子育て中の移住ってどう?体験者が移住前に考えていた不安と期待|富山移住1

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移住/富山 4歳長女&2歳双子男子の子育て中!

以前は「移住」と言うと老後や転勤など一部の人のものというイメージがありましたが、リモートワークや企業のサテライトオフィスの増加により、多くの人にとって身近な話題になってきました。もはや住む場所で生活の質は左右されない、そんな時代が来ようとしているのかもしれません。みなさんも移住を考えたことはあるでしょうか? ネットを見ているといい話はよく聞くけれど、実際はよいことばかりではないのでは? 実際に移住して子育てをしながら、東京の会社とリモートで仕事をしているライターが赤裸々に語ります!

富山移住|その他の記事
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沢井メグ移住者プロフィール:沢井メグ
ライター、翻訳者(中国語)。学校法人や上海万博に勤めた後、「今後どこに住むかわからない、世界中どこでも続けられる仕事を」と好きな文章書きと中国語を生かしてライター・翻訳者に転身。東京のWebメディアに勤めながら、まさかの地方移住&リモートワークに。独立後も当時思っていた「どこに住んでいても仕事を続ける」を実践中。プライベートでは4歳長女と2歳双子男児のママ。
Twitter:@Megmi381 Instagram:@xiaomeg381.twinslife

移住先は富山県、今こんなところで子育てしています!

寿司が絶品(富山県)

「るるぶkids」をご覧のみなさん、はじめまして! 4歳の長女と2歳の双子男子を育てながら、フリーランスでライターや翻訳をしている沢井メグといいます。東京の会社と仕事をすることが多いのですが、現在、生活の拠点は富山県です。富山県……どこにあるかご存知ですか? 場所は本州の真ん中あたりの日本海側、クイっとカギのような半島のある石川県の東側(右側)、無料観光スポットランキング常連の「黒部ダム」があると言えばピンと来る方もいらっしゃるのではないでしょうか。そして富山湾でとれる魚介類のウマさは最強。朝、富山湾で水揚げされた魚が午前10時には近所のスーパーに並びます。そんな新鮮な魚を使ったお寿司はパック寿司や回転寿司でさえ、相当ハイレベルであることがちょっとした自慢です。

そして海だけでなく、ふと東側に目をやれば立山連峰の3000m級の山々が普通に見える生活。雄大な山脈が織りなす景色は厳かで美しく、立山連峰を含む飛騨山脈のことを畏敬の念を込めて「北アルプス」と呼ぶというのも納得です。

沢井家、東京から富山に移住することに

沢井家の5人

……と、完全にふるさと自慢のようになってしまいましたが、実は、私たち家族は元々富山とは1ミリも縁のない人間でした。2016年に夫の仕事の都合で東京都中野区から富山に移住。実家があるUターン組ではなく、言わば完全アウェーの移住組です。現在、夫婦、3人の子供の家族5人で暮らしています。

移住前に、私が住んだことがあるのは、神戸、大阪、東京、上海です。大阪は地方と言えば地方ですが、「日本三大都市」の1つであり、東京に対するコンプレックスどころか、むしろライバル心の方があるような地域です。神戸も関西圏内で有数の都市。郊外であっても都会の風がギュンギュンと入って来るような場所です。そんななか富山への移住により、私は生まれて初めて都市圏から出ることになりました。「地方の暮らし」「地方の子育て」は都市部とはどう違うのだろう……何もわからないまま、2016年4月に東京を卒業したのです。

移住直前に妊娠が判明!移住後に出産!

母子健康手帳

さて、当初、移住が決まった当初、沢井家には子供がおらず夫と私の2人だけ。私達夫婦は基本的に自分のことは自分でというスタンスだったので、私は本当に自分のことしか考えていませんでした。移住の際も「北陸新幹線のおかげで東京には2時間ちょっとで行けるようになったし、必要なときに行けばいいや(お金はかかるけど)。友達にも2時間通勤の人とか普通にいるもんね」くらいの軽い気持ちでした。

ですが、2016年2月頃、真剣に移住のメリットとデメリットを考えるきっかけが訪れます。第1子の妊娠が判明したのです。移住、私だけの問題じゃなくなった!? とにかく驚きながら住んでいた中野区の病院を受診、医師のある一言で一気に解決しなければならない問題が浮上しました。
医師「分娩はどこでされますか? 中野あたりだと先まで予約が入っているので次の健診までに決めておいてくださいね」

いや、私、2カ月後には東京を出るのですが……
医師「引っ越すんですか? 今すぐ引っ越し先で産科を探して分娩予約をとった方がいいんじゃないですか? 最悪、産む場所がなくなりますよ」
産む場所がなくなる!?  
まだ住居すら決まってないのに、病院の予約!? なんというタイミングで移住することになったのだろう。移住への不安、特に出産や子育ての不安は募るばかりです。

