島根県の特産品おもしろ雑学|宍道湖のシジミの漁獲には厳格なルールあり!

島根県の特産品「シジミ」

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47都道府県それぞれの代表的な「特産品」をクローズアップ。【知る】【つくる】【学ぶ】の3つの視点から、特産品と各都道府県の関係をひも解きます。各地の歴史や風土だけでなく、意外な理由で生まれた特産品は、知れば知るほどおもしろい!

島根県の特産品は「シジミ」です。意外と知らないシジミの生態や一大生産地の宍道湖(しんじこ)での漁獲のルールなど、親子で知りたくなる情報をまとめました。この機会にしじみ汁なども作ってみては?

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目次(index)

【知る】宍道湖産シジミが失われない取り組み

島根県松江市と出雲市にまたがる宍道湖は、全国のシジミ漁の約4割を占める日本有数のシジミ(ヤマトシジミ)の生産地です。

昭和30年(1955)頃まで、島根県はシジミ漁にそれほど力を入れていませんでした。昭和40年代になると、河川の整備などの影響で全国的にシジミの漁獲量が減少。宍道湖でシジミがとれると注目され、市場価値も高まりシジミ漁が盛んに。厳しい出荷基準をクリアした宍道湖産のシジミは、粒が大きく味もよいと評判です。

なぜ宍道湖でシジミが多くとれるの?

島根県の特産品「シジミ」

日本で7番目に大きい湖の宍道湖は、斐伊川(ひいかわ)から淡水が注がれ、日本海より大橋川や中海(なかうみ)を通じて塩水がさかのぼる汽水湖です。そのため川と海の生き物、汽水特有の生物が混在し、確認された魚介類は100種類超。シジミ以外では、うなぎ、ワカサギ、スズキなども暮らしています。

宍道湖~大橋川にかけては、塩分濃度が0.3~1.0%(海水の1/10~1/3)程度。実はこれが、ヤマトシジミの好む塩分濃度なのです。宍道湖の環境によく適応した生物がヤマトシジミといえます。

日本に生息するシジミは3種類

島根県の特産品「シジミ」

宍道湖でとれるのは、もっとも味がよいとされ、日本の市場に出回るシジミの99%以上を占めるというヤマトシジミです。扇形の貝殻はやや厚みがあり、色は茶褐色ですが、徐々に色が黒っぽくなる特徴があります。

そのほか、日本に生息する代表的なシジミは、淡水にすむマシジミ、琵琶湖にしか生息していないセタシジミです。マシジミは絶滅危惧種、栗のような形をして殻の色は黄褐色~黒紫色です。セタシジミはヤマトシジミよりも殻が厚く、色は黒か茶色が基本ですが、砂地で育ったものは黄色っぽいです。

宍道湖のヤマトシジミ漁のルール

ヤマトシジミの成長には時間がかかり、宍道湖で漁獲できるサイズの殻長(かくちょう=殻の横幅)になるには、最低でも2年以上かかるそう。一例では生後2年で殻長10mm、生後3年で殻長15mm程度になります(成長は生息環境により大きく異なります)。

昭和48年(1973)からは、宍道湖の豊かな恵みを後世に残していくために漁獲規制を開始。一日の採捕量や操業時間、休漁日を定め、現在もシジミ漁師たちがそれらのルールを守っています。

例えばシジミ漁は、小型船の上から漁師が長さ約8mのサオの先に大きなカゴの付いた道具「ジョレン」などを使って行い、漁獲したら選別機にかけ、まだ小さい稚貝は湖に戻します。出荷できるのが殻長10㎜以上のものと定められているからです。

さらに湖底清掃作業、水草除去作業など、宍道湖の環境保全や生態系維持にも積極的に取り組むことで、今でも全国1位の生産地となっているのです。

【つくる】シジミのおいしい食べ方

出雲市など島根県東部地域の郷土料理「しじみ汁」と、松江市宍道地区の家庭の味で、子どもでも食べやすそうな「しじみご飯」のレシピを紹介。親子で協力して作りましょう!

出雲地方の日常食「しじみ汁」

出雲地方の日常食「しじみ汁」

出典:農林水産省Webサイト

宍道湖周辺、特に出雲地方では、ヤマトシジミを使った「しじみ汁」が日常食として根づいています。シジミは夏と冬に旬を迎え、特に7月前後は産卵のために身が大きくなりプリプリに。栄養価が高く夏バテ予防の食材として、地元ではうなぎのように土用に食す風習もあります。また、夏はしょうゆ味のすまし汁にして飲まれることも。

シジミを調理する前に必要な砂抜きは、真水より塩水を使うのが効果的。シジミが生息する海水と淡水が入り混じる環境と同じ、塩分濃度(0.5~1%)で一晩砂出しするのがコツです。

簡単レシピを紹介

  1. ボールに水を張り、塩を加えて塩水にします。その中にシジミを入れたざるを置き、砂をはかせます。
  2. 鍋に水と昆布、シジミを入れて中火でダシを取ります。
  3. お湯が沸いたら火を弱め、シジミの口が開いたら昆布を取り出し、仕上げに味噌を加えて味を調えます。シジミは煮過ぎないように注意!

