知的好奇心がすくすく育つ学びスポット!
小田急電鉄の花形車両といえばロマンスカー。2021年4月、小田急線海老名駅隣接地にオープンした「ロマンスカーミュージアム」は、歴代のロマンスカーの車両を展示し、一部は車内見学も可能。さらにキッズがロマンスカーの魅力に触れられる専用エリアもあり、小田急沿線のことを学びながら想像をふくらませ、創造力を刺激する場所もあります。
ここではキッズとパパママで楽しめそうな過ごし方を中心に紹介します。また、2022年3月11日でロマンスカー・VSE(50000形)の定期運行が惜しまれながら終了したのも大きな話題となりました。
改めてロマンスカーの魅力に触れてみませんか。本記事では写真を中心に紹介します。
子どもの知的好奇心は身近な“学びスポット”で育む!
子どもの脳の発達の原動力となり、将来の可能性を広げてくれるのが知的好奇心。その知的好奇心を育むスポットは東京周辺にたくさんあります。脳医学者の瀧 靖之(たき やすゆき)先生、そして宇宙・動物・昆虫・アートなどの各テーマの“達人”たちと選んだ東京周辺にある “学びスポット”を紹介します。どこも、「知るのが楽しい!面白い!」と思わせてくれる、工夫にあふれた施設ばかり。コロナ禍が続くいまだからこそ輝く身近な“学びスポット”へ出かけてみませんか。
監修:瀧 靖之(たき やすゆき)先生
東北大学加齢医学研究所教授
医師。医学博士。東北大学加齢医学研究所および東北大学東北メディカル・メガバンク機構で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究に従事。読影や解析をした脳MRIはこれまで16万人以上にのぼる。
知的好奇心で培われる、8つの“育つ力“
子どもの知的好奇心を刺激することで培われる力を、瀧 靖之先生が8つ選定。「洞察力」「思考力」「想像力」「発想力」「思いやり」など、施設ごとに“育つ力”を付記しました。
» 脳医学者の瀧 靖之先生に聞く!「知的好奇心」で育つ8つの力
»「国立科学博物館」は知的好奇心をくすぐる展示や学びの仕掛けが満載!
ロマンスカーミュージアムで育つ子どもの力
知的好奇心が育つと、子どものどんな力が伸びるのかをチェック!ロマンスカーミュージアムでは、特にどんなところが子どもの知的好奇心をくすぐるのか、鉄道に詳しい達人に教えてもらいました。
乗り物の達人 田代浩一さん
たしろこういち●第18代JTB時刻表編集長。2001年株式会社JTBに入社後、るるぶ情報版国内ガイドブックの編集、るるぶのWEBサイトの制作運営を経て、2021年4月より現職。
■田代さんコメント
何といっても「キッズロマンスカーパーク」。特に「こうさくしつ」は、有料ですが、ペーパークラフトで自分だけのオリジナル電車を作ることができます。また「ロマンスカーアスレチック」は、小田急電鉄の代名詞ともいえるロマンスカーをモチーフに、こどもたちが遊べる空間となっているので、小さいお子様がいるファミリーにおすすめです。
» 鉄道が大好き!! |“子鉄”大満足!全国の電車・鉄道スポットに行こう
»「JTB時刻表編集長 田代浩一さん」に聞きました!乗り物の魅力やお仕事って?
ロマンスカーミュージアムってこんなところ!
奥がエントランス。手前はカフェ/画像提供:ロマンスカーミュージアム
小田急線海老名駅とはペデストリアンデッキで直結。ミュージアムのエントランスは2階です。1階に車両展示の「ロマンスカーギャラリー」、2階には「ジオラマパーク」や「キッズロマンスカーパーク」があります。
所要:2時間
おすすめの年齢:3歳~
住所 | 神奈川県海老名市めぐみ町1-3 |
---|---|
電話 | 046-233-0909 |
営業時間 | 10~17時 ※季節により変更の場合あり |
定休日 | 第2・4火曜 ※季節により変更の場合あり |
料金 | 大人(中学生以上)900円、子ども(小学生)400円、幼児(3歳以上)100円 ※入館は事前予約制。詳細は公式サイト参照 |
アクセス | 小田急線海老名駅直結。JR、相鉄海老名駅から徒歩3分 |
駐車場 | なし |
<施設データ>
- 子ども用トイレ:✕
- おむつ替え:〇
- 授乳室:〇
- ベビーカー利用:〇
- ベビーカー貸出:✕
- コインロッカー:〇
- 館内飲食店:〇
- 館内売店:〇
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» ロマンスカーミュージアムがオープン!展示車両、シミュレーターなど見どころは?
おすすめのアクセス方法は?
