知的好奇心がすくすく育つ学びスポット!
東京都水道歴史館は平成7(1995)年に開館した東京都水道局のPR施設。東京の発展を支えた水道の歴史を時代の流れにそって学ぶことができます。展示は2つのテーマに分かれ、2階では東京水道の起源となった江戸上水について、1階では近現代水道についてわかりやすく紹介しています。実物展示のほか模型や映像も豊富で、細かい歴史背景がわからない子どもでも楽しめる展示構成になっています。
子どもの知的好奇心は身近な“学びスポット”で育む!
子どもの脳の発達の原動力となり、将来の可能性を広げてくれるのが知的好奇心。その知的好奇心を育むスポットは東京周辺にたくさんあります。脳医学者の瀧 靖之(たき やすゆき)先生、そして宇宙・動物・昆虫・アートなどの各テーマの“達人”たちと選んだ東京周辺にある “学びスポット”を紹介します。どこも、「知るのが楽しい!面白い!」と思わせてくれる、工夫にあふれた施設ばかり。コロナ禍が続くいまだからこそ輝く身近な“学びスポット”へ出かけてみませんか。
監修:瀧 靖之(たき やすゆき)先生
東北大学加齢医学研究所教授
医師。医学博士。東北大学加齢医学研究所および東北大学東北メディカル・メガバンク機構で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究に従事。読影や解析をした脳MRIはこれまで16万人以上にのぼる。
知的好奇心で培われる、8つの“育つ力“
子どもの知的好奇心を刺激することで培われる力を、瀧 靖之先生が8つ選定。「洞察力」「思考力」「想像力」「発想力」「思いやり」など、施設ごとに“育つ力”を付記しました。
» 脳医学者の瀧 靖之先生に聞く!「知的好奇心」で育つ8つの力
»「国立科学博物館」は知的好奇心をくすぐる展示や学びの仕掛けが満載!
東京都水道歴史館で育つ子どもの力
知的好奇心が育つと、子どものどんな力が育つのかをチェック!東京都水道歴史館では、とくにどんなところが子どもの知的好奇心をくすぐるのでしょう?
自分が普段飲んでいる「水」がどのように発展してきたのか、身近な問題としてとらえられる施設です。江戸時代の長屋が再現されていたり、アニメーションと人形劇で歴史を解説していたり、精巧な模型展示があったり、想像力がふくらむ展示が充実しています。江戸時代と現代の水道のシステムを比べてみるのもよいでしょう。
» にほんの歴史の達人「歴史作家 河合敦さん」お仕事インタビュー
東京都水道歴史館ってこんなところ!
JR・地下鉄御茶ノ水駅または水道橋駅から徒歩8分、また地下鉄本郷三丁目駅や新御茶ノ水駅からも徒歩8分の東京都水道歴史館。1階と2階が展示室、3階は江戸時代から現代までの水に関する資料を揃えたライブラリーになっています。2階は江戸から東京へと発展する都市を支えた江戸上水について、水を流した木樋(もくひ)や上水井戸の実物展示、映像などでくわしく解説。1階では震災や戦争の被害を乗り越えた近現代の水道を、映像や模型などを使って紹介しています。
所要:1時間
おすすめの年齢:6歳~
住所 | 東京都文京区本郷2-7-1 |
---|---|
電話 | 03-5802-9040 |
営業時間 | 9時30分~17時(最終入館は閉館30分前) |
定休日 | 第4月曜(祝日、振替休日の場合は翌日) |
料金 | 無料 |
アクセス | JR中央線・総武線御茶ノ水駅または水道橋駅から徒歩8分、地下鉄丸ノ内線御茶ノ水駅または本郷三丁目駅から徒歩8分、地下鉄千代田線新御茶ノ水駅または地下鉄都営三田線水道橋駅または地下鉄都営大江戸線本郷三丁目駅から徒歩8分 |
駐車場 | なし |
<施設データ>
- 子ども用トイレ:✕
- おむつ替え:〇
- 授乳室:✕
- ベビーカー利用:〇
- ベビーカー貸出:✕
- コインロッカー:〇
- 館内飲食店:✕
- 館内売店:✕
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おすすめのアクセス方法は?
