空はなぜ青い?夕焼けはなぜ赤い?雲はなぜ白い?多彩な「空の色」のヒミツ【小学理科や自由研究、お出かけ前に!】

おでかけ前に読む!天気のきほん「空の色のしくみ編」

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「空はなぜ青いの?」「夕焼けはなんで赤いの?」…。子どもはよくこんな質問をしてきますが、空の色って本当に不思議ですよね。空の色を決めるのは、実は太陽の光と、空気中のさまざまなもの。空の色のしくみを気象予報士の今井明子さんに詳しくお伺いしました。

目次(index)

空はなぜ青い?

空の色といえば、真っ先に思う浮かべるのはやはり「青」。子どもが絵を書く時、空の色は「青」で塗ることが多いですよね。昼間の空の色はなぜ青いのでしょうか。それは太陽の光の性質による「レイリー散乱」という現象が起こっているからなのです。

太陽の青い光が散乱するから!

太陽の光は白い色をしていますが、実はさまざまな色の光が混ざっています。光は波の形をしていて、波と波の間隔の長さ(波長)によって、色がそれぞれに異なります。

虹のしくみのページで、虹が七色にみえる理由は、太陽の白い光が雨粒にぶつかり、その中で屈折して赤・橙・黄色・緑・青・藍・紫の7色に分かれることをお話しました。この7色の光はすべて波長が異なっていて、赤色やオレンジ色は波長が長く、青や紫色に行くにつれて波長が短いのです。
太陽の光は、私たちの目に届く間に、空気を通り抜けますよね。空気中には、、空気を構成する酸素や窒素などの気体の分子が存在していますし、さらにチリやほこりなども浮かんでいます。よって、太陽の光は、空気中のさまざまなものとぶつかります。

光は、何かとぶつかると散らばってあちこちに広がる性質があり、これを散乱といいます。特に、太陽の光の中でも波長の短い青い光は、酸素や窒素などの小さい分子とぶつかって強く散りやすい性質があります。これをレイリー散乱といいます。つまり、レイリー散乱が起こっていることで空は青く見えるのです。

夕焼け空はなぜ赤い?

解説図「夕焼け空はなぜ赤い?」

太陽が地平線に近い朝や夕方は、空が赤くなりますよね。これは朝焼け、夕焼けと呼ばれる現象です。これもレイリー散乱のしわざです。太陽の高度が低くなると、太陽光線が空気中を通る距離が長くなります。すると、青い光は最初に散乱されてほとんどなくなってしまい、波長の長い赤っぽい光が残って人間の目に入ってくるのです。それで、空の色が赤く見えるというわけです。

夕焼けの色は何色?

夕焼けは、真っ赤だったり、紫がかっていたり、黄色っぽかったりと、日によって色合いが違いますよね。そのうえ、刻々と色を変えていきます。空が縞模様になっていたり、グラデーションになっていたりもします。なぜ、夕暮れ時の空は、そんなに不思議な空になるのでしょうか。

夕焼けの色は、水蒸気の量で変わる

夕焼けの空は、空気中の水蒸気の量によって色合いが変わってきます。水蒸気の量が多いほど、赤色が濃くなります。これは、空気中の水蒸気量が多いと波長の短い青色の光が強く散乱されて減ってしまうため、私たちの目により赤色の光が届きやすくなるためです。

「夕焼けは晴れ」は本当?

「夕焼けがでていると翌日は晴れ」という天気のことわざがありますね。天気は西から東へと変わっていくことが多いので、西の空が晴れて夕焼けが見えていれば翌日は晴れやすい、ということを表したものです。しかし、このことわざは100%当たるわけではありません。オレンジ色の薄い夕焼けであれば、翌日は晴れる可能性がありますが、毒々しいほどの赤色の場合は、空気中に水蒸気が多いことを示しているため、必ずしも翌日が晴れるとは限らないのです。

まるで光のイリュージョン!薄明光線

夕焼けの空に色の違う筋が見えていることがあります。西の空に積乱雲などがあり、そこに太陽が隠れていると、雲の影から光の筋と影が放射状に見えるのです。これを「薄明光線」といいます。
ときには光の筋が東の空まで伸びていることもあります。これを「反薄明光線」ともいいますが、空が割れているように見えるため「天割れ」と呼ばれることもあります。

美しいビーナスベルト

夕暮れが美しいのは西の空だけではありません。東の空にも注目すると、美しいグラデーションが見られます。東の空の地平線近くには、地球の影によって少し暗く見える「地球影」があります。また、その地球影の上には紫がかったピンク色になります。このピンク色の帯状の空のことを「ビーナスベルト」といいます。

空の色は季節で違う?

「天高く肥ゆる秋」という言葉がありますが、秋の空は青く、春の空よりも高く感じられますよね。これは秋の空気が澄んでいるからです。その一方で、春は空が白っぽくかすんでいることが多いです。このように季節によっても空の色が変わるのはなぜなのでしょうか。

春先の空が白っぽいのはなぜ?

それは、空気中にチリやほこりがたくさん舞っているからです。春になると気温が上がり、上昇気流が発生するため、土や砂が舞い上がりやすくなります。大陸からは偏西風に乗って砂漠の砂が「黄砂」としてやってきますし、スギやヒノキの花粉も飛びます。ですから、空気中の不純物が多くなり、冬の間に見えていた遠くの山が見えにくくなるのです。

雲の色が白く見える理由も同じ

では、なぜ空気中の不純物が多いと白っぽくかすむのでしょうか。それは、また「散乱」という光の現象が関係しています。先述したように、レイリー散乱は、空気中の小さな粒に波長の短い光が当たって強く散ることでおきる散乱です。空気中にチリなどもう少し大きな粒がある場合は、太陽のすべての波長の光が散ります。すると、白く見えるのです。これはミー散乱と言います。

実は、雲の色が白く見えるのも、このミー錯乱によるもの。雲の粒は水や氷の粒なので本来は無色透明なはずですが、これも雲の粒に光があたってミー散乱が起こることで、白く見えるのです。

空の色をあらわす、美しい名前

さて、今日の空の色はどんな色をしていましたか?日本には、さまざまな空の色を美しく表現した「色の名前」があるので、ご紹介しましょう。

空色

昼間の空のような明るい青色。水色のクレヨンで描いたような色です。

紺碧

深く濃い青色。真夏の空のような、白い雲とのコントラストの強さが目立つ空の色です。

紅掛空色

空色に紅色を掛けたものという意味の色です。日の出や日の入り前後の空の色です。

茜色

燃えるような真っ赤な空の色です。

瞑色(ブルーモーメント)

日没後、夜の空に移り変わる短い間で見られる濃い紺色の空。いわゆるブルーモーメントと呼ばれる空です。

一日に一度、空の色を眺める習慣をもってみると、それは天気や理科の学びにつながるだけではなく、リラックスできますし、多彩な表情を感じる感性も育つかもしれません。親子ともども忙しい時代だからこそ、ぜひ、空を眺めてみてくださいね。

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