47都道府県それぞれの代表的な「特産品」をクローズアップ。【知る】【つくる】【学ぶ】の3つの視点から、特産品と各都道府県の関係をひも解きます。各地の歴史や風土だけでなく、意外な理由で生まれた特産品は、知れば知るほどおもしろい!
山形県で紹介するのは「さくらんぼ」。「さくらんぼって桜の木になるの?」「なぜ山形県はさくらんぼがたくさんとれるの?」など、気になる話題を深掘りします!
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【知る】意外と知らないさくらんぼのあれこれ
さくらんぼは山形県を代表する味覚。生産量は日本一を誇り、全国の7割を占めています。
山形県内で特に栽培が盛んな地域は東根市、天童市、寒河江(さがえ)市などで、さくらんぼを収穫できるのは主に6月上旬から7月上旬の期間だけ。品種によってとれる時期が異なり、6月下旬には「佐藤錦」、7月上旬には「紅秀峰(べにしゅうほう)」などの品種が収穫されます。
さくらんぼは桜の木になるの?
画像:PIXTA
「さくらんぼ」と聞くと、「街で見かける桜の木に実がなるの?」と想像する人もいるかもしれません。しかし、ソメイヨシノなどの街で見かける桜の木は、観賞用なのでさくらんぼは実りません。
実がなるのは、さくらんぼの代表的種である「西洋実桜(せいようみざくら)」など、大きく甘い実がなるように改良を重ねた食用の品種のみ。時々、観賞用の桜に小さな実がなっていることがありますが、渋みが強いため食べてもおいしくないのです。
また、さくらんぼはいろいろな呼び方があるのも特徴で、木そのものや、木になっている実のことは、学術用語では「桜桃(おうとう)」といいます。そこからもぎとられた果実のことは「さくらんぼ」、加工品や輸入された果実は「チェリー」と呼んでいます。
山形県でさくらんぼがとれるようになったワケ
山形県でさくらんぼの栽培が始まったのは、明治8年(1875)。全国で育成が試みられるなか、実らせることに成功したのは山形県とその周辺だけでした。
その要因は地形と気候。さくらんぼ栽培は気温や降水量の影響を受けやすいため、山に囲まれ空梅雨(からつゆ)になることが多い環境が、適していたのです。当時は生食での流通が難しかったことから、缶詰用の栽培が主流だったといわれています。
その後昭和3年(1928)には、さくらんぼの代名詞ともいえる品種「佐藤錦」が誕生します。農家の佐藤栄助が「おいしくて長持ちするさくらんぼ」の研究を15年間にもわたって続け、やっと完成。その名前は、佐藤栄助の名をとって付けられました。まるでルビーのような鮮やかな紅色で、糖度が高くジューシーな「佐藤錦」は、今も人々に愛され続けています。
山形県のさくらんぼは佐藤錦だけじゃない!?
山形県のさくらんぼには、いくつもの品種があります。まずは「佐藤錦」。「ナポレオン」と「黄玉(きだま)」を掛け合わせた甘さと酸味の絶妙なバランスが特徴的です。誕生から約100年たった今でも不動の人気で、「さくらんぼの王様」とも呼ばれています。
ほかにも、ジューシーでさっぱりとした甘さが特徴の「南陽(なんよう)」、甘酸っぱく赤肉の「紅さやか」、甘みが濃くしっかりした果肉の「紅秀峰」、大粒で味が濃厚な「紅てまり」、鮮やかな赤色の「紅きらり」、果汁が多く早生の「紅ゆたか」などがあります。
最近では、「やまがた紅王」という、500円玉よりも大きい直径約3cmの大玉のさくらんぼも注目を集めています。
種とばし大会も! さくらんぼのふるさとはイベントがいっぱい!
画像:PIXTA
さくらんぼの収穫時期になると、産地ではさくらんぼにちなんだ「果樹王国ひがしね さくらんぼマラソン大会」や「寒河江さくらんぼ ウォーク」などのイベントが開催されます。なかでも、東根市で行われる「さくらんぼ種飛ばしワールドグランプリ」は大人気のイベントで、多くの参加者が集まります。
また、「日本一さくらんぼの里 さがえ」との代名詞をもつ寒河江市は、さくらんぼ狩りができる観光果樹園が市内に約300カ所もあることでも有名。その総敷地面積は50ヘクタール(東京ドーム約10個分)で、国内最大規模の敷地を誇ります。
東根市、寒河江市の街中に設置されたマンホールのふたには、さくらんぼが描かれているので、訪れた際はぜひ探してみてくださいね。
【つくる】さくらんぼのおいしい食べ方と保存方法
さくらんぼは傷みやすく、早めに食べたほうがおいしい果物。ここでは、よりおいしく食べるための保存方法や簡単レシピをご紹介します。
見た目が大事! 粒が大きい&ツヤのあるさくらんぼがおいしい!
