キャンプで楽しく防災力アップ! 子連れ初心者のキャンプ場選びや身につけたいスキル

防災キャンプのイメージ

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近年のアウトドアブームで子どもとキャンプを始める人が増えています。キャンプは自然のなかで過ごす楽しさだけではなく、屋外で生活する知識やスキルが身につき、家族の防災力を高める場所でもあるんです。アウトドアライフアドバイザーの寒川一さんに、初めての子連れキャンプの場所選びや、防災力につながるキャンプの心得などをアドバイスしてもらいました。

寒川一さんの記事:
防災に役立つキャンプの知恵を子どもと実践!まず家庭でできる身近な体験で備えよう

アウトドアライフアドバイザー 寒川 一さん<監修>寒川 一さん
アウトドアライフアドバイザー。中学生時代のキャンプ体験からアウトドア、キャンプの魅力にはまり、結婚披露宴、新婚旅行、子どもとの旅行もすべてがキャンプという、キャンプの達人。アウトドアの魅力を広めると同時に、外遊びを通して、災害時に役立つ「生きるスキル」を教えるワークショップを全国各地で行っている。

目次(index)

さあ、キャンプへ出かけよう!

防災キャンプのイメージ

デイキャンプで外遊びに慣れてきたら、1泊キャンプに出かけてみましょう!テントを張り、そのなかで寝て一夜を過ごすことは、デイキャンプよりもいっそう深く自然を感じ、非日常を味わえます。

自然の中で過ごすことを知る

遮るもののない大空、ふいに吹く風、そよぐ木々…そのなかでごはんを食べたり、秘密基地ごっこのように走り回ったり、テントで寝たり。キャンプは、常に自然に触れている環境で過ごす体験です。

「1泊キャンプを経験すると、日中は温かくても、夜は意外と寒くなるんだな、というような家の中ではわからない気温の変化を実感するはず。災害時に自宅で過ごせなくなったとき、さまざまな自然の影響を受けるのも同じです。キャンプは、自然に身を置いて生活することを知る、とてもよい機会です」(寒川さん)

初めての場合は、やはり過ごしやすい気候の春や秋にキャンプをするのがおすすめ。そして、あまり標高が高くないキャンプ場のほうが、気温差が少なくていいでしょう。

「小さな子どもがいる場合は、夜ぐずるなど不測の事態に備えて、最初はコテージに泊まってもいいかもしれません。大変な思いをして、キャンプはもうこりごり…となってはもったいないです。せっかくキャンプに行くのだから、初めは無理をせず、子どもの年齢に応じて、思いっきり楽しめる場所選びをするとよいですね」(寒川さん)」

子連れキャンプの場所選び

キャンプ場には、本格的なアウトドア体験ができるところから、手ぶらで気軽に行けるところまで、さまざまなタイプがあります。初めてのキャンプで、特に乳幼児がいるファミリーは、キャンプ場選びの際に下記のことを意識するとよいでしょう。

<初めてのキャンプ場選びのポイント>

  • 車をテントのそばに止められるか
  • コテージやバンガローなどテント泊以外も可能か
  • 道具のレンタルがあるか
  • 標高が高すぎず、アクセスしやすいか
  • 付近にスーパーやコンビニがあるか

キャンプで楽しく身につく防災力

キャンプには、準備の段階から災害時にも役立つことが数多くあります。防災力アップにつながるポイントを紹介します。

自然の変化に適応する備え

予報は晴れだったのに、キャンプ場についてみたら急に天気が悪くなってきたということは少なくありません。また、日中は暑くても、夜や朝方に冷えこむということもあります。キャンプは雨、風、気温といった自然環境が大きく影響します。すべてを想定することはできませんが、ある程度の準備は必要です。とくに体温調節は大切。羽織るものや、インナーなど予備の服を用意しておきましょう。

「私はデイキャンプでも、防寒着、雨具、照明器具の3つは必ず予備を持って行くようにしています。さまざまに変化する自然に対しての備えは、防災にも共通する大切な心得です」(寒川さん)

