知的好奇心がすくすく育つ学びスポット!
大宮にある国内最大規模の鉄道ミュージアム「鉄道博物館」。運転シミュレータをはじめとする体験メニューが人気ですが、車両や資料展示も充実しています。
日本の鉄道開業150年に当たる2022年。歴史や鉄道車両が走る仕組み、未来といったテーマは、子どもの知的好奇心を刺激するきっかけになるかもしれません。本記事では予約や追加料金不要な展示を中心に紹介します。
子どもの知的好奇心は身近な“学びスポット”で育む!
子どもの脳の発達の原動力となり、将来の可能性を広げてくれるのが知的好奇心。その知的好奇心を育むスポットは東京周辺にたくさんあります。脳医学者の瀧 靖之(たき やすゆき)先生、そして宇宙・動物・昆虫・アートなどの各テーマの“達人”たちと選んだ東京周辺にある “学びスポット”を紹介します。どこも、「知るのが楽しい!面白い!」と思わせてくれる、工夫にあふれた施設ばかり。コロナ禍が続くいまだからこそ輝く身近な“学びスポット”へ出かけてみませんか。
監修:瀧 靖之(たき やすゆき)先生
東北大学加齢医学研究所教授
医師。医学博士。東北大学加齢医学研究所および東北大学東北メディカル・メガバンク機構で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究に従事。読影や解析をした脳MRIはこれまで16万人以上にのぼる。
知的好奇心で培われる、8つの“育つ力“
子どもの知的好奇心を刺激することで培われる力を、瀧 靖之先生が8つ選定。「洞察力」「思考力」「想像力」「発想力」「思いやり」など、施設ごとに“育つ力”を付記しました。
» 脳医学者の瀧 靖之先生に聞く!「知的好奇心」で育つ8つの力
»「国立科学博物館」は知的好奇心をくすぐる展示や学びの仕掛けが満載!
鉄道博物館で育つ子どもの力
知的好奇心が育つと、子どものどんな力が伸びるのかをチェック!鉄道博物館では、特にどんなところが子どもの知的好奇心をくすぐるのか、乗り物の達人に教えてもらいました。
乗り物の達人 田代浩一さん
たしろこういち●第18代JTB時刻表編集長。2001年株式会社JTBに入社後、るるぶ情報版国内ガイドブックの編集、るるぶのWEBサイトの制作運営を経て、2021年4月より現職。
■田代さんコメント
日本最大級の鉄道の博物館だけに、見どころは豊富。その中でも、鉄道のことを知って学べる2階の「仕事ステーション」はおすすめ。特に電車の運転体験ができるシミュレータは実際の速度や実写映像を再現して臨場感があり、好奇心を育まれ、鉄道のイロハが学べます。さらに興味を持ったら体験以外の展示資料があることも教えてあげてください。
» 鉄道が大好き!! |“子鉄”大満足!全国の電車・鉄道スポットに行こう
» 乗り物の達人「JTB時刻表編集長 田代浩一さん」お仕事インタビュー
鉄道博物館ってこんなところ!
大宮駅から新交通「ニューシャトル」で1駅、「鉄道博物館(大成)」駅の改札を出たらすぐに鉄道博物館へのアクセス通路「プロムナード」になっています。
建物は本館、北館、南館に分かれていて、エントランスは本館にあります。車両がたくさん展示されているのは本館、ミニ運転列車は北館(屋外)、仕事ステーションは南館となります。なお北館から南館の両端は約600メートル離れています。
プロムナード。足元には時刻表、奥のショーウインドウにも展示があるので、入館前から見るところが盛りだくさん
所要:4時間
おすすめの年齢:2歳~
住所 | 埼玉県さいたま市大宮区大成町3-47 |
---|---|
電話 | 048-651-0088 |
営業時間 | 10~17時(入館は~16時30分) |
定休日 | 火曜、年末年始 |
料金 | 一般1330円、小・中高生620円、幼児(3歳以上未就学児)310円 ※事前に時間指定の入館券購入が必要。詳細は公式サイト参照 |
アクセス | 公共交通:ニューシャトル鉄道博物館(大成)駅→徒歩1分 |
駐車場 | あり/288台(1日820円) |
<施設データ>
- 子ども用トイレ:〇
- おむつ替え:〇
- 授乳室:〇
- ベビーカー利用:〇
- ベビーカー貸出:✕
- コインロッカー:〇
- 館内飲食店:〇
- 館内売店:〇
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おすすめのアクセス方法は?