JR・地下鉄御茶ノ水駅または水道橋駅から徒歩8分。また地下鉄本郷三丁目駅や新御茶ノ水駅からも徒歩8分でアクセスできます。駅からは大通り沿いの平坦な歩道を進み、横断歩道も整備されているので安心。駅にはエレベーターが設置されています。
駐車場はないので、車の場合は周辺のコインパーキングを利用します。
おすすめの遊び方&過ごし方
江戸上水について紹介した2階から近現代水道の1階へと、歴史の流れにそって見るのが一般的。館内に入るとエントランスホールに階段があり、そこから2階に上がれます。
受付で無料の音声ガイダンスを借りると、わかりやすい解説が聞けるので理解が深まります。また展示物についたQRコードを読み取って解説を見ることもできます。音声ガイダンスは1~30の表示がある展示について説明しており、解説を聞きながら見る場合は2時間ほど、気になる展示だけ見るなら1時間ほどを考えておきたいところ。館内の展示を見たら、隣接する本郷給水所公苑に足を延ばして、移築・復元された神田上水の石樋を見てみましょう。
江戸上水(2階)
2階は神田上水や玉川上水を中心とした江戸上水について紹介しています。江戸上水は江戸市中に水を供給した上水道のことで、これが東京水道の基礎となりました。暮らしに欠かせない水について学ぶことで、江戸時代の生活風景を知ることもできます。
●木樋&上水井戸
江戸上水では木樋と呼ばれる木製の水道管が使われました。木樋はもちろん、木樋どうしを連結する継手などの実物が展示され、江戸時代の技術の高さが実感できます。段差に合わせた木樋など細かい構造に感心しきり。こういう木や石で作られた樋が江戸のいたるところに張り巡らされていたと思うと驚いてしまいますね。
こちらは木樋から供給された水をためていた上水井戸。人々は上水井戸を共同で使用し、汲んだ水を水瓶や水桶にためて利用していました。
●玉川上水ものがたり
多摩川から江戸市中に水を供給した玉川上水は、1654(承応3)に開通しました。その開設に尽力した玉川兄弟の物語を、アニメーションと人形劇でわかりやすく紹介しています。
スクリーンの前には、江戸時代に開設された6つの上水の簡略図が描かれ、どのようなルートで江戸市中に水を供給していたかがビジュアルでつかめます。
●長屋の上水井戸端
江戸時代にタイムトリップしたような気分を味わえるのが、長屋の様子を再現したコーナー。共同で使っていた上水井戸のほか、周りには長屋の部屋も並んでいます。部屋の中には江戸時代に使われていた生活用品や手仕事の様子も。玄関脇には水をためていた瓶や桶が置かれているのでチェック!
足元には木で覆われた下水、いわゆる「どぶ板」が作られています。長屋の横に入ると、共同の便所も。横には小さな祠があるなど、江戸時代の庶民の暮らしに触れられます。
詳しい話が知りたいときは上水井戸の横にある長屋寄席を聞いてみましょう。「上水井戸」「洗濯」「台所」「風呂」という水にまつわるテーマについて、長屋のご隠居さんが解説してくれます。
近現代水道(1階)
1階では明治以降の近現代水道について、模型や映像などを使って紹介しています。震災や戦争などさまざまな困難を乗り越え、どのように世界有数の安全な水道システムを作り上げたかがよくわかります。
●共用栓、消火栓
通路脇には街中に置かれていた水圧計や消火栓、共用栓などが展示され、現代とは違った造形に子どもたちも興味津々。水の出る部分が竜の顔になった蛇体鉄柱式共用栓(じゃたいてっちゅうしききょうようせん)は、実物が展示されています。この共用栓は「蛇口」の語源といわれています。
明治時代にイギリス・ロンドン水槽協会から寄贈された馬水槽も、子どもたちに人気の展示物。牛馬用・犬猫用・人間用という3つの水飲み場がひとつになっており、造形も特徴的です。展示品は複製で、本物は今も新宿駅の近くに保存されています。
●鋳鉄管(ちゅうてつかん)
近現代の水道に欠かせない鋳鉄管の変遷を紹介しています。明治から現代までの鉄管の実物や、つなぎ目に使われた素材の説明など興味深い展示が多数。口径2900mの鉄管は鋳鉄製の水道管では日本最大級!