とはいえ、どんなに準備をしっかりしたとしても、雨量が多い、風が強いなど、悪天候の場合はキャンプを中止しましょう。

持ち物を効率よくまとめる・運ぶ

キャンプにも防災にも共用できるザック:イメージ

キャンプでは、道具のほか、食材や水などいろいろな荷物を持って行く必要があります。特に小さい子どもがいる場合は、着替えやおもちゃなど荷物が多くなりがちです。車で運ぶにしても、つめる量には限りがあるもの。持ち物をいかにコンパクトにまとめるか、つめ方を工夫するクセをつけるといいでしょう。

「キャンプにも防災にも共用できるザックがおすすめです。大容量のものが多く、一度にたくさんの荷物を運べて、両手も空きます。災害時は背面を守るプロテクションになるだけでなく、保温の効果もありますよ」(寒川さん)

ザックとは、登山に特化したリュックのこと。体への重さの負担を軽減し、背中が疲れにくいパットが入っているなど、街用リュックにはないアウトドアに即した機能が施されています。自宅の避難袋をザックにするのも一案です。

また、キャンプの準備では、子どもにもリュックを用意して、必要な荷物を一緒に考えながらつめるのもすすめ。自分で運べる荷物がどのくらいかを知ることができ、自立心を促すことにもつながります。

火を正しく使う

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調理ができ、暖もとれて、明かりにもなる火。キャンプで使う火は、ガスバーナー・たき火・炭があります。普段の生活では火を扱う機会が少ないので、キャンプで経験しておくといざというときにも役立ちます。火があることのありがたさと同時に、やけどや火事にもつながる危険性も知って、親子で正しく使えるようにしておきたいですね

<たき火体験>

たき火は、キャンプでぜひ楽しみたいことのひとつ。たき火をする場合、多くのキャンプ場では、地面で直接、薪を燃やすことができないため、たき火台が必要です。

たき火台があると、燃料を自然から調達できるので、防災時にも役立ちます。コンパクトなもの、調理に使いやすいものなど、さまざまな種類がありますから、キャンプ場でリースしてまずは使ってみるのがおすすめです」(寒川さん)

■たき火の特徴

  • 暖をとりたいとき、煮込み料理やホイル焼きなどを作るときに向いている
  • 晴れている日は、乾いた小枝や木など、自然から燃料を調達できる

■たき火の注意点

  • 風が強い場合は中止する
  • 枯れ木や枯れ葉の多い場所ではやらない
  • 風向きを観察し、火に対して風上にいるようにする
  • 周囲に化学繊維やフリースなど燃えやすいもの(衣類、テント、タープ類)を置かない
  • ガスボンベなどをそばに置かない
  • たき火のなかに紙を入れない
  • たき火は最後まで燃やしきって終わりにする。すぐに消したいときは、火消しつぼなどを使い、火に直接水をかけないようにする

<便利なガスバーナー>

キャンプで便利なガスバーナー

キャンプでの定番アイテムでもあるガスバーナーは、自宅調理と変わらない感覚で手軽に使うことができます。屋外での温かなごはんや飲みものが格別においしく感じることも、子どもにとっては、楽しいキャンプ体験のひとコマとなるでしょう。

■ガスバーナーの特徴

  • 火加減ができ、自宅のガスコンロのように調理をしやすい
  • 雨でも火が使える

■ガスバーナーの注意点

  • 燃料を長持ちさせるために風防を使う

初めて会う人とのコミュニケーション

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キャンプ場に行くと、ファミリーや複数家族のグループが意外と多いことに気づくはず。知らない子ども同士、遊んでいるうちに仲良くなる…なんていうことも、キャンプで経験できる楽しみのひとつです。

「昨今のキャンプ場は、お互いがプライバシーを邪魔しない、されたくないという空気が感じられることもあります。でも、お隣の顔が見えることは、防犯面でも大切です。テントのはり方がわからない…というときは近くのキャンパーに声をかけて教えてもらうような、オープンなコミュニケーションをとってほしいなと思います」(寒川さん)

災害時の避難生活では、プライバシーも大切ながら、共同生活する周囲の人を知っておくことも大切です。初めて会う人とコミュニケーションをとることも、親子で身につけたいスキルですね。

