みなさんのお子さんは、どんな夢をもっていますか?
野球選手に宇宙飛行士、ケーキ屋さん、漫画家、今はYouTuberも人気ですよね。
このシリーズでは、子どもが憧れている職業、きっと興味がわくような注目の職業に就いた人にインタビュー。子どものときにどんなことが好きだったのか、どんな生活をしていたのかなどを伺いながら、今に至るまでのエピソードをたどります。気になるお仕事内容もたっぷり紹介!
第11弾はYouTuber(ユーチューバー)で、東大発の知識集団「QuizKnock(クイズノック)」に所属している須貝駿貴さんです。
須貝 駿貴(すがい しゅんき)
東京大学大学院総合文化研究科後期博士課程修了。「ナイスガイの須貝です」が決めゼリフ。2017年よりQuizKnockに参加し、2021年にQuizKnockの運営会社である株式会社batonに入社。主にYouTube動画に出演するほか、新規事業開発に携わっている。国立科学博物館認定サイエンスコミュニケーターで、視聴者と一緒に電子工作やプログラミングをする「須貝と作れるようになるLIVE」など、科学関連の企画が得意。
どんなお仕事をしているの?
須貝さんが所属している「QuizKnock(クイズノック)」は、クイズ王伊沢拓司さん率いる東京大学発の知識集団。webメディアやYouTube、ゲームアプリなど、さまざまなコンテンツを展開しています。クイズを楽しみながら、勉強が好きになれるということで、子どもたちはもちろん、親御さんたちにも大人気です!クイズ番組で観たことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
このインタビューでは、須貝さんがどんな幼少期を過ごし、どんな経緯で今のお仕事に就いたのか、じっくりとお話を伺いました!
保育園にある本を読み尽くした幼少期
―― まずは、須貝さんの幼少期について教えてください。
須貝:5月生まれで月齢が早かったので、保育園のクラスの中でもかなりできる方でしたね。折り紙の端を揃えてきれいに折ったり、5〜6歳のときにはミニ四駆を1人で組み立てたり。同じ学年の子どもたちよりも「自分はできる方だな」ということに当時から気付いていました。
―― どんな遊びが好きでしたか?
須貝:ウルトラマンの本を読むのがすごく好きでしたね。読み聞かせをしてもらっているうちに覚えたんでしょうけど、平仮名、カタカナは僕の中で当然読めたので、ルビを頼りに漢字も読んでいましたね。中身を全部覚えているくらい、しっかり読み込んでいました。
―― 当然読めたんですね(笑)。
須貝:両親が共働きで、保育園にいる時間が長かったということもあって、園にある本は全て読み尽くしてしまって。1人で紙芝居を読んだり、掲示板に貼ってある「今日の園児の様子」といったお便りも、全て読んでいました。
―― 全て読み尽くしたとは驚きです。ご家族はどんな雰囲気でしたか?
須貝:仲の良い家族で、兄弟は弟と妹がいます。両親からは「賢い」「天才だ」と幼少期からたくさん褒めてもらいましたね。父親が高校の物理の教員で、母は小学校の教員、母の姉も教員という環境で、実は今弟も教員をやっています。
―― 教師一家だったんですね!
「なんでもできる」小学校時代
―― 小学校時代についても教えてください。
須貝:小学2年から、スイミングスクールに通い始めました。6年生で辞める人が多いなか、僕は中学3年まで続けて、泳ぐのがけっこう速くなりましたね。今思えば「学校通い」も長くて、30歳手前まで大学院に行っていたし。僕は他の人よりも継続するのが得意なのかもしれません。
―― 周りの人が「次のステージ」に進んでいくことに、焦りはなかったのでしょうか?
須貝:他の人たちが勝手にやめているだけで、僕の方が「次のステージ」に進んでいる、そんな気持ちでしたね。スイミングも「なんでそこで辞められるんだろう。ちょうど速く泳げるようになってきてるところじゃん。続けられるなら、続けたら良くない?」みたいな。僕は、目の前に与えられている状況に対してフルパワーを発揮するのがすごく得意なので、勉強にしても、スイミングにしても、迷いなくやっていたように思います。
―― 確かに、継続することで進めるステージもありますよね。勉強の方はどうでしたか?
須貝:山の中にある田舎の小学校で、1学年23人くらいだったんですけど、まあ僕が一番なんだろうなと思っていましたね(笑)。小学校だから順位の発表はなくても、少人数でみんな点数を見せ合ったりしていたので。もちろん、都会に住んでいて受験があるような、トップオブトップの子たちよりは全然できない方だったと思いますが、教科書は全部できていたので何の問題もありませんでした。ある意味、「なんでもできる」と思える自己肯定感が一番高い状況だったと思います。
―― 授業はどんなふうに受けていましたか?
須貝:ノートは、先生が黒板に書いたものを漏らさず記入する。それだけでしたね。先生の雑談をメモしたり、といったことはした記憶はありません。小さい頃から読むのが得意だったので、教科書は全部読んでいたと思います。特に国語の教科書は、もらってすぐに読んでいましたね。授業の予習というより、学級文庫も読み尽くしてしまって周りに読むものがもうなかったので、「新しい本」として読んでいました(笑)。
科学者や研究者にはない、YouTuberだからこその「知名度」
―― その後、東京大学と大学院で物理学を学び「QuizKnock」に所属することになった須貝さん。YouTubeでも大活躍中ですが、いつからこの職業に就きたいと意識したのでしょうか?
須貝:YouTuberになってから、YouTuberになりたいと思いました。おかしな順番に思えるかもしれませんが、「QuizKnock」の活動に取り組んでいたら、それが「仕事」になったということなんですよね。あとは、インフルエンサーとして少し有名になった段階で、この知名度は科学者や研究者がどんなに望んでも手に入れられないものだと気付いたんです。科学と社会をつなぐ「サイエンスコミュニケーター」として、社会をより良くするためには、科学者になるよりもYouTuberになったほうが、世界に与えるインパクトが大きいだろうと。それで、YouTuberの道に進むことにしました。
―― 学校の先生になったり、博物や科学館所属の「サイエンスコミュニケーター」になる、という選択肢もあると思いますが、その辺りはいかがですか?
須貝:博物館や科学館は「本物」が見られる素晴らしい施設ですよね。でも所属をすると、それはそれで大変な仕事ですし、そこの宣伝をしないといけなくなってしまいます。自分の今のポジションは「QuizKnock」として、国や大学の研究機関、企業で研究をしている人、YouTubeの視聴者、全部にアクセスが出来る。ハブになれるんです。学校とは財源も違いますし「こんな教材が欲しい」「こんなものをつくりたい」ということが直接いえる立場なので、とても良いなと感じています。
後半の「お仕事編」では、実際にどんなお仕事をしているのか詳しく伺っていきます!ぜひ合わせて読んでみてくださいね。
(2022年7月取材)
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わかりやすくて読んで楽しい一冊を、ぜひ親子で一緒にご覧ください。