何をするのかと「イルカにとっては休み時間」なんですよ、という説明でした

バンドウイルカとのふれあう場合の注意点/下田海中水族館(静岡県/下田市)

バンドウイルカとのふれあう場合の注意点。「顔の前には行かない」など、ほかにも何点かありますよ

イルカがツンツンしてきたときの対応なども教えてくれます/下田海中水族館(静岡県/下田市)

イルカがツンツンしてきたときの対応なども教えてくれます

いよいよ、イルカに会いに行けますよ。まずはウェットスーツなどに着替えて、所定の場所へスタッフと一緒に。

ウェットスーツ・マリンブーツ・ライフジャケットなど、子ども用一式/下田海中水族館(静岡県/下田市)

ウェットスーツ・マリンブーツ・ライフジャケットなど、子ども用一式です。すべてレンタルの場合、子ども3200円、大人2700円

水に入っても、スタッフの方が丁寧にアテンドしてくれるので安心/下田海中水族館(静岡県/下田市)

水に入っても、スタッフの方が丁寧にアテンドしてくれるので安心です

大人と一緒であれば小学校低学年も体験可能/下田海中水族館(静岡県/下田市)

大人と一緒であれば小学校低学年も体験可能です

●ドルフィンビーチ

  • 期間:6~9月
  • 場所:ドルフィンビーチカウンター集合
  • 実施:1日2回~(所要約50分)
  • 制限:なし(小学4年生まで要保護者付添)
  • 料金:1名1600円(水族館入館、レンタル料別)※3歳以下保険料200円
  • 予約:必要(→公式サイトから)

ビーチの波打ち際でバンドウイルカとふれあえるプログラム。通年で実施していますが、小学校4年生以下が体験できるのは6~9月のみです。この期間は水着着用での参加になるので水着とタオルは持参しましょう。

ビーチの波打ち際でバンドウイルカとふれあえるプログラムも/下田海中水族館(静岡県/下田市)

イルカとのふれあいも、水に入ってこんなに近くでさわるのは、めったにない体験です

問合先 0558-22-3567
住所 静岡県下田市3-22-31
料金 【入館料】大人2100円/4歳~小学生1050円/3歳以下無料

スポット詳細・MAPはるるぶ&more.へ

横浜・八景島シーパラダイス(神奈川県/横浜市)

よこはま・はっけいじましーぱらだいす

首都圏の水族館で、イルカと泳げる、遊べるプログラムがあるのがココです。イルカやシロイルカのプログラムが多彩なのでチェックしてみてくださいね。

【関連記事】» 4つの水族館がある横浜・八景島シーパラダイス! 子ども連れで楽しむ5つのポイント

●イルカ・シロイルカとおよごう

  • 期間:3月中旬~10月末
  • 場所:ふれあいラグーン
  • 実施:毎日1日1~2回(所要約1時間30分)※季節により異なる
  • 制限:10歳以上(小学生以下は要保護者付添)
  • 料金:1名1万3000円(水族館入場別)
  • 予約:必要(→公式サイトから)

ウェットスーツを着てバンドウイルカ、シロイルカと泳ぐことができます(バンドウイルカ、シロイルカでセットです)。ふれあったり、ごはんをあげたり、目を合わせたり。イルカたちのことをいっそう知ることができますよ。

ウェットスーツを着てバンドウイルカと泳ぐことができる/横浜・八景島シーパラダイス(神奈川県/横浜市)

水着着用でウェットスーツレンタルは料金に含まれています。受付から着替えで約30分、イルカとたち泳ぐ時間が約30分、最後にシャワーと着替えで約30分です

●イルカ・シロイルカとあそぼう ~目指せ! ドルフィントレーナー~

  • 期間:通年(8月はお盆期間のみ)
  • 場所:ふれあいラグーン
  • 実施:毎日1日1回(所要約55分)
  • 制限:6歳以上(小学生以下は要保護者付添)
  • 料金:1名3500円(水族館入場別)
  • 予約:必要(→公式サイトから)

胴長を着用してイルカのトレーナーを目指して、健康チェックやトレーニングなどを学びます。もちろん、ごはんをあげたり、さわったりできます。プログラムに参加すれば、バンドウイルカとシロイルカ両方に大接近できます。

胴長を着用してイルカのトレーナーを目指して、健康チェックやトレーニングなどを学べる/横浜・八景島シーパラダイス(神奈川県/横浜市)

水着は不要で胴長を着用。受付とレクチャーで約30分、バンドウイルカと遊ぶのが約10分、シロイルカと遊ぶのが約10分、最後の着替えが約5分です

問合先 045-788-8888
住所 神奈川県横浜市金沢区八景島
料金 【アクアリゾーツパス(4つの水族館入場)】大人3300円/小・中学生2000円/4歳以上幼児1000円/3歳以下無料/65歳以上2800円 ほか

スポット詳細・MAPはるるぶ&more.へ

太地町立 くじらの博物館(和歌山県/太地町)

たいじちょうりつ くじらのはくぶつかん

イルカやクジラのショーやふれあいを体験できるのが「くじらの博物館」。ふれあい体験は「ビーチでふれあい」のほか「イルカにタッチ」「イルカのトレーナー体験」「カヤックアドベンチャー」などを実施しています。

●ビーチでふれあい

  • 期間:通年
  • 場所:ふれあいの浜(受付は、ふれあい桟橋前のイベント受付で)
  • 実施:営業時間中受付(所要約5分)
  • 制限:身長120cm以上
  • 料金:1名1000円(施設入場別)
  • 予約:事前予約不要(当日受付)
「ビーチでふれあい」の様子/太地町立 くじらの博物館(和歌山県/太地町)

「ビーチでふれあい」は、胴付き長靴を着用してトレーナーと一緒に海の中へ。目の前にやって来たイルカにさわって、その動きや大きさを体感してみてください

問合先 0735-59-2400
住所 和歌山県東牟婁郡太地町太地2934-2
料金 【入場料】大人1500円/小・中学生800円/未就学児無料/70歳以上1400円

スポット詳細・MAPはるるぶ&more.へ

水族館の体験やショーやパフォーマンスの多さをみると、イルカは人間に近い生きもののひとつだなぁ、と思います。確かに、人なつっこく好奇心旺盛ですが、ふれあいや体験のときには、しっかりマナーや注意事項を守って“イルカにやさしい”体験をしてみてくださいね。

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