家族との協力や思いやりも

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キャンプでは、食材の買い出し、荷物の持ち運びや片づけ、テントやタープの組み立てなど、子どもに手伝いを頼む場面が多く、家族で協力することを学べるいいチャンス。キャンプを始めてしばらくは、テントやタープを張るのもひと苦労、ということがあるかもしれません。誰かが困っているときは、みんなで助け合うということが自然に身につきます。

また、入念に事前準備をしたつもりでも、「忘れた!」「足りない!」「見つからない!」など、思うとおりにいかないことが出てくるのもキャンプならでは。「なんで○○しなかったの!?」と責めるのではなく、「そういうこともあるよね」といった、思いやりや心のゆとりをもちたいですね。そして、代わりにいい方法がないかを一緒に考えることで、子どもの創造力が育まれます

子連れで行きたい!おすすめキャンプ場

キャンプイメージ

「キャンプでは寝るギリギリ、帰るギリギリまで外で遊べるのがメリット。早朝散歩や夜の星空観察など、デイキャンプではなかなかできないようなことを楽しんでほしいですね。キャンプだからこそできる自然遊びやアクティビティ、ワークショップなども大いに体験してみてください。」(寒川さん)

キャンプ場でできるアクティビティには、バーベキュー、立地を活かしたフィールドアスレチック、カヌーなどのウォータースポーツ、自然素材を使った工作などさまざまなものがあります。

ご自身のお子さんとのキャンプを振り返り、「経験に勝るものはありません。そして、キャンプが家族にとって楽しい経験となることが一番です!」と語る寒川さん。
楽しいキャンプ体験こそが、いざというときに自分で考えて行動できる防災力にもつながっていきそうですね。

★withコロナのキャンプの注意点
新型コロナの影響により、通常とは異なる営業形態や予約方法をとっているキャンプ場が数多くあります。必ず事前に公式サイトなどで情報を調べ、各キャンプ場でのルールを守って利用しましょう。
関連記事:
バーベキュー・キャンプwithコロナ、リスクや安全対策は?人数など気をつけるべきこと

寒川さんおすすめのキャンプ場

●浩庵キャンプ場(山梨県身延町)

富士五湖のひとつである本栖湖の湖畔にあり、美しい富士山が眼前に臨める最高のロケーション!テント泊のほか、子連れでも安心のキッチンやトイレ付きのキャビン泊もあり。カヌーやスラックライン、ノルディックウォーキングや星空観察など、本栖湖の大自然をとことん遊び尽くすアクティビティが充実しています。
公式サイト:https://kouan-motosuko.com

こちらもおすすめ!アクティビティ充実のキャンプ場

●グリーンパーク山東(滋賀県米原市)

芝か池のほとりを選べるフリーキャンプサイトと、車で乗り入れ可能なオートキャンプサイトがあり。コテージと旅館も併設され、過ごしたいスタイルに合わせて選べるのが魅力。未就学児でものびのび遊べるアクティビティが充実。小学生以上は本格的なフィールドアスレチックにチャレンジ!

公式サイト:https://greenpark-santo.com/
関連記事:キャンプやコテージ泊、アスレチックで大満足のグリーンパーク山東 

●ロマンの森共和国(千葉県君津市)

オートキャンプ場またはロッジ泊が可能。10万坪を誇る園内には、バーベキュー、アスレチック、ロマン渓谷、釣り堀、グラススライダー、工作ワークショップなど、アクティビティが盛りだくさん!

公式サイト:https://www.romannomori.co.jp/
関連記事:アスレチックやキャンプ、バーベキューも!大自然で遊ぶロマンの森共和国

●星の降る森(群馬県沼田市)

普段街中でみる夜空とは全く違う、満点の星空を眺められるキャンプ場。オートキャンプ場とバンガロー&キャビン泊があり。テントやバーベキュー道具などレンタルも充実。四輪バギーやラフティング、パラグライダーなど、季節によってさまざまなアクティビティが楽しめるほか、元消防レスキュー隊によるサバイバル教室も。

公式サイト:http://www.star-forest.com/
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