鉄道利用が便利。JR大宮駅での乗り換えは一度改札を出てニューシャトル改札まで少し歩きます。大宮駅から鉄道博物館まではバリアフリー施設が整っており、博物館のエントランスまでは段差を避けてベビーカーでも雨でも濡れずに行けます。
新幹線普通車自由席特急券(東京駅または上野駅~大宮駅)、東京都区内の各駅から鉄道博物館駅までの往復乗車券、鉄道博物館入館券がセットになった、お得な「てっぱくきっぷ」もJR東日本の首都圏の主な駅の指定席券売機で発売されています。
おすすめの遊び方&過ごし方
在来線運転シミュレータは年齢問わず無料で楽しめます。土日祝は要抽選。平日は先着順です
館内は広大で、小さな子どもから大人の鉄道ファン、専門職や研究者まで幅広い層に対応した体験メニューや展示がそろっています。未就学児から小学校低学年のキッズは、まず鉄道車両を見学し、運転体験など動きのあるものを体験、ジオラマなどを楽しむのがおすすめです。
現在は時間指定入場制。ミニ運転列車など、人気の体験プログラムは「てっぱく抽選アプリ」を使用して、入館後に抽選を行うため、あらかじめスマホやタブレットにダウンロード・インストールしておき、入館したらすぐに抽選しましょう。「てっぱくシアター」など館内に入ってから先着順に受付のものもあります。
また、館内の駅弁屋でも、人気のものはお昼過ぎには売り切れてしまうこともあるので、ランチに買おうと考えている場合はお早めに。
鉄道博物館フロアマップ
明治時代の車両から新幹線車両まで、鉄道創業150年の歴史が一堂に
入館して真っ先に行きたいのが本館の車両ステーション。転車台のSL(蒸気機関車)をはじめ、このエリアには計36両もの車両が展示されており、一部の車両は中に入って見学することもできます。
10月14日は鉄道の日。1872年10月14日に、新橋~横浜で日本初の鉄道が開業したことが由来です。そう、今年2022年は日本の鉄道開業150年という記念すべき年なのです。
注目は、1号機関車(150形蒸気機関車、上写真)。1871年(明治4)製造で、新橋~横浜間の鉄道開業時に、イギリスから輸入されたうちの1両です。1997(平成9)年に、鉄道車両として初めて国の重要文化財に指定されました。
キッズプラザ(一部休止中)にある103トレイン。この103系電車は国鉄時代に設計・製造されたものです。
こちらは屋外に展示されているE153形新幹線電車(E1系電車)。オール2階建て車両の新幹線として大きな話題となりました。1995(平成7)年製造ですから、鉄道開業後、約120年でここまで進化したということが感じ取れます。
鉄道の歴史を学べば鉄道がもっと好きになる!
現在の鉄道博物館の前身となったのは、かつて東京都千代田区にあった「交通博物館」。2006年に閉館後、こちらに移された展示物もたくさんあり、新たな収蔵物とともに展示しています。館内で、日本の鉄道史をキッズでも楽しく学べる場所を紹介します。
●車両ステーションの鉄道車両年表と模型は必見!
