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秋の星空観察は、星座の神話に注目!秋の四辺形のアンドロメダ座、ペルセウス座など

秋の星空観察は、星座の神話に注目!秋の四辺形のアンドロメダ座、ペルセウス座など

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暑さも落ち着いてきて、日が落ちる時間が徐々に早くなってくると、夜空には秋の星座が見えてきます。ほかの季節と比べて明るい星は少ないですが、秋はギリシャ神話に登場する星座がたくさん! どんな星座があり、どんな神話があるのか、日本科学未来館・科学コミュニケーターの長島瑠子さんに教えてもらいました。

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目次(index)

日本科学未来館・科学コミュニケーター 長島瑠子さん日本科学未来館・科学コミュニケーター 長島瑠子さん
幼い頃から星や石、生き物に触れて育ち、気がつけば科学の道に。その後、私たちの生活を支えるロボットや先端テクノロジーに興味をもつように。日本科学未来館では、科学コミュニケーターとしてロボットの実演をおこなったり、子どもたちと宇宙開発について語り合ったりしている。好きな星座は「や座」、好きな神話は「はくちょう座」の物語。

1.秋の星空に一等星は一つ? 星の特徴は?

 

2021年10月20日頃の星

2021年10月20日頃の星空

ペガスス座、アンドロメダ座、ペルセウス座など神話で有名な星座が勢ぞろい

秋は湿度が減り、空気が澄んでくるため、星がきれいに見える季節。どんな星々が見られるのでしょう?

秋は一等星が一つ。しかも南の空の低めの位置に見えるので、場所によっては建物に隠れて見えない可能性もあります。少しさびしい印象ですが、秋の四辺形をつくるペガスス座やアンドロメダ座、ペルセウス座といった、ある神話に登場する星座が数多くみられるのが特徴です」(長島さん)

秋の星空は少しさびしいといっても、時期や時間によって夏の星座、冬の星座も見られます。なにより、神話のストーリーと一緒に楽しめるのは芸術の秋ならでは!ですね。

2.秋の四辺形と代表的な星座の見つけ方

秋の四辺形

秋の星座を探す手がかりとなる「秋の四辺形」、それを形作っているペガスス座、アンドロメダ座が代表的な星座です。さらに、神話で関連するペルセウス座、カシオペア座、ケフェウス座なども見られます。

秋の四辺形が見える方位と時期

秋の四辺形は、その名の通り4つの星からなる、少し歪んだ四角形をしています。
星空は、何月何日の何時頃見るかによって見え方や見える場所が少しずつ変わります。秋の四辺形は、10月6日の21時頃、10月21日の20時頃は天頂からやや東寄りの空に見えます。

秋の四辺形は探しやすい!

秋の星座

「あまり明るい星が多くない秋の夜空ですが、秋の四辺形は、空を見上げた時に少し歪んだ四角形が見えるので、探しやすいと思います」(長島さん)。それでも見つけにくいという場合は、夏の大三角のひとつ、一等星のデネブを探し、そこから北東にある細長い五角形・ぎょしゃ座の一等星カペラを探しましょう。その間にW(またはM)の形をしたカシオペア座があります。カシオペア座から南に目線を映していくと四角形が見えてきます、これが秋の四辺形です。

秋の四辺形は二等星と三等星でほぼペガスス座

季節ごとに星座のガイド役となる大三角があり、そのほとんどが一等星ですが、秋の四辺形は二等星と三等星。2つ前のイラストにあるように、秋の四辺形の四角は、翼が生えた馬ペガススの胴体にあたる部分です。秋の四辺形の星のひとつは王女アンドロメダの頭の部分にもなっています。秋の四辺形がわかれば、自然とペガスス座、アンドロメダ座もわかるでしょう。

アンドロメダ座の近くには銀河も見られる

アンドロメダ座の少し上にぼんやりとかすんだように見えるところを見つけてみましょう。これは星がたくさん集まったアンドロメダ銀河です。条件がよければ肉眼でも見ることができますが、双眼鏡があればより見つけやすいでしょう。

W型に星が並ぶカシオペア座

奥日光のカシオペア座、アンドロメダ座、ペガスス座

奥日光のカシオペア座、アンドロメダ座、ペガスス座

秋の四辺形を探すときの目印にもなるW(または位置によってM)型に並ぶ星がカシオペア座。秋の四辺形から北に目線を移すと探すことができます。カシオペアは、古代エチオピアの王妃でアンドロメダの母親にあたります。のちほど紹介する神話の登場人物の一人です。

勇者の姿を表すペルセウス座

秋の星座

アンドロメダ座から北東に下がったところ、ちょうどアンドロメダの足元に位置するのがペルセウス座です。夏の星空観察で紹介したペルセウス流星群は、この星座付近にある放射点から流れ星が飛び出してくるように見えるため、「ペルセウス座流星群」と呼ばれています。片腕を振り上げ、怪物メデューサの首を持った勇者ペルセウスの姿に見立てています。