●漏水対策
東京水道の驚異的な漏水率の低さについて、どのような対策をとっているかを紹介するコーナー。いくつの計器を備えた漏水発見器や漏水検出システムが展示されています。
棒状音聴器のパットに耳をあてると、漏水音が聞こえます。こんなかすかな音を聞き取っているのかと驚くはず!
東京都水道歴史館ならではの体験にトライ!
順路の最後にある水道情報コーナーにはクイズが用意されています。「江戸水道」「近代水道」「暮らしと水道」の3つのコースが用意されているので、展示を理解しているか復習をかねてチェックしてみましょう。
3択クイズになっているので回答しやすいのですが、ひっかけ問題もあり意外と難しい!親子で協力して挑戦してみてください。
●ウォーターディスペンサー
1階のラウンジには、東京の水道水が飲めるウォーターディスペンサーが設置されています。備え付けの紙コップかマイボトルに水を入れて飲んでみましょう。江戸から現代へと発展してきた東京の水の味は?
子連れにおすすめ!立ち寄りスポット
東京都水道歴史館には子連れならぜひ立ち寄りたいスポットがあります。ぜひ行ってみてくださいね。
●本郷給水所公苑
東京都水道歴史館に隣接する本郷給水所公苑には昭和60年代に発掘された神田上水遺跡の一部が移築・復元されています。歴史館の展示を見た後に、水を流した石樋や白堀を見られるのは貴重な体験です。
- 住所:東京都文京区本郷2-7
- 開苑時間:7~19時(10~3月は9~17時)
小さい子ども連れファミリーに嬉しい、施設や設備
館内の1階に女性用トイレと誰でもトイレ、2階に男性用トイレ、3階に男性用トイレと女性用トイレがあり、1階の誰でもトイレにはおむつ交換台が備え付けられています。ベビーカーの場合は、エレベーターが利用できます。
出入口の横にコインロッカー(100円/使用後返却)があるので、大きな荷物はここに預けましょう。
普段から利用している水道水について、身近な話として理解しやすいのが魅力。実物模型や映像を効果的に使っており、当時の生活風景を想像できるのも楽しいポイントです。子どもには難しい展示もありますが、解説がついているので親がサポートしてあげると理解が深まるでしょう。
●掲載の情報は予告なく変更になる場合があります。おでかけ前に各スポットへご確認ください。
●旅行中は「新しい旅のエチケット」実施のご協力をお願いします。
『るるぶKids こどもの知的好奇心がすくすく育つ学びスポット 東京周辺』
子どもたちの知的好奇心を刺激してくれる“学びスポット”全89施設をピックアップ。図鑑などでもお馴染みの「恐竜」「動物」「昆虫」「宇宙」「乗り物」、そして日常の延長として親子のコミュニケーションを楽しめる「アート」「絵本・アニメ」「にほんの歴史」を加えた8テーマに分けて紹介しています。
監修者である脳医学者の瀧 靖之先生、そして各テーマの“達人”たちと選んだ“学びスポット”は、どこも子ども心をくすぐる工夫にあふれた施設ばかり。また巻頭には、瀧 靖之先生による「知的好奇心の伸ばし方」も収録していますよ。
子どもの成長にとって大事な知的好奇心を育てるスポットの数々。本書を参考に家族でおでかけしてみませんか。