本館2Fにある鉄道車両年表は、鉄道開業時から現代までの鉄道車両の歴史を、年表と写真を使って解説しています。あわせて、代表的な車両模型を展示。JRグループの前身である国鉄時代の車両や、小田急のロマンスカーなどJR東日本以外の車両もあります。
保守用車に興味を示す、鉄道大好きモデルのりょうちゃん
実はここ、平日15時から行われる「転車台回転・汽笛吹鳴実演」の際、転車台が回転する様子を眺めるのに絶好の穴場。機関車から少し離れているので、大きな音に慣れていない子はここから見るのもよさそうです。
●歴史ステーション
写真は1929年(昭和4年)ごろの駅窓口イメージ。特急列車の名称募集ポスターが掲出されています。
歴史の中にタイムスリップし、時代が求めた鉄道の姿やそれを支えた人々の熱意を解き明かす「発見型ミュージアム」。鉄道開業以降の歴史を大きく6つの時代に分け、鉄道の技術の進化や時代背景を学べます。明治大正、昭和初期などは、レトロな雰囲気がパパママにも新鮮です。
日本国有鉄道の本社玄関に取り付けられていた銘板。1987年に分割民営化され、JRグループ7社が誕生しました。
自分でアバターを作り、「未来ステーション」で未来の鉄道を想像してみよう
未来の鉄道に入り込み、これからの鉄道の姿をみんなで考える「創造型ミュージアム」。最初に自分の分身(アバター)を作成、未来の社会や、より安全・安心で快適な未来の鉄道の姿を、アニメーションの中で疑似体験できます。自分が考えたアイデアを投稿することもできる、クリエイティブな空間です。
列車が書かれたアバター作成カード(館内に置かれています)の二次元バーコードをかざしてアバターのキャラクターを設定し、順を追って体験していきます。ここは未来の鉄道車両や輸送をアニメ化しています。モデルのりょうちゃんは山手線のかぶり物をチョイス。また、英文も表示されるので、英語を習っている子どもも興味がわきそうです。
ほかにも知的好奇心をくすぐる貴重な体験の数々!
●科学ステーション
鉄道の科学をテーマにした「実験型ミュージアム」。鉄道に利用されている科学原理を楽しみながら学べる体験の場です。
写真は電車についているパンタグラフ。架線から電気を取り込んで電車を動かしています。屋根の上にあるので普段はなかなか間近で見ることができませんが、動きと大きさが実感できます。
「閉そくコースター」。車輪を転がすことで、前後の電車同士が安全に運行できる閉塞(へいそく)という仕組みを学べます。小さい子にはまだ分かりづらいかもしれませんが、まずは車輪を転がすことでどう信号が変わっていくか見てみましょう。
●ショップでは天井もチェック
お土産はエントランス脇のミュージアムショップ「TRAINIART(トレニアート)」で。つい商品選びに夢中になってしまいますが、天井に飾られたつり革のシャンデリアにもぜひ注目を。
小さい子ども連れファミリーに嬉しい、施設や設備
大宮・鉄道博物館のおすすめ体験・イベント・展示は?幼児が楽しめるシミュレータも。
» 詳しくはこちらから
鉄道博物館は1日どころか数回通っても全部を見られないほど展示物があるので、テーマを絞って見学するのがおすすめです。仕事ステーションや科学ステーションなどの展示は漢字が多く、小さな子どもには難しいところもあるかもしれませんが、「いろんな研究やいろんな人がいて、あのかっこいい電車が動いているんだ」ということを体感するだけでも知的好奇心が刺激され、行動範囲が広がりそうです。
●掲載の情報は予告なく変更になる場合があります。おでかけ前に各スポットへご確認ください。
●旅行中は「新しい旅のエチケット」実施のご協力をお願いします。
『るるぶKids こどもの知的好奇心がすくすく育つ学びスポット 東京周辺』
子どもたちの知的好奇心を刺激してくれる“学びスポット”全89施設をピックアップ。図鑑などでもお馴染みの「恐竜」「動物」「昆虫」「宇宙」「乗り物」、そして日常の延長として親子のコミュニケーションを楽しめる「アート」「絵本・アニメ」「にほんの歴史」を加えた8テーマに分けて紹介しています。監修者である脳医学者の瀧 靖之先生、そして各テーマの“達人”たちと選んだ“学びスポット”は、どこも子ども心をくすぐる工夫にあふれた施設ばかり。また巻頭には、瀧 靖之先生による「知的好奇心の伸ばし方」も収録しています。
子どもの成長にとって大事な知的好奇心を育てるスポットの数々。本書を参考に家族でおでかけしてみませんか。