知らない土地はやっぱり不安…移住前に考えていたデメリット 

我が家の場合、そもそも移住のきっかけは夫の仕事です。移住後、私はリモートワークで東京の会社と仕事を続けることが決まっていたので、仕事についての不安はそこまでありませんでした。主な不安は、出産と子育て、そして日常生活です。当時、こんなことが困るな、デメリットかなと考えていました。

どこで産んだらいいのかわからない

子育て面の困りごとは、何と言ってもこれです。
妊娠中の移住だったので、まず子育て関係でやらなければならないのが産婦人科探しでした。
ネットで検索すると、いくつかの病院はヒットします。しかしクチコミや評判などの情報はあまり見つかりませんでした。生活に密着した情報は、ネットよりもリアルなご近所ネットワークで探すものなのでしょうか。そんな新しい場所でマッハで人間関係を構築するなんてさすがに無理。しかし、もたもたしていると東京の病院で言われた「最悪、産む場所がなくなる」になるのではないかと不安でした。より好みせずに、とにかく受け入れてくれる病院を探すべきなのでしょうか。運転が苦手なので、自宅から近い病院にアタックしてみることにしました。
とは言え自宅が決まるのは、移住直前の3月。出産予定は10月という、ギリギリの状況でした。

保育園のことがわからない。待機児童ゼロとは本当か?

保育園、待機児童ゼロは本当か?

そして共働き家庭にとって、とにかく気になるのは保育園に関する情報。そう、保活です! 
そして妊娠した2016年頃は、待機児童問題がクローズアップされてきた頃です。当時、こんなブログが話題になっていました。東京23区内に住むという人の話なのですが「0歳から保育園に入るために、妊娠がわかったタイミングで区役所の担当者に何度も相談に行った」「点数では差がつかないので、顏と事情を知ってもらう必要があると思った」というのです。生まれてもいないのに、そこまでしないといけないの……?

心配になって富山での待機児童の状況を調べたところ、「待機児童はゼロ」とのことでした。しかし「ゼロ」や「100%」という数字は怪しく見えるものです。本当にゼロなのか、ちゃんと保育園に入れるのでしょうか。「ゼロ」が公式のデータである限り、実際のところは引っ越し先で調査する必要があると感じました。これ以上は移住してからの話になります。どうか、我が家の保活が出遅れていませんように!

私立の小学校がないことが衝撃。教育はどうなっているの?

保活の下調べの中で、偶然わかったのが、富山県には私立の小学校がないということでした。(2019年に県内初の私立小学校が開校)。東京在住の子供がいる友人の間では「小学校から私立に入れるもの」という空気があったので、富山にはそもそも選択肢がないということに驚きました。

しかし一方で聞こえてくるのは、「富山は教育県」という呼び名です。私はライターという仕事柄、ランキングデータを目にすることが多いのですが、全国学力テストでも富山県はいつも上位にいたことを記憶していました。私立小学校はないのに学力が高いということはどういうことなのでしょうか? 私が大阪で経験したり、また東京で見聞きした教育環境と富山県の教育環境は違うのかもしれません。教育は学校に任せていたらいいのか、親が積極的に機会を与える必要があるのか。もし後者ならどう機会を与えたらいいかわかりません。自分が富山の教育環境を把握しないと子供に不利益なことになるのではないか、と心配になりました。

車が必要らしい…

続いて、生活面で私にとって一番のデメリットは、私に車を運転する習慣がないことでした。
富山県内は新幹線、電車、路面電車が走り、SL以外なら何でも走っている「鉄道王国」として知られています。いろんな電車に乗れるのは楽しいです。ですが! 生活となると公共の交通機関だけで済ませる、というわけには行きません。バスの本数やスーパーの立地など、地域が「車があること前提」で出来上がっているので、車は必需品です。私は運転に苦手意識があったので、日常的に車に乗るということに全くメリットを感じませんでした。また皆さんご存知のとおり富山は雪国です。冬場の運転に必須なスタッドレスタイヤもチェーンも自動車教習所以来、見たこともありません。「雪道の運転マジ無理……冬はずっと引きこもっていたい」と本気で思っていました。

さらに購入費や維持費を考えると経済的にも辛い……必要なときだけ車を借りるカーシェアリングを利用しようかとも思いましたが、カーシェアリングステーションは観光地や主要駅にしかなく、東京のような日常使いは想定されていないようでした。富山県では、大人は車を1人1台持っているレベルなので当然ですね。

人づきあいが大変そう…

富山移住の前に、知人に「北陸は閉鎖的だよ」「よそから来た人を警戒されるらしいよ」と言われました。「今どきそんなことある!?」と思いつつも、地方移住の体験談をネットで検索すると、北陸ではないものの「田舎に移住して人間関係で地獄を見た」というような記事も目にします。移住者という理由で村八分にされたというエピソードです。地獄は極端なケースだと思いたいけれど、私自身、これまで近所と密な付き合いをしたことがなかったので、なんだか不安でした。濃密な人付き合いを熱望しているわけではないけれど、やっぱり友達は欲しいな……。

実は都会よりお金がかかるのでは?

