SDGs17の目標10「人や国の不平等をなくそう」について、子どもにもわかりやすく簡単に説明します。日本は格差が大きいって本当?弱い立場の人を守り極端な格差をなくすには?日本と世界の現状や、課題となっている点、私たちにできる取り組みとはどんなものがあるでしょう?一緒に考えてみましょう!
SDGs17の目標を解説
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※この記事は、『るるぶ マンガとクイズで楽しく学ぶ!SDGs』から抜粋して作成しています。
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不平等って?
弱い立場の人を守り極端な格差をなくそう
(出典)OXFAM『Inequality Kills』をもとに作成
世界の財産は、ほんのひと握りのお金持ちやエリートに集中しているよ。最も裕福な人が世界の資産の約4割をもっているんだ。このように極端な格差や不平等を減らすため、富を再分配する仕組みが必要なんだ。国同士の格差もあって、世界の多くがまだ開発途上国。私たちが食べるものや買うものは途上国から運ばれていることを考えると、途上国の問題は先進国の問題でもあるんだ。
弱い立場にある人びと
昔、アメリカでは白人の命令でたくさんの黒人がタバコ栽培などの仕事を無理やりさせられていた。白人は黒人より立場が上だと思っている人がたくさんいたんだ。そしてリンカーンにより奴隷解放宣言がされたあとも、この差別はまだ続いているんだ。黒人の男性が白人の警察官に乱暴されて亡くなった事件や、黒人は白人に比べてお給料が高い仕事につけず、年収も全然違うというデータもある。
そのほかにも、不平等によって貧困になりやすいのは、「高齢者」、「障がい者」、「子ども」、「女性」、「移民・難民」の人たち。最も弱い立場にあるといわれる人びとは、コロナ禍でさらに打撃を受けているよ。社会的な保護が追い付かず、貧困に陥りやすいんだ。
<もっと知りたい!>
人権は、人種や民族、性別にかかわらず、誰にも認められた、幸せに生きるための基本的な権利。それなのに、女性、黒人、障がい者などに対する差別が世界中にあるんだ。
日本は、ほかの先進国より格差が大きい
(出典】『数字でわかる!こどもSDGs』(株式会社カンゼン)の資料をもとに作成(出典OECD)
パルマ比率は所得の不平等を示し、指数が大きいほど格差が大きいことを意味するよ。日本のパルマ指数は2015年時点で1.32倍。G7の国のなかでも比率が高く、つまり所得格差が大きいんだ。今後もこの格差が広がっていくことが心配されているよ。
格差を広げる原因の1つが差別。生まれた国や性別、障がいの有無など、本人に責任がないのに、差別を受けて不利な立場におかれている人がたくさんいて、そのために貧困になってしまう場合もあるんだ。
違いがあるのは当たり前。いろいろな種類があることを「多様性」といい、多様性を大事にしようという考えも広まっている。違いを理解して認め合えば、差別やいじめのない世界に変わっていくよ。
目標10のために子どもができる取り組みは?
目標10の課題を解決するために子どもでもできること、おうちの人といっしょに始められそうなことを紹介するよ。
障がいをもつ人や妊婦さんがつけているマークを調べよう
優先席は、援助や配慮が必要な人のための席。妊婦さんがつけるマタニティマークや、義足や体の内部の障がいなど、外見からはわかりにくい事情がある人がつけるヘルプマーク。これらのマークをつけている人がいたら席をゆずってあげよう。優先席以外でも、困っている人がいたら席をゆずれるといいね。
簡単な手話を覚えてみよう
耳が聞こえない人の言葉である手話。コミュニケーションの1つとして、ちょっとした挨拶など、簡単な手話を知っておくのもおすすめ。きっと相手もほっとしてくれるよ。
世界の子どもたちの状況を調べてみよう
iPhoneなどを手がけるApple社の絵文字には、同性同士のカップルを表すものや性別がないものが。絵文字を見てみれば、世の中の多様性がどれだけ広がっているかがわかるんだ。
<こんなキーワードも調べてみよう>
目標10と国連が定める169のターゲット
SDGsの17の目標には、それぞれ細かいターゲットが設定されていて、合わせて169になるよ。各目標を実現するための具体策にはどんなものがあるか、目を通してみよう。
目標10「各国内及び各国間の不平等を是正する」のターゲット
- 10.1 2030年までに、各国の所得下位40%の所得成長率について、国内平均を上回る数値を漸進的に達成し、持続させる。
- 10.2 2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。
- 10.3 差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、ならびに適切な関連法規、政策、行動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正する。
- 10.4 税制、賃金、社会保障政策をはじめとする政策を導入し、平等の拡大を漸進的に達成する。
- 10.5 世界金融市場と金融機関に対する規制とモニタリングを改善し、こうした規制の実施を強化する。
- 10.6 地球規模の国際経済・金融制度の意思決定における開発途上国の参加や発言力を拡大させることにより、より効果的で信用力があり、説明責任のある正当な制度を実現する。
- 10.7 計画に基づき良く管理された移民政策の実施などを通じて、秩序のとれた、安全で規則的かつ責任ある移住や流動性を促進する。
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