ゲリラ豪雨とは?急な大雨の原因やしくみ、災害から身を守るコツを解説【小学理科や自由研究、お出かけ前に!】

ゲリラ豪雨とは?急な大雨の原因やしくみ、災害から身を守るコツを解説【小学理科や自由研究、お出かけ前に!】

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カンカン照りの晴天だと思いきや、急に空が暗くなって大雨に…。昔はこのような雨は「夕立」などと呼ばれていましたが、最近では雨量が増え、災害が発生することもあり、「ゲリラ豪雨」と呼ばれるようになっています。「ゲリラ豪雨ってどうして起こるの?」「そもそも、雨はなぜ降るの?」そんな疑問に、ママ気象予報士の今井明子さんがお答えします!

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サイエンスライター・気象予報士 今井明子さんサイエンスライター・気象予報士 今井明子さん
京都大学農学部卒。2児の母。天気の話を中心に、生き物や自然にまつわる記事や書籍を多数執筆。気象科学館の解説員や防災講師、親子向けお天気実験教室の講師なども務める。著書に、「面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ」(産業編集センター)、「こちら、横浜国大『そらの研究室』! 天気と気象の特別授業」(共著、三笠書房知的生き方文庫)などがある。

雨はなぜ降るの?仕組みをわかりやすく解説!

雨はなぜ降るの?仕組みをわかりやすく解説!

雨は雲から降ってきます。雲は、上昇気流が起きているところにできます。地上の空気が上昇気流によって空の上のほうに上がると、空の上のほうは気温が低いので、空気中の水蒸気が冷やされます。すると、水蒸気は空気中のチリなどを芯にして、水や氷の粒に変わります。これが雲の粒で、それらが集まったものが雲になるのです。

そして、水の粒はまわりの水蒸気を取り込んだり、ほかの水の粒とぶつかってくっついたりすると次第に大きくなり、重くなると下に落ちて雨になります。これが雨の仕組みです。

ちなみに、氷の雲の粒がまわりの水蒸気を取り込むなどして成長し雪の結晶になると、そのまま落ちてくる場合は雪に、途中で溶けると雨になります。

ゲリラ豪雨の原因は?なぜ短時間しか降らないの?

ゲリラ豪雨の犯人は積乱雲

ゲリラ豪雨の犯人は積乱雲

ゲリラ豪雨をもたらす犯人は、積乱雲(雷雲)と呼ばれる背の高い雲です。暖かい空気と冷たい空気がぶつかったり、太陽で地面が強く照らされたりしてとても強い上昇気流が発生すると、雲が分厚くなり、積乱雲と呼ばれるようになります。

積乱雲が降らせる雨は雨粒が落下する距離が長く、長い間空気中に留まってとても大きくなります。その雨粒を上昇気流では支えられなくなってしまうと、突然大きな雨粒が落ちてきてザーザー振りの雨が降り出します。急に降ってくるので、「ゲリラ」豪雨と呼ばれてしまう訳ですね。

なお、ゲリラ豪雨は正式な気象庁の用語ではなく、予報では「急な大雨」「局地的大雨」という言葉を使います。

ゲリラ豪雨が降る時間が短いのはなぜ?集中豪雨との違いは?

ゲリラ豪雨というのは突然発生して30分~1時間程度でやんでしまうことが多いですよね。これは、積乱雲がそれくらいの時間で消えてしまうからです。なぜこんなに短命なのでしょうか。それは、積乱雲から雨が降っていくうちに雲の中で下降気流が発生するからです。

雲の中で氷がとけて水に変わるとき、気温が下がります。冷たい空気は重いので、下降気流が生まれます。さらに、雨粒が落ちるときにまわりの空気を引きずりおろすので、下降気流はますます強くなります。積乱雲は、もともと強い上昇気流によって発生しました。しかし、下降気流が発生すると、上昇気流が打ち消されてしまいます。こうして、30分~1時間程度で雲が消えてしまうのです。

ちなみに、大雨が長時間続く集中豪雨も積乱雲のしわざですが、積乱雲が同じ場所でどんどん新しくできているため、大雨が数時間程度続くのです。

ゲリラ豪雨はどうやって避ける?

