みなさんのお子さんは、どんな夢をもっていますか?
野球選手に宇宙飛行士、ケーキ屋さん、漫画家、今はYouTuberも人気ですよね。
このシリーズでは、子どもが憧れている職業、きっと興味がわくような注目の職業に就いた人にインタビュー。子どものときにどんなことが好きだったのか、どんな生活をしていたのかなどを伺いながら、今に至るまでのエピソードをたどります。気になるお仕事内容もたっぷり紹介!
第12弾は獣医の本池さんです。
本池俊仁
1977年生まれ、江東区白河出身。専門学校卒業後、一念発起し獣医大学に合格。在学中にアニマルセラピーのサークルを立ち上げた。獣医師免許取得後、東京大学動物医療センターにて外科系および内科系診療科にて研修修了。動物病院で働くなかで「犬猫の幼少期における教育」と「リハビリテーション」の大切さを実感し、地域貢献と一生付き合える病院を目指し、2016年に清澄白河アニマルクリニックを開院。
どんなお仕事をしているの?
本池さんは、東京で「清澄白河アニマルクリニック」という動物病院をやっている獣医さんです。一般的な獣医さんのお仕事はもちろん、小さなワンちゃん猫ちゃんのしつけ方などを教える「パピー・キトンケア」や、「シニアケア」「リハビリテーション」などを積極的に行っているのが特徴。「一生付き合える病院」を目指した丁寧な診察、施術で、地域内外から広く支持されています。
このインタビューでは、本池さんがどんな幼少期を過ごし、どんな経緯で今のお仕事に就いたのか、じっくりとお話を伺いました!
家でペットを飼っている子や、動物、生き物が好きな子、獣医さんの仕事に興味がある子は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
「動物好き」と言えなかった、内気な幼少期
―― まずは、本池さんの幼少期について教えてください。
本池:幼稚園の頃はませていて、彼女がいたそうです(笑)。小学校のときは悪ガキという感じで、友達とイタズラをしたり、自転車を乗り回したりしていました。
―― 動物はその頃からお好きだったのでしょうか?
本池:そうですね。物心ついた頃から周りに動物がいて、ずっと好きだったのですが、「動物好き」だということは、なぜか恥ずかしくて周りに言えなくて。イタズラとかはするんですが、そこだけは内気でしたね。
―― 印象に残っている動物とのエピソードはありますか?
本池:動物園や博物館、牧場に遊びに行くのが好きで、特に大洗水族館でシャチに触れたことが思い出に残っています。小学校低学年くらいですかね。手を挙げた大人数の子どもたちの中から自分を選んでもらえたという嬉しさと、すごく大きいな、というので大興奮でした。
―― ご自宅でもペットを飼っていたのでしょうか?
本池:小学校低学年から「ころちゃん」という柴犬と長く一緒に暮らしていました。ほかにも、貰ったり拾ったりして、たくさんの動物と暮らしてきましたね。ちなみに、当時ころちゃんが通っていた動物病院の主治医の先生は、後の僕の師匠です。
―― おお!それは素晴らしいご縁ですね。
「一人の人」として見てくれた父
本池:東京の江東区白河出身で、文京区で暮らしていた時期も長いのですが、父が医師で、親族にも医師が多い家系でした。自分も親になった今だからこそ「仕事で家族を支えてくれていたんだな」と感じますね。父に負けないくらい仕事を頑張って、家族の時間や思い出もたくさん作りたいなと思っています。
―― 比べられることも多かったのではないでしょうか。
本池:やっぱりコンプレックスはありますよね。兄貴は医師になったんですけど、僕は野球ばかりやっていて、動物飼育の専門学校に進学しました。父方の祖父が亡くなって親戚一同が集まったときがあったのですが、僕だけ話していなかったんです。そうしたら父が来て「話さないのか」って声を掛けてくれて。当時僕は浪人生で、かたや兄貴たちは医師や医学生ばかり。「実習でこんなことをやった」というようなことをみんなで話している。それは話が合わないですよね。でも父は僕に対して「今目標をもって一生懸命勉強しているんだし、関係ないじゃん」と言ってくれたんです。一人の人として、ちゃんと見てくれていたんだなって、嬉しかったんですよね。この言葉は、すごく印象に残りました。
辛かった浪人時代、動物が心の支えに
―― 高校卒業後は、動物の専門学校に進学されたんですね。
本池:小さい頃から動物が好きだったので、動物関係の仕事に就きたいと思っていました。父が医師で医療が身近だったので、動物関係の仕事なら、獣医さんがいいかなあと考えたんです。でもきちんと勉強していなかったので、受験もままならないまま、専門学校へ進学しました。その中でアニマルセラピーに出会って「自分が極めたいものはこれだ」と思うようになりました。
―― たとえば、動物の飼育員さんになるという選択肢もあったのでしょうか?
本池:飼育員の道も考えましたが、医療にも興味があったので獣医師を目指しました。挑戦させてくれた両親には感謝しかないですね。
―― 2年間の専門学校を卒業してから、3年もの浪人時代を経て、大学に進学されたという本池さん。浪人時代は大変でしたか?
本池:そうですね。毎日15時間くらい勉強していました。最初の1〜2年は先が見えなすぎてだいぶ辛かったですね。その頃、一緒に暮らしていた猫や犬には精神的に助けてもらいました。写真のネコたちは、ボク、スズ、ペコという名前です。
―― 常にそばには動物がいたんですね。
本池:動物には、今までたくさん助けてもらっているので、たくさん恩返ししたいと思っています。正直今でも、はじめての人と話すのは少し苦手なんです。でも、動物を介せば、獣医としてならスムーズにコミュニケーションができる。小さい頃から「動物が好きだ」って言えなかったシャイな部分がありましたが、もしかしたらそこが本質だったのかもしれません。
―― 自分の病院を開くまでの流れも教えてください。
本池:ころちゃんと一緒にいた頃から通っていた動物病院の先生に、大学進学の話をしたら「卒業したら俺んところ来いよ!」って言ってもらって。4年くらい働かせてもらいました。師匠は、絶対に触る、絶対に聞く、という五感を使ったアプローチが得意な人で、僕は今でもそのやり方を大切にしています。うちの母親も「先生は、病院がすごく混んでいても、ちゃんと話を聞いてくれるし、焦らせない。そういうのが上手な人だよね」と言っていました。そんなふうに安心して通ってもらえるような病院を目指して、2016年に開業したのが「清澄白河アニマルクリニック」です。
後半の「お仕事編」では、実際にどんなお仕事をしているのか詳しく伺っていきます!ぜひ合わせて読んでみてくださいね。
(2022年10月取材)
後編はこちら
子どもに人気のお仕事に注目!|獣医さん(清澄白河アニマルクリニック 本池さん)<お仕事編>
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