子どもにおすすめの料理「しじみご飯」

子どもにおすすめの料理「しじみご飯」

宍道湖に面している松江市・宍道地区の家庭では、シジミ料理がよく食卓に登場します。汁物以外に佃煮や酒蒸しなどもありますが、子どもたちも食べやすい主食系だと、シジミの優しいだしが利いた「しじみご飯」が人気です。

シジミは冷凍すれば長期保存ができ、いつでも使えるから便利。さらに、冷凍することによりうま味成分と栄養価がアップします。シジミの代表的な栄養成分で肝臓の働きをよくするオルニチンは、冷凍することで8倍にも増えるそうです!

簡単レシピを紹介

  1. シジミは事前に砂抜きしておいてください。
  2. 米を研ぎ、ざるに上げておきます。
  3. 鍋にシジミと水を入れて、弱火で貝の口が開くまで煮ます。
  4. シジミとシジミのだし汁に分け、だし汁はこし布でこして冷まします。シジミは殻から身を取り出し、身が崩れない程度に水洗い。
  5. ニンジンとショウガの千切り、湯通ししたうす揚げ(油揚げ)を用意します。
  6. 炊飯器に米、調味料(薄口と濃口しょうゆ、酒、みりん)、だし汁を入れます。続いてシジミの身、ニンジン、うす揚げ、ショウガも加えて炊きます。
  7. 炊き上がったら、軽くほぐしてできあがり!

【学ぶ】シジミの生態が学べるスポット

シジミ漁が間近で見られる遊覧船、シジミの実験を見学できる水族館は、親子で貴重な体験ができる場です。直売所では、おみやげに宍道湖のシジミを買いましょう!

宍道湖観光遊覧船 爽朝クルージング

宍道湖観光遊覧船 爽朝クルージング

宍道湖観光遊覧船の「爽朝クルージング」では、松江の朝の風物詩・シジミ漁の光景が間近で見られます。遊覧船は漁船の近くをゆっくり運行、長いサオの先にカゴが付いた道具「ジョレン」などを使ってシジミをとる漁師を見届けましょう。

船内では島根の神話が流れ、朝もやの中の神秘的な宍道湖クルージングをガイド。乗船時間は第1乗船場からの乗船の場合は60分、第2乗船場からだと50分です。

住所 島根県松江市東朝日町150-7
問合先 0852-24-3218
営業時間 9時30分発(第1乗船場)、9時35分発(第2乗船場)
※シジミ漁が見られるのは月・火・木・金曜(お盆などの連休時、4~10月は漁が見られない場合あり)
定休日 1月1日、荒天時
料金 大人1800円、小人900円
駐車場 あり/30台/無料
URL

https://hakuchougo.jp

島根県立宍道湖自然館ゴビウス

島根県立宍道湖自然館ゴビウス

島根県の河川や宍道湖・中海に暮らす生き物200種・1万点を展示する体験学習型の水族館が、「島根県立宍道湖自然館ゴビウス」です。注目はヤマトシジミの水質浄化実験。水中に浮遊する懸濁物(けんだくぶつ=水に溶けない粒子)をヤマトシジミがエラでろ過し、徐々に水がきれいになる様子がパネルや実験水槽で観察できます。

シジミの活性がよいと開館後30分~1時間ほどで水が透明になるので、シジミがどのくらい水をきれいにしたのかが一目瞭然です。このほかにも、「宍道湖七珍(しっちん)」と呼ばれる宍道湖の代表的な味覚、シラウオやワカサギなどの魚を紹介した水槽があります。

住所 島根県出雲市園町1659-5
問合先 0853-63-7100
営業時間 9時30分~17時(最終入館~16時30分)
定休日 火曜(祝日の場合は翌平日)、年末年始
料金 大人500円、高校生以下200円、未就学児無料
駐車場 あり/100台/無料
URL

https://www.gobius.jp

宍道湖しじみ直売所

宍道湖しじみ直売所

宍道湖漁業協同組合直営の「宍道湖しじみ直売所」では、宍道湖産のヤマトシジミを粒の大きさで分け、Lサイズ1830円、Mサイズ1290円(各1kg)の冷凍パックで販売しています。

Lサイズは殻の厚みが14㎜以上。全体でも1割程度しか漁獲されず、地元でもなかなか出回らない大きさです。しじみ汁はもちろん、パスタなどにも合います。また、冷凍されていない新鮮な生シジミの予約販売も行われています。

住所 島根県松江市袖師町6-9
問合先 0852-21-3391(宍道湖漁業協同組合)
営業時間 9時~16時30分
定休日 土・日曜、祝日
駐車場 あり/2~3台/無料
URL

https://shinjiko.jp

【SDGs】島根県のシジミを自由に食べたり守ったりするために

SDGsアイコン17種

島根県で水揚げされるシジミは、宍道湖などで漁獲量が調整され、生態系が守られています。この先も、シジミを変わらず自由に食べたり守ったりするためにはどのようなSDGsを意識すればいいのか、親子で話し合ったり、考えてみるといいですね。

島根県の子ども向けSDGsの取り組み

6:安全な水とトイレを世界中に/SDGsの目標14:海の豊かさを守ろう/SDGsの目標

» 宍道湖での体験学習

1:貧困をなくそう/SDGsの目標

» 島根県子どものセーフティネット推進計画

4:質の高い教育をみんなに/SDGsの目標12:つくる責任 つかう責任/SDGsの目標17:パートナーシップで目標を達成しよう/SDGsの目標

» しまねっ子!元気アップ・カーニバル