電車利用が便利。一部のロマンスカー(「はこね」等)も海老名駅に停車します。相鉄線やJR相模線の海老名駅からも徒歩でアクセスできます。
車の場合は、「ららぽーと海老名」または「ビナウォーク」の駐車場提携サービスがお得です。ミュージアム入館時に駐車券提示でサービス券(1時間無料券)がもらえます。
※ららぽーと海老名駐車場を利用の場合は、平日、土日祝によってサービス券をもらえる駐車場が異なるので注意
おすすめの遊び方&過ごし方
入館はネットからの事前予約制(公式サイトからリンクあり)。当日の予約に空きがある場合に限り、予約なしで入館することも可能。滞在に制限時間はありません。
所要時間は、ゆっくりと車両を見て撮影して、ジオラマなど館内を回ってだいたい2時間くらい。キッズロマンスカーパーク(有料)で遊んだり、または屋上で電車を眺めたりするならプラス30分~1時間くらい多めに見積もっておくといいでしょう。
ロマンスカーシミュレーター体験は当日先着順で受付のため、希望であれば早い時間の入館と予約がおすすめです。
ロマンスカーミュージアムフロアマップ
画像提供:ロマンスカーミュージアム
1階と2階はエスカレーターとエレベーターで行き来ができます。屋上フロアへは階段とエレベーターで移動します。
時代を彩った歴代ロマンスカーがずらり
ロマンスカーミュージアムのメインとなる展示がここ。5車種のロマンスカーを至近距離で見ることができます。
5種類の形式と愛称は以下の通り。
- SE(3000形)Super Express 1957年~1992年
- NSE(3100形)New Super Express 1963年~1999年
- LSE(7000形)Luxury Super Express 1980年~2018年
- HiSE(10000形)High Super Express 1987年~2012年
- RSE(20000形)Resort Super Express 1991年~2012年
LSE(7000形)以外の車両は、一部通路や座席まで見学可能。今回は、ちょっとマニアックな車両を紹介します。
SE(3000形)。高性能特急専用車両として登場。航空機の技術が活用され、国鉄と共同開発が行われたことなどが話題になりました。先頭部の列車愛称は、現在のLEDや方向幕ではなく、プレート状の看板を掲出していました。
たっぷりとした生地のカーテンにえんじ色の座席、丸みを帯びた貫通部など、優美でクラシックな印象の車内。
座席番号はABなどアルファベットとの組み合わせではなく数字のみ。「うち側」「まど側」の表記が新鮮です。ひらがなが読めるようになったキッズに見せてあげてくださいね。
こちらはRSE(20000形)。「あさぎり」としてJR御殿場線にも乗り入れていた車両です。また、一部の編成は富士急行に譲渡され、現在は「フジサン特急」として活躍しています。
3、4号車はロマンスカー唯一の2階建て車両でした。上がスーパーシート、下がセミコンパートメント。
セミコンパートメント客室。グループや家族旅行に人気がありました。
ジオラマパークでは車両だけでなく沿線の景色に注目!
画像提供:ロマンスカーミュージアム
新宿から小田原・箱根・江の島まで小田急線沿線を再現した、迫力ある巨大な鉄道ジオラマ。走っているのは10車種のロマンスカーと5車種の通勤車両。最新型からすでに引退した車両まで形式を当ててみるのも楽しいものです。
沿線の建物や景色も細かく作り込まれています。小田急電鉄がカバーしているエリアを知ることできます。城や美術館など有名な観光スポットもあり、地理の勉強になります。大人と子どもで目の高さが違うと見え方も異なるので、教えてあげてくださいね。
今回は車両ではなく景色にぐぐっと寄ってみます。
新宿駅、ロマンスカーの発着シーンを再現。そして地下ホームもバッチリ!デパートなど新宿の風景も再現されています。担当者によると、ジオラマの看板などの企業ロゴは各社の許諾を得て再現しているそうで、よりリアルな情景になっています。
車両基地には白い車体のVSEが止まっているほか、脇をVSEが駆け抜けていきます(時期により展示車両および走行車両は異なります)。
海老名中央公園にはかわいいマスコットキャラクターたちが!
箱根・芦ノ湖の箱根海賊船。奥には「山のホテル」。ツツジの名所です。このあたりも小田急グループが観光開発を手掛けています。
ロマンスカーアスレチックで遊ぼう
写真提供:ロマンスカーミュージアム
ロマンスカーアスレチックはロマンスカーの車両をイメージしたフレームの中に遊具があるので、実際のものと見比べると楽しいところ。右側は「MSE(60000形)だ!」と気づくキッズもいるかもしれません。MSEはブルーの車体が特徴です。
写真提供:ロマンスカーミュージアム
アスレチックには木のつり革も!あちこちに鉄道車両らしさを感じる演出があります。
ロマンスカーのお弁当をつくる「ごっこ遊び」ができる喫茶室。現在は感染症防止対策のため休止中。再開したらぜひ遊んでみたいコーナーです。
ほかにも知的好奇心をくすぐる貴重な体験の数々!
