「高気圧」と「低気圧」の基準やできる仕組みは? 空気の力を実感できる実験動画も紹介【小学理科や自由研究、お出かけ前に!】

「高気圧」と「低気圧」の基準やできる仕組みは? 空気の力を実感できる実験動画も紹介【小学理科や自由研究、お出かけ前に!】

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天気予報でよく耳にする「高気圧」と「低気圧」。どうして、これらは天気と関係があるのでしょうか。そもそも、高気圧や低気圧とは一体どういうもので、なぜできるのか。気象予報士の今井さんがわかりやすく解説します。お家で簡単にできる「空気の力」の実験動画も必見です。自由研究にもどうぞ。

目次(index)

サイエンスライター・気象予報士 今井明子さんサイエンスライター・気象予報士 今井明子さん
京都大学農学部卒。2児の母。天気の話を中心に、生き物や自然にまつわる記事や書籍を多数執筆。気象科学館の解説員や防災講師、親子向けお天気実験教室の講師なども務める。著書に、「面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ」(産業編集センター)、「こちら、横浜国大『そらの研究室』! 天気と気象の特別授業」(共著、三笠書房知的生き方文庫)などがある。

テレビでよく聞く「高気圧」「低気圧」って何?

テレビの天気予報で、天気図が出てきて、「高気圧に覆われるので晴れます」「低気圧が近づくので天気が下り坂です」などと、気象キャスターの人がコメントされるのをよく耳にしませんか? なぜ、高気圧は晴れで、低気圧は雨や曇りになるのか、よくわからない人も多いと思います。この仕組みを解説する前に、まず「気圧」について説明しましょう。

「気圧」とは?人間に常に影響を与えている?

気圧の変化とポテチ袋

気圧とは、空気が地面を押す力です。飛行機や高層ビルのエレベーターに乗ったときなど、急に高い場所に上がると、耳の奥にある鼓膜が押される感じがしますよね。また、山のふもとで買ったお菓子の袋を山の頂上に持っていくと、パンパンに膨らみます。これらはすべて空気の押す力、すなわち気圧の差によっておこる現象です。普段は実感することが少ないですが、地面の上にある空気は地面を押していて、私たちの体のまわりにある空気は、私たちの体を押しています。

どうして、山の頂上でお菓子の袋は膨らむの?

気圧の変化とポテチ袋

空気の力で私たちの体がつぶれないのは、体から外に向かって空気と同じ力で押し返しているからです。エレベーターや飛行機で急上昇すれば、体の外の気圧が急に下がり、体の中から押し返す力と釣り合いが取れなくなるので鼓膜が押されます。また、山の頂上でお菓子の袋が膨らむのは、袋の中の気圧は地上から変わらないのに、山の頂上へ行くことで袋の外の気圧が下がるため、袋の中から外へ押す力が強くなるからです。

気圧の単位はhPa(ヘクトパスカル)

気圧の単位はhPa(ヘクトパスカル)です。いわゆる1気圧と呼ばれるのは約1013hPaです。これは海抜0mの平均的な気圧の値です。気圧は高い場所に行くほど低くなります。それは、高い場所は低い場所よりも空気の量が少ないため、空気が押す力も弱くなるからです。

高気圧、低気圧の基準は? どう区別するの?

では、天気予報でよく耳にする「高気圧」と「低気圧」は何なのでしょうか。これは文字通り、高気圧は高い気圧の場所、低気圧は低い気圧の場所のことを指します。なお、高気圧と呼ばれる条件は「まわりよりも気圧の高い場所」で、低気圧は「まわりよりも気圧の低い場所」になります。「1000hPa以上が高気圧である」などの数字の基準はなく、あくまで相対的な気圧の高さ/低さで決まります。

高気圧と低気圧、2つの気圧はなぜできる?

天気予報では、「高気圧に覆われて晴れる」とか、「低気圧が近づいているので天気は下り坂」などというフレーズをよく耳にしますね。「高気圧=晴れ」、「低気圧=曇りや雨」と言われるのは、いったいなぜなのでしょうか。それは、高気圧や低気圧の中で起こっている空気の流れで説明できます。

高気圧と低気圧のしくみ

実は、高気圧のある場所では下降気流(上から下へと移動する空気の流れ)が発生しています。低気圧のある場所では上昇気流(下から上へと移動する空気の流れ)が発生しています。空気は上昇すると冷やされて、空気中の水蒸気が水に変わります。すると雲ができ、雨が降ることもあります。逆に、下降気流が発生すると、気温が上がるため、雲ができません。だから、高気圧に覆われた場所は晴れやすく、低気圧がやってくると曇りや雨になりやすいのです。

シベリア高気圧から木枯らしが吹く仕組み

なお、高気圧で下降した空気は、地面や海の中にはもぐりこめないので、周りに吹きだします。吹きだした空気は、低気圧に向かって流れ、低気圧で上昇します。このような仕組みで高気圧から低気圧に向かって風が吹くのです。西高東低の冬型の気圧配置のときに、西にあるシベリア高気圧から木枯らしが吹くのもこのような仕組みによるものです。

木枯らしは、なぜ吹くの?

空気を抜くと、どうなる? 簡単にできるお天気実験!

身近なもので天気の仕組みがよくわかる実験を紹介します。今回は空気を抜いたらどうなるのかを観察する実験です。身近な道具でできるので、ぜひ家でやってみてくださいね。

▼おでかけ前や自由研究に役立つ「天気のきほん」全シリーズはこちら!

» 6月:「梅雨」とは?梅雨前線が出来る仕組み・集中豪雨から身を守る方法
» 7月:「ゲリラ豪雨」とは?急な大雨の原因や仕組み、災害から身を守るコツ
» 8月:「雷」が発生する仕組みとは?雷の種類、よくある勘違いも解説
» 9月:「台風」とは?できてから消えるまでの仕組み、夏から秋に日本くる理由
» 10月:「雲」の種類は10種類ある!それぞれの特徴・高さ・天気との関係、実験動画も!
» 11月:「霧」とは?霧ができる発生条件・原因と種類を解説。雲海との違いも
» 12月:「木枯らし」とは?意味や木枯らし1号・「西高東低の気圧配置」について
» 12月:「高気圧」と「低気圧」とは?空気の力を実感できる実験動画も
» 1月:「雪」はなぜできるのか、なぜ降るのか?雪の結晶をつくる実験動画も
» 2月:「寒暖差」は季節の変わり目になぜおきる?天気予防の活用術も
» 2月:「蜃気楼」とは? 起こるしくみや見える気象条件は? 実験動画も
» 3月:「虹」はどうやってできる?七色になるしくみや虹の種類を解説
» 4月:空はなぜ青い?夕焼けはなぜ赤い?雲はなぜ白い?多彩な「空の色」のヒミツ

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