みなさんのお子さんは、どんな夢をもっていますか?
野球選手に宇宙飛行士、お花屋さん、漫画家、今はYouTuberも人気ですよね。
このシリーズでは、子どもが憧れている職業、きっと興味がわくような注目の職業に就いた人にインタビュー。子どものときにどんなことが好きだったのか、どんな生活をしていたのかなどを伺いながら、今に至るまでのエピソードをたどります。
第一弾は、カプセルトイをつくる会社で働いている、ケンエレファントの青山さん。生い立ち編の前半に引き続き、後半では気になるお仕事内容もたっぷりご紹介します!
青山 雄二さん
1980年生まれ、川崎市出身。大学卒業後に自動車ディーラーに就職、1年半で退社しその後約2年間バックパッカーとして国内外を放浪。帰国後、2006年に株式会社ケンエレファントに入社。ペットボトルのベタ付けキャンペーンやアップサイクルブランド『NEWSED(ニューズド)』の立ち上げなどを経て2014年頃にカプセル事業を立ち上げ現在に至る。
カプセルトイをつくる会社でどんな仕事をしているの?
青山さんは「ケンエレファント」という会社で、カプセルトイをつくっている人です。どんなものをつくろうか企画するところから始まり、企画が固まったら開発担当と一緒に構造や金額などの詳細を検討。ときには海外工場へ出張をして製造現場を見守り、販売するまでの統括を担当しています。
いろんな種類があるカプセルトイの中でも、ケンエレファントが専門とする路線は、実物をそのまま小さくしたかのような「リアルミニチュア」と、アーティストの方などと一緒につくる「アート&カルチャー」。
メーカーによって、キャラものが得意なところ、仕掛けがあるものが得意なところなどいろいろですが、ケンエレファントの精巧な商品は、今までカプセルトイが置かれていなかったような、駅の構内や美術館のショップなどでも大人気なんです!
売れるものより、自分たちがワクワクするものを
―― ケンエレファントのカプセルトイはどうやって出来ているのでしょうか?
青山: 僕と、部長と営業担当、社長の4人で企画を考えています。例えば「銭湯にまつわるカプセルトイを出したいな」と思ったら、それにまつわる本や資料、ウェブサイトを見せたり、手描きでいいのでラインナップを考えて。これを見せるのは恥ずかしいですが(笑)こんなふうに4人それぞれが企画を出し合って、相談しています。
青山さんが描いた商品のイメージスケッチ
銭湯 ミニチュアコレクション(2020年9月発売)
―― 意外とこれくらいの雰囲気でもいいんだ、と安心するスケッチですね(笑)。
青山: 会社のモットーが「世界を面白くする」なので、もちろん売れて欲しいですが、それよりも4人全員が「これ面白いね!」とテンションが上がって、ワクワクするアイデアを大切にしています。
―― 企画が決まったら開発担当にバトンタッチして、どんな構造にするか、何種類にするかなど、予算を考えながら細かい部分を調整。中国など海外の工場へ行ったりすることもあるそうです。
ラインナップやパッケージは、開発担当のスタッフやデザイナーと一緒に考える
みんなで喜びを共有
青山: 商品が出来上がったら、自分たちがやっているお店で先行販売をして、お客さんがどんな反応をするのか見ています。どんな人が買っているのか、「あと何回でこれが出る!」「これ出なくて悔しい」などどんなことを話しているのか。自分たちの予想と違う反応があると面白いなと思います。
―― SNSなどの反応も見ているのでしょうか?
青山: そうですね。どうやって遊んでいるのか、楽しんでくれているのか見たり、感想が「可愛い」なのか「しょぼい」なのか「すごい」なのか、そういうことも見ています。
質感まで本物そっくりにこだわった「カリモク60」シリーズは、同業者からの評判も高い
カリモク60 ミニチュアファニチャー 第2弾(2020年6月発売)
―― やっぱり褒められていると嬉しいですか?
青山: すごく嬉しいですよ!社内でも「あの人褒めてくれてたよね、見た?」って話したり、お店のスタッフも「あれ1日で無くなりました!」って嬉しそうに報告してくれたり。みんなでつくっているので、みんなで喜びを共有しています。
フィギュアやおもちゃがいっぱいの、遊び心あふれる社内の打ち合わせスペース
会社での1日の流れって?
―― 1日の流れはどんな感じなのでしょうか?
青山: 今はコロナウィルスのこともあってフレックスタイム制なので、僕は朝9時くらいに出社して、メールを返して、日中は打ち合わせが多めですね。企画のこと、仕入れのこと、ソフビのことなどを話して、18時半くらいまで働いています。毎日13時には朝礼があって「Good & New」といって、よかったことや新しく始めたことなどを共有しています。
―― 「Good & New」とてもよい仕組みですね!
青山: 3〜4人グループになって話すのですが、普段仕事では関わりがないメンバーともコミュニケーションできてオススメです。
―― 仕事道具についても教えてください。
青山: 手で描くことも多いので、仕事道具はシンプルです。ボールペンはジェットストリームの0.5をずっと使っていて、あとはノートパソコン、スマートフォン、イヤフォン、名刺入れ、くらいですかね。
もっと見たい!ケンエレファントのカプセルトイ
ケンエレファントの商品のなかでも、子どもに人気のカプセルトイをご紹介します。売り切れ次第終了ですが、長く販売しているものもあるので、ぜひお店で見つけてみてください!
小学校からプロの現場まで広く愛される画材を手のひらサイズに。絵の具チューブのフタの溝も忠実に再現!
THE Art tools miniature collection(2020年11月発売)
純喫茶関連の書籍を執筆している難波里奈さん監修でつくったのは、関西に実在する純喫茶の看板メニュー。
純喫茶 ミニチュアコレクション vol.2(2021年4月発売)
おなじみの文房具だって手のひらサイズのミニチュアに!キーホルダーとして身に付けられちゃいます。THE 文具ミニチュアマスコット(2019年12月発売)
青山さん一押し!ぬいぐるみアーティストAKANE ISHIGAの作品をフィギュア化した可愛いシリーズ。Tiny Zooミニチュアフィギュアコレクション(2021年3月発売)
カプセルトイが好きな子へメッセージ
―― 小さな頃から好きだったカプセルトイを仕事にした青山さん。読んでいる方にメッセージをお願いします。
青山: 子どもの頃の自分に「今カプセルトイの仕事をしているよ」っていったら絶対に喜ぶと思うんです。働いていても「昔あれやったなー」「あれ好きだったな」って思い出すことがあって。そんな気持ちで仕事ができるのが、すごく楽しいです。もし今カプセルトイが大好きで、仕事にしたいなと思っている子は、ぜひその気持ちを忘れないでください。
―― 親御さんに向けてのメッセージもあればお願いします。
青山: よく「お金出してゴミみたいなもの買って」っていわれちゃうんですけど(笑)そうならないように頑張っています。カプセルトイといっても実はいろいろあって、僕は本を選ぶのと同じようなものだと思っているんです。ギャグ漫画もあれば、図鑑や小説もある。その子に合ったカプセルトイが絶対にあるし、カプセルトイから学ぶ、ということも絶対にあると思うんですよね。そういうことを知って、楽しんで欲しいと思います!
(2021年3月取材)
前編はこちら
子どもに人気のおしごとに注目!|カプセルトイの企画・製作(ケンエレファント青山さん)<生い立ち編>
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わかりやすくて読んで楽しい一冊を、ぜひ親子で一緒にご覧ください。