47都道府県それぞれの代表的な「特産品」をクローズアップ。【知る】【つくる】【学ぶ】の3つの視点から、特産品と各都道府県の関係をひも解きます。各地の歴史や風土だけでなく、意外な理由で生まれた特産品は、知れば知るほどおもしろい!
長崎県で紹介するのは「カステラ」。そのルーツは室町時代まで遡ります。しかも、実は和菓子だという衝撃の事実も…!工場見学ができる施設も紹介しているので、ぜひ遊びに行ってみてくださいね。
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【知る】鎖国時代を経てカステラは長崎から全国へ
長崎県のおみやげとしてポピュラーなのがカステラです。一般的なカステラは卵と小麦粉、砂糖を混ぜ合わせて焼き上げます。黄色生地は、独特のしっとり感とコクがあっておいしいですよね。スポンジケーキに似ていますが、基本的に油脂を使用していないのが大きな違いです。
「カステラといえば長崎」になった理由
室町時代、天文12年(1543)の鹿児島・種子島(たねがしま)にポルトガル人が漂着。その後もフランシスコ・ザビエルがキリスト教の布教のために来日するなど、日本とポルトガルとの交流が増えました。長崎も16世紀に港を開き、ポルトガルとの貿易を開始。その際にポルトガル人から伝えられたのが、カステラ誕生のきっかけになった南蛮菓子です。
カステラは洋菓子に見えますが、江戸時代以前に日本で菓子として食べられていたものは材料などに関係なく、すべて和菓子に分類されます。長崎の菓子職人が南蛮菓子を手本に、日本人好みの風味や食感、形にした日本独自の和菓子なんです。
江戸時代の鎖国の間も、全国で長崎だけが人工的に造られた島の出島(でじま)で、オランダと中国との貿易が許されました。そこで手に入った砂糖のおかげで、カステラは長崎で発展しました。
全国にカステラが出回ったのは明治時代以降。昭和中期には、長崎県の老舗「文明堂」のテレビCMが大ヒット! 日本各地にその名が浸透しました。
聞き間違いがそのまま定着!? カステラの由来
画像:PIXTA
「カステラ」の語源の由来は諸説あります。カステラに似た南蛮菓子の名前を日本人から聞かれたポルトガル人が、「ボロ・デ・カステラ(カスティーラ王国のお菓子だ)」と答えました。それを「このお菓子はカステラだ」と勘違いした説が、まず一つ。カスティーラ王国とはポルトガルの隣国、現在のスペインにあたります。
そのスペインでは、お城のことを「カスティーリョ」といいます。お菓子を作るときにスペイン人たちは、「お城のように高くなれ!」のかけ声とともに、メレンゲをしっかりと泡立てていたとか。それがポルトガルにも伝わって「カステロー」のかけ声に変わり、さらに日本人が聞き間違えて、「カステラ」の名前になったという説もあります。
カステラのモデルとなった南蛮菓子も、はっきり分かっていません。砂糖と卵黄を使った半熟状のケーキ「パン・デ・ロー」と、材料はカステラと同じですがビスケットに近い「ビスコチョ」のどちらかが、有力だといわれています。
カステラの底のザラメは防腐効果?
画像:PIXTA
カステラの底の茶色い部分には、ザラメが付いていますよね。実はこれ、防腐剤としての効果があるといわれています。昔はカステラを長崎から京都や江戸に運んでいたのですが、当然、日数がかかってしまうので、日持ちをさせるためには工夫が必要。そこで、外国からの輸入により豊富にあった砂糖を、カステラにまぶして運んでいたといわれています。
しかし、これも確証がありません。カステラのザラメは時間が経つにつれて生地に浸透するので、しっとり感を長く保たせるために付けているという説もあります。
砂糖文化を広めた福岡・北九州〜長崎のシュガーロード
2020年6月、『砂糖文化を広めた長崎街道~シュガーロード~』が、文化庁の日本遺産に認定されました。現在「シュガーロード」として親しまれている長崎街道は、かつて長崎の出島に荷揚げされた砂糖を、江戸まで届けるために整備され、西九州の都市を結びました。
長崎市を始点に、大村市(長崎県)、佐賀市などを通って、小倉(福岡県北九州市)まで続く街道の距離は約228km。道沿いには25の宿場が置かれ、南蛮菓子とともに砂糖文化が伝わったのです。周辺地域では砂糖を生かした南蛮菓子を参考に、それぞれの気候風土や日本人の味覚に合わせて工夫した甘味が次々に誕生。長崎市のカステラをはじめ、佐賀市の丸ぼうろ、北九州市の金平糖などが、その代表格です。
【つくる】カステラのレシピ&保存方法
たこ焼器で作るベビーカステラは、子どもと一緒にワイワイ楽しめて、おやつにうってつけ。また、お店で買ったカステラを、最後までおいしく食べられる保存法も覚えておいて損はありません。
おうちでベビーカステラ作りに挑戦
※イメージ 画像:PIXTA
たこ焼器でベビーカステラを手軽に作れます。下準備としてチョコ、マシュマロ、キャラメル、フルーツなど、お好みのトッピングを小さめにカットしておきましょう。生地作りに使うバターは、湯せんや電子レンジで溶かしておくとすぐ使えます。
たこ焼器の機種により、加熱時間は多少異なります。中に入れる具材は小さめにカットし、外に出ないように焼き上げてください。トッピングにメープルシロップやあんこ、ホイップクリームもおすすめです。
簡単レシピを紹介
- 卵と牛乳をボウルの中でよく混ぜて、次にホットケーキミックスを加え、軽く混ぜ合わせます。
- 溶かしたバターを加えて、さらに混ぜます。
- たこ焼器を160℃に熱し、ハケでサラダ油を塗ります。次にスプーンで混ぜ合わせた生地を8分目まで入れ、お好みの具材を入れてください。
- 生地が膨らんできたら、竹串などで上下をひっくり返します。
- 中に火が通るまで生地をクルクルと返しながら焼いたら完成。お好みのトッピングも乗せましょう!