ゲリラ豪雨は本当に急に降ってきます。天気予報でも何時に降ってくるかまでの予報はありません。実は、ひとつの積乱雲の大きさは直径数km~十数kmとほかの気象の現象に比べて小さいうえ、雨の時間も短いため、今の天気予報の技術では正確に予報することが難しいのです。しかし、コツをつかめば急な大雨を避けることができるんです!

まず、朝の天気予報で「大気の状態が不安定」という言葉を耳にしたら、その日は空模様を注意深くチェックしましょう。大気の状態が不安定とは、積乱雲が発生しやすいということだからです。

モクモクの入道雲が出てきたら黄色信号。空が暗くなり、遠くでゴロゴロという雷鳴が聞こえたり、ひんやりとした風が吹いてきたりしたら、間もなく大雨が降り始めます。すぐに屋内や車の中に入るようにしてください

天気予報アプリの活用もおすすめ!

雨雲の動き(出典:気象庁ホームページ)

雨雲の動き(出典:気象庁ホームページ)

スマートフォンの天気予報アプリのレーダー画像や、気象庁ホームページの「雨雲の動き」をチェックするのもおすすめです。強い雨を降らせる雨雲が自分のいるところに近づいてくる様子がわかりますし、今降っている大雨がいつ頃上がりそうかもわかります。

ゲリラ豪雨による災害の例とその対策

ゲリラ豪雨がもたらす災害から身を守るには?

夏は川遊びが楽しい季節。しかし、急な大雨によって川が急に増水し、人が流されてしまう事故がたびたび発生します。街なかにある小さなせせらぎであっても例外ではありません。2008年には、兵庫県神戸市内を流れる都賀川に降った大雨で水位が10分間で1.3mも上がり、遊んでいた子どもが流されてしまうという事故が発生しました。この都賀川も街のなかにある小さなせせらぎでした。

川遊びの場合は?

自分の居場所だけでなく、上流で雨が降っていても増水するので、川遊びをする際は上流の雨の降り方も意識しておく必要があります。川によっては回転灯が設置されていて、大雨・洪水注意報や警報が発表されると回転灯のサイレンが鳴ります。その場合は、たとえそこで雨が降っていなくても、すぐに川から離れるようにしてください。

街なかにいる場合は?

急な大雨で、下水や排水溝などが大雨を流しきれず、道路が浸水する「内水氾濫」が起きることがあります。もし、路面が冠水していたら外を歩くのは危険!大雨で下水管の密度が高くなり、マンホールのふたが開いてしまうので、知らず知らずのうちにマンホールに転落することがあります。また、道路と用水路の区別がつかなくなるので、うっかり用水路のほうに落ちて流されてしまうこともあります。

また、地下街も実は危険です。一見屋内で安全そうに見えますが、路面の水が地下に流れ込んできます。急な大雨が降りそうな場合は、2階以上の屋内に避難し、雨をやり過ごしましょう。

▼おでかけ前や自由研究に役立つ「天気のきほん」全シリーズはこちら!

» 6月:「梅雨」とは?梅雨前線が出来る仕組み・集中豪雨から身を守る方法
» 7月:「ゲリラ豪雨」とは?急な大雨の原因や仕組み、災害から身を守るコツ
» 8月:「雷」が発生する仕組みとは?雷の種類、よくある勘違いも解説
» 9月:「台風」とは?できてから消えるまでの仕組み、夏から秋に日本くる理由
» 10月:「雲」の種類は10種類ある!それぞれの特徴・高さ・天気との関係、実験動画も!
» 11月:「霧」とは?霧ができる発生条件・原因と種類を解説。雲海との違いも
» 12月:「木枯らし」とは?意味や木枯らし1号・「西高東低の気圧配置」について
» 12月:「高気圧」と「低気圧」とは?空気の力を実感できる実験動画も
» 1月:「雪」はなぜできるのか、なぜ降るのか?雪の結晶をつくる実験動画も
» 2月:「寒暖差」は季節の変わり目になぜおきる?天気予防の活用術も
» 2月:「蜃気楼」とは? 起こるしくみや見える気象条件は? 実験動画も
» 3月:「虹」はどうやってできる?七色になるしくみや虹の種類を解説
» 4月:空はなぜ青い?夕焼けはなぜ赤い?雲はなぜ白い?多彩な「空の色」のヒミツ