<これも知ってる?>

日によって明るさが変わる星、変光星
ペルセウス座のメデューサの首あたりに位置するアルゴルという星は、食変光星と呼ばれ、周期によって明るさが変わります。アルゴルは、実は3つの星が周り合っている「連星」で、そのうちの2つの星がお互いを隠し合うことで明るさが変わるのです。少し詳しくお話すると、お互いを隠し合っているのは、大きくて暗い星と小さくて明るい星の2つです。あるときは大きくて暗い星が小さくて明るい星を地球から隠してしまうため暗く、またあるときは大きくて暗い星の前に小さくて明るい星が来て少し明るく、というように、地球から見た時の明るさが変わるのです。2つの星が並んでいるとき、一番明るくなります。

目立たないながらも探しやすいケフェウス座

W型のカシオペアの近く、大きな五角形を見つけることができます。古代エチオピアの王様、ケフェウスを表すケフェウス座です。明るい星はありませんが、形がわかりやすいので比較的探しやすい星座です。神話ではカシオペアの夫で、アンドロメダの父親にあたります。

3.秋の星座にまつわる神話

秋の星空には神話の登場人物が勢ぞろい! いくつかの壮大なストーリーが繰り広げられます。神話の世界に親子で浸ってみては。

ペルセウス座にまつわる神話

[勇者ペルセウスの誕生と怪物メデューサ退治]

イタリア・フィレンツェのシニョリーア広場にあるペルセウス像

イタリア・フィレンツェのシニョリーア広場にあるペルセウス像

昔、アルゴスという国の国王が、孫に殺されると予言を受けてしまいます。その国王、アクリシオスには一人だけ娘がいました。孫に殺されたくはない、だからといって娘・ダナエを殺すこともできないと、娘を塔に閉じ込めてしまいます。しかしダナエの美しさを聞きつけた大神ゼウスが雨粒に姿を変えて、ダナエのもとへ行き、ペルセウスが生まれます。このままではペルセウスに殺されてしまうと驚いた王は、ペルセウスとダナエを箱に詰めて流してしまうのです。運良く流れ着いた先、セリーポス島で、親子は平穏に暮らし始めたものの、それもつかの間、美しいダナエは島の領主にいいよられてしまいます。そして、ペルセウスを追いやるために島の領主から出された難題が、怪物メデューサの退治でした。メデューサは髪の毛がヘビでできていて、その目を見ると石になってしまう恐ろしい怪物。ペルセウスは見事メデューサの首をとり、その首から現れたのが翼の生えた天馬ペガススで、ペルセウスはそれに乗って帰ったとも言われています。

アンドロメダ座、カシオペア座、ケフェウス座にまつわる神話

[アンドロメダ姫救出]

海の神・ポセイドン

海の神・ポセイドン

秋の代表的な星座でも紹介しましたが、古代エチオピアにはケフェウス王とその妻カシオペア、娘のアンドロメダ姫がいました。アンドロメダ姫の美しさは評判で、王妃カシオペアは「自分も娘も、海の女神たちよりも美しい」と自慢をします。この話を聞いた海の神・ポセイドンが腹をたて、エチオピアを荒らしてしまいます。鎮めるためには、アンドロメダ姫を生け贄に差し出さなければならなくなりました。海の岩場に鎖でつながれたアンドロメダ姫を化けくじらが食べようと襲い掛かったそのとき、メデューサ退治から帰る途中のペルセウスが通りかかります。ペルセウスはメデューサの首を化けくじらに見せて石に変え、アンドロメダ姫を救います。そして、二人は結ばれることになりました。

<これも知ってる?>

化けくじらにあたるくじら座にも変光星が!

秋の星座

アンドロメダに襲い掛かった化けくじらを表すくじら座。東南の空に見ることができます。私たちが普段イメージするくじらの姿と違い、腕が生えています。秋に見える明るさが変わる変光星として、先述のアルゴルのほかに、くじら座の心臓部分にあるミラという星も有名です。ミラは膨らんだり縮んだりしながら、2等星から10等星まで明るさを変えている不思議な星。ミラという名前の由来が「不思議なもの」「変わったもの」というのも納得です。

4.秋の星空観察、おすすめの場所と持ちもの

関東圏のおすすめ星空スポット

星空観察は季節に関わらず、街明かりが少なく、高い建物がないひらけた場所で行うのがおすすめです。関東であれば、奥多摩や栃木県の戦場ヶ原、茨城県の筑波山など。「千葉県の海沿いも見やすいのでおすすめです」(長島さん)

新型コロナの感染状況や、ワクチンの接種状況によっては、観望会を実施する施設もあるかもしれません。地域の博物館や科学館の情報をチェックしてみてもいいでしょう。

秋の星空観察の持ちもの

「やはり星座早見表やコンパス、星空のガイドアプリがあると便利です。秋の夜は冷えやすくなります。油断すると体調を崩してしまうこともあるので、1枚羽織るものがあると安心です。あとは、地面に寝転がるなら少しクッション性のある銀色マットを敷くと、冷え対策にもなります」(長島さん)

★こちらも参照!親子の星空観察Q&A

「決まっている星座を探して観測することももちろん楽しいですが、星座から自分で物語をつくったり、自分で新たな星座を見立ててオリジナルストーリーを作ったりするのも楽しむアイデアの一つだと思います。カシオペア座は『WやMの形』と形容されますが、山型星、いかり星という呼び名もあります。難しく考えることはなく、見たまま、思いついたままに楽しんでみてください」(長島さん)

秋の夜長に、親子で星を眺めながら、物語づくりを考えてすごすのも素敵ですね。