雷が発生する仕組みとは?雷の種類とよくある勘違いまでわかりやすく解説!【小学理科や自由研究、お出かけ前に!】

雷が発生する仕組みとは?雷の種類とよくある勘違いまでわかりやすく解説!【小学理科や自由研究、お出かけ前に!】

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夏は雷が発生しやすい季節。もし、体に雷が落ちてしまうと、ときには命に関わることもあり、とっても危険です。なぜ、雷が発生するの? そして、おでかけ中に雷が鳴ったらどうやって身の安全を守ればいいの? これらの疑問を、ママ気象予報士の今井明子さんがお答えします!

目次(index)

サイエンスライター・気象予報士 今井明子さんサイエンスライター・気象予報士 今井明子さん
京都大学農学部卒。2児の母。天気の話を中心に、生き物や自然にまつわる記事や書籍を多数執筆。気象科学館の解説員や防災講師、親子向けお天気実験教室の講師なども務める。著書に、「面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ」(産業編集センター)、「こちら、横浜国大『そらの研究室』! 天気と気象の特別授業」(共著、三笠書房知的生き方文庫)などがある。

雷が発生する仕組みとは?

雷が発生する仕組みを子ども向けにわかりやすく紹介

空がピカッと鋭く光る稲妻、そしてゴロゴロ、ドーンと重低音を響かせる雷鳴。とにかく恐ろしく、迫力満点の雷の正体は、電気です。なぜ、空で電気が発生するのか、とても不思議ですよね? 雷を発生させるのは積乱雲というとても背の高い雲です。この雲の頂上のあたりは、夏だと地上から約7000m以上の高度で、気温も氷点下です。ですから、雲の粒も氷でできています。

この氷の粒同士がぶつかると、電気が生まれます。そしてそのうち、雲の上にはプラスの電気が、下にはマイナスの電気がたまっていきます。ある程度電気がたまっていくと、このプラスとマイナスの偏りをなくすために、電気が空気の間を通るようになります。空気は本来電気を通さない「絶縁体」と呼ばれるものなのですが、あまりにも電気の力が強いと、絶縁体であっても電気を通してしまうのです。たまに、遠くの積乱雲の中がピカピカ光っていることがありますが、このときは雲の中で電気が通っているときで、「雲放電」とよばれます。一方で、雲から地面に向かって電気が通ると「対地放電」とよばれます。対地放電がいわゆる「落雷」です。

雷はなぜ音がなるのか?

本来は電気が流れない空気中にむりやり電気が通ると、通り道となった空気は急に熱くなって膨張します。その衝撃で周りの空気を激しく振動させるので、「ゴロゴロ」「バリバリ」「ドーン」といった音が鳴るのです。

雷はなぜ高いところに落ちるのか?

雷は電気の流れやすいところを選んで流れようとします。高い木や高い建物は空気よりも電気が流れやすいため、雷が落ちやすいのです。

雷は夏以外にも起こるのか?

新燃岳の噴火によって発生した雷

雷は夏の風物詩というイメージが強いかもしれませんが、雷は必ずしも夏にだけ発生するわけではありません。日本海側は冬にも雷が鳴ります。日本海側は冬にとてもたくさんの雪が降りますが、この雪雲も積乱雲なので、雷が発生するのです。日本海側の地域によっては、冬の雷が鳴る頃にブリが獲れ始めるため、冬の雷のことを「ぶり起こし」と呼ぶところもあります。実は冬の雷は世界的にも珍しい現象です。

ほか、雷は火山の噴火や火災が原因でおきることもあります。火山が噴火すると、強い上昇気流とともに噴石が火口から飛び出すことがありますが、その噴石どうしがぶつかると電気が発生するのです。また、火災では地上が燃えることで熱い空気が上昇して積乱雲ができ、雷が発生します。

雷はどうやって避けられるのか?

●木の下は、実は危険!

雷は、背の高いものに落ちます。もし、公園や海などの広くて平らな場所にいるときは雷が人体に落ちやすく、非常に危険なので、積乱雲が近づくサインがあればすぐに車や頑丈な建物の中に避難しましょう。積乱雲が近づくサインは、空が急に暗くなり、ゴロゴロという音が聞こえたり、ひんやりした風が吹いてきたりすることです。もしスマホを持っているのなら、雨雲レーダーを確認するのもおすすめです。

雷が落ちるときは、たいてい雨も降っています。つい、雨宿りのために木の下にいきたくなるのですが、これは非常に危険です。雷はまず木に落ち、次に木よりも電気を通しやすい人体の中に飛び移るからです。これを「側撃雷」といいます。

東屋や軒先などの壁のない場所やテントでも側撃雷を受けやすいので、必ず鉄筋コンクリートでできた頑丈な建物内か車(オープンカーを除く)の中に避難しましょう。

●避難場所がない!そんな時は?

もし、まわりに避難場所がない場合は、頭をなるべく低くして耳をふさぎ、地面に足の裏しかつけないようにしゃがんで両足を閉じるようにしましょう。雷から身を守るには、なるべく背を低くしたほうが雷が落ちにくくなります。ただし、だからといってうつぶせに寝ると、地面が心臓にくっついて、別の場所に落ちた電気が地面を伝って心臓を直撃するので、かえって危険です。地面と接する面積はなるべく小さくしなければいけないのです。

雷の種類とは?