●リズミカルなタップダンスと映像でロマンスカーの歴史を学べる「ヒストリーシアター」
小田急線開業当時の車両である「モハ1」が停車するプラットフォームでムービーを鑑賞。ムービーはタップダンスや映像を組み合わせたもので、かしこまったものではなく、小田急電鉄とロマンスカーの歴史を楽しく学べます。モハ1は外からの見学ですが、つり革、木の床、窓、座席など今とは全く違うもので新鮮な驚きがあります。
●上からの眺望を体感!ロマンスカーシミュレーター “LSE(7000形)”
ロマンスカーの本物の車両を活用し、運転が体験できるのはここだけ。映像は実際にロマンスカー・LSE(7000形)2階の運転席からの風景を撮影したものです。運転席は他の車両より狭いことが体感できます。1回500円、当日先着順で受け付け。
●「こうさくしつ」で、ロマンスカーとおうちのペーパークラフトに挑戦
「ロマンスカー」と「おうち」のペーパークラフトを作り、紙できた小さいまちの中を走らせることができます。電車だけでなく工作やお絵かきが好きな子にも楽しめます。1回500円、当日受付。
●「ステーションビューテラス」で行き交う電車を鑑賞
ステーションビューテラスは、ミュージアムの屋上の展望テラス。小田急線海老名駅が一望できるほか、海老名駅を通るロマンスカーや、ミュージアムの隣にある電車基地(車両の検査や修繕、洗浄などをする施設)が見られます。タイミングが合えば洗車の様子が見られるかもしれません。
ロマンスカーの停車・通過時刻や使用車両がわかる時刻表を設置しています。
●ロマンスカーアカデミアⅠ
RSE近くにある展示コーナー。小田急電鉄の歴史をまとめた企業年表や、小田急電鉄の一大事業である複々線化(地下トンネル構造)を学べる模型を展示。ロマンスカーにまつわる書籍も置いています。漢字が読めるようになったらじっくり立ち寄ってみたいコーナーです。
●ロマンスカーミュージアム限定商品も!“TRAINS”でお土産を買おう
“TRAINS”は小田急電鉄の公式グッズショップ。ロマンスカーグッズや鉄道グッズのほか、数多くの限定グッズも販売。
写真提供:ロマンスカーミュージアム
お菓子、ショッピングバッグなど、ロマンスカーミュージアム限定グッズはいろいろあるので要チェック。
小さい子ども連れファミリーに嬉しい、施設や設備
コインロッカー、ベビーカー置き場、おむつ交換台、ミルク用のお湯、授乳スペースも完備。バリアフリー対応のみんなのトイレもあります。
有料区域内には飲食店舗なく、自販機くらいです。ランチは併設のカフェか、駅の商業施設を利用するのが便利です。
●海老名駅を一望!「ROMANCECAR MUSEUM CLUBHOUSE」
ドリンクや軽食を提供。お酒も飲めます。
GSEセット1350円。ホットドッグ、フライドポテト、ドリンク付き。容器は持ち帰り可能。
ロマンスカーのことならなんでも分かるロマンスカーミュージアム。「学ぶ」という堅苦しい雰囲気ではなく、おしゃれな建物で遊んだり楽しんだりしながら気づかないうちに学びが得られるというのが最大の魅力。ロマンスカーに乗ったことがある大人が子どもに教えてあげたりするのもいいですね。
大人にとってはコロナ禍以降の鉄道会社と観光開発について考える機会になりそうです。
●掲載の情報は予告なく変更になる場合があります。おでかけ前に各スポットへご確認ください。
●旅行中は「新しい旅のエチケット」実施のご協力をお願いします。
『るるぶKids こどもの知的好奇心がすくすく育つ学びスポット 東京周辺』
子どもたちの知的好奇心を刺激してくれる“学びスポット”全89施設をピックアップ。図鑑などでもお馴染みの「恐竜」「動物」「昆虫」「宇宙」「乗り物」、そして日常の延長として親子のコミュニケーションを楽しめる「アート」「絵本・アニメ」「にほんの歴史」を加えた8テーマに分けて紹介しています。監修者である脳医学者の瀧 靖之先生、そして各テーマの“達人”たちと選んだ“学びスポット”は、どこも子ども心をくすぐる工夫にあふれた施設ばかり。また巻頭には、瀧 靖之先生による「知的好奇心の伸ばし方」も収録しています。
子どもの成長にとって大事な知的好奇心を育てるスポットの数々。本書を参考に家族でおでかけしてみませんか。