カステラの正しい保存方法
カステラは、直射日光を避けて常温で保存するのが基本です。気温が高いときや開封後は、冷蔵庫に入れて保存を。カステラ特有のしっとり食感は、水分量の多さによるもの。開封後に放置してしまうと、乾燥からパサパサした食感になってしまいます。なるべく空気に触れさせないにジッパー付きの密閉袋に入れることで、風味を落とさずに保存できます。
食べきれないカステラは、冷凍保存もOKです。その際も、やはり空気に触れさせないことが大切。冷凍保存したカステラは3~4週間ほど日持ちします。解凍する際には、食べる少し前に冷蔵庫へ移動。15分ほど冷蔵庫に入れておくと、自然解凍されます。
意外かもしれませんが、半解凍のまま食べてもおいしいですよ。ひんやりモチッとした食感を楽しめて、夏場にぴったりです。
【学ぶ】カステラ作りを学べるスポット
長崎県にはカステラの工場見学ができる施設があります。また、おみやげにカステラを買うなら、「文明堂」「福砂屋(ふくさや)」と並ぶカステラ御三家の一つで、長崎県と福岡県にしか店舗展開をしていない有名店に立ち寄ってみては?
長崎カステラランド(長崎県/雲仙市)
種類豊富なおみやげ売り場、長崎県や地元・雲仙(うんぜん)のグルメが味わえるレストランが揃う「長崎カステラランド」。カステラ作りにふれられる工場は、予約なしで自由に見学可能です。カステラ作りの実演、包装ライン、ウォーターカッターといったカステラの製造工程の一部を、見学通路から見ることができます。
住所 | 長崎県雲仙市愛野町乙5864 |
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問合先 | 0957-36-2000 |
営業時間 | 8時30分~17時30分(工場見学9~16時※時間帯により稼働してない場所もあり) |
定休日 | 無休 |
料金 | 入場料無料 |
アクセス | 公共機関:島原鉄道愛野駅からタクシーで約10分 車:九州自動車道諫早ICから雲仙方面へ20km30分 |
駐車場 | あり/30台/無料 |
URL |
松翁軒 本店(長崎県/長崎市)
「松翁軒(しょうおうけん) 本店」はレトロ調の建物が特徴。340余年受け継がれるカステラは厳選された原材料を使い、昔ながらに一人一窯で焼き上げるのもこだわりです。
上質の材料で作る品のよい口溶けの「五三焼(ごさんやき)カステラ」は、化粧箱1本入りが3240円、5切れの半棹(はんさお)が1620円です。「松翁軒カステラ」やチョコ味の「チョコラーテ」は各0.3号648円~。2階「喫茶セヴィリヤ」でもカステラが楽しめます。
※価格はすべて税込表記
住所 | 長崎県長崎市魚の町3-19 |
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問合先 | 095-822-0410 |
営業時間 | 9~18時、喫茶セヴィリヤ11~17時 |
定休日 | 無休 |
アクセス | 公共機関:長崎電気軌道(路面電車)市役所電停から徒歩1分 車:長崎自動車道長崎ICから4km10分 |
駐車場 | あり/2台/無料 |
URL |
【SDGs】長崎県のカステラを自由に食べたり守ったりするために
長崎県の特産品のカステラは、環境にも配慮しながら製造が行われています。この先も、カステラを変わらず自由に食べたり守ったりするためにはどのようなSDGsを意識すればいいのか、親子で話し合ったり、考えてみるといいですね。