みなさんのお子さんは、どんな夢をもっていますか?
野球選手に宇宙飛行士、ケーキ屋さん、漫画家、今はYouTuberも人気ですよね。
このシリーズでは、子どもが憧れている職業、きっと興味がわくような注目の職業に就いた人にインタビュー。子どものときにどんなことが好きだったのか、どんな生活をしていたのかなどを伺いながら、今に至るまでのエピソードをたどります。
第3弾は、東京の清澄白河でお花屋さんをやっているLUFF(ラフ)の上村さんです。生い立ち編の前半に引き続き、後半では気になるお仕事内容もたっぷりご紹介します!
上村拓
1982年生まれ。東京下町、清澄白河育ち。幼少期は虫や動物に、学生時代はスポーツ(バドミントン・陸上競技・ラクロス)に明け暮れ、特別興味があったわけでもない花屋に就職。ブライダルの花、ガーデンデザインなどの仕事を経て2015年に独立。東京清澄白河にLUFFをオープン。趣味は釣り。
どんな仕事をしているの?
上村さんは、東京の清澄白河でLUFF(ラフ)というお花屋さんをやっている人です。店長として、仕入れから接客まで、ほぼ全ての業務を担当。パートナーのまりえさんと一緒に、2015年からお店をはじめました。ボトルの中に植物を入れた「ハーバリウム」の生みの親としても知られています。
古い長屋をリノベーションしたおしゃれな店内には、上村さんがセレクトしたお花や観葉植物をはじめ、植木鉢、苔玉、さらには外国の珍しい植物などが盛りだくさん!まるで森の中を探検しているかのような、ワクワクする空間です。
今回は清澄白河のお店にお邪魔してお話を伺いました。
―― とても素敵な店内ですね。並んでいる植物は、どれくらいのペースで入れ替えているんですか?
上村:月火水が仕入れ日なので、売れ具合を見ながら入れ替えています。仕入れの日は朝早くて、3時半から4時くらいに起きて。仕入れがない日はお店が10時からなんですが、ギリギリ限界の9時くらいまで寝ています(笑)。
―― お花屋さんは華やかに見える一方で、体力が必要な仕事が多いと聞きました。
上村:大きな植物の植え替えは、けっこう大変です。根っこや枝をノコギリで切ったり、重い植木鉢を運んだりして。あとは水を扱うので、手は荒れるし、休憩や食事のタイミングもまちまちです。一口食べるとお客さまが来る、というのがよく起こります。
レジ後ろにある作業スペース。右にはシンクがあり、左に包装紙やリボンが置いてある。作業台はこの物件にもともと入っていた中華料理店から譲ってもらったもの。
せっかくなら、長持ちする花を
―― 上村さんがお花を仕入れるときの基準を教えてください。
上村:まずは自分のお店で売りたいものかどうか。あとは、日持ちするか。そして売れそうなものかどうか、ですね。
―― 日持ちすることも重要視しているんですね。
上村:やっぱり長持ちする花の方が好きです。今日だけすごく綺麗ですぐに散ってしまう、という花もそれはそれでアリだと思うんですけど。せめて1週間くらいは綺麗な状態だと嬉しいじゃないですか。
―― 確かに、すぐにダメになってしまうお花もありますよね。
上村:たとえばバラだと、花自体は嫌いじゃないですが、長持ちしないものが多いので、あまり仕入れていません。ただ、産地や時期によってコンディションがかなり変わるので、入れてみないとわからないことも多くて。家に持って帰って変化を見たりしています。
―― LUFFに置いてあるお花は色合いも素敵ですよね。
上村:原色の花はあまり置いていなくて、グラデーションが綺麗なものなど、自然じゃないと出せないな、という色合いが好きです。あとは、地味なものの方が魅力を感じます。この黄色い風車みたいな花は、ルドベキアという花なんですけど全然売れないんですよね(笑)。でも好きだから置いておきたいなと思って、よく仕入れています。
花束づくりはお任せあれ
―― 接客をする上で、花束をつくることも多いと思います。上村さんにお願いする場合、どうオーダーしたらいいでしょうか?
上村:テーマだけ投げてもらって、ある程度任せてもらえる方がやりがいがあります。何色系がいいとか、日持ちがいいものにしたいとか、明日友達が来るからこの花瓶に映えるのがいいな、とか。そういった条件を教えてもらった上で「どう?想像もしてなかったでしょ?」という花束ができるのが面白いんじゃないかな。
残りがあと1本だから、という理由や「この花、受け取って欲しい!」といった理由から、何本かおまけに入れることもあるそう。お任せの花束は、どこの店舗でもお得な場合が多いのだとか。
仕事道具って?
―― 仕事道具についても教えてください。
上村:道具を集めるのが好きなので、同じものがいくつもあったりするんですけど、本当に使っているものは少なめです。メインで使っているのは、花を切るハサミとカッター、包装紙やリボンを切るハサミ、枝を切るハサミ。手荒れ対策のハンドクリームは、サラサラしているものを選んでいます。根っこや太い枝を切るノコギリとシャベルは、株分けや植え替えのときに使っています。
―― ハサミはけっこう本格的ですね!
上村:職人さんの手打ちの鋏で、名前も彫ってあります。この前子どもにも、小さいサイズの同じようなハサミを買ったんです。それで親子一緒にお花をいじったりして。庭の花を切ってお店屋さんのようにしたり、花束をつくってみたり、子どもでも遊びの中で簡単に楽しめるのが花のいいところだなと思います。
お花が好きな子へメッセージ
―― 読んでいる方へメッセージをお願いします。
上村:よく食べて、よく運動もして、元気に育ってください!
―― スポーツ一筋だった上村さんらしいアドバイスですね(笑)。
上村:あとは、いろいろなものをよく見ることが大切かな。良いものも悪いものも、選択肢として知っていることが大切だと思います。「綺麗だな」と思ったものを、見ただけで終わりにするんじゃなくて、なんで綺麗なのかわかるようにする。「色が綺麗なんだな」と思ったら、紫とピンクが一緒にあるからかな、線が細いからかな、と考えてみる。そうすると、新しいことに挑戦するときに、どうしたら綺麗なものがつくれるのか、自分の頭で考えられるようになると思います。
(2021年7月取材)
前編はこちら
子どもに人気のお仕事に注目!|お花屋さん(LUFF上村さん)<生い立ち編>
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