画像:PIXTA
スーパーなどでさくらんぼを選ぶ際、新鮮で粒が大きく、果皮に張りとツヤがあって、色は鮮やかなものがおいしいとされています。
鮮度を保つための保存方法
冷蔵庫に入れる場合、乾燥させないよう新聞紙やクッキングペーパーなどに包みます。常温保存する場合は通気性のいいザルなどに移して、なるべく10度前後の涼しい場所へ。
冷やしすぎると果肉が硬くなり、甘みも落ちるので要注意です。
おいしい食べ方を簡単に紹介
おいしく食べるには食前に冷水で洗うといいのですが、「佐藤錦」は皮が薄いため、洗い過ぎはNG。ザルにさくらんぼを入れて、サッと水洗いするだけでも十分ですが、さらに氷水にさらすと常温で食べるよりも甘みが引き立ちます。使用する水はミネラルウォーターがおすすめ。30秒ほどさらしたら盛り付けましょう。
親子で作れる! さくらんぼのフローズンソーダ
そのままでもおいしいさくらんぼは、デザートにしても絶品。「フローズンソーダ」は、飲み進めるうちにさくらんぼで作ったシャーベットが溶け、果肉の濃厚な味わいが楽しめます。火を使わず簡単なので、親子で一緒に作ってみてくださいね。
簡単レシピを紹介
- さくらんぼを10個ほど用意。先端をハサミで斜めにカットしたストローをそれぞれのさくらんぼに刺し、種を取り出します。果肉は半分よりも細かくカットしてください。
- 製氷皿にカットしたさくらんぼを入れ、1:4の割合で混ぜたカルピスと水を注ぎ、冷凍庫で凍らせます。途中で冷凍庫から取り出し、ザクザクと塊を崩しながら凍らせると、よりシャーベットらしい食感になります。
- さくらんぼのシャーベットをグラスに飾り付けます。
- 適量の炭酸水を注ぎ、仕上げに別添えのさくらんぼとミントを飾ったら完成です。
【学ぶ】さくらんぼについて学べるスポット
山形県内には、さくらんぼの歴史や栽培について楽しく学べる施設があります。
実際にさくらんぼの収穫を体験してみたい人は、さくらんぼ狩りが盛んな天童市や寒河江市、上山市の果樹園へ。さくらんぼ狩りは6月初旬頃からスタートしますが、シーズン中は混み合うので、予約をしておくことをおすすめします。
道の駅寒河江チェリーランド(山形県/寒河江市)
道の駅寒河江、通称「チェリーランド」は、東北で最大級の規模を誇るさくらんぼのテーマパークです。
敷地内の「さくらんぼ会館」には、さくらんぼの歴史や栽培を学べる資料が展示されています。収穫時期になるととれたてのさくらんぼを販売しているほか、カフェ「cherry cafe chouchou」では常時さくらんぼのソフトクリームやフルーツサンドなどが味わえます。2024年4~5月ごろには、屋内型児童遊戯施設や屋外型宿泊体験施設などもオープン予定です。
住所 | 山形県寒河江市八鍬川原919-6 |
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問合先 | 0237-86-1818 |
営業時間 | 9~18時(季節により変更あり) |
定休日 | 無休(さくらんぼ会館は12月31日〜1月1日) |
料金 | 無料 |
駐車場 | あり/1000台(河川敷駐車場含む)/無料 |
URL |
ナカノフルーツ(仲野観光果樹園)(山形県/天童市)
「ナカノフルーツ(仲野観光果樹園)」は、さくらんぼ、もも、ぶどうなどのフルーツ狩りを体験できる果樹園です。
さくらんぼ狩りのシーズンは、6月上旬から7月上旬頃。「佐藤錦」「紅秀峰」「南陽」「大将錦」「月山錦」「山形美人」「紅さやか」など、さまざまな種類のさくらんぼを収穫できて、とったさくらんぼは食べ放題!収穫したものを持ち帰ることはできませんが、園内の直売所ではとれたての果物を購入することもできます。
併設のカフェでは、季節の果物を使ったパフェやシェイクのほか、オリジナルスイーツも楽しめます。
住所 | 山形県天童市川原子1784-5 |
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問合先 | 023-656-2775 |
営業時間 | 8時30分~16時30分(果物狩りの受付は9時〜15時30分) ※シーズンにより変更の場合あり |
定休日 | さくらんぼ狩りの時期は無休(もも、ぶどう狩りの時期は水曜) ※オフシーズンは休園 |
料金 | 大人(中学生以上)2000円、小学生1500円、幼児(3歳以上)1000円、2歳以下無料(30分食べ放題。参考料金。年により料金が異なる) |
駐車場 | あり/100台/無料 |
URL |
【SDGs】山形県のさくらんぼを自由に食べたり守ったりするために
山形県で収穫されるさくらんぼは、環境に負荷をかけず生態系と調和しながら栽培が行われています。この先も、さくらんぼを変わらず自由に食べたり、守ったりするためにはどのようなSDGsを意識すれば親子で話し合ったり、考えてみるといいですね。