実は富山県には一度、旅行で来たことがあります。私は旅先で必ずローカルスーパー巡りをするのですが、富山のスーパーでは生鮮食品は安いものの、日用品が東京より30~50円ほど高かったことが印象的でした。移住と言えば何でも安くあがるというのは単なるドリームで、実は都会より生活費がかかるのではないか?」と身構えていました。

冬場の雪がスゴイらしい…

そして、生活面で一番の未知は「雪」! 
北陸なので雪国であることは容易に想像できますが、北陸出身の知人によると、北陸の雪は「水分を含み、湿って重い」のが特徴で、特に富山は地理的な条件から「積雪シーズンを通して重い雪が降りがち」であるそうです。水分が多い重い雪、聞いただけで心まで重くなる響き……もちろん道路などはしっかりと雪をとかす対策がとられていますが、自宅の雪かきは自分で何とかしなければなりません。代行業者に頼む手もありますが、いずれにしても今まで経験のないことです。
そして降雪時期はどんな服装をすれば良いのでしょうか? 湿気&雪とはメチャクチャ寒そうなイメージです。スキーウェアでも着ておけば間違いない……?

地方は子育てしやすいってホント? 移住前に考えていたメリット

もちろん不安ばかりではなく、移住前にはいくつか期待していることもありました。慌ただしい都心で育てるよりも自然が身近にある環境育てたほうが、子どもにとってはいいかもしれない。他にも親にだっていいことがあるかもしれない。移住前に期待していたメリットはこんなことでした。

家賃が下がって、家が広くなる?

日用品に価格差があるように、地方への移住は何でも安くなるはウソかもしれない。しかし、事前に確実に安くなるのがわかっていたことがあります。それは家賃です! 東京では駅から徒歩10分程度のマンションに住んでいましたが、富山では駅から同じくらいの距離でしかも東京より安く一戸建てが借りられることがわかりました。最終的に決めた家は家賃が2万円ほど下がって、広さは倍に。富山では東京より日用品が高いのは確か、車の維持費もかかるけれど家賃が安いことで相殺、むしろトータルで安くなるのではないか、と期待が持てました。

自然が多く、子供が遊ぶ場所は多そう

県民公園太閤山ランド(富山県射水市)

よく地方は娯楽施設が少ないと言われます。確かにネットを検索すると、富山県内には遊園地のようなレジャー施設は少ないし、あってもその規模は東京ほど大きくありません。ですが、自然公園やアスレチック公園が山のようにヒット。確かに大人が楽しめるような施設は少ないかもしれないけれど、小さな子供がのびのびと遊ぶ場所には困らないように思えました。しかも駐車場代はだいたい無料! そして利用料も無料の施設の多いこと! また、夫が自身の幼少期の経験から子供は自然の多い場所で育てたいと言っていたので、はからずともそれが叶いそうだと思いました。

治安が良さそう

そして子育てで気になるのが治安です。
仕事柄「日本初」「発祥の地」というワードに弱いのですが、富山県は暴走族発祥の地だと言われています。ですが、少子化と若者の暴走族離れから今ではすっかり治安が良くなったと聞きます。旅行で来た際、繁華街でもコンビニにたむろする人はおらず、とても静か。飲食店も21時にはもう閑散としていて、「夜はしっかりと眠る街」という印象を持ったものです。夜に遊ぶ場所が少ないという環境は、子育てには良いのかも?

まとめ

富山県は東洋経済新報社が発表している「都道府県幸福度ランキング」でもトップ3の常連。地震や台風などの自然災害も少なく、以前、テレビ番組で「日本の首都を移転するなら富山がいい」と見たこともありました。極端に住みにくい場所ではなさそう……。

でも、ネットを見る限り情報があまりなく、わかるのは「東京スタンダードではないらしい」ということだけ。メリット、デメリットというより、具体的なことがネットを介してだと一切わからないことが一番の不安でした。その不安は的中するのか? 期待はその通りだったのか? 
次回の記事(2020年11月中旬公開予定)では、実際に移住した後に感じた、移住前とのギャップについて詳しくお伝えしていきます。お楽しみに!

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