冬季雷(とうきらい)

冬に発生する雷のことです。世界でも冬に雷が発生するのは珍しいことなのですが、日本ではおもに日本海側で発生します。冬季雷は一発雷といって一度落雷して終わりのものが多いのですが、雷のエネルギー自体は夏の雷の数百倍にもなることがあり、落雷すると地上の建物に大きな被害を及ぼします。

火山雷(かざんらい)

火山の噴火に伴い、噴煙の中やその周辺で発生する雷です。噴火によって激しい上昇気流がおき、そのなかで噴石が分裂したり衝突したりすると電気が発生します。これが火山雷です。

渦雷(うずらい)

発達した低気圧や台風では、周囲から風が吹き込んで渦を巻き、上昇気流が発生しています。上昇気流が発生すれば積乱雲ができやすくなります。その積乱雲から発生した雷が渦雷です。

界雷(かいらい)

暖かい空気と冷たい空気の境目である前線では、上昇気流が発生しています。この上昇気流によって積乱雲ができます。その積乱雲で発生する雷を界雷といいます。

熱雷(ねつらい)

太陽に地面が照らされると、地表付近の空気が暖まって上昇します。すると積乱雲ができて雷も発生します。夏の暑い日差しによってモクモクとした形の入道雲ができ、それがさらに成長すると積乱雲になって雷が鳴り始めるという夏の夕立の多くは熱雷です。

雷にまつわるよくある勘違いとは?

雷

金属以外には雷は落ちない→【×】

雷を避けるために、昔からさまざまな言い伝えがされてきましたが、まことしやかに言われているものでも実は間違っていることが多いです。まずは、「金属を外せば安全、ゴムの長靴やレインコートを着れば安全」という言い伝えです。実は電気を通しやすい金属を外しても特に安全というわけではないことがわかっています。また、ゴムは絶縁体ということで身につけると雷の電気から身を守れると思われがちなのですが、雷はそもそも絶縁体である空気を通すほど強い電気です。当然ながらゴムを身につけていても感電してしまうのです。

雷は遠くで鳴ってるから安心?→【×】

次に、「ピカッと光ってからゴロゴロ鳴るまでに時間があれば雷は遠い」という言い伝えも間違いです。音は340m/sの速さで進み、光は一瞬で伝わるので、もしピカッと光って音が10秒後に聞こえれば、その雷は3.4km先にあると計算できます。3.4km先なら徒歩で1時間程度の場所なのでなんとなく遠そうに思えるかもしれませんが、そもそも積乱雲の直径は数km~十数kmです。たとえ3.4km先で雷が落ちても、頭上に積乱雲があれば次の瞬間に自分の頭に雷が落ちることもあり得るのです。

お天気をもっと学ぼう!今井さんおすすめスポット

江波山気象館

江波山気象館

旧広島地方気象台の庁舎を利用した気象博物館。2階体験コーナーでは、秒速5m、15m、20mの風速を体験したり、雲の中に入る体験や30万ボルトの落雷実験が見られるなど、気象の不思議を体感できる。館が独自に発表する予報作業の様子も興味深い。本館は被爆建物であり、広島市指定重要有形文化財でもある。

住所 広島県広島市中区江波南1-40-1
問合先 082-231-0177
営業時間 9~17時(入館は~16時30分)
休館日 月曜(祝日の場合は開館)、祝日の翌日(土・日曜の場合は開館)、ほか臨時休館あり
料金 入館大人100円、高校生・65歳以上50円、中学生以下無料、気象記念日(6月1日)直近の日曜、11月3日は無料
アクセス 公共交通:広島電鉄(路面電車)江波電停→徒歩15分
車:広島高速吉島出入口から2.4km5分
駐車場 なし/江波山公園利用25台

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富士山レーダードーム館

富士山レーダー

富士山山頂で35年間、気象観測に活躍したレーダー。役目を終えて平成11年(1999)に移設され、現在は体験学習施設に。富士山測候所の歩みや富士山レーダーのしくみなど、気象観測の大切さを実物展示やパネル、クイズで学ぶことができる。ショップには限定グッズも多数あり。

住所 山梨県富士吉田市新屋1936-1
問合先 0555-20-0223
営業時間 9~17時(入館は~16時30分)
休館日 火曜(祝日の場合は翌日、7~8月は無休)
料金 大人630円、小人420円
アクセス 公共交通:富士急行富士山駅→富士吉田・忍野八海・山中湖周遊バス、バス停:富士山レーダードーム前下車、徒歩すぐ、車:中央道河口湖ICから国道139号経由5km10分
駐車場 あり/69台

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▼おでかけ前や自由研究に役立つ「天気のきほん」全シリーズはこちら!

» 6月:「梅雨」とは?梅雨前線が出来る仕組み・集中豪雨から身を守る方法
» 7月:「ゲリラ豪雨」とは?急な大雨の原因や仕組み、災害から身を守るコツ
» 8月:「雷」が発生する仕組みとは?雷の種類、よくある勘違いも解説
» 9月:「台風」とは?できてから消えるまでの仕組み、夏から秋に日本くる理由
» 10月:「雲」の種類は10種類ある!それぞれの特徴・高さ・天気との関係、実験動画も!
» 11月:「霧」とは?霧ができる発生条件・原因と種類を解説。雲海との違いも
» 12月:「木枯らし」とは?意味や木枯らし1号・「西高東低の気圧配置」について
» 12月:「高気圧」と「低気圧」とは?空気の力を実感できる実験動画も
» 1月:「雪」はなぜできるのか、なぜ降るのか?雪の結晶をつくる実験動画も
» 2月:「寒暖差」は季節の変わり目になぜおきる?天気予防の活用術も
» 2月:「蜃気楼」とは? 起こるしくみや見える気象条件は? 実験動画も
» 3月:「虹」はどうやってできる?七色になるしくみや虹の種類を解説
» 4月:空はなぜ青い?夕焼けはなぜ赤い?雲はなぜ白い?多彩な「空の色」のヒミツ

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